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    TOP ブログ 【8】国試直前、ナーバスになっている学生にどう対応すべき?

    連載侑加先生のお悩み相談室

    先生に特有のお悩みから、ワークライフバランス、キャリアデザインまで。「他の学校はどうなんだろう、他の先生はどう考えているんだろう……」と思ったら、学校の現場にも詳しい侑加先生に相談してみませんか?

    今回は、国家試験が近づき、ナーバスになっている学生への対応についてのお悩みです。
    これまでの学習の成果であり、夢を叶えるための重大な局面である国家試験。
    受験を前に強いストレスを感じる学生も多いと思います。
    先生はどのように接し、学生が万全の状態で試験に臨めるようサポートできるでしょうか。
    侑加先生に聞いてみましょう!

    【今回のお悩み】中村先生(仮名)

    私は医療系の専門学校の教員です。
    大卒後に数年臨床を経験したあとで今の学校に転職し、専門科目を教えてきました。

    今年度、初めて最終学年のクラス担任国試対策を受け持ちました。
    今はいよいよ国家試験が目前に迫ってきているところです。

    試験の合格率は全国平均で例年80%前後、学校の合格率はそれを5%ほど上回る年が多いです。
    高めの合格率とはいえ、落ちてしまう学生がゼロではありません。

    クラスの学生は全員がすでに就職の内定を得ていますが、国試に落ちてしまうと専門職への就職はできず、助手のアルバイトをしながら再チャレンジするか、留年・浪人するか……ということになってしまいます。
    学生たちもそれをよく分かっているので、懸命に勉強に取り組んでいます。

    ただ、少しナーバスになりすぎている学生もいて心配です。
    聞くと、夜遅くまでエナジードリンクを飲みながら勉強し、朝早く起きて登校前に勉強し、日中学校で眠くなって慌ててまたエナジードリンクを飲んで目を覚まし……という様子で、試験の前に身体を壊してしまいそうです。
    睡眠不足では身につくものも身につかないと伝えているのですが、模試の結果がギリギリで「勉強していないと不安で落ち着いて休めない」といいます。

    雪深い地域で冬場は日照時間が短く、ただでさえ気が滅入りやすいうえ、コロナ禍ではなかなか気晴らしもできないだろうと思います。
    心身の調子を万全に整えて国試に臨めるようなんとかサポートしたいのですが、どんな声かけや生活指導をするのがよいでしょうか。
    アドバイスを頂きたいです。

    一人一人の幸せを願う気持ちに自信を持ち、明るくどっしりと構えましょう

    先生ご自身の緊張が学生にも伝わることがあります

    中村先生、最終学年のクラス担任お疲れ様です。
    国家試験対策は、卒業し就職していく学生達にとって、人生を左右する試験ですよね。
    初めて受け持たれるということは、先生の緊張も相当なものではないかと想像します。

    「試験の合格率は全国平均で例年80%前後、学校の合格率はそれを5%上回る年が多いです。高めの合格率とはいえ、落ちてしまう学生がゼロではありません。」とのこと。
    医療系の国家試験は、やはり難しいですね。
    試験のための勉強は、「人の命を預かる」現場に立つ覚悟を固めていく過程でもあるように思います。
    「国試に落ちてしまうと専門職への就職はできず、助手のアルバイトをしながら再チャレンジするか、留年・浪人するか……」という厳しい現実が待ち受けています。

    こうした現状から、先生の受けるプレッシャーは二つあると思います。

    一つは、合格率です。
    85%程度を維持している学校として、好成績をあげなければならない、できれば上回る数字を出したいと思っていらっしゃるでしょう。
    一人一人の合格が大切なのはいうまでもありませんが、必ず合格率という結果が付いてくるので、どうしても意識せざるを得ないのが辛いところでもあります。
    好調な合格率は、その後の学生募集の好材料となり、各高校へも伝えられます。
    そうして、専門学校の伝統が築かれてきた側面もあります。

    もう一つは、「全員がすでに就職の内定を得ています」ので、そのまま実現させてあげたいということでしょう。
    試験に落ちて、助手のアルバイトや留年・浪人をさせることのないよう、必ず全員を合格に導きたいと強いプレッシャーを感じていらっしゃるのではないでしょうか。

    大卒後に数年の臨床経験をお持ちの先生は、現場での喜びも苦労もよくご存知です。
    強い責任感のために、プレッシャーも大きく感じられると思います。

    親が初めての育児に神経質になるとき、子どもに緊張や不安が伝わるといわれます。
    20歳の学生と赤ちゃんは違いますが、一番身近にいて指導を担当される先生の様子が知らず知らずのうちに影響を与えるということは考えられます。
    必要なところはピリリと締め、普段はゆったりと大らかな態度で接していきたいですね。

    「首尾一貫感覚」を参考に、先生が笑顔で過ごしたいですね

    突然、エレベーター内で閉じ込められたら、どのように感じられるでしょうか。
    真っ暗で、動かない状況です。
    とにかく不安に駆られ、非常ボタンを探したり、警備室に連絡できる手段を探したりするでしょう。
    暗闇の中でも、外と会話ができ、原因が停電で10分程度我慢すれば運転再開しそうだなどと分かれば、ひとまず安心できますね。
    何も見えない状況で、どうしたら良いかもわからず、一人にされるのは不安で苦しいことです。

    「首尾一貫感覚」で心を強くする』という書籍をご紹介します。
    耐えられない悲しみや苦悩、辛さや苦しみと対峙する際に、自分である程度気持ちをコントロールできる物事の捉え方を系統立てて教えてくれます。
    「だいたいわかった(把握可能感)」「なんとかなる(処理可能感)」「どんなことにも意味がある(有意味感)」という三つのステップです。

    舟木彩乃『「首尾一徹感覚」で心を強くする(小学館新書)』小学館(2018)
    [小学館 商品ページ]https://www.shogakukan.co.jp/books/09825334

    エレベーターで閉じ込められた場合にも、停電だと把握できれば、まず一安心です。
    自分の居場所を外の人に伝えられたら、助けてもらえる見込みも立ち、何とかなると心強くなります。
    無事に外に出られた後に、今後あるかもしれない地震や災害に備えて避難経路の確認や周囲の人への啓発を行い、減災に繋がるアクションを起こすことができるでしょう。
    閉じ込められた経験は辛いものですが、それにも意味があったのだと思える日が来るかもしれません。
    また、そのように前向きに日々を過ごしていくことが、生きる強さに繋がるように思います。

    東京オリンピックを見ていたとき、体操の内村選手が鉄棒から落下し、テレビの前で息を飲みました。
    鉄棒に競技を絞り、万全の体制で臨んだレジェンドが、落ちるはずのない演技中になぜか落ちてしまったのです。
    男子リレー選手も急に止まってしまいました。バトンパスが上手くできなかったのです。
    4年に一度のオリンピックに照準を合わせ、結果的には5年間準備し、0.01秒の速さを追求してきた世界のトップアスリートが本番でミスをしてしまうのです。
    人生には、まさかということがあります。

    金メダルを獲ったアスリートのインタビューは、笑顔も清々しく、同じ日本人というだけで嬉しくなります。
    一方、日本中の期待を背負った選手が成果を残せなかった直後のインタビューは、見る側も苦しいです。
    オリンピック終了後、数か月が経ちました。
    内村選手も陸上選手も次の競技会にエントリーしたという話題を目にするとき、レジリエンス(回復力)の強さを感じます。
    上手くいかなかった時にも、色々な葛藤を乗り越え、生きる力強さを見せてくれるアスリートを尊敬せずにはいられません。

    中村先生の取り組まれる国家試験は、全員の合格を目指しつつも、やはり落ちる人が出てしまうでしょう。
    それは、毎年の合格率が物語っています。
    本人達の試験に対する能力不足や、問題との相性ということもあるかもしれません。
    先生は、毎日懸命に指導をされながらも、落ちる学生がいることを念頭に置いておくことが大切です。
    また、落ちた学生への対応や助手のアルバイトをしながら再チャレンジする際のフォロー体制の確立、留年・浪人となれば学費も1年余分にかかりますから、万が一に備え、親御さんにもきちんと伝えておくなど万全の体制を敷いておくと良いと思います。

    「学生が落ちたらどうしよう」と暗闇に迷い込まないでください。
    大半の学生は合格します。しかし、僅かに落ちる学生がいます。
    ただ、その学生にも明るい未来があります

    落ちた直後は、本当に苦しいですよね。
    「今まで何やってきたんだろう」と自分を責めるばかりか、周囲を責める人も出てくるかもしれませんね。
    その時、先生がうろたえないようにしたいです。
    来年チャレンジできること、学校としても十分サポートできる体制があることを伝え、「何とかなる」と希望を持たせるように導きたいです。

    その学生が5年後に「助手のアルバイトをしながら試験に再チャレンジする後輩の面倒を見る先輩」という立場になるかもしれません。
    「私も一度は失敗したのよ、大丈夫」と後輩を励ます頃には、「どんなことにも意味がある、落ちたことにも意味があったんだ」と思える時が来るかもしれません。
    先生のプレッシャーは大きいですが、試験結果がどのようであれ、学生の幸せな人生は揺るぎません

    不合格の学生対応を経験することも、先生にとって大切な成長の一過程であるように思います。
    学生の前では、どうか笑顔で過ごしてくださいね。
    中村先生と一緒に頑張れば大丈夫と、心が安定します。

    視覚から明るく、ウキウキするような色を採り入れましょう

    冬場はどんよりとした気分になりやすいですね。
    服装も黒っぽくなりがちですが、意識的に明るい色のものが視界に入るようにするのがおすすめです。

    IKEAの家具や小物はお好きですか。
    マグカップなどの食器、タッパーなど、黄色やパステルカラーの小物を好んで使っています。
    スウェーデンは日照時間が短く、雪深い冬が長いため、人々の気持ちが明るくなるよう、暖かい色を多く使っているそうです。
    やはり目にする物の影響は大きいですね。
    今は、100円ショップの小物もカラフルで楽しいです。
    教室の備品に、ビタミンカラーの物を置くようにしてはいかがでしょうか。

    先生方は実習着を着用されますか。
    学生の緊張感が高いとき、カチッとしたスーツスタイルや白い実習着などは避けた方が良いと思います。
    ピンクや黄色、オレンジなど、ウキウキしたり、ホッとしたりするような色合いの服装が良いですね。
    ローラアシュレイの医療用ユニフォームで働く看護師さんを見た時、思わず「素敵ですね。」と言ってしまったことがあります。
    ローズピンクにローラアシュレイ独特の花柄が少しあって、とても上品でした。
    看護師さんも嬉しそうでしたし、私も注射の痛みを全く感じませんでした。
    服装やちょっとした会話で、痛みを感じないなんて、不思議ですよね。

    予算はかかりますが、教室の壁紙やカーテンも工夫したいです。
    面積が大きいぶん、効果が期待できます。
    同じ白でも、ブルーベースの冷たいものは避け、イエローベースの暖色系のものを選びましょう。
    ベージュやクリーム色など、暖かい感じがするものが良いですね。
    学生が緊張するのは毎年のことです。
    暖かい空間に包まれて学習できると、心も安定するのではないでしょうか。

    「手段の目的化」を回避 健康で幸せな人生を送ることが一番の目的です

    手段の目的化」という言葉を聞いたことがありますか。
    「夜遅くまでエナジードリンクを飲みながら勉強し、朝早く起きて登校前に勉強し、日中学校で眠くなって慌ててまたエナジードリンクを飲んで目を覚まし……」とのこと。
    「試験の前に身体を壊してしまいそうです。」と心配なさる気持ち、分かります。
    また、学生側の「模試の結果がギリギリで『勉強していないと不安で落ち着いて休めない』」という焦りも理解できます。

    学生を含め、私達の一番の目的は、「健康で幸せな人生を送る」ということです。
    親は、我が子の誕生の際、こう願います。
    学生は、幸せな人生を送るための一つの手段として「国家試験に合格する」ことを選びました。
    しかし、卒業生の中には5年後、10年後に色々な事情があって、退職している人もいます。
    つまり、幸せな人生を送るために受験する国家試験は、今の時点での手段であって、決して最終目標ではないということです。

    エナジードリンクのカフェイン含有量は、それぞれの商品によりますが、1日の最大摂取量を把握し、守ることが大切です。
    医療系の国家試験に合格し、「人の命を預かる」現場に立ちたいと願う学生には、自らの命と健康を守ることを意識させたいですね。
    今、OD(オーバードーズ)の危険性が話題になっています。
    市販薬やエナジードリンクを大量に服用し、命の危険に直面する人、後遺症に悩む人もいます。
    これらの現実を話すだけでなく、新聞のコピーなどを利用し、大きく印刷し、掲示板に貼りましょう。

    強い不安を感じる学生の中には、家庭での家族の関わりが影響している場合があります。
    国家資格を保持した医療従事者の親、兄弟、親戚がいる場合、「合格して当然」というプレッシャーがあり、親もそのような声かけをしている場合があります。
    進学高校では、「エナジードリンクの飲み過ぎに注意」というテーマで、保健室だよりを作成し、親御さんに向けて配布します。
    学生は大人なので、自分で買い物や飲食ができてしまいますが、親が用意している場合もあります。
    親御さんへの啓発も学校が行っていくことが大切ではないでしょうか。

    「コロナ禍で気晴らしもできないだろう」というご心配、コロナ禍が長引いているので、本当にそう思います。
    エナジードリンクに過度に頼らないためにも、教室やロビーにノンカフェインのコーヒーやお茶、ガムや飴を用意されてはいかがでしょうか。
    寒い冬に温かいドリンクは、身体に染みて、心まで安心させてくれます。
    ホッと一息つけば、同級生と微笑み合い、充実した学生生活を送れていることを再確認できると思います。

    中村先生ご自身もちょっと豪華なランチを召し上がって、「頑張ってる、頑張ってる」と自分を褒めてください。
    お風呂にアロマオイルを数滴、「はぁ~」と息抜きを忘れないでくださいね。
    先生と学生皆さんのお幸せを願っています!

    この記事を書いた人
    侑加先生

    侑加先生

    一般企業を経て、専門学校に正教員として勤務。
    現在は、企業・大学講師、小中学生の塾経営。
    趣味は、お笑いと高校野球、旅行。一児の母。

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