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TOP教養学校運営伝えるべきことはまとまった! PR実践でファンを生み出そう!

伝えるべきことはまとまった! PR実践でファンを生み出そう!

2022.10.03 (最終更新:2024.03.27) 学校運営 学校運営

連載少子化を生き抜く学校ブランディング

自校らしさとは?自校の魅力とは?よく分かっているはず……でも、本当に全員が同じように考えているでしょうか?外部へきちんと伝えられているでしょうか?競争の中でも選ばれる学校になるための学校ブランディングの基本メソッドを、ブランディングのプロがお伝えします。

今回で学校ブランディングの記事は、最終回となります。

今まで内部チームを作り、学校の魅力を発掘し、強みを事業化し、デザインで見える化するといった、ブランディングの手法を掲載してきました。
過去記事はこちら

最終回は広報PRの考え方と手法をお伝えしていきます。

広報PRは、
「ターゲットとなる人(高校生)」に「自分たち(自校)のことを知ってもらい、興味をもたせて」、「購入に至らせる(入学してもらう)」ための一連の作業です。

まず「だれに」「どのような情報」を届けるかを決めなければいけません。

広報PRの手法やテクニックについては、ホームページで検索すればすぐにヒットするのですが、「だれに」「どのような情報」を届けるかは、皆さんが考えて決定しなければなりません。

実はこの作業が非常に難しい。

ですから、今回は「だれに」「どのような情報」を届けるかを決定しやすくする方法をお伝えしていきたいと思います。

「あなたの学校のことを知っている人はほぼいない」

まず広報PRを成功させるために、必ず認識しておいてほしいことをお伝えします。

それは「あなたの学校のことを知っている人はほぼいない」ということです。

実際には「学校名くらい知られているだろう」とか、「この分野では有名な学校だ」など、
実績を重ねてきたので認知度はあるよ、という学校もあると思います。

しかし、広報を計画する際には「だれにも知られていない」という前提のもと、進めるほうが成功します。

まずは広報の基本「AIDMAの法則」を学びましょう。

購入者心理を理解しよう!「AIDMAの法則」

「AIDMAの法則」とは、1920年代にサミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱された概念です。

我々は、何かを購入するとき、すぐに「欲しい!」と思うわけではありませんよね。
その存在を知ることからスタートです。
人が何か「もの」を購入する心理になるには、5つの段階があります。

まず、情報と出会い、存在を知ってもらう段階が「注目-Attention」
見たり聞いたりしたことがあるよという段階の「興味-Interest」
ちょっと内容を知っているよ、もしかしてちょっと欲しいかも、という段階の「欲求-Desire」
一度は欲しいと思ったけど、忘れてしまっている段階の「記憶-Memory」
欲しいと思っているけど、どうしようかと考えている段階の「行動-Action」。

この5つの心理状態をうまく後押しすることで、人は購入に至ります。

これを「マーケティングファネル」ともいいます。

上記の漏斗の図が表すように、たくさんの人に認知されても、最終的に行動する人は少ないというのが、広報の基本的な考え方です。

ですから、それぞれの段階の人を増やしていく
または効率的に次の段階へ誘導し、最終的には行動に結びつけ売上に貢献する、
という計画を立てるのが、広報PRの主な役割となります。

消費者が購入に至る基本心理をしっかり理解することで、正しい手法を計画しやすくなりますので、常に頭に入れておきましょう。

では、各段階の人を、どう増やしていくか、どう次の段階へ進ませるかという手法ですが、基本的には下記の考え方になります。

段階一般的な場合専門学校の場合
Attention広告やSNSを通じて商品やサービスを周知・広告(テレビ・Web・SNS・学校資料・フリーペーパーなど)
・高校の進路相談室に掲示
・リファラル(先生・先輩の口コミ)
InterestAttentionよりも商品やサービスの魅力が伝わるような内容を盛り込む・チラシ
・SNS
・記事広告
・リファラル(先生・先輩の口コミ)
Desire消費者自身が情報を集めようとするため、Webサイトやカタログの内容を充実させる・パンフレット
・Webサイト
・SNS
Memoryサービスの存在を思い出してもらうため、媒体に広告を出す、または定期的にメルマガを配信する・SNS
・広告
・メルマガ
Action店頭で商品を目立たせる、またはクーポンを配布して購買意欲を刺激する・オープンキャンパス
・学校説明会

表は一例ですが、SNSが全体的に活躍しているのがわかります。
特に若い世代では、SNSが情報流通のメインとなっているため、欠かすことのできない広告媒体です。

AIDMAの法則をベースに、
「どこの層を増やしていきたいか」「何を伝えたらよいのか」など、
学校の現状を踏まえながら検討していくと、正しいプランを考えることができるでしょう。

専門学校の広報PRの具体的手法については、「【オンライン・オフライン別】専門学校の学生募集に有効なPR方法」に詳しく掲載してありますので、参考にしてみてください。

またAIDMAの法則も、インターネットで情報収集する人の心理「AISUS」や、SNS時代のシェアから購入にいたる心理を捉えた「Dual-AISUS」など、時代の変化に対応して発展していますので、興味があれば調べてみてください。

もう一つの大切な視点は「だれにPRするのか?」

広報PRをする際に、大切なことがもう一つあります。

それは「だれにどのような情報を届けるのか」を決めることです。

SNS記事を書いたり、パンフレットやホームページの原稿を書いたり、どの広告媒体を利用するかを選定したりする際にも、「だれにどのような情報を届けるのか」を具体的にすることが基準となります。

伝える内容を考えるのって難しいですよね?

文章を書いたり、広告で伝える内容を決めたりしていく作業は、
答えが決まっているわけではなく、センシティブで複雑であり、とても悩みやすい作業です。

皆さんも、学生に授業内容をどうやって伝えるか、とか、
学校の魅力をどう高校生に伝えるかなど、
伝え方に悩んだことが一度はあるのではないかと思います。

そんなときに「だれか具体的な人」をイメージすると、うまく考えがまとまった経験はありませんか?

この人はこういう考え方で、こういうことを伝えると、こういう反応がある、と想像できると、伝える内容も、伝え方も決定しやすくなります。

こういった具体的なモデルとなる人を「ペルソナ」と呼びます。

ターゲットを具体的にイメージする

5回目の記事でも紹介した「ペルソナ」について、もう一度触れていきます。

ペルソナとは、自分たちのターゲット像を詳細にイメージできるように、モデルを設計していく作業です。

ターゲットがどういう特徴の人で、どういう性格で、どういう家族環境で、どういうニーズを持っていて…など、自校のもっとも多い顧客層をモデル化していきます。

ここで注意してほしいのは、自分たちの理想像を新たに作り出す、のではなくて、自分たちの顧客(専門学校の場合は在校生)の中で、どういう人が多いかを発見していくことが大切、ということです。

どんな希望・ニーズを持って学校へ来ている学生が多いですか?
どんな性格でどんな特徴を持っていますか?

ここをまずイメージしてみてください。

「こんな子が多いな」と代表的な数名を思い起こしてみるとよいと思います。

「目立つ子」「普通の子」「あまり目立たない子」がいると思いますが、それぞれどんなニーズで学校へ来ているのかを想像してみましょう。

明るい、おとなしい、など特徴も様々かと思いますが、性格やニーズの共通点をある程度大雑把でもよいので、多い特徴で分類してみてください。

1パターンではなく、3パターンくらいあるかと思います。

本来は顧客アンケートやデータから分析するのが正しいペルソナ発見のやり方ですが、簡易的なやり方でも充分に機能します。

周囲の先生とも、「あー、こんな子が多いよね!こういうタイプの子もいるよね!」とイメージを共有し合えればOKです。

完成したら、できたモデルに名前を付けてあげるとさらによいでしょう。

ペルソナの使い方は主に二つ

ペルソナの使い方ですが、主にこの二つを覚えておけばよいと思います。

1.情報伝達方法の決定
2.伝える文章内容の決定

1.情報伝達方法の決定

ペルソナが決定すると、行動パターン、普段目にしている媒体、趣味、流行のものなどを推測することができます。

そこから、広告媒体、広告掲出の場所、時間帯、SEOワードの選出など、広告物に関する基準が決まってきます。
まずはペルソナの動線をイメージしてみましょう。

朝起きて、どの道を通って学校に通い、
だれとどんな会話をして、何を見ているのか、
SNSはどう活用しているのか、
どんな内容に興味がわいて、何を見ているのか…などなど。

実際にペルソナに近い在校生に聞いてみるのが一番早いと思います。

そこで得た情報を元に、どこで学校の情報に「注目-Attention」させるか、
そしてどうやって次の段階へ誘導するかなど、広報PR計画をつくります。

若い子にはついていけない、などと思わずにどんどん教えてもらった方が成果に繋がります。

情報は常に新しくなっていきます。
日頃から在校生を巻き込むとよいと思います。

「高校生にアプローチしたいんだけど、今何が流行ってんの?」とか、
「どこに広告出したら高校生の目に留まると思う?」など、
正直に聞いてみると、案外相談に乗ってくれるのではないでしょうか。

餅は餅屋。頼ってみるのも一手です。

2.伝える文章内容の決定

ターゲットに情報を伝えるためには、原稿を作らなければいけません。

これがまたとても難しい仕事ですね。
まずは伝えるべき内容を決定する必要があります。

発信するターゲットと内容を決めないと、原稿は作れません。
「だれに」「何を」伝えたいのかをビシッと決めてしまいましょう。
その際に役立つのがペルソナです。

だれに向けて発信しますか。

「高校生」に? それとも「保護者」に? 「高校の先生」に?
「高校生」ならどんな人物像ですか。

その高校生には、魅力的な教職員をアピールすると反響がありそうですか。
それとも綺麗な校舎をアピールしたほうがよさそうですか。

事前に作ったペルソナに向けて、どんな魅力が響くかを想像してください。

発信情報の明確化

続いて、具体的に伝える情報を決めていきます。
まず文章を作り始める前に、掲載する情報を確定しておく必要があります。

情報には大きく分けて三つの分野があります。

コンセプト情報

何を意図したものかを伝える情報。
「今すぐオープンキャンパスへ!」など、キャッチフレーズやコピー、
デザインで明確に意図を伝えます。

説明情報

内容を理解・把握してもらうための情報。
「ここが魅力!①駅に近い ②授業が本格的 ③新校舎で学べる」といったような、伝えたい魅力を説明するパートです。

告知情報

全体の核となる具体的な情報。
オープンキャンパスであれば日時・会場・タイムスケジュールなど、
入試であれば受験資格・受験料・日時・会場・持ち物などが該当します。
必ず漏れなく記載する必要があります。

「明確になっていない情報はないか?」を常に意識することが重要です。

以前の記事で学校の魅力の発見方法をお知らせしました。
発信する強みや魅力が決まっていない場合は3回目の記事を読み返してみてください。

どのように表現にするか?

掲載する情報は整理できましたか?
それでは次に、「どのように表現にするか」を検討します。

文章を作成する際に、リアルなペルソナ像があると、その人に話しかけるように作れるようになります。

この人に説明するなら、こういう興味を持っているから、こういう角度から伝えたい、とか、
この人だったら、こういうところもきめ細かく説明した方がいいな、とか。

実際のリアルなターゲットをイメージしながら、文章を構成してみてください。
伝えなければいけない情報が、話し言葉で思い浮かぶはずです。

SNS、パンフレット、ホームページなど、皆さんが学校の魅力を伝える場は増えていることでしょう。

その際に、ぜひペルソナをイメージして、その人に話すように心がけた文章を作成してみてください。自由で面白い、イキイキした文章になりますよ。

あとは、表現するには「慣れ」も必要です。
発信する回数を重ねると、「何を伝えるべきか」が明確に分かるようになってきます。

最後に

6回に渡って、学校のブランディングについてお話しさせていただきました。

現代の若者には、あらゆる自由な選択肢が用意されています。
時間、場所にとらわれずに学べる環境であったり、ハイレベルな内容が低価格で学べたり…。

時代は常に変化していくので、その時代にあった対応は必要ですが、いずれにせよ「手法」が新しくなっていくだけです。

大切なのは、「我々の学校は何を大切にしていて何に貢献できるか」というメッセージが内部でまとまっていて、変化の著しいこの時代に、常に動けるチームが作れているかということ。
そして、世間でその学校ならではのブランドが信頼とともに定着しているかどうかです。

その学校「らしさ」というものが明確にまとまっていて、様々な手法で伝えていくことができれば、いつの時代でも「ファン」を生み出すことができると思います。

時代の変化を捉えながら、芯となる「らしさ」を発見し、魅力的なブランドを育てていきましょう。

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この記事を書いた人
関本 大輔

関本 大輔

株式会社アドハウスパブリック代表取締役。
中小企業専門のブランディングカンパニーの代表。
インナー・アウターブランディングの実践経験900件以上に及ぶ。
全国で講演を行い、企業ブランディングのノウハウを伝えている。
ストレングスファインダーの認定コーチでもあり、4,000名以上約200社のチームビルディングを行う。
[アドハウスパブリックHP] https://adhpublic.com/

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