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【特別編 第2回】メンタルヘルス応用編 うつ病と認知行動療法

2022.10.31 記事 教務情報

連載大原先生の学生指導のすゝめ

動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。

本連載の執筆者である大原先生が専務理事を務める「実践行動学研究所」では、セミナー開催時にメンタルヘルスについての講演を実施しています。
この度、その講師である法政大学キャリアデザイン学部教授廣川進様より寄稿していただいた記事を二本連続で掲載いたします。
第2回では、「メンタルヘルス応用編 うつ病と認知行動療法」というタイトルで、うつ病の特性や認知行動療法についてと、お薦め書籍・アプリをご紹介します。
第1回の記事はこちら

うつ病症状早期発見の4つのポイント

まずはメンタルヘルスの基本、うつ病の症状の早期発見の4つのポイントです。

① 意欲ダウン
② 食欲低下・体重減
③ 早朝覚醒
④ 自責感の言動

この4つが揃うようだと、うつ病の入り口にいる可能性もあるため、一度しっかりと置かれている状況や気がかりなことなどを話し合うことが必要です。
場合によってはクリニック受診を勧めたほうがいいこともあります。

以下に詳しい診断基準をあげます。
①か②が〇、さらに〇の合計が5つ以上の場合、うつ病の可能性が高いです。

<抑うつ気分>ほとんど1日中ずっと気分が沈んでいた。
<興味と喜びの喪失>何に対しても興味がわかず、楽しめなかった。
③<食欲・体重増減>食欲の増減、または体重の増減(1ヶ月3キロ以上)が激しかった。
④<睡眠障害>寝付けないとか、夜中や早朝に目が覚めた。
⑤<運動制止・焦燥感>動作や話し方が遅かったり、いらいらしたり、落ち着きがなかった。
⑥<易疲労・気力減退>疲れを感じる、または気力がわかなかった。
⑦<自信・自己評価低下・罪責感>自分には価値が無いとか、申し訳がないと感じていた。
⑧<集中力・決断力・思考力減退>仕事や家事に集中したり、決断したりすることができなかった。          
⑨<自殺への思い>この世から消えてしまいたいと思うことが繰り返しあった。

認知行動療法「考え方の転換」

うつ傾向になりやすい 基本的な特性として、

  • 責任感が強い
  • 完璧主義
  • まじめ、がんばり屋タイプで人に仕事を振りにくい
  • うまくいかないことはすべて自分のせいだと思う傾向が強い

があります。

そんな方々におすすめしたい、「考え方の転換」のヒントを述べます。

1)完璧志向が強く、他者から見たら充分に達成していると思えても、本人は「まだまだ100%でない…」と限りなくがんばろうとしがちです。
「まだまだ」⇒「ほどほどに」 目標に対して7割を超えたら、ひとまず自分でほめるようにする。

2)全か無か思考(All or Nothing)にとらわれやすく少しでも違うと「このやり方は自分のイメージと違うからだめだ」と全否定しがちです。
⇒人生の大半は真っ白でも真っ黒でもなく灰色ゾーンの濃薄の差であることが多い。グレーソーンの曖昧さに耐える図太さを。

3)べき、ねばならぬ思考、「とにかく頑張らねば……」「文句や弱音を吐いてはいけない」という厳しい命令を自分に課していることが多いので
⇒「したい、ほしい」自分の本音、欲望を大事にし、その楽しさを味わう余裕を持てるように、ちょっとした衝動買いとか役立たないけど楽しいことに時間とお金を割いて幸せな気持ちになるといった小さな成功体験を積み重ねる。

上記の「考え方の転換」は認知行動療法の1つの手法ですが、具体的には「非合理的な信念や思い込みを客観的に見つめ直す、修正する」プロセスです。

1)過剰な一般化
1回失敗しただけでも「だからいつも失敗する、だめな私」
⇒本当にいつも失敗している?失敗しなかったときはなかった?そんな人はいないのです。過去を振り返って、何かちょっとしたことでもきちんと成功を成功と認めることが大切です。

2)肯定面の否認
たとえ成功しても「実力ではなくたまたま運がよかっただけ」などと自分の努力や長所による成功を頑なに認めない
⇒自分の長所、強みはちゃんと自覚する。そのためには人からもほめてもらうことが必要です。

3)レッテル貼り(labelling)
何事によらず「どうせおれは~~な人間なんだ」とひがんだりする傾向
⇒簡単に決め付けない、自分について肯定的な面も含めて全体的多角的にみつめるように心がけます。

4)自責、罪責感
「この仕事がうまくいかないのはすべて自分のせいだ」というように物事がうまく進まないときなど、全てを自分のせいにしてくよくよし、自己否定を深めてしまいがち
⇒半分は自分のせいかもしれないが、でも半分は他の要因もあるかもしれない。環境や運のせいにしたっていいのです。

上記のことを分かりやすく「ネガティブな色眼鏡を外してみる」といいます。
参考になる書籍とアプリを以下に紹介します。

本人が自習形式でできるロングセラー、大野裕『こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳』(創元社、2003年)と、
日記機能もついたアプリ、Masanori Kubota「セルフ認知行動療法」です。

▼ウイナレッジ編集部からのお知らせ

本記事を寄稿してくださった法政大学 廣川教授が、「実践行動学Webセミナー」にて基調講演講師として登壇されます。

実践行動学は、学生の夢の実現、目標達成に必要な「心のあり方」と「達成のスキル(技能)」を身につけることを目的とした、動機付け教育プログラムです。
動機付け教育キャリア教育初年次教育の教材をお探しの方、学生のメンタルヘルスにご興味がある方は、ぜひご参加をご検討ください。

実践行動学Webセミナー
・基調講演タイトル:学生のメンタルヘルス =初級・中級編= (法政大学 教授 廣川進様)
・日にち:2022年11月15日(火)
・会場:オンライン会場(Zoom)
・主催:一般社団法人 実践行動学研究所
・参加費:無料
詳細はこちら

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この記事を書いた人
廣川 進

廣川 進

法政大学 キャリアデザイン学部 教授(公認心理師・臨床心理士・文学博士)。
1959年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、株式会社ベネッセホールディングスにて、雑誌編集(『ひよこクラブ』の創刊等)の傍ら、大正大学大学院臨床心理学専攻修士・博士課程を修了。2001年退社後、大正大学心理社会学部臨床心理学科教授を経て現職。

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