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TOP教養その他【情報Ⅰの教科書分析】気になるコンピュータとネットワークは?

【情報Ⅰの教科書分析】気になるコンピュータとネットワークは?

2022.12.05 (最終更新:2024.03.27) その他 教務情報

連載専門学校教職員が知っておきたい高校「情報Ⅰ」

令和4(2022)年4月より高等学校教育に必履修科目として新導入された「情報Ⅰ」。この連載では教科用図書(文部科学省検定済教科書)13冊の分析を通し、「入学生の前提知識がどのくらい変わってくるのか」「各教科書のプログラミング教育のレベル感」など、専門学校の先生方が知っておきたいポイントをご紹介していきます。

令和4(2022)年4月より「情報Ⅰ」が必履修科目として高等学校教育に導入されました。
「情報Ⅰ」を学んだ生徒たちが専門学校に入学してくるのは令和7(2025)年4月。
特に情報処理・IT系の専門学校では、入学生たちが前提として持っている知識がどのくらい変わってくるのか、気になるところではないでしょうか。

この連載では、令和4年に発行された情報Ⅰの教科用図書(文部科学省検定済教科書)13冊を分析し、専門学校の先生方向けに知っておきたいポイントをご紹介します。
第3回は、おもな教科書で扱っているコンピュータとネットワークについて解説します。

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コンピュータとネットワーク

コンピュータとはなにか、ネットワークとはなにかについて、おさらいも含めご紹介します。

コンピュータとは、データの保存と処理に使用される電子機器です。

データの保存:コンピュータは大量のデータを保存するために使用されます。このデータはテキスト、画像、およびビデオの形式です。

データの処理:コンピュータはデータを処理するために使用されます。このデータは、テキスト、画像、およびビデオの形式です。

他のコンピュータとの通信:コンピュータは、他のコンピュータと通信するために使用されます。この通信は、テキスト、画像、およびビデオの形式です。

ネットワークとは、コンピュータ、ノートパソコン、スマートフォン、プリンタ、サーバなど、データやリソースを共有するために互いに接続されたデバイスのグループです。
ネットワークは、家庭やオフィスにあるような小さなものから、インターネットを動かすような大規模なものまで、さまざまな種類があります。
接続形式は、有線のものや無線のものがあります。

教科書で扱っているおもなコンピュータとネットワーク

教科書で扱っているおもなコンピュータとネットワークについての関連用語を簡単に解説します。
高校「情報Ⅰ」で扱う内容の概観が理解できると思います。

■OS
OS(Operating System)とは、コンピュータのハードウェアとソフトウェアの資源を管理し、コンピュータプログラムに共通のサービスを提供するシステムソフトウェアです。携帯電話やゲーム機からウェブサーバやスーパーコンピュータまで、コンピュータを搭載する多くの機器に搭載されています。OSは、CPU(高速演算処理機)、大容量記憶装置、プリンタ、およびその他のリソースへのタスク配分を担っています。Windowsなどの端末の管理や制御を行う基本ソフトウェアであるOSとMicrosoft Wordなどの目的に応じて動作するアプリケーションソフトウェアがあることを理解することが大切です。

■インターフェイス
インターフェイスとは、コンピュータとその周辺機器、またはコンピュータと他のコンピュータとの間の接続のことです。インターフェイスによって、コンピュータは互いに通信し、データやリソースを共有することができます。一般的なインターフェイスの例としては、イーサネット、USB、HDMIなどがあります。

■論理回路
論理回路とは、電気信号を操作して論理演算を行う装置のことをいいます。論理回路では、「0」と「1」という2つの信号を用いて演算や制御を行っています。論理回路はデジタル電子機器の基礎であり、パソコンはもちろんのこと、電子レンジや冷蔵庫などのあらゆるものに使われています。

◎論理積(AND)回路
論理積(AND)回路は、入力信号の論理積である出力信号を生成するデジタル回路です。つまり、入力信号の両方が論理1の場合、出力信号は論理1になります。しかし、入力信号のどちらか一方または両方が論理0の場合、出力信号は論理0になります。

◎論理和(OR)回路
論理和(OR)回路は、入力信号の論理和である出力信号を生成するデジタル回路です。つまり、入力信号のいずれか一方が論理1の場合、出力信号は論理1になります。しかし、入力信号の両方が論理0の場合、出力信号は論理0になります。

◎否定(NOT)回路
否定(NOT)回路は、入力信号を反転した値を出力信号に出力します。つまり、入力が論理1ならば出力は論理0になり、逆に、入力が論理0ならば出力は論理1になります。

■LAN
LAN(Local Area Network)とは、建物内や家庭内などの狭い範囲に張り巡らされたコンピュータ・ネットワークのことです。LANは、インターネットなどの大きなネットワークに接続されている場合もありますが、主な目的は、PC、プリンタ、サーバなどのローカルデバイス間の通信で、一般的なLANは、イーサネットなどの共通の通信プロトコルを持つコンピュータやその他の機器が、ケーブルや無線で接続されたネットワークで構成されています。

■TCP/IP
TCP/IP(Transport Control Protocol/Internet Protocol)とは、インターネットやその他のネットワークで使用される通信プロトコルの集合体です。TCP/IPは、現在最も一般的に使用されているネットワークプロトコルです。インターネット上でのデータのフォーマット、アドレス、送信、ルーティング、受信の方法を定義しています。

■WWW
WWW(World Wide Web)とは、ドキュメントやその他のWebリソースをURLで識別し、ハイパーテキストリンクで相互にリンクし、インターネットを介してアクセスするための情報システムのことです。デスクトップパソコン、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末など、インターネットに接続できる機器であれば、WWWのリソースにアクセスすることが可能です。

■情報セキュリティ
情報セキュリティとは、サイバーセキュリティとも呼ばれ、情報のリスクと脆弱性を軽減することによって電子情報を保護する取り組みのことです。情報リスクには、データへの不正なアクセス、使用、開示、傍受、破壊などが含まれます。データには、企業や個人のユーザの機密情報が含まれますが、これらに限定されるものではありません。

情報リスクと脆弱性は、ハッキング、ソーシャルエンジニアリング、悪意のあるインサイダーなど、さまざまな原因から発生する可能性があります。これらのリスクを軽減するために、組織や個人は、認証・認可管理、データの暗号化、物理的なセキュリティ対策など、さまざまなセキュリティ対策を実施することが重要です。

■暗号化
暗号化とは、読み取り可能なデータを読み取り不可能な形式に変換するプロセスです。通信データを暗号化することにより、個人からの不正アクセス防ぎ、情報を保護することを目的としています。

通信データの暗号化には、様々な方式があります。代表的なものに、共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式があります。共通鍵暗号化は、同じ鍵を使って暗号化と復号化を行う暗号方式です。公開鍵暗号化とは、2つの異なる鍵を用いてデータを暗号化・復号化する暗号方式です。

通信の暗号化は、不正なアクセスから情報を保護するための重要なセキュリティ対策です。保護するデータの種類に応じて、適切な暗号化方式を選択することが重要です。

■コンピュータとネットワークについての問題例
教科書には、コンピュータとネットワークの分野で以下のような計算問題が掲載されています。

◎2進数
例:2進数0011(2)+0101(2)の計算をしなさい。

◎ファイルの転送速度の計算
例:32Mbpsの通信速度で、256MBのデータ量を転送するのにかかる時間を計算しなさい。
このとき、転送効率は100%とし、データ量以外のデータは考えない。

◎ファイルの圧縮率の計算
例:圧縮前のサイズが163KBの文書ファイルを圧縮したところ、圧縮後のサイズが154KBとなった。圧縮率はいくらか。

教科書で扱われている内容の違い

コンピュータとネットワークについて、どの教科書でもほぼ同じくらいの深さの内容を扱っています。
この領域は、とくに、用語の解説とともに、簡単な計算問題の例題が掲載されていますので、高等学校では教科書をもとに基本的な内容を学習していると想定されます。

また、学習指導要領の範囲内での実習なども合わせて実施されていると思われるため、問題解決にコンピュータや外部装置を活用する活動を通して、情報の科学的な見方・考え方を働かせる能力を身につけることを目的としています
また、コンピュータの仕組みとコンピュータでの情報の内部表現などについてのリテラシーもあわせて身につけていると考えられます。

まとめ

今回は、高等学校の「情報Ⅰ」で扱うコンピュータとネットワークの内容について簡単にご紹介しました。
次回は、「情報Ⅰ」の教科書で取り上げられている情報デザインと問題解決について詳しくご紹介します。

***

2023.2.20 追記
連載:専門学校教職員が知っておきたい高校「情報Ⅰ」が完結いたしました。
すべての記事(全5話)はこちらでご覧いただけます。

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この記事を書いた人
真南風文藝工房 代表

真南風文藝工房 代表

ライター・サイエンスコミュニケーター
工学修士(航空宇宙学)
自動車メーカーでの先行開発エンジニアを経験した後、理系教材編集(小中高理科テスト編集・高校数学・中学校理科教科書編集)職に転向。
近年は環境・航空・宇宙・自動車・理科・数学・サイエンスなどを中心に幅広い分野での執筆活動にも取り組んでいる。

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