
漫画は、学生世代にとって身近なエンターテインメントの一つです。
単に物語を楽しむだけではなく、登場人物の生き方や考え方、仲間との関わり方に触れることで、自分自身の価値観や将来について考えるきっかけになることもあります。
特に10代・20代の学生にとって、漫画は友人との会話を広げる身近な話題のひとつでもあります。好きな作品やキャラクターを共有することで、相手の興味関心や考え方を知るきっかけになるケースも少なくありません。
LINEリサーチが実施した「人生に影響を受けた漫画」に関する調査では、幅広い世代から支持される作品が明らかになりました。本記事では、その調査結果のうち10代・20代の回答に注目し、学生世代に影響を与えた漫画や、作品から見える価値観について解説します。
出典:LINEリサーチ「人生に影響を受けた漫画に関する調査」
目次
漫画は学生世代の価値観形成にも影響を与える
漫画には、主人公が困難に立ち向かう姿や、仲間と協力して目標を達成する過程など、人生に通じるさまざまなテーマが描かれています。
学生が作品に魅力を感じる理由は、ストーリーの面白さだけではありません。
例えば、
- 夢や目標に向かって努力する姿
- 失敗から立ち直り成長する姿
- 仲間とのつながりを大切にする姿
- 自分らしい生き方を探す姿
などに共感し、自分自身の経験や将来と重ね合わせていることも考えられます。
また、近年は漫画アプリやSNSの普及により、作品と出会うきっかけも多様化しています。友人からの紹介だけでなく、SNSで話題になった作品を読み始める学生も増えています。
先生方にとっても、学生がどのような作品に興味を持っているのかを知ることは、学生の価値観や関心を理解する手がかりになるでしょう。
学生世代が影響を受けた代表的な漫画
ここからは、LINEリサーチの調査結果のうち、10代・20代の回答で挙げられた代表的な漫画を紹介します。
学生世代から支持される漫画には、単なる娯楽作品というだけではなく、「努力」「挑戦」「仲間とのつながり」「自分らしい生き方」といった、人生やキャリアにも通じるテーマが多く描かれています。
作品を通じて、学生がどのような価値観に共感しているのかを見ていきましょう。
ONE PIECE|夢や目標に向かって挑戦する姿勢に共感
『ONE PIECE』は、主人公モンキー・D・ルフィが「海賊王になる」という夢を掲げ、仲間たちと冒険を続ける物語です。
長年にわたり幅広い世代から支持されている作品ですが、学生世代にも「夢を持つこと」や「仲間」の大切さを伝える漫画として親しまれています。
ルフィは、決してすべての能力に優れた完璧な主人公ではありません。しかし、明確な目標を持ち、困難に直面しても諦めず挑戦し続ける姿が、多くの読者の共感を集めています。
学生生活においても、将来の目標を考えたり、不安や迷いに直面したりする場面があります。夢や目標を持って挑戦し続け、自分の信念を貫く姿勢は、進路選択や就職活動、その後の人生においても支えになるでしょう。
鬼滅の刃|思いやりや他者を理解する姿勢を描いた作品
『鬼滅の刃』は、家族を失った主人公・竈門炭治郎が、大切な人を守るために戦いながら成長していく物語です。
本作が多くの学生世代から支持された理由の一つとして、登場人物の心情が丁寧に描かれている点が挙げられます。
主人公は、敵である鬼に対しても、その背景や苦しみに目を向けようとします。単純に「敵だから悪い」と決めつけるのではなく、相手の立場や事情を理解しようとする姿勢が描かれています。
これは、現代の学生に求められる「多様な価値観を認める力」とも通じる部分があります。
学校生活では、異なる考え方や性格を持つ人と関わる機会が多くあります。相手を理解しようとする姿勢や、周囲への思いやりは、良好な人間関係を築くうえで重要な要素です。
進撃の巨人|多角的な視点や価値観の違いを学べる作品
『進撃の巨人』は、人類と巨人との戦いを描いた作品ですが、単なるバトル漫画ではありません。
物語が進むにつれて、「正義とは何か」「自由とは何か」「誰が正しいのか」といった、簡単には答えを出せないテーマが描かれています。
登場人物は、それぞれ異なる立場や信念を持って行動します。同じ出来事でも、立場が変われば見え方が変わることを考えさせられる作品です。
学生時代は、自分とは異なる考え方や価値観に触れる機会が増えていく時期でもあります。
複数の視点から物事を見る力は、これからの時代を生きる上でますます重要になります。
『進撃の巨人』は、物語を楽しみながら、社会や人間関係について深く考えるきっかけを与えてくれる作品といえるでしょう。
名探偵コナン|観察力や論理的に考える力を育む作品
『名探偵コナン』は、高校生探偵・工藤新一が小学生の姿となり、江戸川コナンとしてさまざまな事件の謎を解決していく推理漫画です。
長年にわたり愛されている作品ですが、学生世代にも高い知名度を誇っています。
本作の魅力は、主人公が直感だけに頼るのではなく、集めた情報を整理し、論理的に推理して真実にたどり着く点にあります。
学生生活においても、課題解決や研究、実習などでは、情報を整理し、明確な根拠をもって判断する力が求められます。
また、表面的な情報だけで判断せず、物事の背景や原因を考えたり、事実を積み重ねる姿勢は、学習だけでなく社会生活でも役立つ力です。
漫画を楽しみながら、自然と考える力を養える点も、本作が長く支持される理由の一つでしょう。
ハイキュー!!|努力や成長、チームで成果を出す大切さを描く作品
『ハイキュー!!』は、バレーボールを題材に、主人公たちの成長やチームづくりを描いたスポーツ漫画です。
主人公の日向翔陽は、身体的なハンディキャップを抱えながらも、自分にできることを考え、努力を重ねながら成長していきます。
本作の魅力は、才能だけで成功するのではなく、努力や工夫、仲間との協力によって成長していく過程にあります。また、それぞれの選手が異なる強みや役割をもち、個性を活かしてチームに貢献する姿も魅力のひとつです。
学生生活では、勉強や資格取得、専門分野の技術習得など、すぐに成果が出ないこともあります。
その中で、自分の強みや課題を明確にし、自分に合った方法で成長していく姿勢は、専門分野を学ぶ学生にとっても重要です。
また、社会に出ると、一人で完結する仕事ばかりではありません。異なる考え方や能力を持つ人と関わりながら、一つの目標に向かうという意識は、将来の仕事にもつながる学びになるでしょう。
『ハイキュー!!』は、努力することや自分の強みを活かしながら他者と協働することの価値を伝える作品といえるでしょう。
漫画から読み解く学生世代の価値観
学生世代が影響を受けた漫画には、単なる娯楽作品としての魅力だけではなく、人生観や人間関係、将来の考え方につながるテーマが多く描かれています。
LINEリサーチの調査で10代・20代の回答に挙げられた作品にも、「努力」「挑戦」「仲間とのつながり」「多様な価値観」「自分らしい生き方」といった、学生世代が共感しやすいテーマが含まれています。
ここでは、学生世代が影響を受けた漫画から見える価値観について解説します。
努力や成長する姿に共感する
学生世代に影響を与えた漫画には、主人公が最初から完璧な存在として描かれている作品ばかりではありません。
『ONE PIECE』では、主人公のルフィが仲間とともに困難を乗り越えながら、夢に向かって成長していきます。
また、『ハイキュー!!』では、主人公の日向翔陽が自分の課題と向き合い、努力や工夫を重ねながら成長していく姿が描かれています。
こうした作品が支持される背景には、「結果だけではなく、成長していく過程にも価値がある」という学生世代の価値観があります。自分自身も成長の途中にいるからこそ、試行錯誤しながら変化していく主人公の姿に共感し、励まされているのではないでしょうか。
学生生活では、資格取得や実習、就職活動など、努力を継続することが求められる場面が多くあります。
そのようなときに、成長の過程そのものに価値を見いだす考え方は、学生が自分の歩みを前向きに捉えるきっかけになるでしょう 。
仲間とのつながりや支え合いを大切にする
学生世代から支持される漫画には、主人公が一人の力だけで成功するのではなく、周囲との関係性の中で成長していく作品が多くあります。
『ハイキュー!!』では、異なる個性を持つ仲間たちが互いの強みを認め合いながら、チームとして成長していきます。
また、『鬼滅の刃』では、家族や仲間を思う気持ち、相手の立場を理解しようとする姿勢が重要なテーマとして描かれています。
学生生活においても、友人や先生、実習先の人など、さまざまな人との関わりの中で成長していきます。
特に専門学校では、実習や制作活動、グループワークなど、周囲と協力して取り組む機会も多くあります。
漫画に描かれる仲間との関係性は、学生が人とのつながりや協力することの大切さを考えるきっかけになります。
多様な価値観を理解し、自分で考える力を養う
近年の学生世代に影響を与えた漫画には、単純な善悪では判断できないテーマを扱った作品もあります。
『進撃の巨人』では、登場人物がそれぞれ異なる立場や信念を持って行動します。
同じ出来事でも、置かれた環境や立場によって捉え方が変わることが描かれており、物事を多角的に考える視点を養うきっかけになります。
また、『名探偵コナン』では、集めた情報を整理し、根拠をもとに推理して答えを導き出していきます。
情報があふれる現代では、与えられた情報をそのまま受け取るのではなく、自分で考え、判断する力が重要です。
漫画を通じて、様々な視点から物事を見ることや、論理的に考えることの大切さを学ぶ学生もいるでしょう。
自分らしい生き方や将来について考える
学生世代は、進路選択や就職活動などを通じて、自分の将来について考える機会が増える時期です。
そのため、登場人物が悩みながらも自分の目標を見つけ、前へ進んでいく姿に共感する学生も少なくありません。
『ONE PIECE』のように夢に向かって挑戦する姿や、『ハイキュー!!』のように自分の強みを活かして成長していく姿は、学生が自身の可能性を考えるきっかけになります。
漫画は直接的な答えを示すものではありません。しかし、登場人物の選択や生き方を通じて、「自分はどのように生きたいのか」「どのような仕事に就きたいのか」を考えるヒントになります。
教員が学生理解に漫画を活用するポイント
漫画を授業で扱う機会は多くないかもしれません。
しかし、学生が親しんでいる作品や、そこから感じ取っている価値観を知ることは、学生の考え方や関心を理解する手がかりとなり、日々のコミュニケーションに役立ちます。
学生との会話のきっかけになる
学生との距離を縮めるためには、共通の話題を持つことが大切です。
例えば、
- 「最近読んでいる漫画はありますか?」
- 「好きなキャラクターはいますか?」
- 「その作品のどんなところに魅力を感じますか?」
といった質問から、自然な会話が生まれることがあります。
好きな作品について話す中で、学生の興味関心や大切にしている価値観を知るきっかけになるでしょう。
学生の考え方を知るヒントになる
同じ漫画を読んでいても、どの部分に魅力を感じるかは人によって異なります。
主人公の努力に共感する学生もいれば、仲間との関係性や作品の世界観に魅力を感じる学生もいます。
好きな漫画やキャラクターについて知ることは、その学生が何を大切にしているのかを理解するヒントになります。
もちろん、漫画だけで学生の価値観を判断することはできません。
しかし、学生を知るためのコミュニケーションの入り口として活用することで、より深い理解につながります。
キャリア教育の題材としても活用できる
漫画には、キャリア教育につながるテーマが数多く含まれています。
例えば、
- 夢や目標を設定すること
- 失敗から学び成長すること
- 仲間と協力して成果を出すこと
- 自分の強みを活かすこと
などです。
学生にとって身近な作品を例にすることで、「働く意味」や「成長すること」について考えるきっかけを作りやすくなります。
まとめ
漫画は、学生世代にとって単なる娯楽ではなく、価値観や考え方に影響を与える身近なコンテンツです。
LINEリサーチの調査で10代・20代の回答に挙げられた作品にも、努力、挑戦、仲間とのつながり、自分らしい生き方といった共通するテーマが見られます。
先生方にとって、学生が好きな漫画や共感するポイントを知ることは、趣味を理解するだけではなく、学生との会話のきっかけを作り、一人ひとりの価値観や興味関心を理解するためのヒントになります。
漫画という身近な存在を入り口に、学生への理解を深めることは、学生との距離を縮め、信頼関係づくりにつながるでしょう。
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宇井 馴次 (うい なれじ)
ウイナレッジ編集部所属のバーチャルヒューマン。
専門学校の先生方の多忙な日常を、お役立ち情報で支える探求者。
私生活では、予測不能な動きを見せる双子の娘に翻弄されるパパ。プロレス観戦でエネルギーをチャージし、毎週金曜日は自分へのご褒美として、スタバのベンティサイズ・フラペチーノを嗜むのがルーティン。
「先生の笑顔が、学生の未来を作る」をモットーに、役立つ情報を発信中。









