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学生が専門学校を退学する理由とは?防止のために先生ができること

2022.10.26 (最終更新:2024.11.11) 全般 教務情報

将来の夢を実現するため専門学校に入学したにもかかわらず、途中で退学してしまう学生がいます。2021年度の退学者は全国で約24,000人でした。なぜ学生は退学を選んでしまったのでしょうか。そこには様々な理由がありました。

本記事では、学生が専門学校を退学する理由を深掘りします。退学によって学生および学校に与える影響、減らすために先生ができることもまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

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専門学校を退学する学生の人数

専門学校を退学した学生の人数は、以下の通りです。

2019年度
(4~3月)
2020年度
(4~3月)
2021年度
(4~3月)
退学者数29,038人24,326人24,056人
退学者数の割合6.69%5.53%5.81%
参考:文部科学省「令和4年度前期の大学等における授業の実施方針等に関する調査

2021年度の退学者数は約24,000人でした。2019年度に比べると5,000人ほど減っていますが、それでも24,000人を超える学生が退学しています。また別の調査結果を確認すると、多くの学生が入学後1年以内に退学の道を選択していることもわかりました。*1

つまり学生にとって、最初の1年間が重要といえるでしょう。

なぜ学生は専門学校を退学してしまうのか?主な理由5つ

専門学校は義務教育と違い、自らの選択で入学します。にもかかわらず、なぜ退学してしまうのでしょうか。主な理由は次の5つです。

  1. 学校生活が合わなかった
  2. 学ぶ意欲を失ってしまった
  3. 他にやりたいことが見つかった
  4. ケガや病気により通学が困難になった
  5. 経済的な理由で通えなくなった

詳しく解説します。

1.学校生活が合わなかった

理由のなかでも多くを占めるのが、学校生活が合わなかった(学校不適応)ことによる退学です。専門学校では全員が同じカリキュラムで授業を受けるケースも多く、人間関係が固定されやすい傾向にあります。

サークルや部活動が活発であれば新しい人間関係も築けますが、すべての専門学校で活発なわけではありません。そのため、同じクラス以外の人と交流する機会も少ないのが現状です。

クラスの雰囲気になじめないと、孤独を感じることもあるでしょう。孤独感が続けば、学校に行くのも楽しく感じられませんよね。そのため「自分には合わない…」と退学を選択してしまうのです。

関連記事:新生活でぼっちに悩む学生が増加中?学校が取り組みたい4つの対策

2.学ぶ意欲を失ってしまった

学校不適応と同様に、学ぶ意欲を失ったことによる退学も多いです。入学当初はやる気に満ち溢れていても、いざ学び始めたら想像以上に難しく、ついていけないと感じる学生もいるようです。

そうなると、学びに対するモチベーションが低下してしまうでしょう。また、アルバイトや友人との遊びに夢中になるあまり、学習意欲が低下して退学を選択する学生もいます。

3.他にやりたいことが見つかった

退学を選択する学生すべてが、ネガティブな理由で退学するわけではありません。学校生活を通して、初めてわかることもあります。「本当に学びたい分野は別だった」「起業に専念したい」「打ち込みたい仕事が見つかった」と、別の進路を見出して退学を選択する学生もいます。

明確な目標を持っての退学であれば、先生側が心配することはないでしょう。前向きに受け止め、全力で応援してあげてください。

4.ケガや病気により通学が困難になった

不慮のケガや病気で通学が困難になり、退学を選択する学生もいます。近年では新型コロナウイルスによる影響で、精神に支障をきたす学生も増えました。授業がリモートになり、人間関係の構築が思うようにできないことからの孤独感によるものが大きいようです。

5.経済的理由で通えなくなった

親の収入低下、在学中の学生本人の結婚などによって学費の支払いが困難になり、退学する学生もいます。専門学校の学費は、決して安い金額ではありません。あらかじめ費用を想定して入学しても、予想外の出費によって支払いができなくなる家庭もあります。

また2020年は新型コロナウイルスの影響で思うようにアルバイトができず、学生自身で学費を稼ぐことも難しくなってしまうケースが多く見られました。

退学が学生および学校に与える影響

退学を選択することは悪いことばかりではありません。しかし深く考えずに決断すると、学生が後悔する恐れもあります。また、学校側に影響がおよぶ可能性も。どのような影響が考えられるのか、学生側と学校側の両方から解説します。

学生が受ける影響

学生が受ける主な影響は、次の3つです。「退学しなければよかった…」と後悔しないように、先生側のサポートが必要となるでしょう。

  • 最終学歴が「高卒」になる
  • 空白期間が生まれる
  • 面接時に退学理由を聞かれる可能性がある

詳しく解説します。

最終学歴が「高卒」になる

専門学校を途中で退学した場合、最終学歴は「高卒」です。この場合、就職活動をする際に「大卒以上」「新卒者向け」と記載されている求人への応募資格がないため、選択肢が少なくなってしまうでしょう。

同じ企業でも、学歴によって選択できる職種が異なるケースもあります。学歴がすべてではありませんが、キャリア形成に影響を及ぼす可能性があることは、留意しておかなければなりません。

空白期間が生まれる

後先考えずに退学した場合、次の進路が決まるまで何もしない期間が生まれやすくなります。空白の期間自体は悪いことではありません。しかし、退学後「在学中に退学後のことを考えておけばよかった」と後悔する学生もいます。

また就職活動の際、面接で「空白期間は何をしていたの?」と問われる可能性も。嘘はいけませんが、面接官が納得する説明を準備しておく必要があるでしょう。

例えば期間中にアルバイトをしていた場合は、その経験を通してどのようなことを学んだのかアピールできると好印象を与えやすくなります。

面接時に退学理由を聞かれる可能性がある

面接時、頻繁に聞かれる質問が「退学理由」です。決断したきっかけを前向きなものとして伝えられれば、好意的に受け取ってもらえることもあるでしょう。

しかし「合わなかったからやめた」「勉強についていけずにやめた」などネガティブな理由は、多くの場合マイナス評価となります。そのため、面接官からの質問にどのように回答すればよいか困ってしまうかもしれません。

「在学中にIT業界に関心を抱き、実務経験を通したスキル向上を目指すために退学を選んだ」など、前向きな理由を答えられるようにしておくとよいですね。経済的な理由や、自身のケガや病気による退学の場合は事実を説明しましょう。併せて今後には支障がないことを伝えると好印象です。

学校が受ける影響

退学による影響を受けるのは、学生だけではありません。学校側にも影響があります。考えられる主な影響は2つです。

  • 見込んでいた授業料がなくなる
  • 先生の評価が下がる

それぞれ解説します。

見込んでいた授業料がなくなる

学生が退学すると、見込んでいた授業料が減ってしまいます。学科にもよりますが、1年目の学費の平均額は約107.6万円です。*2

仮に2年目も同様の授業料がかかるとしましょう。もし1年目で5人の学生が退学した場合、翌年に想定していた授業料、約540万円が入らない計算になります。これは学校側にとって大きな損失といえるでしょう。

先生の評価が下がる

理由にもよりますが、先生の評価が下がる可能性もあります。担当クラスから複数の退学者が出た場合は、先生に問題があると言われてしまうことも。そうなれば人事や昇給にも影響が出るかもしれません。

評価ばかりを気にしながら学生と接するのは問題外ですが、ネガティブな理由からの退学を避けられるよう、学生をサポートしていきたいところですね。

専門学校の退学を減らすために先生ができること

退学を減らすためには、まず学生の考えや行動を理解することが大切です。ここでは日常生活で先生ができる3つのことを解説します。

  • 学生の話に耳を傾ける
  • 学生の異変に気付いたら話しかけてみる
  • 先生同士で連携する

意識することで、学生に退学以外の選択肢を与えられるかもしれません。詳しく解説します。

学生の話に耳を傾ける

先生は授業の資料作りやテスト問題の作成など、やることが重なり忙しいかもしれません。もちろんクオリティの高い授業も大切ですが、一番大切なのは学生の声です。

関係を築くためにもなるべく、学生の話には耳を傾けるようにしましょう。何気ない会話の中に本音が隠れていることもあります。「授業についていけなーい」「最近うまくいかないんだよねー」と先生の前で笑いながら話していても、それは学生のSOSかもしれませんよ。

学生の異変に気付いたら話しかけてみる

授業をしている時、学生に対して違和感を覚えたことはありませんか?「普段は積極的に発言するのに今日は静かだった」「いつもの友達と一緒にいない」など、小さなひっかかりを感じたら先生から話しかけてみることも大切です。

心を開いていない最初のうちは、何でもないフリをするかもしれません。それでも気にかけていることが伝われば、心を開いて話してくれることもあるでしょう。そうなれば一緒に退学以外の解決策を探すことができます。

先生同士で連携する

一人の力だけでは、すべての学生を理解することは難しいでしょう。先生同士の連携も大切です。「今日は学生同士でこんな出来事があった」「学生Aの様子がいつもと違った」など、先生同士で学生の情報を共有し、改善点について話し合うことで適切な対応方法を見つけやすくなります。学校全体で学生をサポートできるような環境を整えていきましょう。

専門学校を退学した学生のその後は?

先生が懸命にサポートしても、退学を選択する学生はいます。その後に選ぶ進路や思いは、学生によってさまざま。ここでは、選ばれる傾向の多い退学後の進路を3つ解説します。

  • 正社員になるために就職活動
  • 他校入学や資格取得のための勉強
  • 特に何もせず退学を後悔

具体的にみていきましょう。

正社員になるために就職活動

独立行政法人 労働政策研究・研修機構のデータを見てみると、退学後は就職準備をしている学生が多いようです。*3

授業料の支払いが困難になったなど、経済的な事情による退学者も多くいます。この場合、引き留めることは難しいでしょう。専門学校の先生としては、できる限り学生の就職活動がスムーズに進むように、面接方法やエントリーシートの書き方などを指導してあげるとよいのではないでしょうか。

ただし、どんなに頑張ってもすぐに就職が決まるとは限らず、生活費をアルバイトで賄いながら就職活動をしているケースも。アルバイト先で、そのまま正社員として登用されて働く学生もいます。

*3 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.138 大学等中退者の就労と意識に関する研究

SNSでも就活をしているコメントが何件も見られました。

専門中退してはや1年半、ガソリンスタンドでアルバイトしながら就活してる

実は、、専門中退して就職活動してて、就職決まって明日初出勤なんですよ

他校入学や資格取得のための勉強

他校への入学や、資格取得の勉強を目的として退学している学生も多いようです。この場合、一度は専門学校へ入学したものの「自分には合わなかった」「他に学びたい分野ができた」ことを理由に退学しているケースが多いと考えられます。

「合わなかった」ことによる退学の場合、授業内容の他にクラスになじめなかったなど、人間関係による理由もあるでしょう。このような理由から退学を申し出た場合は、学生が後悔しないように先生としてできることがないか、話し合うことが重要です。

また、人間関係の改善方法について先生一人だけではなく、学校全体としてできることはないか、積極的に学生をサポートする体制を築き上げることも大切でしょう。

特に何もせず退学を後悔

先のことを特に何も考えず退学を選ぶ学生もいます。しかし、一時的なモチベーション低下による「なんとなく」の退学は、後悔するケースが多いようです。

退学の理由を聞いても明確な理由がなかった場合、その後の進路をよく考えるよう指導することが、学生の将来のためにも必要でしょう。「退学して何がしたいのか」「いま退学して後悔はないのか」など問いかけてみてください。

また過去に退学で後悔した学生の例があれば、エピソードを話すのも一つの方法です。「やっぱり退学をやめた」と思い留まらせることができるかもしれません。

専門学校中退した事
5年経った今でも後悔してる

というコメントがSNSでも見られました。

学生の理解に役立つツール「サカセルラボ」とは?

学生の本音は目に見えるものではありません。行動や発言から読み取れることもありますが、すべての学生を細かく観察し、悩みや特性を理解するのは現実的に難しいのではないでしょうか。そこで学生の理解に役立つのが「サカセルラボ」。

定点検査と継続検査のふたつの検査により、学生の状況を継続して測定。退学危険度が高まったと判定された学生をアラートで即時お知らせし、リスクを早期に解決することができます。

学生の現在のモチベーションレベルや、指導のためのアドバイスもわかりやすく記載されているので、退学防止の対応策を考える際に役立つでしょう。詳細は以下よりご覧ください。

サカセルラボ | 退学抑止や学生対応の負担軽減をお手伝いするツール

まとめ

学生が専門学校を退学する理由や、考えられる影響を解説しました。前向きな理由の退学であれば問題ないでしょう。しかし、後先考えない状態での退学は、学生だけでなく学校にも良い影響をもたらしません。そのような退学を減らすためには、学生を理解する必要があります。

日頃から話に耳を傾ける、積極的に関わるなどして学生理解に努めましょう。先生同士の連携も大切です。とはいえ、すべての学生を一度に理解するのは難しいですよね。

そこで活用してほしいのが「サカセルラボ」です。アンケート形式になっており、学生が質問に回答するだけで学生の特性や悩みが見える化できます。指導のアドバイスも記載されており、学生との関わり方のヒントが得られるようになっているので、ぜひご活用ください。

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