
近年、小中学校で導入が進む「チーム担任制」。
従来の「1学級=1担任」ではなく、1つのクラスを複数名の教員が分担やローテーションで担当する仕組みです。
教員の専門性を活かしながら授業や生活指導を分担できるため、
・個別支援の質向上
・学生への多面的なアプローチ
・教員の負担軽減
・働き方改革の推進
など、多くのメリットが注目されています。
今回は、そんな「チーム担任制」を取り入れることで、学生にも教員にもプラスの効果が見られる「学校法人KBC学園 エルケア医療保育専門学校」の山越先生、花城先生、喜屋武先生、そして学生のみなさんからお話を伺いました。

学校法人KBC学園 エルケア医療保育専門学校
教務部3課 課長
山越優毅さん
専門学校卒業後、医療事務として介護老人保健施設併設のクリニックに勤務。その後、母校であるKBC学園へ入職し、現在28年目。学科運営、担任業務、就職支援、広報業務、授業(調剤事務、デンタル・アテンダント、ケア・コミュニケーションなど)と幅広い業務を担当している。

学校法人KBC学園 エルケア医療保育専門学校
教務部3課 主任
花城奈美子さん
KBC学園在職23年目。昨年度、本部よりエルケア医療保育専門学校へ異動。担任業務と外部講座を兼任し、秘書検定、接遇、就職実務、就職支援などの授業を担当する。

学校法人KBC学園 エルケア医療保育専門学校
教務部3課
喜屋武慶子さん
専門学校教務職、福祉関連業務、キャリアセンターでの経験を重ね、これまでに専門学校3校での勤務経験を持つ。KBC学園での在職は20年。医療事務系科目を中心に担当し、就職支援や行事運営にも携わる。
目次
「学生が成長しやすい環境づくり」が出発点
―――「チーム担任制」を導入した背景について教えてください。
山越先生:教員3名で4クラスを運営する方法を考えたことがきっかけです。苦肉の策ではなく、学生が相談内容や悩みに応じて教員を選べる環境のほうがより成長につながるのではないかという考えから、チーム担任制の導入を決めました。
喜屋武先生:担任が1人で問題を抱え込まず、複数の教員で学生をサポートするための取り組みとして、2024年4月からスタートしました。
花城先生:私が学園本部から異動してくる前から本校では取り組みが始まっていましたが、当初よりもさらに共有体制が強まり、学生のために良い環境づくりができていると感じています。

―――具体的にはどのように運用しているのでしょうか?
山越先生:朝のショートホームルームに、日替わりでチーム担任の教員が入り、4クラスすべての学生の状況を把握できるようにしています。
花城先生:学生には常に「3人が担任なのだから、3人のうちの誰でもいいから相談するように!」と呼びかけています。さらに、学生から相談を受けた内容はチーム内ですぐに共有して、問題意識を統一しています。
喜屋武先生:学生の様子や気になる点については、些細なことであっても情報共有します。私が授業を担当していないクラスもありますが、朝のショートホームルームで学生と顔を合わせるため、コミュニケーションも問題ないと感じています。
学生は学びやすく、教員は働きやすく――さまざまなメリット
―――「チーム担任制」を始めてからの成果について教えてください。
喜屋武先生:以前は、基本的に担任1人がクラスの学生対応を担っており、担任と学生の相性が良くない場合に学生が相談しづらいという課題がありました。チーム担任制にしてからは、学生が相談する教員を選べるようになったことで、いい雰囲気が生まれています。いつも同じ教員ではなく、学生が内容に応じて「話しやすい」を思う教員に相談できるのは大きなメリットだと感じます。
山越先生:こういったプラス要素の積み重ねの影響なのか、出席状況の改善が見られます。また、金曜日は「自主学習日」として時間割を組んでいないのですが、最近では学生達が自発的に集まり、学習する時間が増えています。
―――教員側にはどのような変化がありましたか?
山越先生:教員が高校や企業向け外部講座、職業講話などで外出する際も「担任が不在」という状況にならず、学生をサポートしやすくなりました。また、家庭の都合や体調不良などで教員が休む際も、チーム担任制ならフォローしやすいため、”お互い様”という感覚がより強まり、働きやすい職場づくりに繋がっています。
花城先生:以前は、上司へ共有しつつも、実質的に担任1人で問題対応をせざるを得ない状況がありました。「すべては学生の成長のため」と頑張ることは当然ですが、チーム担任制のおかげで教員が抱えるプレッシャーが軽減されていると感じます。
喜屋武先生:学生指導の際に、チームでどのように対応した方が良いか話し合うため、多角的な視点を持つ力が養われています。自分自身の対応力が向上し、精神的な負担も軽減していると感じます。

―――学生や保護者の反応はいかがでしょうか?
山越先生:入学前に「誰が担任ですか?」と質問を受けることがありますが、「みんなで担任するよ」と伝えると、最初は戸惑っている様子もあります(笑)。
保護者の方にとっては、電話で指名した担任が不在でもほかの教員が対応できるため、何度も連絡する必要がなく、スムーズになっているのでないかと思います。
花城先生:航空業界出身の私が医療・医薬品のクラス担任を受け持つことに対して、当初は学生に申し訳ないという気持ちがありました。しかし、チーム担任制のおかげで、教員それぞれの専門性や得意分野を活かして、学生の希望に沿うことができていると感じます。不満の声は今のところ聞いたことはありません。
喜屋武先生:学生にとっては、教員が1人不在でも、ほかに相談できる人が常にいることに安心感があるようです。担任チーム内で学生の情報を共有しているため、「誰に聞いてもスムーズに進む」という声も多いです。
また、高校生にチーム担任制を説明した際にも、「相談できる大人が多いのは良い」と好意的に受け止めてもらえている印象があります。保護者の方にも安心していただけているのではないかと思います。
実践の鍵は“密なコミュニケーション”
―――今後の課題がありましたら教えてください。
山越先生:現状は経験値の高い教員3名でチームを組んでいるため問題ありませんが、今後、新任の教員が加わるといった場合には、教員間の意識レベルをどうそろえるかが課題になり得ます。ただ、学生側にとっては、さまざまな視点を持つ教員がチーム担任にいること自体がメリットになると思うので、主に教員側の課題だと捉えています。
花城先生:現状はチームでコミュニケーションが十分にとれているため問題ありませんが、共有の時間をしっかり確保できないと、チーム担任制はうまく機能しないと思います。また、事務的な作業の分担を明確にして、負担が偏らないようにする必要もあると思います。
喜屋武先生:次年度からグループ校である「国際電子ビジネス専門学校」に統合されます。新しい環境になりますが、引き続きチーム担任として学生をサポートするために、報連相を密に行い、連携を図るための取り組みを考えていきたいです。

学生から見た「チーム担任制」とは
現在、エルケア医療保育専門学校に通う学生にもお話を伺いました。
―――チーム担任制の感想を教えてください。
赤嶺麻織さん(医療ビジネス科2年):先生にとっても私たちにとっても、「チーム担任制」は初めての試みですが、小・中・高校・専門学校と過ごしてきた中で、今が一番良い環境で勉強や就職活動に励めています。どの先生とも同じ距離感で接することができ、同じように相談できます。3人の先生からさまざまな意見や考え方を吸収でき、チーム担任制になってからより多くの学びがあると感じます。
鎌田あおいさん(医薬品スペシャリスト科2年):1人の考えだけでなく、複数の先生から意見を聞くことができるのでありがたいです。進路や学校生活にまつわるデリケートな相談も、話しやすい先生や詳しい先生を自分で選ぶことができます。また、先生方も話をすぐに共有してくれますし、「常に先生が誰かしらいてくれる」という安心感があります。
金城知萌さん(医療ビジネス科 総合事務コース1年):担任の先生が1人よりも3人のほうがサポートしてもらえていると感じます。相談したいときに必ず誰かがいてくれるので、いつでも話ができる環境です。
最後に……
「チーム担任制」を導入したことにより、学生側は安心して学べる環境が整い、教員側は多面的に学生を支援できるようになり、働きやすさが向上していることが分かりました。
学生が多くのことを吸収し、自身の成長を実感できている様子が印象的でした。
この記事が、学生支援体制の強化や教員の働き方に課題を抱える学校現場にとって、参考となれば幸いです。
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