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TOP学生の学習意欲の差や多様なパーソナリティにどう向き合うのか

学生の学習意欲の差や多様なパーソナリティにどう向き合うのか

2024.11.19 (最終更新:2024.12.16)

専門学校には、多様な背景や価値観を持った学生が集まります。入学前までの学習環境や興味関心の違いはもちろん、人間関係の築き方やコミュニケーションの取り方にも個人差があります。

こうしたそれぞれの個性に向き合いながら、どのように学生一人ひとりに適した向き合い方をしていくかが、専門学校教員に求められる課題です

クラス担任制を採ることがほとんどであり、学生一人ひとりに寄り添う指導を行う専門学校ならではの課題について、いくつかのポイントを挙げて考えてみます。

専門学校入学前までの学習環境や学習に対する考え方の違い

学生の背景は非常に多様です。専門学校に入学する前までの学習環境や、学習に対する考え方も異なります。
例えば、以下のようなタイプの学生がいると考えられます。

・毎日家庭で学習をする習慣がある
・家庭での学習習慣そのものが無い
・小学校の途中で学習についていけなくなり、そのままになっている
・読めない漢字をわからないままにして、本を読むときに読み飛ばす
・わからないことを恥ずかしいことと捉え、聞くことができない
・わからないことはネットで調べればなんとかなると思っている
・困ったら生成AIに助けてもらおうと思っている

積極的に学びたいという意欲を持っている学生もいれば、これまでの学習経験の中で学びに対して関心や意欲を持てなかった学生もいます。この違いを無視して一律に指導するのではなく、学生一人ひとりの状況に応じて柔軟に対応する必要があるでしょう。

私は、まず学生のこれまでの学習経験について話を聞くことを大切にしています。これは入学後の早いタイミングで行うことがポイントです。

どんな環境で学んできたのか、得意な科目や苦手な科目、学習に対する姿勢などを把握することで、その学生にとって最適な指導方法を模索することができます。学生自身にとっても得意なこと、苦手なこと、できること、できないことを明確に把握することに繋がります

その学生が得意なことやできることに重点的に取り組み、できることを増やしていく指導が効果的です。
小学校の学習で止まっている場合は、復習をするなどの指導をしてもよいでしょう。これは、専門学校での授業を理解するうえでも必要になりますし、就職活動の筆記試験や社会人生活においても良い効果をもたらします。

在学中に少しでも知識の幅が広がることが、学生にとって将来の幸せに繋がります。

専門学校での学習に対する興味関心の差

専門学校で学ぶ内容に強い興味を持つ学生もいれば、特に関心を持たない学生もいるでしょう。
この興味関心があるかどうかは、学習意欲や授業への参加姿勢に大きく影響します。興味を持たない学生に対しては、その関心を引き出すための工夫が求められます。

私は、学生が「自分でもできそう」、「これは自分にとって必要な知識だ」と感じられるような動機づけに力をいれています。

良い成績をとることも大事ですが、まずは最低限の課題はクリアできたという経験を積み上げていくことで、学生に自信がつき、興味が強まることが期待できます。

それでも学習に興味が持てない学生に対しては、「安心できる居場所を提供する」ことを心がけています。

学生生活は、授業だけが全てではありません。
文化祭・スポーツ大会などの学校行事やアルバイト、就職活動など様々なことを経験します。その中で、最低限できることに取り組むことで自然と成長していくものであること、「学校はあなたの居場所である」と伝えることで安心してもらいましょう。

多様な学生との向き合い方

専門学校に入学してくる学生の中には、以下のようなタイプの学生もいるかもしれません。

・人前で話すことができない
・相手の気持を汲み取れず、心無いことを言ってしまう
・場の空気を読まずに行動する
・どんなときも他責思考になる
・授業中の課題もすぐに飽きてしまう
・些細なことですぐにキレてしまう
・自分自身を過大評価してしまう
・先生の揚げ足をとる
・クラスの調和を乱す
・学んでいる学生の足を引っ張る

長い間、専門学校の教員をしているとたまにこのような学生に出会うことがあります。

人前で話すことができない学生に関しては、過去の経験が影響して話せなくなっていることが多々ありますので、場合によっては、高校の担任の先生に確認を取ることもあります。無理に話すようにすることは厳禁です。安心して学校に居ることができる環境を整えることが最優先になります。

それ以外のタイプの多くは、学生自身の幼さが影響していることもあれば、発達障害のグレーゾーンと呼ばれる学生になる可能性があります。

私の経験では、このような場合は教員一人の力で解決することは困難だと考えています。無理に学生を変えようとすることは学生も教員も双方が疲弊するか、学生が離反してしまう可能性があるでしょう。そのため、このような場合には、教員が一人で抱え込まずに、先輩や上司に相談し、その協力も得ながら対処することが良い方向にもっていくポイントになると思います。

それ以外のタイプの学生に対して教員ができることは、問題行動について指導するというよりは、客観的に事実を伝えることです。

また、クラスメイトから指摘を受けることで、一時的にではありますが効果がでることもあります。他の学生が不安にならないよう配慮し、特定の学生だけでなくすべての学生が安心して過ごせる場所となれるように注力しましょう。

まとめ

学生一人ひとりに向き合うことは、教育現場で重要なテーマの一つです。

それぞれ異なる背景や興味関心を持つ学生に対して、どのように柔軟に対応するかが教員の役割となります。学習に対する考え方や関心の違い、そして多様性を考慮しながら、学生が成長・安心できる環境を整えることが求められます。教員は無理をせずに、他の教員や上司の協力を得ながらできる範囲で学生と向き合うようにしましょう。

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この記事を書いた人
伊沢 剛

伊沢 剛

有限会社プチフール代表取締役
23年間、専門学校にてIT教育、学生募集に従事。その後独立。新人社員向けプログラミング研修、社会人向けDX,AI,クラウド研修、情報教育コンサルティング、DX推進支援に携わる。
Youtubeチャンネル:【IT・プログラミングLab】伊沢 剛

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