
連載専門学校の先生のお仕事ライフハック
全国の専門学校の先生にインタビュー!先生の「お仕事ライフハック」=働くうえでの仕事術やアイデアを共有してもらいます。同じ職業だからこそ分かるお悩みやテクニックを参考に、明日からのお仕事ライフをアップデートしちゃいましょう!
学生との信頼関係づくりに難しさを感じる先生は少なくないのではないでしょうか。価値観やコミュニケーションの取り方が多様化する中で、「どう接したら心を開いてもらえるのか」と悩む機会もあるでしょう。
今回は、ウエディングプランナーとしてお客様の本質を引き出し、希望を叶えることを大切にしてきた経験を活かして、密なコミュニケーションで学生のやる気を引き出している古田千晶先生にお話を伺いました。
目次
先生プロフィール

wish国際ホテル・ブライダル専門学校
古田千晶 先生
専門学校卒業後、飲食店勤務を経て、ウエディングプランナーとして多くの結婚式を担当する。親友の結婚式をプロデュースするという夢を叶えた後、母校の教員へ転身。現在は学生が本物の結婚式を手掛ける「リアルウエディング」など、実践的な教育に力を入れている。
経歴 ・先生になった理由
「人の幸せに関わる仕事がしたい」が原動力
学生にもよく話すのですが、私にはもともと「夢」がありませんでした。親から、「そんな気持ちで大学へ行くより、目的を持って専門学校へ進んでほしい」と言われ、いろいろな専門学校のオープンキャンパスに行ったんですが、しっくりくる仕事が見つけられなくて。
そんなときに、いとこの結婚式へ参列しました。もともと、「人の幸せに関わる仕事がしたい」という気持ちはずっと持っていたので、「これだ!」と思い立ち、wishへ入学しました。
卒業後は、「東京タワーで結婚式を挙げたい」という親友の夢がきっかけで、東京タワーの目の前にある結婚式場を運営している会社へ就職しました。その会社は飲食事業もやっていたので、最初の2年間は居酒屋勤務となりました。正直、かなり大変でしたが、「いつか親友の結婚式を担当したい」という目標があったので頑張れました。結果的に、その2年間で社会人としても、人としてもすごく鍛えられたと思っています。3年目で異動となり、ウエディングプランナーとして6年ほど働きました。
そして、目標だった「親友の結婚式」を担当できたタイミングで、ちょうどコロナ禍が始まり、結婚式が全て延期になりました。同じ時期に親族の体調不良も重なり、新潟へ帰る決断をしました。ただ、会社が大好きだったので、「別の場所でプランナーをする」というのが自分の中でしっくりこなくて。悩んでいたときに、偶然、母校の先生から声を掛けていただきました。もともと後輩教育を担当していて、自分が関わったスタッフが成長して活躍する姿を見るのがすごくうれしかったこともあり、「先生って天職なんじゃない?」と思いました(笑)。
延期になっていた結婚式を最後までやり遂げたかったので、全て担当し終わってから母校へ戻りました。そこから教員になり、今年で5年目です。
現在の業務
ブライダル分野全般を担当
プランナーの業務内容や大切にするべきことを教える「プランナースタンダード」という授業や、「そもそも働くとは?」といったことを教える「ワーキングリサーチ」、実際の結婚式を学生がプロデュースする「イベントプロデュース」など、ウエディング関連の授業全般を担当しています。
また、2年生の担任や学年主任、オープンキャンパスのスタッフ指導など、幅広く任せていただいています。
やりがい・おもしろさ
新しいことを形にできる喜び
入職したときに、「最近まで現場にいた経験を活かして、どんどん新しいことを取り入れてほしい」と言っていただけたこともあり、新たな取り組みを考えて実行できることが楽しいです。
例えば、「そもそも働くとは?」ということを学生に考えてもらう授業を立ち上げたり、授業で使用するドレスが置いてあったドレスルームをドレスショップと同じようなレイアウトに変更したり…。
最初から信じていろいろなことを任せていただけて、本当にありがたいです。プレッシャーや責任はもちろんありますが、それがやりがいとなっています。
また、学生たちが本当にかわいくて。いつも「すごい!」「すてき!」と、たくさん言ってくれるんですよね。毎日、学生たちに自己肯定感を上げてもらっています(笑)。

達成感を得た経験
「絶対に落ちられない!」で合格率100%
昨年、国家資格「3級ブライダルコーディネート技能検定」の合格率100%を達成しました。「一人でも落ちたら全員でオン眉、全員合格したらアイスあげます!」と冗談で言っていたら、学生みんな「絶対に落ちられない!」と言って頑張ってくれました。無事に全員合格してくれてうれしかったです。
また「イベントプロデュース」という授業で行う「リアルウエディング」は、学生が本物の結婚式をプロデュースする大切なイベントです。結婚式は、新郎新婦にとって一度きりの大切な一日。それをプロデュースさせてもらうのだから、学生だからといって絶対に失敗は許されない。2年生の春から半年かけて準備を進めるんですが、学生にとっては高すぎるハードルもあります。私も本気なので、厳しいことをたくさん言います。「ちょっと言い過ぎたかな…」と思う日もあります。それでも学生はくじけずについてきてくれるんです。そして、やり遂げたときに、「本当にやってよかった!」と言ってくれる。
プランナー時代は、新郎新婦様から直接感謝されることがやりがいだったんですが、教える立場になって、お客様から感謝されて涙している学生たちを見ることに幸せを感じます。これは先生にならないと味わえなかった特別な感情です。大好きな「結婚式」を通じて、違った感動を得られるのは、すごくありがたいなと思います。
お仕事ライフハック
90分間飽きさせないためのさまざまな工夫
授業では「90分間学生を寝させないこと」を目標にしています。私が話すよりも学生が考える時間を多くとり、「そもそも結婚式を挙げたいと思う?」など、学生が学習内容を「自分事」として考えられるような伝え方を意識しています。
また、突然ラジオ体操し始める、なんてことも(笑)。座学中にちょっと眠そうな感じがしたら音楽をかけて「はい!立って!」とラジオ体操。
飽きが見えてきたときには、「何が知りたい?」と急に学生に質問することもあります。「彼氏の作り方!」と言われたときには、本当にそういう授業をやったこともあります(笑)。
メリハリを大切にして、「授業って楽しいな」と思ってもらえたらうれしいです。
学生とのコミュニケーション
たくさんの「雑談」から本質にたどり着く
プランナー時代からずっと大事にしていることが「雑談」です。
例えば、新婦さんに「いつもリンゴジュースを飲みますよね?」と聞いたときに、「青森のおじいちゃんが毎回生絞りジュースを作ってくれていたから好きなんです」という話が出てくるとします。すると、新婦さんから「結婚式でリンゴジュースを出したいです」と言われたときに、「普通のリンゴジュースじゃなくて、おじいちゃんの生絞りリンゴジュースじゃないとですね!」という提案ができますよね。
こういう話って、結婚式の通常の打ち合わせの流れだけではなかなか出てこないんです。何気ない雑談を通してお客様の本質にたどり着けるよう常に心がけていたので、教員になった今も、そこは変わらないです。
あと、相手に心を開いてもらうために、「自己開示する」ということも心がけています。「この話があなたの人生のいつかどこかで役に立つ日が来ることを願って話すね」って(笑)。学生から聞かれて答えないことはないですし、はぐらかすこともしないです。勉強や仕事のことだけでなく、「ちょっと先の人生を知っている先輩」として、必要なことを伝えられたらいいなと思っています。
そうしていると、学生も自分のことをたくさん話してくれるんですよね。その中で、「今この子が求めているのはここだな」と気付くことができるので、それを授業に落とし込んでいます。
学生の相談を受けることもすごく多いです。基本的に話すのも聞くのも好きなので、放課後に2時間、3時間と相談に付き合うことがあります。
マイポリシーとして、「卒業するまでは先生と学生」という線引きを大事にして、卒業したら友達、人生の先輩になろうと思っていて。卒業してすぐの4月、 5月は卒業生から毎日連絡が来て、悩み相談に乗っています。一緒にご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりと、卒業後もすごくいい関係が続いています。

ワークライフバランス
「人生」=「仕事」で日々充実
今の時代の考え方には合わないかもしれないですが、もし人生で一つしか選べないなら、私は仕事を選ぶタイプです。四六時中仕事のことを考えていたい。もちろん定時に帰宅することもありますし、プライベートの時間はしっかりとれていますが、そもそも仕事と人生を切り分けて考えていないんです。
休みの日でも「これ学生に教えたら絶対喜ぶな」「こういう接客いいな、月曜日の授業で言おう」と、なんでも学生につなげて考えます。「この間聞いた悩み、これで解決できるな」と思ったら、すぐに明日のタスクに「〇〇にこれを言う」と入れる。
こんな感じで「ワークライフバランス」は全く意識していないですが、毎日とても充実しています。
学校の自慢
学生のうちから「本物」を経験する一大イベント

「イベントプロデュース」の授業内で行う「リアルウエディング」は、本校が開校してすぐに始まった、学校をあげての一大イベントです。
今は「ローズウエディング」として、毎年2組の結婚式をばら園でプロデュースしています。私が学生の頃は、ひまわり畑で「ひまわりウエディング」をプロデュースしました。
年々知名度が上がっており、「去年から待っていました!」と言ってくださる新郎新婦様も多く、たくさんご応募いただいています。
「ローズウエディングをやることが目標です」と言って入学する子も多いです。ローズウエディングを成功させるために、1年生は基礎を必死で身に付けますし、2年生になることを楽しみにしてくれます。
また、学生のうちに本物のお客様を相手にする経験って、本当に大きいんですよね。お客様に対する意識が格段に上がりますし、社会に出たときの自信にもつながります。今後も大事にしていきたいと思っています。
一日のスケジュール
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9:00出社
一日の予定を共有します。
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9:20ショートホームルーム
学生の出欠確認や、連絡事項の共有などを行います。
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9:30午前の授業
空き時間は授業準備や打ち合わせなど、そのほかの業務を行います。
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12:40お昼休憩
お弁当を持参することが多いですが、周辺の店舗でお弁当を購入することも。
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13:40午後の授業
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15:20授業終了
次の日の授業準備や、会議、面談などを行います。
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17:30帰宅
電車で読書をするのがルーティンです。
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19:00帰宅・夕食・自由時間
ランニングやヨガ、趣味である踊りの練習などをして過ごします。
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21:00入浴
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23:00就寝
寝る前に、その日の出来事や感じたことを日記に残すようにしています。今年から3年分の日記を記せる「3年日記」を始めました!
必須アイテム

ピンキーリング
私が本校に入職した時期と同じタイミングで入学した学生たちが卒業する際に、「うちらがついてるから!」と言ってプレゼントしてくれたピンキーリングです。「お守り」として毎日着けています。
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「ウイナレッジ」を運営する教育専門出版社。
30年以上にわたり、全国の専門学校、大学、職業訓練校へ教材を提供してきた知見を活かし、教職員の皆様に役立つ実務ノウハウを発信しています。
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