近年よく耳にする「大人の学び直し」という言葉。学校を卒業して、社会に出てから資格の取得やスキルアップ、新しいスキルの習得を目指して勉強し直すことです。
類似する言葉に「リカレント教育」があります。仕事と学習を繰り返しながら生涯にわたって学び続けることを指しています。厚生労働省、経済産業省、文部科学省などが連携してリカレント教育を推進しており、今後もますます社会人の学習機会は増えていくことが予想されます。
今回は、日向坂46の元メンバーで、アイドルを卒業後に一般企業へ就職。結婚を経て専門学校へ入学した井口眞緒さんにインタビュー。「大人の学び直し」をした理由や専門学校の選び方、専門学校を卒業した現在の目標などを教えてもらいました。
井口眞緒さん プロフィール
1995年生まれ。アイドルグループ日向坂46の一期生として活躍。1stシングル「キュン」をはじめとするシングルCDで選抜メンバーとなる。2020年にグループを卒業後、一般企業へ就職。その後はSNSを中心にタレント活動を続ける。2022年に結婚、現在一児の母。2024年秋に第二子出産予定。
目次
仕事につながる資格をとって活動の幅を広げたい
―――これまでのご経歴と、現在の活動について教えてください。
井口さん:アイドルを卒業後、OLをしながらSNSで活動していました。OLを辞めた後は、YouTubeを中心にラジオ、CMなどに出演させていただきましたが、2022年に結婚してからはタレント活動を最小限にし、現在は子育てをしながらYouTube、SNSでの発信を自分のペースで続けています。
また、結婚してすぐに調理師専門学校へ進学して、2024年3月に卒業し調理師免許を取得しました。
―――ご結婚後に専門学校へ入学された理由を教えてください。
井口さん:実は結婚した当初、家事や料理が一切できなかったんです(笑)。料理を学べるところはないかと調べていたところ、ちょうど条件がぴったり合って通いやすい学校を見つけて。お料理教室に行くことも考えたんですが、どうせ通うんだったら資格が取れる方がいいなと思いました。
もともと仕事の幅を広げられたらと思っていて、仕事につながる資格がほしかったんです。料理はYouTubeやSNSで発信しやすく、将来的には料理研究家という道もひらけるかな?なんて淡い期待もあって…(笑)。
なので、料理が上手くなりたいという気持ちと、仕事の幅を広げたいという2つの目標を叶えるために選んだのが専門学校への進学でした。
―――学校はどのように選びましたか?
井口さん:「調理師専門学校 夜間」などで検索して、インターネットで調べました。そこで、授業は週3日で夕方から、講義はオンラインで受けられて、学費も思っていたより高くないという、理想的な学校を見つけて。週5で昼間通わなくてはいけないとなると厳しいけれど、これだったら家のことをしながらでも通いやすいなと思いました。それで説明会に行って授業を見学してみました。夜間クラスは働きながら通っている社会人の方が中心で、20代から私の母くらいの年代の方などいろいろな方がいて、10代の学生ばかりのクラスよりもなじめそうだなと思ったのも決め手でした。
調理師免許を取得!手に職をつけられて安心感にもつながった
―――専門学校に入学してよかったことを教えてください。
井口さん:やっぱり、国家資格である調理師免許を取得できたことです。いざとなったら免許を活かして飲食店やホテルで働くことができるし、何というか…、人生のつぶしがきくというか(笑)。ただ「料理上手なママ」で終わるのではなくて、手に職をつけられたかなと。もし夫が働けなくなったときの心の安心にもつながりました。
実は結婚当初に夫が風邪をひいて、麻婆豆腐を作ってあげようと「麻婆豆腐の素」を使ったところ、爆発させてしまう事件があって…(笑)。そのことがきっかけで料理が上手くなりたいと思ったんです。そんな料理レベルだったのに、2年で夫から「ごはんがおいしい」と喜んでもらえる腕前になりました。
フードアナリスト、食育インストラクターの資格も、取れる資格は全部取りたいと思い勉強しました。ただ、子供の食事に関する知識は学べたものの、習った通り薄味で作った料理は子供があまり食べてくれなくて…。大人が食べている濃い味の方を食べたがるので、思うようにはいかないものですね…(笑)。
でも料理をするのがすごく楽しくなりました!
大人になってから好きなことを学ぶって楽しい!
―――在学中、大変だったことはありますか?
井口さん:それが大変だったことが全くなくて!週2回はオンラインで授業を受けていたんですが、週1回の実習で学校へ行くことが日々の息抜きになりました。夫の両親が子供を預かってくれたので助かりました。
もともと食べることが大好きで食に興味があったので、勉強は数学を学ぶよりもずっと楽しかったです(笑)! 子供の離乳食の時期と重なっていたので、食育についての授業も興味津々で。
学生時代は勉強が嫌いだったんですけど(笑)、大人になってから興味のある分野を勉強するって、楽しくてすっと頭に入ってくるんだなと思いました。特に子育て中だったこともあり、学校でみんなと机を並べて勉強する時間が本当に貴重で、リフレッシュになりました。
―――先生の印象はいかがでしたか?
井口さん:先生には本当に感謝しています。先生方の柔軟な対応のおかげで、卒業することができたと思っています。
学校へは4月から通い始めたんですが、実は5月に妊娠が分かって。さすがに通うのは難しいかなと思い、休学について先生に相談したんです。そうしたら「昨年も妊娠中に通っている学生がいたし、授業はオンラインでも受けられるから続けた方がいいよ。一度休学してしまうと、子育てもあってそのまま復学するタイミングが見つからず、退学してしまうケースが多いから。できるだけオンラインを活用すればいいし、サポートもするよ」と言ってくださいました。その言葉があったから、そのまま通い続けることができました。
結果的には、つわり中はオンライン授業がメインとなりましたが、おさまってからは通うのが楽しくて仕方なくて。クラスメイトのみんなに親切にしてもらったり、テスト期間と出産が重なったときには後日まとめて受けさせてもらったり、つわり中にじゃがいもの桂むきの練習でフラっとしてしまったときは、すぐに保健室で休ませてもらったり…。サポート体制が整っていて本当に助かりました。
同じ夢を持った人生の先輩たちとの出会い、世界が広がる
―――クラスメイトとの関係はいかがでしたか?
井口さん:出産を経験している主婦の方、私と同い年の孫がいるという助産師さん、80代のクラスメイトもいて、本当に親切にしてもらいました。みんないろんな年代で異なる仕事をしている人たちでしたが、すごく輝いていて。これからの目標や就職先についていろいろと話をさせてもらいました。
実は、「子育てだけで終わっていく人生になるのかな…」って、ちょっと絶望していたタイミングだったので(笑)。いくつになってもこうやって楽しい人生が待っているんだなって前向きになることができました。楽しく夢を追っているみんなの姿を目の当たりにして、私もこういう年の取り方をしたいなと。
大学のときは、同世代の友人とわいわいして、勉強を頑張るというより青春を楽しむという感じだったんですが、専門学校は真剣に料理を学びたいという気持ちで通って、向上心を持った人生の先輩たちと出会えたことで、価値観や世界が広がったなと思います。クラスのチャットもまだ動いていますよ。
―――これからの目標を教えてください。
井口さん:今も少しずつ料理のお仕事をいただいているんですが、今後はさらにSNSで料理を発信して、いつかは料理本を出すことができたらいいなと思っています。料理番組や、お料理の連載もやってみたいです!
もし今、学び直したいと迷っている方がいたら、思いたったらすぐ行動してほしい。世界が広がると思います!
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