
お話を伺ったのは▼

麻生情報ビジネス専門学校 福岡校
キャリアデザイン科 担任
勝見令子さん
2012年に「学校法人麻生塾 麻生医療福祉&保育専門学校 福岡校」へ入職。キャリアデザイン科の新設に伴い、2025年4月より「麻生情報ビジネス専門学校 福岡校」へ。担当科目は「コミュニケーション」「就職」「コンピュータリテラシー」。

麻生情報ビジネス専門学校 福岡校
キャリアデザイン科 副担任
本多利幸さん
2017年に「学校法人麻生塾 麻生公務員専門学校 福岡校」へ入職。2024年4月より「麻生情報ビジネス専門学校 福岡校」へ。キャリアデザイン科の立ち上げから携わる。担当科目は「金融リテラシー」。フレックスクラス、学生相談室の運営も担当。
「高校生の進路と職業意識に関する調査-日本・米国・中国・韓国の比較-〈令和5年6月発行〉」によると、将来希望する職業を「はっきり決めている」と回答した割合が2割を超え、4カ国中最も高い一方で、「まだ考えていない」の割合も1割強で4カ国中最も高いという結果が出ています※。高校生の将来の職業意識が二極化していることが分かります。
※参考:国立青少年教育振興機構「高校生の進路と職業意識に関する調査-日本・米国・中国・韓国の比較-〈令和5年6月発行〉」
また、「令和6年度専門学校生の中途退学者・休学者数等の調査結果」では、全国の専門学校における中途退学者の割合は6.05%。中途退学の理由の多くは「学生生活の不適応・学習意欲の低下」です※。
※参考:文部科学省「令和6年度専門学校生の中途退学者・休学者数等の調査結果」
こうした現状を踏まえ、学生それぞれの興味やペースに合わせた柔軟なカリキュラムや、将来を見据えたキャリアデザインを重視する学科が、新しい専門学校の形として注目されています。
今回は、多様化する学生の思考に応えるため、麻生情報ビジネス専門学校 福岡校に2025年4月に新設された「キャリアデザイン科」について、担任の勝見先生と副担任の本多先生から、その特長や魅力について教えていただきました。
目次
入学後に学びたい分野を見つけられる新学科
――2025年4月に「キャリアデザイン科」が新設された背景を教えてください。
勝見先生:「キャリアデザイン科」は、多様な価値観や働き方が広がる現代において、変化に対応できる柔軟な職業観と実践力を養うことを目的に新設されました。
汎用的なビジネススキルを習得しながら、進路や就職活動に対する不安を軽減し、自己理解・他者理解・社会理解を深めることで、将来のキャリア形成を主体的に考えられる力を育成しています。

――「キャリアデザイン科」はどういった学科なのでしょうか?
勝見先生:最大の特長は、「入学後に自分の学びたい分野を見つけられるカリキュラム」です。
本学科では、職業理解を深める「専門教育入門」という授業を設けており、麻生専門学校グループ各校の専門教員による授業の中から、興味のある分野を選択して受講することができます。
実際の専門教員の授業を体験することで、自分が本当に学びたい分野を明確にし、次年度からは希望する分野の学校・学科へ進学することが可能です。これにより、入学後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
また、麻生専門学校グループ校への進学であれば、「キャリアデザイン科」から各校への引継ぎを行うため、学生はスムーズかつ安心して、次年度から専門分野をより深く学ぶことができます。
「キャリアデザイン科」には、1年コースと2年コースがあり、自分に合った在学年数を選択できます。1年コースに入学しても「キャリアデザイン科」の2年生に進級できますし、1年間基礎的なことを学んでそのまま就職することもできます。もちろん、途中で変更も可能です。
本多先生:キャリアデザイン科は、「入学後に改めて進路を見つめ直したい」という学生にとっての、「キャリア模索の場」としての役割も担っています。実際に、グループ校からキャリアデザイン科へ転科したことで自分の興味のある分野を見つけ、希望の就職を実現した学生もいます。
また、本校には、クラスに馴染めないなど特別な事情を抱えた学生が、一時的に個別ブースのある静かな環境でオンライン授業を受けたり、作業を行ったりできる「フレックスクラス」があります。「学びを続けたいけれど、どうしても教室に行けない」という学生の思いに寄り添い、「意欲のある学生を応援したい」という考えから生まれた制度です。
さらに、本校では「学生相談室」を設けており、週2回はプロの心理カウンセラーが、その他の曜日には私が学生相談を担当しています。
こうした学生をサポートする体制と同様に、「キャリアデザイン科」もまた、新たな選択肢の1つとして在学生からも受け入れられています。
社会に出るベースを築く授業を展開
――カリキュラムについて詳しく教えてください。
勝見先生:「コンピュータリテラシー」「マナー」「コミュニケーション」「一般教養」など、社会に出るうえで基礎となる知識やスキルの習得を目標に授業を展開しています。
例えば「コンピュータリテラシー」の授業で行うExcel、Word、PowerPointの学習は、「高校でも少し学んだけど、改めて学ぶことができてよかった」と言ってくれる学生が多いです。
「金融リテラシー」では、給与の仕組みや手取り額の考え方に加え、お金の流れ、保険、資産運用といったテーマにも触れています。社会人として欠かせないお金の管理について学ぶため、学生だけでなく保護者からも好評です。
また、本校ならではの特徴的な授業として、「グローバルシティズン・ベーシック(GCB)」があります。これは、社会で必要とされる“心の在り方”を育むことを目的とした科目です。
さらに、マインドフルネスやヨガの授業も取り入れ、心身の健康にも目を向けています。
ヨガの授業では、体育館にヨガマットを広げて90分間じっくり取り組みます。学校生活でも時間に追われることがありますし、社会に出るとさらに忙しさが増します。そんなときに、自分をリセットする“息抜き”や“切り替え”の方法を身につけておくことも大切だと考えています。
こうした社会人としての基礎力を養う授業に加えて、先ほどお話しした「専門教育入門」では、複数の専門分野の中から興味のある科目を学生自身が選択し、グループ校の専門教員による対面授業を受けることができます。実際の専門教育に触れることで、自分の進みたい道をより具体的に描くきっかけになっています。

――高校生や保護者の反応はいかがでしょうか?
本多先生:まだ進路が定まっていない高校生は、幅広い分野を学べることに対して関心を寄せてくれます。
保護者の方は、学校選び、学科選びに対して非常に慎重な印象ですが、そういった中でも「キャリアデザイン科」は、「私も入りたいくらいです」という声をいただくことが多いんです。専門教員からさまざまな分野を学ぶことができるということに、「おトク感」を感じていただいているようです。
多様性社会を生きる若者へ届けたい”新しい選択肢”
――先生方が思う「キャリアデザイン科」の魅力を教えてください。
本多先生:私は麻生塾へ入職する前に学習塾に勤めており、20年以上教育現場に関わってきました。最近特に感じるのは、悩みや辛さを表に出さず、見えないところで苦しんでいる学生が増えていることです。表面上はとてもまじめで良い子でも、心の中にため込んでしまう学生が多い印象です。
そうした若者が、選択肢が増え続け多様化する社会の中で、「これから何をすべきか」「どの仕事を選ぶべきか」と迷ってしまうのは、当然のことだと思います。
もちろん専門学校の本来の役割は、専門性を極めた学生を社会に送り出すことです。しかし、まだ自分の進むべき分野を見つけられていない学生にとっては、まずどの分野に進んでも必要となる基礎をしっかり固めることが重要です。その上で、自分が本当に極めたい専門分野を見つけ、スムーズにその道へ進むことができるのが、「キャリアデザイン科」の大きな魅力だと思います。
勝見先生:日々の授業で、専門の先生方からさまざまな話を聞くことができるため、学生は自分の「本当にやりたいこと」を見つけやすい環境が整っています。ベースとなる社会人基礎力を磨きながら、専門分野へ進むための準備をしっかりと行うことができます。
さらに、本校はグループ校が12校、69学科、74コースと多彩で、進学先の選択肢が豊富であることも大きな魅力です。今後もグループ校との連携を通じて、学生により良い学びの環境を提供していきたいと考えています。
最後に…
学生一人ひとりの関心やペースに寄り添ったサポート体制を築いている麻生情報ビジネス専門学校 福岡校。
新学科の「キャリアデザイン科」も、学校間、教員間の連携を通じて、学生にとってより良い学びの環境を築く取り組みであることが分かりました。
この記事が新しい学びのモデルとして、先生方の参考になれば幸いです。
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