専門学校の学生募集に有効なPR方法には、オンラインで実施するものとオフラインで実施するものがあります。
具体的な広報戦略と合わせたオンライン・オフラインのPRを行うことで、専門学校のブランディングやオープンキャンパス集客の効果がより上がります。
PR施策を実行するための広報戦略の立て方、オフライン・オンライン別の有効なPR方法を紹介します。
また、オープンキャンパスに合わせて学生を集客するポイントも具体的に解説します。
目次
専門学校の有効なPR施策を行うためのポイント
具体的なオフライン・オンラインのPR施策を検討する前に、専門学校でPRすべきポイント・響くPRをするための広報戦略の前提条件や現状の施策から見直すべきポイントを確認しておく必要があります。
自校の強みを把握できているか
具体的なPR方法を考える前に、学生や保護者にアピールすべき自校の「強み」について確認しておきましょう。
主にピックアップすべき点としては以下があります。
基本ポイント
・学べる専門スキル
・就職支援体制
・立地、交通の便
・国家試験などの各種試験の合格率
上記の基本ポイントを確認した後は、カリキュラムや教育理念を見直し、
「選ばれる特徴が自校にあるか」
「専門学校の強みを適切に言語化できているか」
を見定めましょう。
言語化できているか判断するポイントは、
「学校の特色や強みが一言で言い表せているか」
「学生に伝わりやすいメッセージにできているか」
の2点です。
適切に言語化された自校の強み・特色を土台にし、広報戦略を決定することで、自校の強みを踏まえたPRを効果的に実施できます。
他校と差別化できているか
自校の強みや特色を正確に把握した後は、強みや特色という特徴が競合校と差別化できているかも確認しましょう。
特に差別化が必須なポイントは、学生が入学後に身に付けることができる専門スキルやカリキュラム、その学校にしかない設備や施設です。
学べる専門スキル・カリキュラム
・国家資格を取りやすい
・少人数制で実習が多く卒業後その分野の即戦力になれる
・必須科目と別にスキルアップを目指すカリキュラムがある など
その学校にしかない設備や施設
・調理から会計までの実践演習ができる実際の店舗と調理場(料理専門学校の場合)
・大型サーバーや開発に使うハイスペックPC(IT専門学校の場合)
・動物専用の手術室(動物看護学校の場合) など
オープンキャンパスや説明会に誘導できているか
専門学校のPRは、学生の認知獲得後、オープンキャンパスや説明会、学園祭などのイベントに実際に足を運んでもらえるかが最も重要なポイントとなります。
広告やホームページだけで入学を決める学生はわずかで、ほとんどの学生がオープンキャンパスや説明会に参加した後に願書を出すかどうかを決めます。
そのため、専門学校の広報担当者は、オープンキャンパスや学園祭に合わせた広告制作や、イベント開催時期を狙ったSNSでのPRに特に力を入れる必要があります。
「イベントに参加してもらうこと」を第一の目的として、自校のPR施策の年間スケジュールを作成したうえで、イベント直前の呼び込み施策に注力しましょう。
また、通年で配布するパンフレットやチラシにもイベントの開催時期や地図を記載するなど、オープンキャンパスや説明会に自然と誘導できる工夫を取り入れることが重要です。
オフラインで行う専門学校のPR方法
オフライン施策としてほとんどの専門学校が実施しているのが、チラシと入学案内パンフレットの活用です。
PR方法としては基本的なチラシ・パンフレットの活用における、Webサイトへの誘導を含めた集客アップが見込める効果的な方法について解説します。
また、比較的規模の多い専門学校が利用するCMや交通広告のPR方法についても紹介します。
メリット | デメリット | |
チラシ | ・手軽に渡せる ・制作コストを安く抑えられる場合も | ・メッセージが伝わらなければ効果がない ・限られたスペースしかないため掲載できる情報量は少ない |
パンフレット | ・情報量が多い ・魅力的なデザイン・構成にすれば効果は大きい | ・実際に「生徒や保護者がパンフレットを手に取る/請求するまでに、Web施策や学校訪問などが必要 |
チラシによるPR
専門学校のチラシ配布で期待できる主な効果は、専門学校の認知と連絡先の案内、資料請求やホームページへの誘導です。
チラシの配布方法としては、広報担当者が定期的に学校を訪れたり、学校関係者にイベントを案内したりする際に、パンフレットやイベント案内などの資料と共にチラシを高校に置かせてもらう流れが一般的です。
その際、進路指導室など学生の手に取ってもらいやすい場所にチラシを配置してもらうことで自校が認知されやすくなります。
また、チラシは、オープンキャンパスに訪れる学生や保護者向けに配布する資料としても活用されます。
チラシはパンフレットやほかの広告と比べると安く制作できますが、情報量は限られるため、自校の強み・特色などからピックアップした「一番伝えたいメッセージ」を盛り込む必要があります。
響くメッセージに加え、チラシにQRコードを掲載してホームページや資料請求への導線を付けることで集客効果のアップが期待できます。
ホームページ誘導のためのQRコードの記載スペースは必ず確保するようデザインしましょう。
入学案内パンフレットによるPR
入学案内パンフレットによる主なPR効果は、専門学校の認知や学生に詳しい情報を与え、専門学校への志望度を高めることなどです。
入学案内パンフレットは、専門学校についてより詳しく知りたい学生が読むと想定されている媒体であり、志望校のパンフレットを複数取り寄せて学べる内容や学校の特色を比較検討する学生も多くいます。
他校との差別化のためにも、パンフレットに必ず盛り込むべきポイントとして以下があります。
・基本理念
・詳しい学科・コースの説明(学びの特長、カリキュラム、取得可能な免許・資格、1日のタイムスケジュール例など学生生活の紹介)
・奨学金、資格取得奨励制度、留学制度などのサポート体制の解説
・入学後のキャリアサポートに関する解説
・卒業後の就職実績(就職率や資格取得率を具体的に)
また、パンフレットの特徴として、学校の特色を伝えるデザインを工夫したり、キャンパス、授業風景、学生の写真を効果的に盛り込んだりする必要があることから、チラシと比べて大幅に制作・印刷コストが高くなります。
CMや交通機関内の広告などによるPR
チラシ・パンフレットのほかにも、オンラインを使わないPR方法として、地域限定CMの放送や電車やバスなど交通機関へ広告を載せる方法(交通広告)があります。
主なPR効果は、専門学校がある周辺地域や、通学圏内の高校生向けの認知度アップ、資料請求やオープンキャンパスへの誘導増加です。
特に集客を増やしたいオープンキャンパスの時期に限定して広告を出したり、交通広告のほかに、ビルの屋外広告や駅構内の看板に広告を出したりする活用方法もあります。
これらCMや交通広告は、比較的規模が大きく、姉妹校などが複数ある専門学校が、広く集客を行う場合に利用する傾向があります。
オンラインで行う専門学校のPR方法
10代から20代の若者はスマートフォンで情報を調べるのが基本であり、ソーシャルメディアの利用率も高いのが特徴です。
そのため、専門学校の公式サイト以外にもポータルサイト、SNS、動画を使用したオンラインのPRは必須と言えます。
これまでオフライン中心の施策を行っていた学校は、学生が親しんでいるSNSや動画配信を通じたオンラインPRにも比重を置く必要があります。
オンライン施策のそれぞれのメリット・デメリットは以下をご参考ください。
メリット | デメリット | |
ポータルサイト | ・掲載されることで専門学校入校希望者の認知が広がる ・絞り込み検索可能なので、特色が具体的に打ち出せている学校なら効果が見込める | ・集客ができなくても一定の掲載料がかかる |
SNS | ・無料で始められる ・10~20代に自然に学校の認知を広められる ・ターゲットや時期によって効果的なPRを行える | ・効果的な運用にはノウハウがいる |
動画 | ・学校風景や在学生、先生インタビューなど学生の関心が高いコンテンツを発信できる ・オープンキャンパスに来られない遠隔地の学生にもアプローチできる ・SNSと連動させることで相乗効果が見込める ・本格的な設備がなくとも、スマートフォン一つで学校生活やイベント風景を動画コンテンツにできる | ・より有効なPRを行うためには専門業者に運用を依頼する必要があり、費用がかかる ・動画編集の方法など、一定の動画作成のノウハウが必要 ・本格的な動画を制作しようとすると専門業者への依頼コストが発生する |
ポータルサイトによるPR
「ポータル」とは玄関や入り口を意味する言葉で、「ポータルサイト」はその名の通り、さまざまなWebページや各種コンテンツにアクセスするための入り口が多数設置されているサイトのことです。
専門学校に特化したポータルサイトの役割は、地域や人気順に専門学校を絞り込めて、学生がさらに情報を知りたいと思う各専門学校のホームページにアクセスさせることです。
学生が気になる学校ごとの口コミも掲載されています。
専門学校特化型のポータルサイトの主な効果は、
「専門学校の広範囲への認知」
「学生に他の学校との比較検討をさせる」
などです。
一定の掲載料がかかりますが、大手のポータルサイトに情報が掲載されていないと、全国の学生に対して認知が広まりにくくなります。
専門学校特化型のポータルサイトの中では「スタディサプリ進路」や「みんなの専門学校情報」などが有名です。
また、2021年からは文部科学省が運営する「#知る専」というサイトも開設されました。
「#知る専」はポータルサイト、Twitter、YouTubeやメルマガと専門学校や高等専修学校を結び付け、各学校の情報発信を強化することを目的としています。
「#知る専」というハッシュタグを付けて専門学校の教員や学生が動画や学校紹介をSNS上に投稿することで、自校の魅力を中高生に伝える使い方もあります。
SNS活用によるPR
専門学校のPR方法としてSNSの活用も主流となってきています。
SNS活用によるPRの主な効果は、
「日常的にSNSを使う学生に自然に認知してもらえる」
「各学年や時期ごとにターゲットを絞ってPRできる」
などです。
専門学校を志望している高校生はSNSで専門学校が発信する情報に触れるうちに好感を抱きやすくなります。
また、高校生がSNSで専門学校のイベント情報、卒業生や在校生のインタビュー動画などを見るうちに
「この学校に入学すれば楽しい学校生活を送れる」
「先輩のような専門性を身につけたい、自分もこうなりたい」
などの期待を持つ効果も期待できます。
こういった期待を持つ高校生に対しては、SNSのリプライ機能やダイレクトメールを活用した直接の交流でさらに専門学校に対する信頼を持ってもらうようアプローチしましょう。
高校生のニーズにあった情報を届けるためにも、SNSによる広報戦略は必須と言えます。
SNSはInstagram、Twitter、LINEなどのそれぞれの特徴を生かして、ターゲット層を絞った運用をすることも可能です。
SNSごとの運用例
・Instagram
高校1~2年生をターゲットに学校の雰囲気が分かる視覚的なPRを行う
・Twitter
3年生向けのオープンキャンパス告知広告やリプライを通じたフランクな交流を行う
・LINE
利用人数が非常に多いSNSであるため、全学年向け、保護者向けなど広いターゲット向けに情報発信を行う。志望度が高い学生向けにクローズドな相談受付も可能
動画によるPR
スマートフォンで簡単な動画撮影や編集が行えるようになってから、動画によるPRも主流となりつつあります。
主な効果は、
「専門学校に関する視覚的な情報からの認知」
「オープンキャンパス前に動画を配信することによる集客アップ」
などです。
SNSと組み合わせて使うことで、学校外観や授業風景、学生インタビューなど、学生ニーズの高い情報をターゲットの学生にリアルタイムで提供できます。
テレビCMのような高品質な動画制作をしようとする場合、専門業者への依頼が必要となり、制作指示や制作費などの大きなコストが発生します。
しかし、現在は、職員がスマートフォンで気軽に校内の様子を撮影し、ありのままの学生生活を伝える動画をホームページやSNSにアップする、という学校の取り組みも一般的になっています。
特別な機材や編集技術も必要ないため、費用と手間をかけずとも頻繁に動画をアップしたり、高校生が興味を持ちそうな文化祭や実習風景の動画をSNS上で配信したりと、工夫次第で学校生活の雰囲気を上手く伝えられます。
1~2年生向けには、カリキュラムや学生が将来志望する業界の情報などの解説、3年生向けには在学生インタビュー、授業風景などの入学後の雰囲気が伝わる動画を配信するのが、学年別の集客として有効です。
また、コロナ禍でなかなかキャンパスを訪れられない状況となったことで、新たな動画によるPRも普及しつつあります。
新たな動画コンテンツの例
・Googleインドアビュー
道路だけでなく、学校内・施設内など屋内の360°パノラマ画像を撮影し、Googleマップに掲載することができるサービス。
写真では表現できないその施設の雰囲気や魅力を伝えられる。
・バーチャルオープンキャンパス
バーチャル空間に構築されたキャンパスを、専用のアプリを使って自宅にいながら訪問できるシステムのこと。
360°ビューを使ったキャンパス紹介や、授業や校外学習など学校の特色を伝えることもできる。
学生は何度もバーチャルオープンキャンパスに訪問でき、保護者や友人と一緒に参加することもできる。
まとめ
効果的なPRを行う前提として、自校が打ち出すべき魅力や、競合との差別化ポイントを明確にしておく必要があります。
オフラインのPR方法は、専門学校生の目に触れやすい場所に配布できるか、自校のホームページやオープンキャンパス参加に誘導できるか、という点を踏まえて作成し予算を配分します。
オンラインのPR方法は、自校のサイトのほかポータルサイトへの掲載、各SNSの特色を生かした活用、SNSとも連動した動画配信の方法があります。
チラシやパンフレット、ポータルサイトなど既存のPR方法のポイントを踏まえつつ、ターゲットや時期ごとに有効なPRが可能なSNSや動画を活用したPRの運用を行いましょう。
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