先生たちが日々学生と接する中で、コミュニケーションがとりにくいと感じる学生は少なからずいるのではないでしょうか。
彼らにどうアプローチすればいいか、難しいものがありますよね。
そこで本記事では、コミュニケーションが苦手な人の特徴や原因、接し方をお伝えします。
特徴を知ることで、どの学生をフォローすればよいかを知ることができますし、その原因がわかることで彼らをより深く理解することができるでしょう。
目次
コミュニケーションが苦手な人ってどんな人?
コミュニケーションが苦手な学生には、指導する側も配慮が必要となります。
では、どのような特徴の学生がその対象になるのでしょう。
ここでは、代表的な特徴を6つお伝えします。
人の話を聞かず自分の話ばかりをする
人の話を聞かず、自分ばかり話そうとすることが、第1に挙げられる特徴です。
相手を知るには、話を聞いて情報を得なければなりません。
一方的に自分のことばかりを伝えていたのでは、相手がどんな人なのかを知ることができませんし、聞いている人もよい気分にはならないでしょう。
他人に対して関心を持たない
次に挙げられる特徴は、他人に関心を持たないことです。
関心がなければ、相手の話を聞こうとはしません。
相手に興味が湧かないのでは、その人に好かれるためにはどう接すればよいかを考えたり、好かれるように行動したりはしませんから、人間関係を発展させることは難しくなります。
ネガティブな言動や反応が多い
3番目の特徴は、ネガティブな言動や反応が多いことです。
マイナス発言や、「でも」「どうせ」という言葉が多い人、またネガティブな態度やネガティブな表情を露骨に表す人は要注意です。
諦めや自虐的な言葉は、聞いている人をネガティブな気持ちにさせてしまいます。
自分本位で物事を進めたがる
4番目の特徴は、自分本位で物事を進めたがるということです。
自分の考えを第一優先とし、他者の意見を受け入れない傾向があります。
そもそも人に興味・関心がないうえに、自分の考えが1番であれば、周囲の人のために我慢しようとはしないでしょう。
その結果、協調性に欠け、気遣いができなくなってしまうのです。
筋道を立てて話せない
5番目の特徴は、筋道を立てて話せないということです。
スムーズなコミュニケーションのためには、自分の意見を相手がわかりやすい形に整えてから伝えることが大切です。
ところが、言いたいことをうまくまとめることができなければ、聞き手にも正しく伝わりません。
基本的に受け身で自分から話さない
6番目の特徴は、基本的に受け身の姿勢であり、自分から話そうとしないということです。
コミュニケーションが苦手な人は、それを自覚している場合も多いです。
「自分は人見知りだ」「話しかけることが苦手だ」などと感じているのです。
こういった苦手意識があるため、直接言葉を交わす必要のないメールやLINEなどに頼る傾向があります。
コミュニケーションが苦手な原因とは
次に、コミュニケーションが苦手な原因を、6つお伝えします。
その原因が分かれば、学生をより深く理解し、適切な対応ができるでしょう。
他人に対して興味や関心が薄い
他人に対して興味や関心が薄いことは、コミュニケーションが苦手とされる原因のひとつです。
相手に対する関心がなければ、会話もふくらまず、相手にもそれが伝わります。
その結果、人間関係を深めていくことが難しくなります。
周囲の目を気にしすぎる
周囲の目を必要以上に気にしすぎてしまうことも原因となります。
何かを発言するたびに、「相手の気分を害するのではないか」「こんなことを言ったら笑われるのではないか」と、考え過ぎてしまうのです。
その結果、会話すること自体を楽しめず、人との関係もぎこちないものとなってしまいます。
過去のトラウマ経験
過去のトラウマが原因となってしまうことも、現代社会では少なくありません。
特に人間関係でトラブルを抱えた経験は、新しい環境下で関係を構築する際に、影を落とします。
「また同じことが繰り返されるのではないか」「同様の扱いを受けるのではないか」という恐れから、人との関係を深めることに積極的になれないのです。
人と話す機会が少ない
人と話す機会が少なければ、当然コミュニケーション能力は低下してしまいます。
この能力は、経験を通して高められるものだからです。
現代社会には、交渉や駆け引きを回避できるような便利な仕組みやツールが用意されています。
何事にも慎重で警戒心が強い
慎重で警戒心が強いことも理由のひとつになります。
慎重さや警戒心自体は、生きるうえで必要な要素です。
ただし、度を過ぎると、人との関わりに疲れを覚えてしまうでしょう。
相手を信じずに疑心暗鬼になっていては、相手に近づく一歩が踏み出せなくなってしまいます。
時代による社会環境の変化
近年の社会環境の飛躍的な変化は、コミュニケーションを苦手とする人が増加している原因のひとつです。
誰もがスマホを持つ時代となり、報告・連絡・相談はメールやSNSでほぼ済ませることができます。
手紙はもちろん、電話さえ使わなくても意思疎通ができてしまうといった状況です。
相手の心情に思いをはせ、言葉をつむぐチャンスが圧倒的に減ってしまっては、その能力が低下するのも無理のないことです。
コミュニケーションが苦手な人との接し方
では、コミュニケーションが苦手な学生に対して、実際にはどのようにアプローチをしていけばよいのでしょう。
ここではすぐに実行できる方法を、5つお伝えします。
笑顔を心がける
相手を見たら、まず笑顔です。
コミュニケーションを苦手とする人は、人の顔をよく見ているため、笑顔を見れば「この人は接しやすい人だ」という印象を持ってくれます。
反対に、無表情だと「怒らせてしまったのではないか」と不安になります。
まずは笑顔で相手に安心感を与え、リラックスした雰囲気づくりを心がけましょう。
無口を短所と考えない
コミュニケーションを苦手とする人には、無口な人が多いです。
それをその人の、長所としてとらえてみましょう。
おしゃべりで他人の時間を奪う人よりは、よっぽど謙虚で相手思いですよね。
相手の性格や特徴を、プラスの側面からとらえることで、接し方にも余裕ができ、学生にもそれが伝わるでしょう。
ミラーリングを取り入れる
コミュニケーションが苦手な学生に親近感を持ってもらうために、ミラーリングという方法を使ってみましょう。
以下の例のように、鏡に映すように相手に合わせます。
- 飲み物を飲んだり足を組んだりするタイミングを合わせる
- 話す速度や声のトーンを似せる
- 相手が喜んでいるときは喜び、悲しんでいるときは悲しむというように、感情を共有する
- 相手の話の重要な部分を反復する
ただし、相手に気付かれないように自然に行うことが大切です。
相手を尊重する
先生から見て学生の価値観が未熟で、改めるべきだと思うことがあっても、まずはその人を尊重する姿勢を示してください。
誰であっても「あなたのここがよくないから、直した方がいいよ」といきなり言われたら、心を開いて話そうとは思いませんよね。
相手を変えようとするのではなく、ありのままを認め、まずは思いを聞いてあげましょう。
「あなたは〇〇と考えるのですね」と理解しているということを伝えましょう。
相手をほめる
積極的にほめるところを探しながら会話を進めましょう。
よい人間関係が築けている相手なら、人は心を開いてアドバイスを受け入れようとします。
まずは、充分な信頼関係を築くことを優先してください。
ポジティブな表現を選び、肯定的なリアクションを心がけましょう。
それによって、学生は自分の良い部分を認識し、改めるべき点にエネルギーを集中させることができます。
自己肯定感が高まり、自信を持つこともできるでしょう。
コミュニケーションをとりやすい話題
最後に会話が盛り上がる話題を、3つお伝えします。
相手に自分のことを話してもらい、リラックスした雰囲気をつくるのに役立ててください。
天気や季節の話
天気や季節の話題は、1番扱いやすい話題です。
「暑いですね」「暖かくなりましたね」の後に「暑いのと寒いのとどちらが好きですか?」「お花見とか、行きます?」など、それに続く質問をして、話題をふくらませましょう。
住んでいる地域や出身地の話
住んでいる地域や出身地について聞いてみましょう。
地方出身の学生には、特産物や観光スポットなどを聞いてみるのもいいですね。
お互いが行ったことのある共通の場所があれば、話は盛り上がるでしょう。
食べものの話
食欲は、人の三大欲求の1つです。
好きな食べものや得意料理の話をしても楽しいですね。
おすすめレシピや、学校周辺のおいしい店などを話題にすれば、話に花が咲くでしょう。
まとめ
コロナ禍で、近年の社会環境は大きく変わりました。
若者がコミュニケーション力を鍛える場が減少しつつある一方で、企業はその能力がある人材を求めています。
両者の間に立って健闘されている学校の苦労は、並々ならぬものがあるでしょう。
本記事を参考に、コミュニケーションに未熟さを感じている学生たちに早期に気づき、理解し、サポートしてあげてください。
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