
近年は、教育の現場でオンラインプレゼンテーションの機会が増加しています。そのため学生にも、就職試験や発表の場でスムーズにプレゼンテーションできる力が求められるようになってきました。
しかし「うまく伝わるか不安」「オンラインならではの難しさに戸惑う」といった悩みを抱える学生も多いです。対面形式とは異なる難しさもあるため、先生側でも効果的な指導が求められます。
そこで本記事では、オンラインプレゼンテーションの基礎知識から対面形式との違い、必要なツールや成功ポイントをまとめました。学生のプレゼンテーション能力を伸ばしたい先生は必読です。
目次
オンラインプレゼンテーションとは?対面との違いも解説

ここでは、オンラインプレゼンテーションの基本的な概念や、対面形式との違いを解説します。
インターネットを使って伝える形式
オンラインプレゼンテーションとは、ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議ツールを使い、離れた場所同士で情報を共有する発表形式を指します。コロナ禍を経て、ビジネス・教育の現場でも広く採用されるようになりました。
インターネット回線があれば、場所を問わず実施できる柔軟さが特徴です。移動や時間の制約が少ない一方で、通信や表現方法への配慮が求められます。
対面形式との違い
対面形式のプレゼンテーションでは発表者と聞き手が同じ空間にいるため、相手の表情や反応を見ながら話を展開できます。オンライン形式では、その場の空気感や細かなリアクションなどが伝わりにくくなりがちです。
また通信状況や視聴環境に左右されやすく、一方通行な発信になりやすいこともあり、対面形式よりも難易度が高いといわれています。内容だけでなく「どう伝えるか」が問われる形式といえるでしょう。
オンラインプレゼンテーションのメリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・コストを削減できる ・話の途中でも質問しやすい ・振り返りや共有が簡単 | ・誤解やすれ違いが起きやすい ・話し手の一方通行になりやすい ・通信環境のトラブルで中断されるリスク |
オンラインプレゼンテーションには多くの利点がありますが、同時に特有の課題もあります。双方を理解し、対策を立てておくことがスムーズな進行に繋がるでしょう。
オンラインプレゼンテーションのメリット
オンライン形式の利点は、コストや時間を大幅に削減できる点です。従来の対面発表では必要だった会場費や交通費、資料の印刷代などの経費が不要となり、移動時間も省けるため、経済的・時間的負担を大幅に軽減できます。
またチャット機能によって話し手の説明を妨げずに質問できる点も、参加者の心理的負担を下げる要素です。録画機能を活用すれば、振り返りも簡単。参加できなかった人への情報共有も容易です。
オンラインプレゼンテーションのデメリット
発表者の熱意や感情が対面時よりも伝わりにくいため、誤解やすれ違いが起きやすくなるのはオンライン形式ならではのデメリットです。画面越しの参加は集中力が続きにくく、聞き手が受け身になりやすい傾向があります。特に話し手が複数人に向けて発表する場合は「自分が聞かなくても誰かが聞いているだろう」という意識が生まれやすいです。そのため、一方通行の発信にならないような工夫が求められます。
さらに通信環境や機材のトラブルが発生した場合、音声や映像が途切れたり進行が妨げられたりするリスクがある点にも留意する必要があるでしょう。
オンラインプレゼンテーションに必要なツール7つ
オンラインプレゼンテーションには、以下のツールを使います。事前に準備しておきましょう。
- 通信環境
- Web会議システム
- パソコン
- マイク
- Webカメラ
- 採光・照明
- 背景
それぞれ解説します。
1.通信環境
トラブルなく進行するためには、安定した通信環境が必須です。不安定だと声や映像が途切れ、聞き手に内容が伝わりません。可能であれば有線LANを使うか、Wi-Fiでも速度が十分に出る場所を選びましょう。なお、事前に接続テストをしておくと安心です。
2.Web会議システム
ZoomやGoogle Meet、Microsoft Teamsなど信頼性の高いWeb会議ツールを選びましょう。どのツールも基本的な機能は同じですが、画面共有やチャット機能の操作に慣れておくことが大切です。実際に使うシステムを事前に確認し、発表のリハーサルをしておくと本番で落ち着いて話せます。
3.パソコン
処理速度が遅いパソコンだと、音声や映像が途切れやすくなります。スムーズな動作のためにも、メモリが8GB以上のノートパソコンを使用しましょう。デジタルスライドや動画を提示する場合は、それらを再生できるアプリケーションを事前にインストールしておきます。
4.マイク
パソコン内蔵のマイクは周囲のノイズを拾いやすかったり、音質が悪かったりする場合があります。クリアな音声で伝えるためにも、外付けのマイクを準備しましょう。
5.Webカメラ
パソコン内蔵のカメラを使用する場合は、カメラと話し手の視線が同じくらいの高さになるよう調整しましょう。より高画質でクリアな映像を提供したい、カメラの角度を自由に調整したいなどの場合は、外付けのWebカメラがおすすめです。
6.採光・照明
対面形式と同様に、オンライン形式でも印象が大切です。光のあたり具合によっては、表情が暗く映ってしまうことも。パソコンの位置を変えて、光のあたる角度を調整しましょう。自然光だけで調整が難しい場合は、補助としてリングライトなどの照明を設置するのがおすすめです。
7.背景
画面に映る背景は、聞き手に大きな印象を与えます。散らかった部屋やプライベートな情報が映り込むような背景は避け、清潔感があってシンプルな場所を選びましょう。必要に応じてWeb会議システムの「背景ぼかし」や「仮想背景」機能を利用すると、発表に集中してもらいやすくなります。
必須!オンラインプレゼンテーションのリハーサルの流れとポイント

スムーズな進行のためには、リハーサルが必須です。ここでは一般的な流れと、ポイントを解説します。
- リハーサルの流れ
- リハーサルは本番と同じ環境で実施する
- 聞き役を準備する
それぞれ見ていきましょう。対面形式とは発表環境が大きく異なるため、入念な準備が大切です。
リハーサルの流れ
リハーサルの具体的な流れは、以下のとおりです。
- 内容や時間配分に問題はないか
- スライドや資料に過不足がないか
- ツールが正常に動作するか
- 当日と同じ環境でプレゼンテーションを実施
- 改善点の検討
- 役割分担の確認
- 改善点や想定されるトラブルを意識しながら練習
各ポイントを確認しながら、丁寧にリハーサルを進めることで自信に繋がります。資料準備と流れの確認だけで学生が満足しないよう、先生側もサポートしましょう。
1.内容や時間配分に問題はないか
まずはプレゼンテーションの開始時刻と終了時刻、全体の予定時間がどのくらいか確認しましょう。内容別の時間配分も計算しておくと、大幅なズレが起きにくくなります。
2.スライドや資料に過不足がないか
提示するスライドや資料に、過不足がないかもチェック必須です。画像データはスムーズに表示できるか、鮮明に見えるかも確認しましょう。音声データの場合は、聴きやすさもチェックします。
3.ツールが正常に動作するか
使用予定のツールを、すべてテストしておきましょう。初めて使用するツールや機能がある場合は、事前に操作方法も練習しておく必要があります。
4.当日と同じ環境でプレゼンテーションを実施
準備が整ったら、本番と同じ環境でプレゼンテーションを実施しましょう。話し手の立場だけでなく、聞き手の立場からも確認することで改善点が見つかりやすくなります。
5.改善点の検討
話し方や間の取り方、スライドの切り替えタイミング、質疑応答への対応など、あらゆる視点から振り返り、改善点を検討しましょう。客観的な視点も取り入れると、自分では気づかない弱点を発見できます。
6.役割分担の確認
話し手が複数人いる場合は、役割分担も決めておきましょう。プレゼンテーション中のチャット対応や進行スケジュールの管理など、各人の役割を明確にしておくことでスムーズな発表ができます。
7.改善点や想定されるトラブルを意識しながら練習
どんなに完璧に準備していても、予想外のトラブルが発生する可能性はあります。万一に備えて、通信障害や音声不良などを想定した対応策をシミュレーションしておくと安心です。
リハーサルは本番と同じ環境で実施する
当日にトラブルなく進行できるか確認するため、本番と同じ環境で実施するのがポイントです。陽のあたり具合や周囲の騒音レベルなど問題点を発見しやすくなるため、可能であれば時間も本番と同時刻だとよいでしょう。
聞き役を準備する
聞こえ方や見え方をチェックするために、聞き役も準備しましょう。本番を想定して別室で聞いてもらうことで、自分では気づけない改善点が明確になり、よりブラッシュアップしたプレゼンテーションが可能となります。
オンラインプレゼンテーションを成功させる5つのポイント
オンラインプレゼンテーションを成功させるためにも、以下の5つのポイントを押さえて学生に共有しましょう。
- 聞き手の環境を確認してから始める
- 聞き手が反応しやすい雰囲気を作る
- 非言語コミュニケーションも活用する
- 目線はカメラに向ける
- 動作や声は大きめにゆっくりを意識する
それぞれ解説します。
1.聞き手の環境を確認してから始める
聞き手の通信環境や端末の設定によって、音声や映像が正しく届かないケースもあります。そのため、冒頭で「音声と映像は問題なく届いていますか?」と確認を取り、不具合がある場合の対応策も簡単に伝えられるようにしておくと安心です。
2.聞き手が反応しやすい雰囲気を作る
画面越しだと発表者と聞き手の間に心理的な距離が生まれやすくなるため、双方向のやりとりを促す雰囲気づくりが大切です。たとえば「質問があればチャットに書き込んでください」や「続けて大丈夫な人は、リアクションボタンで教えてください」と呼びかけると、参加者も反応しやすくなります。
また発表中は、アイスブレイクや問いかけを織り交ぜて聞き手の関心を引きつけると、参加意識を高められるでしょう。
3.非言語コミュニケーションも活用する
言葉だけでなく、表情や姿勢などの非言語要素も意識しましょう。たとえば、穏やかな笑顔で話すと親しみやすい印象を与え、真剣な眼差しは説得力を高めます。姿勢もピンと伸ばしていれば、頼りがいのある印象を与えやすいでしょう。意識的に非言語要素を取り入れることで、言葉だけでは伝わりにくいニュアンスを表現できます。
4.目線はカメラに向ける
話す相手の顔が画面に映っているため、つい画面に視線を落としがちですが、聞き手はカメラ越しに話し手の目線を見ています。視線がずれていると、聞き手は話しかけられている感覚を得られず、関心が薄れることも。
意識的にカメラを見て話すことで視聴者との一体感が生まれ、より伝わるプレゼンテーションになります。特に大切な話の場面では、カメラ目線を強く意識しましょう。
5.動作や声は大きめにゆっくりを意識する
オンライン環境の場合、対面形式よりも音声が聞き取りづらかったり、動きが伝わりにくかったりするケースがあります。普段よりも少し大きめの声で、ゆっくりと話すことを意識しましょう。大きめのジェスチャーも交えれば、話にリズムが生まれて聞き手の集中力も保ちやすくなります。
学生のプレゼンテーション力をアップさせたいなら

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まとめ
対面形式とは異なる特徴を持ち、難しいといわれているオンラインプレゼンテーションですが、事前の準備とポイントを押さえれば聞き手に伝わる発表が可能です。学生が自信を持ってオンラインでの発表に臨めるよう、先生側もサポートしていきましょう。
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