
連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
「やらなくてはいけない」と頭では分かっているのに、やる気が出ない…そんな経験はありませんか?
実はそれ、心理学的にも説明がつく現象なんだそうです。
今回は、学生の主体性を育むためにも知っておきたい、「自律性」と「モチベーション」の関係について、実践行動学研究所の大原幸夫専務理事からご寄稿いただきました。
目次
モチベーションを支える「自己決定理論」

先日、なんとも妙な夢を見ました。(まあ、夢なんて大抵ヘンなものですが)
なぜか私は大学生に戻っていて、この授業に出て単位を取らないと卒業できないという状況に追い込まれているんです。
ところが夢の中の私は、もう面倒くさくて仕方がない。心の底から「行きたくない」と思っている。
……自分でも意味が分かりません、笑。
でも、目が覚めたあとでふと気づいたんです。
「ああ、私は“やらなくちゃダメ”と言われると途端にやる気が失せるタイプだったな」と。
年齢を重ねても、この性質はまったく変わっておりません。
実は“義務感で動こうとするとやる気が下がる”という現象は、心理学的にも説明がつきます。
「自己決定理論(Self-Determination Theory)」という研究では、人が意欲的に行動するためには、「自分で選んでいる」という感覚=「自律性」が欠かせないとされています。
逆に、「やらされている」、「やらないと怒られる」と感じた瞬間、脳はそれをストレスとして認識し、モチベーションが急降下します。
「早くやりなさい」だけでは効かない
興味深いのは、行動そのものよりも”その行動をどう意味づけるか”がやる気を左右するという点です。
「レポートを書かなくてはいけない」と思うと重く感じるのに、「自分の考えを整理するチャンスだ」と捉えれば、少し前向きになれたりする。
同じ行動でも、意味づけが変わるだけで気持ちは大きく変わります。
夢の中の私が授業に行きたくなかったのも、まさに義務感の為せる業だったのでしょう。
そしてこの仕組みは、子どもや部下にも同じように働きます。
むしろ、自律性が育ち切っていない子どもほど、「やらなくちゃダメ」「早くやりなさい」といった言葉は逆効果になりやすい。
言われれば言われるほど、やる気のスイッチが遠のいてしまうのです。
学生が“自ら動きたくなる声掛け”とは
では、どう関わればいいのか。
ポイントは、「やらせる」ではなく、「選べるようにする」ことです。
たとえば、「どっちからやる?」と選択肢を渡すだけでも、相手の自律性はぐっと高まります。また、「やらないとダメ」ではなく、「やるとこんな良いことがあるよ」と未来のメリットを示すのも効果的です。
義務感はやる気を削ぎ、自律性はやる気を育てる。
とてもシンプルですが、日常のコミュニケーションの中でつい忘れてしまいがちなポイントです。
だからこそ、“やらなくちゃダメ”と押しつけるのではなく、相手が自分で選び、動きたくなるような関わり方を意識したいですね。
※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」272号を再編集したものです。
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大原 幸夫
一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。









