読解力は、日常の授業はもちろん資格試験に直面する学生に必要不可欠なスキルです。しかし近年、読解力の低下によって、設問の意図やテキストの内容を正しく理解できない学生が増えていると言います。今回は読解力を鍛える方法について考えます。
目次
例えばこんな問題、解けますか?
ウイネットが発行している「就職筆記試験対策問題集」より、例題をご紹介します。
【問題】
次の文章に表題(タイトル)を付けるとしたら、どれが最も適切か。A〜Eの中から選びなさい。
食べものに関する「旬」という言葉は、実に味わい深い日本語だ。動物性タンパク質の多くを魚肉に依存してきた日本人にとって、鰹、秋刀魚、鰤と聞いただけで、自然と季節が思い浮かぶ。確かに冷凍技術の発達で、いずれの魚も年間を通じてスーパーマーケットで見かけるようになった。しかし「旬」の味覚は厳然として存在している。牛肉や豚肉など、畜産肉との違いは歴然としている。
スーパーマーケットや食卓で、視覚的にも季節の移り変わりを感じさせてくれるのは果物であろう。魚類同様、ハウス栽培や輸入品で年間出回るフルーツもあるが、とりわけ夏のすいかや桃から、梨、ぶどうと果物の秋を迎え、やがてりんごがおいしくなり、みかんが出回る頃はもう冬、という約4カ月の季節のめぐりは素晴らしい。「ああ、今年もまたりんごがおいしい季節になったのか。」と毎年感じるものだ。これらの果物は、おおまかな暦の役割まで果たしているのだ。
A.「魚を愛してきた日本人」
B.「畜産肉の特殊性」
C.「食べものの季節感」
D.「果物と野菜の違い」
E.「一番おいしい季節」
【解答】
C.「食べものの季節感」
【解説】
魚類に限定して記述していないためAではありません。畜産肉を中心に記述していないためBでもありませんね。Dは、野菜についての記述がないため正しくありません。どれが最もおいしいとも書いていないため、Eでもないことがわかります。
よって、最も適切な表題はCの「食べものの季節感」です。 このように、順を追って判断していけば正答にたどり着ける問題でも、難易度を高く感じる学生が多いという現状です。
読解力を鍛える方法
では、具体的に読解力をつけるための方法をご紹介します。
①文章を正しく読む練習をする
効率化を重視すると「飛ばし読み」「斜め読み」をしがちです。
行間を読むことも正しい理解には重要なスキルですので、前から順番に読んでいくようにしましょう。ペンで追ったり、線を引いたりしながら読むと、飛ばし読みのクセを修正できます。
このときの教材は、小説などの想像力を養えるものや、新聞の短いコラムなども活用できます。学生自身の進度に合わせて、抵抗の少ないものから始めると良いでしょう。
②文章を要約する
読んだ本をA4用紙1枚程度(約1500字)にまとめる訓練もオススメです。
ただあらすじを羅列するのではなく、大項目、小項目に分けて見出しをつけ、「見出しだけで何を言いたいかがわかる」ように意識して作成するとより力がつきます。
③短い文を毎日コツコツ書く
今までの方法はちょっとレベルが高い……という場合は、「3行日記」から始めてみませんか。
その日にあったことを3行程度の短い文にまとめるもので、要約する力や、必要最低限の言葉で相手に伝える力が身につきます。
④先生からのフィードバックが継続につながる
学校では必ず、学生が実行した方法の完成品を定期的に添削し、フィードバックするようにしましょう。
Z世代に当たる今の学生は、自分の頑張りを認めてもらうことでモチベーションを保つ傾向があります。間違いは正しつつ、本人の挑戦をほめるという成功体験を積み重ねてあげることで、継続できると考えられます。
読解力は対人コミュニケーションにも必要
読解力は、試験やレポートなどのテキストだけでなく、人とのコミュニケーションにも大切な能力です。
例えば、発された言葉の裏から相手の真意を読み取るには、読解力や想像力が欠かせません。円滑なコミュニケーションのために、これから社会に出ていく学生の素養の1つとしてしっかり身につけられるよう、学校でも細やかに指導しましょう。
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