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TOP教養スキルアップ保護者からの要望にどう対応したらいい?

保護者からの要望にどう対応したらいい?

2024.09.17 (最終更新:2024.09.19) スキルアップ

連載侑加先生のお悩み相談室

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今回は、「保護者からの要望への対応」に関するお悩みです。

小中高と同様に、専門学校でも「保護者対応」に悩む先生は多くいらっしゃるのではないでしょうか。先生も保護者も、学生を想う気持ちは同じはず。ともに学生の成長を見守っていく同志として、よい関係性を築きたいものですよね。

モンペ(モンスターペアレント)という用語が広まるのと同時に、いきすぎた要望やクレームを投げかけてくる保護者も増えているようです。

クレームではないにしても、対応に困ってしまう保護者からの要望があります。保護者に理解、協力してもらうにはどうしたらよいのでしょうか。

侑加先生に聞いてみましょう!

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【今回のお悩み】保護者からの要望にどう対応したらいい?

相談者:西川先生(仮名)[男性・40代前半]

公務員の専門学校で教員をして3年目になる者です。以前は塾講師として勤務しておりました。

この春からは担任をもつことになり、学生の保護者とも関わる機会が増え、保護者からの要望の対応に悩んでいます。先日、保護者からこんな連絡をもらいました。

“子どもが遅刻ばかりして出席日数が足りなくなりそうなので電話をして起こしてほしい”

ご家庭で対応してほしいことと、社会に出る前に朝は自分でしっかりと起きる癖をつける必要があることを伝えると、無責任だ、子どもが卒業できなくてもよいのか、と責められてしまいました。

もうひとつ、こんな要望もありました。

“子どもがよい成績で卒業できるように、レポートなどの提出物は進捗を細かく確認して期限も遅れないよう先生に管理してほしい”

スケジュールをたてて進捗を管理しながら仕上げることや、期日を守って提出することも勉強のひとつだと伝えましたが、面倒くさいだけだろうと言われてしまいました。

教務部長に相談したところ、特別扱いはよくないとのことで、私の対応で間違っていないと言ってもらいましたが、保護者の方は納得されていないご様子なので、今後面談等で顔を合わせるのが不安です。

いずれの要望も、対応しようと思えば可能ではありますが、学生のためにならないと考えています。
保護者にはどう伝えたら理解してもらえるのでしょうか。侑加先生ならどのようにご対応されるか、アドバイスをいただけたらありがたいです。

以上が今回のお悩みです。
それでは侑加先生の回答をご覧ください!

公務員は、「公共の利益のために奉仕する」県民・市民を支える人です

西川先生、ご相談をいただき、ありがとうございます。令和の親に悩まされる現場は、いよいよ専門学校にも広がっているのですね。

小学校の先生方からは、「親が朝起きないから、子どもが朝ごはん抜きで登校してくる」「登校班の集合時間に間に合わず、一人で登校してきて危ない」という愚痴を聞いたことがあります。

「今時の若い親は、どうなってるんだろうね」と困っていました。専門学校生の保護者といえば、40代~50代の年齢ですよね。「今時の若い親」ではないと思いますが…。

「令和」「今時」などとすぐ表現してしまいますが、困った親というのは、いつの時代にも一定数いたと思います。ただ、親世代もSNSに熱心で、子ども達は幼少期からスマホを持ち、個別のタブレット学習も盛んになってきた時代です

「自分のやりたいようにやる」「言いたい事を言う」という風潮は、親も子も高まるばかりでしょう。現場の先生方は柔軟な対応力を身に付け、自分を守りながら働ける環境を作っていく必要があると思います。

西川先生は、公務員クラスの担任をされているのですね。公務員と言えば、県庁や市役所の職員、警察や消防など、幅広い業種や職種がありますが、いずれにも共通しているのは、「公共の利益のために奉仕する」という働き方ではないでしょうか。

かつては、「公僕」などとも表現されました。人々が健康に気を付けて、安全に幸せに生きていけるよう務めるのですね。

一人の大人としての自立を、学生自身に求めましょう!

保護者の方は、自分の子どものことを「子どもが遅刻ばかりして…」と小学生みたいな扱いをしているので、呆れますよね。学生自身は、自分のことをどう捉えているのでしょうか

私が担任した公務員クラスは、2年過程でした。学科の学習を進めながら、すぐに進路希望を聞いて、間違いなく合格できるように導かないと、手遅れになってしまうと焦ったのを覚えています。

1年次からインターンシップにも行きますし、1年の夏休みは、希望の職場に少しでも近づけるようなアルバイトを推奨しました。世の中には、高卒の公務員の方もいらっしゃいます。職場へ行けば、学生か社会人かは全く関係なく、同じように市民サービスを提供できなければいけません

本当は、保護者を教育して、変わっていただくのが一番良いです。しかし、長く生きてきた人の人生観を改善するには、膨大な時間とエネルギーが掛かります。この保護者の方は、西川先生に甘えているのですよ。

「自分の子育ては失敗するのではないか。もし、子どもが不幸になったらどうしよう、自分では責任を取れない」と焦っているのですね。この不安を共有できる家族や友人がいなかったり、子どもとも分かり合えなかったりするために、西川先生を頼るわけです。でも、西川先生は、保護者ではなく「学生の」先生ですよね。日々接する学生の成長を促す方に全力を注ぐのが良いのではないでしょうか。

そもそも、朝電話したところで、学生が眠ってしまっていて、電話に出られないかもしれません。電話して起こしてほしいというのは、全く理にかなっていないのです。やはり、親の甘え、焦り、それから、直接子どもに働き掛けて嫌われるのを避けたいという親の詭弁でしょう。

保護者には、「公務員として働くための、生活を整える準備期間であるため、子どもさんの成長を見守って欲しいです。ご協力をお願いできませんか。私も精一杯指導させていただきます」と伝え、謙虚に『協力をお願いする』姿勢を貫くしかないと思います。

カスタマーハラスメントにも似た様子に振り回されたり、先生が売り言葉に買い言葉で、キツイ言葉を返したりしないようにしましょう。録音されたり、言質を取られたりするのは得策ではありません。保護者からの電話をスピーカーにして、上司にも聞いてもらったり、こちらも録音を残したり、上司にも保護者会に同席してもらうよう段取りしておくといいですね。

三者面談を行っていると、親は厳しいのに子は甘い、子どもが随分しっかりしていて親は放任など、親子の特徴に気付くことがありました。専門学校生の場合は、もう大人としての振る舞いを求められる年齢であり、社会的な立場でもあります。いよいよ反抗期を終え、親も子も社会人になる時を迎えています。そこで、学生が親に寝坊の心配をさせないようになれば、全て解決します。

親も我が子を信頼し、生活面も任せるようになります。「親離れ子離れの時期」を迎えているのですね。ホームルームを開催し、学生の朝の行動、早起きするための夜の行動、アルバイトやゲーム終了時間の設定などを話し合い、ルールを決めるのも良いでしょう。

レポート課題などの進捗については、グループで管理するのが有効です。一人一枚の進捗表を、担任の先生に提出し印鑑をもらうのは、中学生までです。グループワークの一環として、進捗状況を朝礼で話し合ったり、より良いアドバイスを仲間に求めたりするなどの活動をすることで、コミュニケーション能力も伸ばせます。

最初は気恥ずかしいのですが、自分の意見をしっかり述べられたと実感したり、他人が認めて褒めてくれたりすると、自信がつきます。それが、次への原動力に繋がるのです。中間報告を担任がチェックするのも良いでしょう。

主観→客観→俯瞰の目を養える言葉掛け、働き掛けを

「私は何回休んでますか」と聞きにくる学生がいます。頑張ろうという意識はあるのでまだいいのですが、冷静に考えてみると、自分のスケジュールを管理できない人が、市民を助ける側にはなれませんよね。

グループワークを重ねると、相手の立場を考慮して、言葉を選ぶことができるようになります。チームスポーツを経験している学生は、客観的な眼差しを持っている人が多いと感じます。「私は、私は」と自分のことばかり主張せず、相手の立場に立てるというのは、人間的に成長している証と言えるでしょう。
 
「いい資料を見つけました」と持って来てくれる学生もいます。「クラスのみんなにも参考になると思って」と私を含め、教室全体が上手くいくようにと考えてくれるのです。

こういう学生には、すぐ内定が出ます。企業も放っておきません。グループディスカッションなどで、その実力が発揮されるのでしょう。

人には、それぞれ成長発達段階があります。早起きが苦手な学生も、日々の声掛けで、少しずつ生活のペースを掴めるようになるでしょう。レポート課題のグループワークを通じて、徐々に客観性や俯瞰の目を養えるようになるでしょう。

保護者には、謙虚な言動を貫き、学生への指導の様子などを伝えてくださいね。そして、教室活動において向上した点を探し、ぜひ伝えてあげてください。

「親御さんの、ご自宅での見守りのお陰です。ありがとうございます」とお礼を述べましょう。保護者を認めることで、保護者に安心感が生まれてきます。すると、「西川先生にお任せしておけば大丈夫」と信頼関係に繋がります。面談で顔を合わせる機会も大チャンスと捉えたいですね。応援しています!!

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この記事を書いた人
侑加先生

侑加先生

一般企業を経て、専門学校に正教員として勤務。
現在は、企業・大学講師、小中学生の塾経営。
趣味は、お笑いと高校野球、旅行。一児の母。

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