
連載専門学校の先生のお仕事ライフハック
全国の専門学校の先生にインタビュー!先生の「お仕事ライフハック」=働くうえでの仕事術やアイデアを共有してもらいます。同じ職業だからこそ分かるお悩みやテクニックを参考に、明日からのお仕事ライフをアップデートしちゃいましょう!
授業中、なかなか発言せず表情も硬い学生、声をかけても反応が薄い学生…。そんな学生との距離感や声かけ、コミュニケーションの取り方に頭を悩ませている先生方も多いことと思います。
第14回となる今回は、ホテル業界での接客経験やテニス指導を通してさまざまなコミュニケーションを経験し、学生だけでなく先生方からも人望が厚い、学校法人龍馬学園 龍馬看護ふくし専門学校の竹谷渚先生にお話を伺いました。

学校法人龍馬学園 龍馬看護ふくし専門学校
医療事務・医療秘書学科
竹谷渚 先生
短大の英米語学科を卒業後、語学力を活かしてホテルに勤務。新人教育やマニュアル作成、新規オープン業務などに携わる。その後、高知県へ帰郷し母校にてテニスの外部指導者を務めていた際、恩師から勧めを受けて「龍馬看護ふくし専門学校」の教員に。また、高知県のソフトテニス成年女子代表を務め、国民スポーツ大会への出場経験も有する。今年度からはコーチとして携わっている。
目次
経歴 ・先生になった理由
ホテリエの経歴とテニス指導をきっかけに教員の道へ
短大卒業後、学んでいた語学力を活かせる仕事に就きたいと考え、全国でホテルを展開する会社に就職しました。最初は高知県にあるホテルでフロント業務を担当していたのですが、さまざまなことに挑戦させてくれる支配人との出会いがあり、早々に時間帯責任者に選んでいただきました。新しいホテルがオープンする際の研修や、英語のマニュアル作成、新人教育などにも関わらせていただきました。「顧客満足度向上委員会」という全国会議が年2回あったのですが、その執行部に選出していただき、「お客様にも従業員にも満足してもらえるホテルとは?」ということを追求し続けたホテリエ時代でした。
名古屋にあるホテルへ異動後、結婚を機にジュエリー販売の仕事に挑戦しましたが、半年ほどで福井県へ引っ越すことになり退職。出産後、前職のつながりから声をかけていただき、福井県にできる新しいホテルの立ち上げに関わらせてもらいました。
その後、実家のある高知県に戻り、ご縁があって外部指導者として高校生にテニスを教えていました。高校時代の元顧問がその様子を見て、龍馬看護ふくし専門学校の校長に推薦してくださり、「学生にビジネスマナーを教えてもらえないか」というお話をいただきました。面談の際に「入社したら勉強することを続けて、レベルアップしてほしい」という言葉をかけていただき、それがすごく心に響きました。私はこれまでずっと挑戦し続ける人生だったので、経歴を活かせて、さらに私自身もまだまだ成長させてもらえるかもしれないと思い、教員という仕事に興味が沸きました。
入職してすぐに「先生」と呼ばれるのには違和感がありましたが(笑)、現在はとても恵まれた環境で働かせてもらっています。

現在の業務
専門資格を取得してチャレンジの日々
医療事務・医療秘書学科1年生の担任をしています。授業は、ビジネスマナーとコミュニケーション、調剤事務、そして来春からは登録販売者の授業も開始予定です。指導を担当する資格はすべて入職後に取得しました。今でも学生が調剤薬局へ実習に行く際には、私自身も質問して勉強させていただいています。もともと新しいことを知るのが好きなので、とても楽しいです。
やりがい・おもしろさ
学生にも自分自身にも日々感じられる成長
私がメインで担当しているのはビジネスマナー、コミュニケーションの授業ですが、今の学生はコロナ禍を経験していることもあり、自分を出せない、コミュニケーションがうまく取れないという傾向が見られます。そういった学生が、だんだんと自分から質問に来たり、片手で提出していたプリントを両手で「先生、お願いします」と出せるようになったり…。小さな変化ですが、少しずつ成長が見られることにやりがいを感じます。
また、学生の成長だけでなく、自分自身が成長していると感じられることも多いです。私はすごく頑固な性格で…(笑)。ホテル時代には「こういうときはこう」というマニュアルもあり、曲げられない部分が多かったと思います。教員になってからは、あいさつができない学生に対して「あいさつしなさい」と一方的に伝えるのではなく、できない理由に向き合うことが大切だと気づかされました。
社会人は「こうしてください」と伝えると、その通りやってくださる方が多いですが、学生はこちらが思いもよらない点に疑問を抱くことがあります。例えば、電話応対の授業で「先生、なんでそんな優しい声で電話出ないかんの?」と言われたことがありました。今まで聞かれたことがなかったので驚いたのと同時に、「そう来るか!」とわくわくしたのを覚えています。「じゃあ、自分の電話の声、聞いてみる?」と、体験させて、実感してもらうことが大切なんだと学びました。
学生と関わっていると、1つの方法では解決できないことが多くあり、自分の引き出しが増えていく感覚があります。日々アップデートが必要なので、常に目標を持って取り組むことにやりがいを感じる私にとって、ピッタリな仕事だと思っています。

達成感を得た経験
「愛される人」という教えが伝わった、卒業時の言葉
担当しているビジネスマナーの授業で、「愛される人になる」ことを目標にしています。「愛される人」と聞くと、最初はみんな気まずそうな顔をするんですよね(笑)。でも、「頭がいい」「仕事ができる」だけでなく、「あなたがいると雰囲気が良くなる」「あなたの明るさに助けられる」ということも、仕事をする上で大切な要素だと思うんです。
授業の冒頭や途中で「こういう行動が愛される人につながるんだよ」と説明したり、「愛される人ってどんな人だろう?」とグループで話し合ってもらったりしています。たまに「先生みたいな人」と言ってくれるときがあって、とてもうれしいです。身近なお手本になれるようにこちらも頑張らなくちゃと思います。
最初の頃はピンときていなかった学生が、卒業する際には「私もみんなから愛される人になるね!」と言ってくれたとき、やってよかったと心から思いました。
また、担任を受け持っているクラスでは、「ありがとうがあふれるクラスを目指そう」と伝えています。小さなことでもお礼を言おうと話していますし、私からは少し大げさなくらい「ありがとう」を伝えています。最初の頃は言えなかった学生が、「ありがとう」と言ってくれるとうれしくなります。
さらに、年度の終わりと卒業時には、クラス全員に「ありがとうカード」を書いてもらい、学生同士で交換してもらっています。

お仕事ライフハック
前向きな姿勢で「話しかけやすい人」で居続けること
いつも、高知県の明るい太陽のような存在でありたいと思っています。そのためには「毎日元気でいること」が大切かなと。
昔は「怖くて声をかけづらい先輩」が結構いたと思うんです。私自身、新卒の頃に「知りたいことを聞けない」「話しかけにくい」と感じた経験があり、それは成長の大きな妨げになると感じていました。だからこそ、私はいつでも声をかけやすい雰囲気を大切にし、自分自身が楽しく働くことを心がけています。常に元気でいようと思っていますし、実際にすごく元気です。小学生の頃から校門が開くのを待って、朝からドッジボールをしているようなタイプだったので(笑)、根っから元気なんですよね。
また、担任をしているクラスの学生全員とは、「1日1回以上、必ず話す」と決めています。生活リズムが崩れている学生には注意したい気持ちもありますが、まずはできるだけポジティブで他愛もない話を心がけています。そうすると「先生、実はこんなことがあって…」って、ポロッと悩みを話してくれることがあるんです。
ただ、そのときどきによって状況は違うので、失敗してしまうときもあります。例えば学生が急に泣き始めてしまうとか…。そんなときは、「今日はもう泣き泣き~」と言って、思い切り泣いてもらうようにしています。
それから、自信のない学生が多いので、私自身の悔しかったことや失敗したことをできるだけ正直に伝えるようにもしています。そして「“先生はすごい”って思っているかもしれないけど、そんなことないんだよ。先生も今、みんなに話を聞いてもらえてすごく楽になった。だからみんなも悔しいこと、悲しいことがあったら話してね~!」と伝えています。
そんな風に、学生とも先生方とも積極的にコミュニケーションをとり、変化に気付いて声をかけ、いつも見られているという意識を持って、前向きに過ごしています。そのおかげで、気軽に話しかけてもらえているのではないかなと感じています。
ワークライフバランス
テニスの国体選手としても活躍!何事にも全力で挑むことがリフレッシュに
仕事もプライベートも全力で楽しめています。高知県に戻ってから10年以上ぶりにテニスを再開したのですが、負けん気が強すぎて(笑)、昨年度まで高知県のソフトテニス成年女子代表選手を務め、国民スポーツ大会への出場経験もあります。今年度は選手ではなくコーチとして関わっていますが、多いときは週4日以上、仕事終わりに子どもを迎えに行き、お弁当を作ってからコートへ行きます。休日は子どもの習い事や大会への送迎・応援、自分自身の練習や大会出場と慌ただしく動き回っていますが、それが良いリフレッシュになっています。今後も若い世代の育成に関わり、高知県のソフトテニスを盛り上げていきたいです。
先生方や学生のみんなもとても応援してくれていて、国体前にはメッセージを書いた鉢巻きをプレゼントしてくれました。試合で数日間不在にする際には、ほかの先生が私のクラスを見てくださったり、学科を越えて声をかけていただいたりと、多くの協力をいただいています。働きやすい環境に感謝しています。

学校の自慢
社会で本当に必要な力を育てる「マナー×コミュニケーション」授業
「ビジネスマナーも大切だけど、人とのコミュニケーションも重要だよね」という考えから、今年度「ビジネスマナーとコミュニケーション」という授業を開始しました。「コミュニケーションの基本的な考え方や方法を理解し、日常生活や職場で活かせる力を養う」「言葉や表情で自分の意図を正確に伝え、相手の気持ちを理解する能力を身につける」「周囲と良好な関係を築くための聞く力・伝える力・思いやりの心を育てる」といったテーマで授業を進めています。
「キャリアデザイン」という授業では、医療現場で活躍している卒業生を招いて、現場で必要なマナーやコミュニケーションについて直接話を聞ける機会を設けています。とてもいい刺激になっていて、これをきっかけに進路を決める学生もいます。
また、他学科の学生と交流しながらホスピタリティ精神を身につける「ホスピタリティ演習」という授業にも力を入れています。留学生に協力してもらい、優しい日本語でコミュニケーションをとる方法を学んだり、調理経営学科や製菓製パン学科の学生から教わりながら料理を作ったりという内容です。医療事務・医療秘書学科の学生はコミュニケーションの勉強に、留学生は日本語の勉強に、調理経営学科の学生は料理を人に教える経験に…と、それぞれに学びのある交流となっています。
他学科との交流は純粋に楽しく、学生の良い息抜きにもなっているようです。
一日のスケジュール
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8:40出社
メールチェック・朝ホームルームの準備。
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8:50朝礼
その日の予定を共有します。
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9:05朝ホームルーム
点呼や、スピーチ・レクリエーション・ミニテストなどを行います。
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9:20授業
空き時間があれば授業準備やそのほかの業務を進めます。
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12:10お昼休み
マックパーティー・ハロウィーン・クリスマスなど、学生と一緒に教室で食べることもあります。
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13:10午後の授業
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16:00放課後
学生ガイダンスや会議、検定前の補講など。
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17:30退社
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19:00帰宅
保育園と習い事へのお迎え、買い物など。
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19:30テニスの練習
軽食を作ってテニスコートへ。
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21:20家事・入浴
洗濯や宿題の確認、次の日の準備、オンライン英会話をする日もあります。
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22:30就寝
必須アイテム

本・電卓・手帳
授業前に本をパッと開き、そこに書いてある内容を授業の導入に取り入れています。開いたページが「ありがとうは日本人の一番好きな言葉」といった内容なら、「みんなが一番うれしい言葉は何?」という話をしています。
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ウイナレッジを運営している出版社。
全国の専門学校、大学、職業訓練校、PCスクール等教育機関向けに教材を制作・販売しています。









