連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
振り返り。
それはだれしもが自身の成長を促すために必要不可欠なこと。
学生が常に自身の行動を振り返り、進化してくれれば…と願ったとしても、そうは問屋が卸さないもので、正しくファシリテートしていく必要があるようです。
今回は学生に「振り返る力」のスキルを磨くコツを、実践行動学研究所 大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。
目次
振り返りの考え方を変えてみよう
だいぶ前のことですが、小学生だったうちの子に「1ヶ月の勉強を振り返ってみよう」と提案したときの話。
じゃあ、といって始めたのですが、ちょっとビックリしました。
「~~をなまけた。~~がダメだった。~~がよく分からなかった」
こんな言葉が次々に出てきたんですね。
「ちょっと待って。それは振り返りじゃないよ」
「ん?」
という顔をした我が子に説明。
「反省しろって言ってるわけじゃなくて、振り返ろうって言ってるのよ。悪いことばっかりじゃなくて、がんばったこともあったよね?まずは、よかったことから聞かせてよ」
こんなやりとりをした記憶があります。
この経験は私に、子どもたちは普段から反省ばかりさせられているということを気づかせてくれました。
反省と振り返りはぜんぜん違います。
反省というのは、同じ過ちを繰り返さないためにやることです。
(当時のうちの子は、やってはいけないことばかりやっていたということか?笑)
反省は、「~~してはダメ!」という制限をかける効果はあるかもしれませんが、「もっと~~してみたい」とか「今度はこんなふうにやってみよう」という前向きな行動意欲は生みません。
みなさん、目上の人からこんなふうに言われたらどうでしょう?
「これまでの子育てのやり方を反省してください」
「仕事のやり方を反省してよ」
責められている気分になって、やる気減退ですよね。
経験を前向きな気持ちで次に生かすには、反省ではなく、正しく振り返ることが大切なのです!
正しく振り返る方法
「体験学習法」の理論には、このような4つのステップがあります。
(ごく簡単に要約しました)
(1) 体験:やってみる
(2) 指摘:「何が起こったか」を観てみる
(3) 分析:「何でかな?」を考えてみる
(4) 概念化:「じゃあ次はどうする?」をまとめる
指摘のステップでは、解釈を挟まずに、客観的にどんなことがあったかを振り返ります。
これ、やってみると結構難しいです。
自分だけではなく、周りにいる人からこんな感じだったよ! とフィードバックをもらえる環境があるなら、聞いてみることをおすすめします。
意外と同じ出来事でも、自分で思っている事実と他人が思っている事実は違うことがありますから。
また、この指摘のステップでは、ダメだった事ばかりを探すのではなくよく出来たことや嬉しかったことにも焦点を当ててみましょう。
その方が分析のステップで、その人らしい成長の仕方が見つかるはずです。
だから私は、子どもたちに反省ではなく、振り返りを促すように問いかけています。
…と、偉そうに言いましたが、感情的になると当然振り返りを促すことができなかったりします。苦笑
そういう自分のことも、反省ではない振り返りでリカバーしていきたいと思います。
最後に、振り返りがさらに効果的になるマル秘技をご紹介しますね。
そのマル秘技とは、振り返った結果を一緒に「分かち合う」ことです。
「それはきみにとって~~な経験だったね」
「大変だったねぇ」
「うれしかったねぇ」
と、気持ちを共有しながら行います。
すると、上下関係とは違う温度感のある絆のようなものが芽吹くきっかけになります。
子育てでも部下指導でも、ぜひお試しを。
▼ウイナレッジ編集部からのお知らせ
本記事を寄稿してくださっている大原先生が専務理事をつとめます一般社団法人実践行動学研究所では、学生間のコミュニケーションの促進をねらいとした「コミュニケーションゲーム(取材型自己紹介ゲーム)」を無料でご用意しております。
実践行動学は、学生(大学・専門学校生)の夢の実現、目標達成に必要な「心のあり方」と「達成のスキル(技能)」を身につけることを目的とした、動機付け教育プログラムです。指導者用教材に掲載しています「コミュニケーションゲーム(取材型自己紹介ゲーム)」をご希望の方は、以下のリンクよりお申し込みください。お申し込み完了後、メールでご送付いたします。
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※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ ColorfulTimes」147号を再編集したものです。
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大原 幸夫
一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。