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TOP教養その他最近の若者とのコミュニケーション【特別編 第1回】

最近の若者とのコミュニケーション【特別編 第1回】

2022.10.07 (最終更新:2024.03.27) その他 教務情報

連載大原先生の学生指導のすゝめ

動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。

本連載の執筆者である大原先生が専務理事を務める「実践行動学研究所」では、セミナー開催時にメンタルヘルスについての講演を実施しています。
この度、その講師である法政大学キャリアデザイン学部教授廣川進様より寄稿していただいた記事を二本連続で掲載いたします。
第1回では「最近の若者とのコミュニケーション」について、現場の声とお薦め書籍をご紹介します。

学校関係者の声

最近の若者の傾向について、学校関係者の声を紹介します。

  • 現在の義務教育において生徒数30〜40人の学級運営は担任ひとりでは限界である
  • 私語、立ち歩き、授業妨害、不注意・多動などの種々の子ども対応で苦慮。一方、授業が成立しないと保護者、学校管理者からのプレッシャーを感じ焦燥感・無力感を感じる
  • 発達障害と思われる子も多いが、誰に相談するか、障害理解をどう進めるか、保護者にどう話すかに悩む
  • 行動面で問題のある子は家庭の養育に問題があると思われる場合が多いが、個人情報保護の観点などから十分な家庭情報も得られず、虐待等の早期発見・対応に苦慮している
  • モンスターペアレントへの対応に苦慮している
  • 相談機関、医療機関へつなぐ必要性は感じるが紹介先と方法がわからない
  • 担任や学校側も「疲弊」し、学校全体が「慢性疲労状態」、子も親も教師も「自尊感情」が保てない
  • 知的にさほど問題がないのに、人間関係の負担等から特別支援学級(養護学級)への移籍、入学希望者も増えている。一方、あくまで通常級に固執する親もいる

参考:古荘純一『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』 (光文社新書、2009年)

学校現場の関係者の苦労が察せられます。

私も大学の授業やゼミの活動で、20年近く20歳前後の若者たちと身近に過ごしてきましたが、この数年、とくにコロナ禍で加速したと思われる傾向を以下にあげます。

  • 直接的な接触のコミュニケーションが苦手な子が多くなってきた。SNSは常時接続であるかのようにSNSがない生活は耐えられない
    Zoomのようなオンライン上のコミュニケーションツールはうまく使いこなして、ゼミのプレゼンからインターンシップ、就活面接などをこなしている。
    VTuberのようなヴァーチャル空間でのコミュニティ(だけ)で生き生きとする子たちがいる。
  • スマホで卒論を書く大学生も!反面、PCを使うのが苦手な学生も出てきた。
  • SNSのいいね!の数を競うように、他者からの承認評価に過度に依存する傾向(承認不安の傾向)が強まっている。
    「エゴ」を強く自己主張することを避け、場の空気を読み、忖度し人に好かれる「キャラ」を懸命に生きることに多くのエネルギーを割いている。
    その反動もあるのか岸見 一郎/古賀 史健著の『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社、2013年)はロングセラーで100万部を超えている。

モチベーションを上げるコミュニケーションの工夫

こんな傾向の若者のモチベーションを上げるコミュニケーションの工夫にはどんなものがあるでしょうか。

まず、自己肯定感自己効力感を安定させることだと思います。

そのための第1歩は「ポジティブ・フィードバックと肯定的なリアクション、ほめ言葉を増やすこと」です。
学生に何か応答(フィードバック)する際に、(とくに我々教師は)つい改善点の注意やアドバイスから始めがちですが、聞かされた今どきの学生は、「存在の全否定」と受止めてしまって、やる気アップどころか心が折れてしまうこともあります。

どんな小さなことでもいいので、いいところ、長所、強みを見つけて、肯定的なメッセージを繰り返し伝えることを心がけましょう。
その過程で信頼関係が構築されていき、突っ込んだ指摘も受け入れやすくなります。
蛇足ですがハラスメント案件なども双方の信頼関係のないところでのコミュニケーションギャップから起きていることが多いです。

とはいえ、ほめると調子に乗るから、といって叱って育てられてきた世代には、ほめることも至難です。
おすすめの参考書があります。めざせほめる達人!

西村貴好『1・2・3級対応! ほめ達! 検定公式テキスト』(日本能率協会マネジメントセンター、2013年)

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この記事を書いた人
廣川 進

廣川 進

法政大学 キャリアデザイン学部 教授(公認心理師・臨床心理士・文学博士)。
1959年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、株式会社ベネッセホールディングスにて、雑誌編集(『ひよこクラブ』の創刊等)の傍ら、大正大学大学院臨床心理学専攻修士・博士課程を修了。2001年退社後、大正大学心理社会学部臨床心理学科教授を経て現職。

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