
年末は、1年の中でも特に慌ただしい時期ですよね。そのような状況で年賀状を準備するのは、負担が大きいと感じていませんか。実は長年の習慣を見直して、年賀状じまいを検討している人も多いようです。しかし相手への伝え方を間違えると、誤解を与えかねません。
そこで本記事では、年賀状じまいが増えている理由と失礼にならない伝え方、マナーをわかりやすく解説します。無理のない交流へ切り替えたい先生は、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも年賀状じまいとは何か

年賀状じまいとは、年賀状による年始の挨拶を控える、または終了する意思を、相手へ丁寧に伝える行為を指します。SNSやメールの普及で連絡の手段が多様化したことも背景にあり、年齢を問わず検討する人が増えています。
年賀状は、郵便はがきが広く使われるようになった明治時代から、節目の挨拶として親しまれてきました。しかし近年は郵便料金の改定が続いているほか、宛名書きの準備が負担になるという声も少なくありません。環境の変化により、従来の年賀状スタイルを維持するのが難しくなるケースも多いようです。
年賀状じまいは、そうした背景を踏まえて区切りをつける行為の一つ。大切なのは黙ってやめるのではなく、これまでの感謝を添えながら前向きな形で伝えることです。相手との関係を大切にしたまま、無理せず続けられる距離感に調整するための、切り替え方法といえるでしょう。
年賀じまいをする人・企業が増えている主な理由3つ
年賀状じまいの検討は、個人だけでなく企業にも広まっています。主な理由は、次の3つです。
- コミュニケーションツールの進化
- ライフスタイルの変化
- コスト削減とペーパーレス化の推進
それぞれ見ていきましょう。
コミュニケーションツールの進化
LINEやメール、ビジネスチャットなど、デジタルツールによる連絡の一般化が大きく影響しているといえるでしょう。年末年始の挨拶も、SNSの投稿やダイレクトメッセージで完結するケースが増え、年賀状の必要性が薄れている傾向にあります。
また既読確認や過去のやり取りを簡単に検索できる点も、紙では得られないメリットです。専門学校でも、連絡網やお知らせをLINE公式アカウントで配信する場面が増えているのではないでしょうか。こうした環境の変化があって、年始の挨拶スタイルを見直す流れが広まっていると考えられます。
ライフスタイルの変化
共働き世帯の増加や家族構成の多様化も、年賀状じまいが広がる要因です。年末年始は仕事納めのほか、家族行事の予定調整や大掃除など、私生活の優先度が高いタスクも重なりやすく、年賀状の準備を負担に感じる先生は多いのではないでしょうか。現代はSNSで近況を気軽に共有できるため、精神的なゆとりを確保するためにも年賀状の習慣を見直す人が増えている傾向にあります。
コスト削減とペーパーレス化の推進
年賀状の作成には、はがき代や印刷代などの費用がかかります。送る枚数が多ければ、数千円から数万円の出費になることも珍しくありません。個人だけでなく企業にとっても、取引先や顧客への年賀状作成は大きなコストです。近年の物価高や経済状況の変化により、こうした費用を見直す動きが広がっています。
加えてSDGsや環境配慮の観点から、ペーパーレス化を推進する企業も増えました。デジタル化の推進により紙の消費を減らすことができ、環境負荷の軽減に繋がります。経済的・環境的な理由からも、年賀状じまいは検討されているのです。
年賀状じまいのメリット3つ
年賀状じまいには、大きく分けて3つのメリットがあります。
- 時間的・精神的負担を減らせる
- 費用を節約できる
- 人間関係を見直せる
それぞれ解説します。
時間的・精神的負担を減らせる
年賀状の準備には、想像以上に多くの時間とエネルギーが必要です。デザインの選定やメッセージの作成、宛名書きや印刷など、一連の工程を多忙な時期にこなさなければなりません。特に送る枚数が多い先生の場合、数日から1週間以上を費やすこともあるのではないでしょうか。
年賀状じまいをすれば、浮いた時間を家族との団らんや仕事の準備などに有効活用できます。書かなければというプレッシャーから解放され、気持ちにもゆとりが生まれるでしょう。
費用を節約できる
年賀状にかかる費用は、長期的に見れば大きな金額になります。たとえば2026年用の年賀はがきは1枚85円(税込)ですが、100枚送れば8,500円です。インク代や印刷代も合わせれば、1万円を超えるケースも珍しくありません。※1
※1:無地の場合。インクジェット写真用は1枚95円(税込)。
年賀状じまいによってコストがゼロになるため、経済的な負担が軽くなるでしょう。節約した費用を趣味や旅行、貯蓄などに充てられることは大きなメリットといえます。
人間関係を見直せる
長年続けているうちに、実際にはほとんど交流のない相手とも慣習的に年賀状を交換し続けているケースは少なくありません。年賀状じまいは、そのような人間関係を見直す良い機会になります。本当に大切にしたい関係は何か、どのような形で繋がりを維持したいのかを考えるきっかけとなるのです。付き合いを見直すことで、本当に大切な人との時間を今まで以上に充実させられるでしょう。
年賀状じまいのデメリット3つ
年賀以上じまいはメリットだけではありません。デメリットも理解したうえで検討しましょう。
- 伝統や正月らしさが失われる
- 関係が疎遠になる可能性がある
- 再び年賀状を送りにくくなる
それぞれ解説します。
伝統や正月らしさが失われる
年賀状は古くから続く伝統文化であり、年の初めに親戚や友人の近況を知る大切な機会。元旦に郵便受けを見る瞬間や、1枚1枚に目を通す作業は、お正月ならではの風物詩です。しかし年賀状じまいを選択すると、季節感や伝統的な慣習に触れる機会が減ってしまいます。
デジタルによる挨拶は手軽ですが、直筆の文字が持つ温かみや郵便物としての形ある重みは感じられません。また親世代や年上の相手には「年賀状が届くのが普通」という価値観が残っているケースも多いため、伝える際は配慮が求められます。
関係が疎遠になる可能性がある
年賀状は、日常的に連絡を取り合わない相手との繋がりを維持する役割を果たしています。特に遠方に住む親戚や学生時代の友人とは、年賀状が唯一の接点となっているケースもあるでしょう。
年賀状じまいによって、そうした人たちとの関係が疎遠になる可能性があります。相手によっては「関係を断たれた」と感じる場合も。今後も繋がりを大切にしたい人には、別のコミュニケーション手段を提案するなど一言添える心配りが必要です。
再び年賀状を送りにくくなる
年賀状じまいをしたあと、生活に大きな変化が起きたことで「もう一度、年賀状で近況を伝えたい」と思うかもしれません。しかし一度「最後にします」と伝えると、再び年賀状を送りたくなったときの心理的ハードルが高くなります。
そのため年賀状じまいをする際は「今後は無理のない範囲で」など、柔らかい表現を選ぶのがおすすめです。再び年賀状を送る際は、素直に「生活が落ち着いたので久しぶりにご挨拶させていただきます」といった一言を添えると違和感なく再スタートできるでしょう。
年賀状じまいの主な方法4つ

年賀状じまいをする際には、相手に失礼のない方法で意思を伝えることが大切です。ここでは、4つの方法を紹介します。相手との関係性や、状況に合わせて選ぶとよいでしょう。
- 年賀状で伝える
- 口頭で直接伝える
- 寒中見舞いで伝える
- メール・SNSで伝える
それぞれ解説します。
1.年賀状で伝える
一般的かつ違和感が少ないのは、年賀状そのものを使って「今回を最後にします」と伝える方法です。従来の挨拶にプラスして、感謝の言葉と今後の関係について一言添えると、相手に誤解を与えない締めくくりができるでしょう。「これからも変わらぬお付き合いをよろしくお願いいたします」といった前向きな言葉を加えると好印象です。
2.口頭で直接伝える
家族や友人、会社の同僚など普段対面で会う相手には、直接言葉で伝えるのもおすすめです。対面で伝える場合、相手の反応を見ながら柔軟に対応できます。たとえば「最近はLINEでのやり取りが多いため、来年からは年賀状を控えようと思っています」といった形なら、自然で角も立ちません。文章では表現しにくいニュアンスも伝えられるため、誤解も減らせるでしょう。
3.寒中見舞いで伝える
寒中見舞いを利用して、意思を伝える方法もあります。寒中見舞いとは、一般的に松の内を過ぎてから立春までに送る挨拶状です。相手からの年賀状に対する返信の役割を果たしつつ、辞退の意思を伝えられます。
いただいた年賀状への感謝を添えたうえで、来年から控えたい旨を伝えれば失礼のない対応ができるでしょう。年賀状じまいを考えていたものの、年末の忙しさで年賀状には案内文を入れ忘れた先生にもおすすめの方法です。
4.メール・SNSで伝える
近年は友人や知人など比較的カジュアルな関係性の相手に対して、メールやSNSを利用して伝えるケースも増えています。若い世代や、デジタルコミュニケーションに慣れた相手に適した方法といえるでしょう。
「新年の挨拶をこのメッセージで失礼します」と前置きを入れ、そのうえで今後は挨拶を控える旨を記載すれば、意図は充分に伝わります。ただし年賀状という文化を重んじる相手や、目上の相手に対してデジタルで辞退を伝えるのは、失礼にあたる可能性があるため注意が必要です。
【文例付き】年賀状じまいにおすすめのタイミング4選
年賀状じまいは「いつ伝えるか」で相手の受け取り方が変わります。ここでは、伝えやすい4つのタイミングを紹介します。
- 転職・退職
- 引っ越し
- 家族構成の変化
- 高齢に伴う終活
例文も交えながら解説するので、参考にしてください。なお、年賀状に記載する文章には、句読点を使わないのが一般的です。
転職・退職
職場環境の変化は、年賀状じまいの理由として納得してもらいやすいタイミングです。30代であれば新しいキャリアへの挑戦という前向きな文脈で伝えられますし、60代であれば生活リズムの変化や体調への配慮を添えると丁寧な印象になります。
【転職が理由の場合】
これまで温かいご挨拶をいただき心より感謝申し上げます
このたび新天地で新たな挑戦を始めることとなりました
誠に勝手ながら今回を最後に年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます
今後はメールやSNSでお付き合いいただければ幸いです
本年もどうぞよろしくお願いいたします
【定年退職が理由の場合】
昨年に定年退職したことを節目とし終活を始めることとしました
つきましては終活の一環として本年にて年賀状を書き納めとする所存です
今後はSNS経由で新年のご挨拶を行わせていただきます
今後も変わらずのお付き合いをよろしくお願い申し上げます
引っ越し
住所変更も、年賀状じまいに適したタイミングです。住環境が変わることで、地域の行事や生活リズム、人間関係などが変動します。新居に落ち着くまでの期間は、年賀状の準備に時間を割けない状況になりやすいでしょう。説明する際は「新生活に合わせて少しスケジュールを整理したい」というニュアンスで伝えると、相手も納得しやすいです。
【例文】
このたび遠方へ転居することになり生活環境が大きく変わります
新たな暮らしを始めるにあたり
誠に勝手ながら今後は年賀状によるご挨拶を控えさせていただきます
これからはメールなどでご連絡させていただけますと幸いです
家族構成の変化
介護の開始や子育ての多忙化など家庭内の状況が大きく変わる場合も、年賀状じまいを理解してもらいやすいタイミングです。介護の場合は物理的な時間や精神的な余裕の不足を正直に伝えることで、相手の共感を呼びやすくなります。
忙しさを理由とする場合も「家族との時間を優先したい」といった前向きな表現を選ぶことで、ネガティブな印象を避けられるでしょう。
【介護が理由の場合】
家族の介護が必要となり年末年始は慌ただしく過ごしております
そのため勝手ながら年賀状でのご挨拶は控えさせていただきます
また改めて近況を報告させてください
今後ともよろしくお願いいたします
【忙しさが理由の場合】
プライベートの事情が重なり年賀状の準備が難しくなってまいりました
今後は電話やメールなどで近況をご報告させていただきますので
変わらぬお付き合いをお願いいたします
高齢に伴う終活
高齢になったことや終活の一環として、年賀状じまいをする事例は増えています。60代以上なら「終活を意識する年齢になったため今後は年賀状を控えます」と伝えるのが一般的です。しんみりしすぎないメッセージを添えると、読み手の負担を減らせるでしょう。ポイントは、長年の感謝を厚めに表現すること。最後は「時々お便りさせてください」など柔らかい文でまとめるとよいでしょう。
【例文】
長年にわたり心温まるお付き合いをいただきましたこと深く感謝申し上げます
健康を考えて年賀状は控えさせていただくことにいたしました
また折に触れて近況をお伝えできましたら幸いです
年賀状じまいの書き方マナーと注意点4つ
年賀状じまいの意向を伝える際には、失礼にあたらないよう細心の注意を払いましょう。ここでは、マナーと注意点をまとめました。
- 感謝の言葉と今後の付き合いについて書く
- 辞退の意思を明確にする
- 理由は簡潔かつ前向きに伝える
- 丁寧な文章を意識する
それぞれ解説します。
1.感謝の言葉と今後の付き合いについて書く
これまでの年賀状のやり取りや、交際に対する感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。長い期間にわたる付き合いであれば、その期間に対する感謝の一文を入れることが望ましいです。加えて「これからも変わらずお付き合いをお願いいたします」といった今後の関係を継続する意思も示すことで、相手に安心感を与えられます。
2.辞退の意思を明確にする
年賀状を控える意思は、わかりやすく明確に伝えることがポイントです。「誠に勝手ながら」「厚かましいお願いながら」など、丁寧な語調を用いながらも、曖昧さを残さない表現で書きましょう。相手も今後の対応に悩まず済みます。
3.理由は簡潔かつ前向きに伝える
辞退の理由は長々と説明せず、簡潔にまとめるのが基本です。「生活環境の変化」「体調管理のため」「終活の一環」などの言葉がよく使われます。理由に関してはネガティブに捉えられないよう、前向きで穏やかな表現を心がけましょう。なお、過度な言い訳は印象を悪くする恐れがあります。
4.丁寧な文章を意識する
語尾の使い方や表現に気を配り、丁寧で礼儀正しい文章を心がけましょう。「〜いたします」「〜させていただきます」といった敬語を正しく使うことはもちろんですが、同じ語尾の繰り返しは避け、文章全体にリズムを持たせることも大切です。温かみのある文体になるよう意識すると、相手の印象も良くなります。
まとめ
年賀状じまいは交流を終えるためではなく、生活リズムに合わせて挨拶の形を見直す行為です。背景にはSNSの普及や家族の時間の変化・費用負担など現実的な事情があります。伝えるときは感謝の言葉を述べ、理由を簡潔にまとめるのがポイントです。表現一つで印象は変わるため、柔らかく誤解を生まない文章を意識しましょう。
\ぜひ投票お願いします/
鶴巻 健太
新潟在住のSEOディレクターで「新潟SEO情報局」というサイトを運営中
ウイナレッジのコンテンツ編集を担当
朝は農業を楽しみ、昼はスタバのコーヒーと共にパソコンに向かうのが日課









