連載公務員試験合格への道しるべ
公務員試験は自治体によって受験内容が大きく変わります。そのため戦略立てて授業や課題を実施していく必要があります。この戦略を正しく立てるには、公務員試験の情報を正しく知ることが大切。本連載では公務員試験にまつわる「知って得する情報」や「合格へのノウハウ」を、豊橋創造大学公務員試験支援センターの伊藤先生が教えてくれます。
高卒程度公務員試験の二次試験まであと少し。先生方もあとひと踏ん張りといったところだと思います。
さて、今回は自己PRについてまとめました。今まさに私が学校で実践していることでもあります。先生方・学生の参考としてご覧ください。
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目次
自己PRは熱意がわかる
面接は「志望動機」と「自己PR」を聞けば、その練習回数がわかると言われています。
必ず聞かれる質問ですから、練習をしてくるはずです。この2つの質問がしっかりと回答できないようでは練習不足と評価されても仕方がないでしょう。
面接には必ず聞かれる質問とイレギュラーな質問が存在します。必ず聞かれる質問=誠実さ、イレギュラーな質問=臨機応変さ、積極性を評価されると言われています。ですから、自分が誠実さを強く推すのであれば、必ず聞かれる質問を特に充実させ、積極性をアピールするのであればイレギュラーな質問に対して備える必要があります。
自己PR作成のときに気を付けたいこと
自己PRとは、言い換えれば自分の良い点を伝えることになります。これから自分の良い点の見つけ方や自己PR作成方法をお示ししますが、前提としておさえておきたいことが1つあります。
以下はとある学生が市の面接で質問された項目を順に記載したものです。
- ○○市を希望したきっかけ
- 公務員として何をしたいか
- 併願状況
- 特に力を入れて取り組んだこと
- そこから何を得て、どう仕事に活かすか
- 部活について
- 自己PR
- 短所以外に改善するために努力していること
- 採用されたらどうするか
随分、後の方で自己PRを聞かれていますよね。
受験生はこのタイミングで自己PRを聞かれたことに驚いたと言います。自己PRを後の方で質問されると回答するのが難しいです。それは前に聞かれた質問と自分がしゃべろうとする自己PRが合致していないといけないからです。
そのため、「特に力を入れたこと」「仕事に活かせること」「部活動について」などと共通する自己PRをする必要があります。逆に言いますと、自己PRを「力をいれたこと」「仕事に活かせること」「部活動について」を柱にして自己PR構成をすれば矛盾が無くなります。
自己PRを、「質問が想定される内容」を意識しながら先にしっかりと決めておくと、どんな質問をされてもぶれないようになります。すなわち、聞いている側が安心して聞ける面接になります。内容も相手にとって理解しやすくなり、自分の良い点を相手に伝えやすい面接になります。
自分の良さの見つけ方
では、どうやって自分の良い点を見つけていくのか、順を追って説明をしていきます。
求められる人物像を確認し、それを自分の中に探す
自己PRは自分の良い点を相手に伝えることが役目です。言葉は受け取り手によって解釈が変わります。そのため、自分の良い点を伝える相手が誰なのか?を正しく考えることが重要です。
一例を挙げますと、あなたが、宿題をしないで友達付き合いを優先することは「友達にとっては良いこと」であっても「保護者や先生から見ると悪いこと」になるわけです。1つの行動でも良い評価をする人と、悪い評価をする人の両方が存在します。
面接の場合、相手は、自分が内定したい職場の職員ですから、その職場の価値で測った自分の良い点を自己PRしていくことが大事になります。事務職であれば慎重さは重要ですし、警察や消防など公安系の場合は慎重であることよりも行動力を求められます。自分の良い点を挙げてみて、この試験に使える良い点をまず、ピックアップすることが大事になります。
周囲に協力してもらう
とはいえ、自分で自分の試験に使える良い点を見つけることは大変です。自分で気が付かない場合は、保護者の方や学校の先生に聞いてみましょう。自分よりも周囲の人の方があなたの良い点について気が付いていることが多いためです。
また、周囲から気が付かされた良い点については「○○と周りから言われます」と表現することができるので比較的、面接試験で回答しやすくなります。自分で自分の良いところを見つけたとしても、一度、周りの人に聞いてみることをお勧めします。
自分の良さを伝える自己PR文の書き方
では、実際に自己PRをつくっていきましょう。
自己PR作成の準備
良い点が決まったら以下の準備をしてください。
- どうやって良い点を身に付けたのか
- それで何か成果を出したことがあるか
- それを仕事にどう生かすか
を箇条書きにします。自分の良い点を活かした実績とそれを仕事に活かす抱負という組み立てが必要になります。
たとえ良い点を見つけたとしても①から③の組み立てをすることができなければ、自己PRには不向きな良い点ということになります。
文章を組み立てて、誰かに聞いてもらう
良い点を見つけたら、文章で構成を練ります。まずは私は○○な人間です。と先に言いきりましょう。そして1.→2.→3.の順で文章をつくります。そうしますと、試験を受けるそれまでの自分の頑張ったこととその成果がわかる自己PRになり、相手にもあなたの職場での活躍する姿を想像できることが容易になります。
できたら誰かに直ぐに聞いてもらいましょう。文章で読んでもらっても構いません。そして、その内容に質問をしてもらいましょう。質問された数だけ、磨きがかかります。自分では気づかないことを気づかせてくれます。多くの質問は自己PRを完全に近いものに育ててくれます。ぜひ、自己PRを多くの人に指摘してもらいましょう。
職種研究を深く行う
自己PRは最後に、職場に活かしたいという誓いで終わります。その仕事に対する理解度が低いと、試験管は不安にかられます。
ホームページをみる、パンフレットを見るだけではわからない仕事内容があります。合格してからではなく、その仕事を目指す時点での深い職種への理解が必要なのです。ですから、職種研究は自己PRにも大きな影響を与えます。職種研究については以下の記事にまとめましたのでご覧ください。
関連記事:【公務員試験】面接試験突破力アップ!合格率を上げる職種研究の重要性
指導される先生は自己PRを生徒、学生に書かせてみてください。受験生の皆さんは手順通りに作ってください。早くから取り組みことが望ましいです。
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伊藤 圭一
豊橋創造大学短期大学部 教授
豊橋創造大学公務員試験支援センター長
公務員別科長
話すこと、相手にわかってもらうことが大好きで教員の道を目指す。
大学院修了後(教育学修士)、専門学校教員を経て現職。
楽しく授業をするのをモットーにして笑いのある授業を実践している。
特に授業の導入部分の面白さには定評があり、オンライン授業の際は「面白いよ」と学生が家族を誘って授業に参加させたこともあるほど。アクティブラーニングを軸とした授業が好評であり、教員向けの研修も担当している。
2022年度ベストティーチャー賞を受賞。