ロジカルシンキングとは?論理的な思考力を鍛える5つの方法を解説
ロジカルシンキングは、ビジネスシーンで役立つスキルとして多くの企業から注目されている考え方です。Webや書籍で知り、身につけたいと考えている先生も多いのではないでしょうか。
本記事では、ロジカルシンキングの基本を丁寧に解説します。身につけるメリットや代表的なフレームワーク、鍛え方について触れているので、ぜひ参考にしてください。
目次
ロジカルシンキングをわかりやすく解説
ロジカルシンキングは一つの考え方です。同じような単語もあり、混乱している先生も多いかもしれません。ここではロジカルシンキングの基本を解説します。
- 物事を論理的に考える思考法
- クリティカルシンキングとの違い
- ラテラルシンキングとの違い
それぞれ解説します。
物事を論理的に考える思考法
ロジカルシンキングとは物事を結論と根拠に分け、論理的な繋がりを捉える思考法です。日本語に訳すと「論理的思考力」となります。
たとえば、18時までに自宅へ帰宅する必要があるとしましょう。達成するために、どのように行動するべきか考えます。
- 18時までに自宅へ到着するためには17時30分に職場を出ればOK
- 17時30分に職場を出るために、10分前から帰宅準備を始めよう
- 余裕を持って帰宅準備を始めるために業務を17時に終わらせよう
上記のように、課題に対して筋道を立てて考えていくと矛盾なく行動できます。問題や目的を分解して考えていくのが基本で、一つの事柄に対して掘り下げていくため「垂直思考」ともいわれます。
クリティカルシンキングとの違い
クリティカルシンキングは、直訳すると「批判的思考」になります。物事を批判的に捉え、正しいかどうかを論理的に検証して本質を見極めていく考え方です。
たとえば「仕事で成果を出している人はセンスがある」という仮説に対して「本当にセンスがないと成果は出せないのか?」と疑い、成果を出すための方法を深掘りしていきます。
課題や問題に対して筋道を立てていくロジカルシンキングに対して、クリティカルシンキングは仮説や前提条件が本当に正しいのか疑うのが特徴です。
ラテラルシンキングとの違い
ラテラルシンキングは、事実や固定観念に捉われず物事を自由な発想で広げていく思考法です。直訳すると「水平思考」になります。
さまざまな視点で創造しながらアイデアを生み出していくため、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングのように結論は一つではありません。新しい発想を得たいときに活用できる思考法です。
ロジカルシンキングを鍛える4つのメリット
ビジネスシーンで重要といわれるロジカルシンキングですが、鍛えることで得られる主なメリットは次の4つです。
- 分析力が向上する
- 提案力が向上する
- 問題解決力が身につく
- 生産性を高められる
それぞれ解説します。
1.分析力が向上する
ロジカルシンキングは問題や課題を分解し、原因や構造を整理していきます。そのうえで「何が正しいのか」「なぜ、そのようになるのか」と筋道が通るように対応策を導いていくため、分析力の向上が期待できます。
2.提案力が向上する
ビジネスシーンでは、意見の食い違いが発生するシーンも多くあります。感情的・直感的に物事を伝えても、相手を納得させることは難しいでしょう。しかし、ロジカルシンキングを鍛えれば与えられた課題や問題に対し、根拠に基づいた結論を出すことが可能です。結果的に提案力が向上し、仕事をスムーズに進めやすくなるでしょう。
3.問題解決力が身につく
物事を分解・整理し、矛盾がないように順序立てて考えるロジカルシンキングは、問題解決力も身につけられます。仕事中に問題や課題が発生した際、素早く道筋を立てて考えられるようになれば、業務の効率化にも繋がるでしょう。
4.生産性を高められる
論理的に考える習慣がつくと、普段の業務もスムーズに進むようになります。「無駄なプロセスはないか」「効率化できる部分はどこか」と普段から意識することで、結果的に生産性を高められるでしょう。
ロジカルシンキングで活用される主なフレームワーク3つ
ロジカルシンキングは頭だけで考えようとすると難しいため、フレームワークの活用がおすすめです。ここでは、代表的なフレームワークを3つ紹介します。
- ロジックツリー
- ピラミッドストラクチャー
- MECE(ミーシー)
それぞれ解説します。
ロジックツリー
ロジックツリーは課題や問題、物事をツリー状にして分解していくフレームワークです。基本的に以下の3種類で構成されています。
- 要素分解ツリー:物事を分解し、要素を網羅的に把握する
- 原因究明ツリー:問題の根本原因を突き止める
- 問題解決ツリー:問題に対する解決策や改善策を挙げていく
ロジックツリーは、全体の問題を把握したいときや複雑な事柄をわかりやすく伝えたいとき、解決策を導き出したいときに活用されることが多いフレームワークです。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーは、結論や主張を頂点に配置し、その下に根拠を配置していくフレームワークです。ロジックツリーと似ていますが、主張に対しての説明や説得に使われるのがピラミッドストラクチャーです。
結論に至るまでのプロセスをわかりやすく伝えられるのが特徴で、会議時のプレゼンテーションや商談の場で役立ちます。
MECE(ミーシー)
MECEはロジカルシンキングの基本となる概念です。「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字から作られた単語で「漏れなく・重複なく」という意味を持ちます。結論を導き出すにあたって、見落としや重複がないかチェックする際に役立つでしょう。MECEを活用した代表的なフレームワークには、3C分析やAIDMAがあります。
ロジカルシンキングの代表的な3つの手法と例
ロジカルシンキングでは、筋道を立てて矛盾のない結論を出すための手法があります。代表的な手法は次の3つです。
- 演繹法(えんえきほう)
- 帰納法(きのうほう)
- 弁証法(べんしょうほう)
例を交えて解説します。
演繹法(えんえきほう)
演繹法(えんえきほう)は一般的な法則や前提から、より個別的な結論を得る手法です。たとえば「野菜には栄養がある」という前提で考えてみましょう。
- 大前提:野菜には栄養がある
- 小前提:トマトは野菜である
- 結論:だからトマトには栄養がある
上記のように2つの情報を関連付け、そこから結論を導き出します。「三段論法」ともいわれる手法です。
帰納法(きのうほう)
帰納法(きのうほう)は、複数の事例から一般的な法則や結論を導き出す手法です。たとえば、以下の事実があったとします。
- 日本の景気が悪い
- アメリカの景気が悪い
- インドの景気が悪い
上記の事実に共通するのは「景気が悪い」です。これらの共通点から「世界的に景気が悪いのでは」という結論を導き出すことができます。ただし、結論が一つになるとは限りません。
景気が悪いのは一部の国だけで、ほかの国は景気が好調の可能性もあります。「ほかにも情報がないか」「事実を誤認していないか」を考えることが大切です。
弁証法(べんしょうほう)
弁証法(べんしょうほう)は、一つの事柄に対して2つの対立する意見を出し、より高い次元の結論を導き出す手法です。両方の主張を切り捨てず、統合した解決案を導きます。
- 車移動は便利(A案)
- 車は維持費が高い(B案)
- 必要なときだけ使えるカーシェアリングを作ろう(結論)
弁証法を使えば矛盾や対立を否定せず、それらを乗り越えて新たな発想を生み出すことが可能になります。
ロジカルシンキングを鍛える5つの方法
ロジカルシンキングの習得はハードルが高いと考える先生もいるかもしれませんが、日常生活のなかで鍛えられます。主な方法は、次の5つです。
- わかりやすい言葉で簡潔に話す
- 目的の達成を意識する
- ディベートを実践する
- 相手の立場で考える
- 普段から仮説を立てて考える癖をつける
それぞれ解説します。できるところから取り組んでみましょう。
1.わかりやすい言葉で簡潔に話す
ロジカルシンキングで導き出した結論を相手に伝える機会も多いでしょう。しかし、難しい単語や抽象的な言葉で説明しても相手に伝わりません。日頃から、わかりやすい言葉で簡潔に話すよう意識しましょう。
また不要な情報を削り、結論から話すこともポイントです。最初に結論を話し、次に根拠となる考えを示すことで説得力を高められますよ。
2.目的の達成を意識する
ロジカルシンキングを意識すると、フレームワークや論理的思考ばかりに注力してしまう先生もいます。しかし、本来は目的達成の手段です。手法ばかりにこだわらず、常に目的達成を意識しましょう。
3.ディベートを実践する
ディベートとは、テーマを決めて自由に議論を交わすことです。さまざまな意見が飛び交うため、情報を分析する力や客観的に考える力を養えるでしょう。相手がいない場合は、自分で肯定派と否定派の意見を考えて討論するセルフディベートの実践がおすすめです。
4.相手の立場で考える
自分の考えだけに固執すると、前提の間違いや矛盾に気付けないまま誤った結論に至る可能性もあります。ロジカルシンキングを鍛えるためにも、相手の立場に立って考える癖をつけましょう。考えたことを紙に書いて読み返してみる、第三者に意見を聞いてもらうのも効果的です。
5.普段から仮説を立てて考える癖をつける
日常生活を過ごすうえで、どのようなことにも仮説を立てて考える癖をつけるのがおすすめです。たとえば、営業成績で1位を取れたときに「今回成果を出せたのは、顧客一人ひとりに丁寧に対応したから」と仮説を立てます。そして仮説が正しいか検証していくのです。
正しければ今後も継続し、間違っていると判断したら新しい仮説を立てて実践していきます。このように仮説と検証を繰り返すことで、論理的に考える力が養われるでしょう。
まとめ
ロジカルシンキングを鍛えると、分析力や提案力の向上、業務の効率アップが可能です。コミュニケーションも今まで以上にスムーズになるでしょう。日常的に意識・行動していくことで鍛えられるので、できる部分から始めてみてはいかがでしょうか。
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佐藤 なおか
移住により新潟で活動するWebライター
趣味は飲み歩き(ビール好き)とドライブ