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ジェンダーフリーとは?ジェンダーレスとの違いや学校での取り組み事例を解説

最近耳にする機会が増えた「ジェンダーフリー」という用語。しかし、正しく理解できているか自信がない先生も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ジェンダーフリーの基本や具体例、問題点を解説します。学校で実施されている取り組み事例も紹介しているので、ジェンダーフリーについて考える際の参考にしてください。

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ジェンダーフリーとは?基本をわかりやすく解説

ジェンダーに関する問題は複雑なため、さまざまな視点から考えていかなければなりません。まずは基本を押さえましょう。

  1. ジェンダーフリーの意味
  2. 注目される背景
  3. 日本のジェンダーギャップ指数
  4. ジェンダーレスとの違い

それぞれ解説します。

1.ジェンダーフリーの意味

人には、持って生まれた生物学的な性差(sex/セックス)があります。それとは別に、社会や文化によって作り上げられた性差がジェンダーです。たとえば「男性だから社会に出て働くべき」「女性は育児を優先するべき」などは、性別による固定観念から生まれた考え方です。

自分とは異なる考え方や価値観に、生きづらさを感じる人も。固定観念をなくし、性別に捉われず自分らしさを発揮できる社会を目指す考え方がジェンダーフリーです。職業選択や家庭内での役割分担など、性別に関係なく自由に選べる社会が理想とされています。

2.注目される背景

ジェンダーフリーが注目される背景には、ライフスタイルの多様化や価値観の変化が挙げられます。かつては仕事やプライベートなどさまざまなシーンで、性別による役割分担の意識がありました。

しかし現代は、女性が外に出て働き、男性が家事に専念することも。つまり、これまでの固定観念が現代のライフスタイルに合わなくなりつつあるのです。これにより、性別による役割分担意識が個人の選択肢を狭め、能力の発揮を妨げているという問題意識が高まってきたと考えられます。

またSNSの普及によって、ジェンダーフリーに関する意見や事例が共有されるようになりました。結果的に、多くの人がジェンダーについて考えるようになったのではないでしょうか。

3.日本のジェンダーギャップ指数

2006年から世界経済フォーラムによって毎年発表される指数が、ジェンダーギャップ指数です。教育・経済・保険・政治の4分野で構成されており、数値が1に近いほど平等を表します。

2024年6月12日に発表された指標によると、日本のスコアは0.663でした。順位は146カ国中118位です。世界に比べると高いとはいえず、ジェンダーに関して取り組むべき課題は多いのが現状です。なお1位はアイスランドで、スコアは0.935となっています。

4.ジェンダーレスとの違い

関連用語として、広く知られているのが「ジェンダーレス」です。似ているように思えるかもしれませんが、実は細かい違いがあります。ジェンダーレスは「男女間の区別や境界線をなくそう」という考え方のこと。

たとえば、以前は男性の医療従事者を「看護士」、女性の医療従事者を「看護婦」と呼び分けしていましたが、現在は「看護師」に統一されています。またユニフォームも、性別に捉われないスタイルへと変化しました。このように、性別による違いをなくそうというのがジェンダーレスです。

身近にあるジェンダーフリーの具体例3つ

私たちの生活には、ジェンダーフリーの考え方が徐々に浸透してきています。身近にある具体例は、以下の3つです。

  • 性別に捉われない職業の選択
  • 性別による役割分担の見直し
  • ファッション選択の自由化

それぞれ解説します。

性別に捉われない職業の選択

現代では、性別に基づく職業選択が見直されつつあります。たとえば女性がエンジニアやパイロット、男性が看護師や保育士といった職業を選ぶケースも増えてきました。性別によって職業選択が制限されることなく、個人の能力や適性に応じた仕事を自由に選べる社会が、ジェンダーフリー実践例の一つです。

性別による役割分担の見直し

家庭内においても、ジェンダーフリーの考え方が進んでいます。男性が家計を支え、女性が家事や育児を担うのがあたり前とされていましたが、今では夫婦共働きが増え、家事や育児も性別に関係なく分担する家庭が増加傾向にあります。子どもの誕生後に男性が育児休暇を取得し、妻が職場復帰するケースも増えてきました。

このような役割分担の変化は、女性の社会進出を後押しするとともに男性の家庭生活への参加を促進し、ワークライフバランスの改善にも繋がるでしょう。

ファッション選択の自由化

「女性はスカートをはくべき」「男性だからピンクは着るべきではない」などの固定観念は、個性を抑え込む原因の一つです。しかし最近は、生物学的性別による区分けが曖昧になり、個人の好みや個性を重視したスタイル選びが主流になりつつあります。

ジェンダーフリーの取り組みにより、ファッションを通じて個性を表現することが容易になったといえるでしょう。

現状におけるジェンダーフリーの問題点3つ

ジェンダーフリーの取り組みには、問題点もあるのが現状です。

  • 反対意見もある
  • 行き過ぎた取り組みにも注意が必要
  • 誤解されているケースも

それぞれ詳しく解説します。

反対意見もある

賛同の声がある一方で、推進に違和感を持つ人も少なくありません。なかには「伝統的な価値観が壊れるのではないか」「役割分担をなくすことで混乱を招くのではないか」といった反対意見も根強く存在します。

一方の意見だけを尊重して強引に取り組みを進めてもうまくいかないでしょう。反対意見にも耳を傾け、丁寧に進めていく必要があります。

行き過ぎた取り組みにも注意が必要

ジェンダーフリーを実現しようとする過程で、行き過ぎた取り組みが問題視されるケースも。たとえば「男女平等に呼べる」「言葉遣いが優しくなる」などの理由から、クラスメイトを「あだ名」や「呼び捨て」で呼ばずに「さん付け」で統一する小学校が増えています。しかし、あだ名で呼ぶことによって親近感が湧いたりコミュニケーションが深まったりするケースもあるでしょう。

そのため「さん付け」で統一する取り組みに関しては、心理的な距離を感じるなどの理由から否定的な意見もあるようです。呼び方を指定する場合は、学生に理由を説明する必要があるでしょう。

誤解されているケースも

ジェンダーフリーは、性別の違いを否定するものではありません。生物学的な違いに配慮しつつ、社会的・文化的に作られた固定観念を見直そうという考え方です。

しかしなかには、生物学的な違いを無視して男女を平等に扱う考え方だと誤解しているケースもあります。このような誤解から、ジェンダーフリーに対して否定的な人もいるでしょう。

過去には、教育現場で男女の着替えスペースが共有化された例もあったようですが、体の構造が異なる以上、このような取り組みは社会的に正しいとはいえません。社会や文化が生み出した固定観念による性差をなくし、個人の能力が発揮できる社会を目指すためのものであることを理解したうえで、取り組み方を考える必要があります。

ジェンダーフリー実現に向けた学校での取り組み事例4つ

学校は学生が社会性を養い、さまざまな価値観に触れる場です。近年はジェンダーへの理解を深めるため、多くの学校でさまざまな取り組みが実践されています。ここでは、主な事例を4つ紹介します。

  1. ジェンダーフリートイレの設置
  2. 制服の多様化
  3. 性別の固定観念を押し付ける言葉は使わない
  4. 知識を深めるためのカリキュラムの導入

それぞれ見ていきましょう。

1.ジェンダーフリートイレの設置

性別に関係なく誰でも利用できるのが、ジェンダーフリートイレです。トランスジェンダーの学生や、自分の性別に対して違和感を抱える学生にとって、ジェンダーフリートイレの存在は安心感を与えるでしょう。

たとえば愛知県豊川市立長沢小学校には、これまでの男女別トイレに加えて男女共用、男女共用で車いすも利用可能なトイレが設置されています。また千葉大学の墨田サテライトキャンパスでも、実証実験としてジェンダーフリートイレを設置。入口に空き状況を確認できるシステムを導入し、性的少数者の人にも配慮したトイレとなっています。

2.制服の多様化

制服にもジェンダーフリーの取り組みが広がっており、スラックスやスカート、ネクタイ、リボンを自由に選べる学校が増えてきました。これにより学生は自分の性別に捉われず、より快適で個性を発揮できる学校生活を送れるでしょう。

3.性別の固定観念を押し付ける言葉は使わない

「男性はこうであるべき」など固定観念を押し付ける言葉遣いは、学生の選択肢や可能性を狭めるリスクがあります。たとえば「男の子だからスポーツするべき」「女の子だから料理を覚えるべき」などの言葉は、学生個人の才能を無視した一方的な期待となる恐れがあるでしょう。そのため近年は、固定観念を押し付けないよう言葉に配慮する学校が増えているようです。

4.知識を深めるためのカリキュラム導入

ジェンダーフリーを正しく理解し、社会に出てからも実践できるようにするためには、学校での教育が欠かせません。たとえば大阪府和泉市の中学校では、ジェンダーに関する知識を深めるためのカリキュラムを導入しています。偏見や固定観念について学生同士で話し合い、意識を見直す機会を設けて理解を深めているようです。

まとめ

ジェンダーフリーは性別による不平等や固定観念をなくし、すべての人が自分らしく生きられる社会を目指す考え方です。ライフスタイルや価値観の多様化によって注目されており、教育現場や日常生活のさまざまな場面で取り組みが進められています。一方で反対意見や誤解も存在するため、慎重にアプローチしていく必要があるでしょう。私たち一人ひとりが正しい知識を持ち、行動していくことが大切です。

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