
連載知っておきたいインターンシップのこと
在学中の学生が企業内で就業体験を行う「インターンシップ」。インターンシップは、学生が自己の適正を把握したり仕事の内容を理解するための重要なイベントです。この連載ではそんなインターンシップについて様々な情報をお伝えします。
学生が将来のキャリアを考えるうえで、欠かせない機会となりつつあるインターンシップ。以前は、企業がインターンシップで得た学生情報を新卒採用に活用するのはNGとされていました。しかし2025年卒からは、ガイドラインに沿っていることを前提に可能となっています。
本記事では、採用直結型インターンシップの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。参加時のポイントもまとめたので、学生の進路指導にお役立てください。
目次
採用直結型インターンシップとは?

採用直結型インターンシップとは、採用に繋がる可能性があることを前提とした制度です。インターンシップで一定の評価を得た学生に対し、企業が早期に選考機会の提供や内定を出すことが可能になりました。これは、インターンシップが事実上の就職活動の場になったことを意味します。
「この企業で働きたい」「いち早く内定を得て安心したい」と考える学生にとって、魅力的な制度といえるでしょう。参加する際は、通常のインターンシップ以上に高い意識と準備が求められます。企業側にとっても、早期に優秀な人材を確保できる点は大きなメリットです。
採用直結型インターンシップの3つの特徴
適切な対策を立てるためにも、従来のインターンシップとの違いを理解しておきましょう。採用直結型インターンシップの主な特徴は、次の3つです。
- 事前選考があるケースが多い
- プログラム内容は実際の業務に近い
- 参加期間が長い
それぞれ解説します。
事前選考があるケースが多い
多くの場合、エントリーシートや面接などの事前選考があります。つまり、就職活動さながらの準備が必要です。誰でも参加可能な従来型とは異なり、選考を通過した学生のみが参加できるため、企業側にとって「本気で自社に興味を持ち、一定の能力を有する学生」を選抜しやすくなるでしょう。
学生側にとっても「選考を突破した」という自信がモチベーションに繋がり、真剣に取り組む姿勢が生まれやすくなります。
プログラム内容は実際の業務に近い
採用直結型インターンシップの多くは、実際の業務に近い内容が組み込まれています。たとえばWebマーケティング関連の企業なら、現場社員と同じチームに入って広告運用やデータ分析に携われることも。
これにより企業は、学生のスキルや人柄をより深く見極められます。学生側もリアルな現場体験を通じて自分の適性を確認できるため、双方のミスマッチ防止にも繋がるでしょう。
参加期間が長い
数週間から数カ月にわたる長期プログラムが多い点も特徴です。なぜなら採用直結型インターンシップを実施するにあたって、一定の条件を満たす必要があるからです。たとえば「汎用能力活用型」インターンシップの場合は5日以上、「専門活用型」なら2週間以上の期間を設定しなければなりません。
長期間にわたり企業文化や業務に触れることで、表面的な理解にとどまらず価値観や働き方を深く知ることができます。業務の流れだけでなく、チームワークの重要性も実感できるでしょう。長期的な関わりを通じて、双方が相性を確かめられる点もメリットです。
採用直結型インターンシップに参加する3つのメリット
採用直結型インターンシップには、従来のインターンシップとは異なるメリットがあります。それが次の3つです。
- 早期に内定を獲得できる可能性がある
- より深く業界や企業を知る機会になる
- 実践的なスキルを習得できる
それぞれ解説します。
早期に内定を獲得できる可能性がある
採用直結型インターンシップで高い評価を得られれば、前倒しで選考が進むことも多く、早期に内定を獲得できる可能性があります。「早く就職活動を終えてプレッシャーから解放されたい」「残りの学生生活を充実させたい」と考える学生にとって、大きなメリットといえるでしょう。
より深く業界や企業を知る機会になる
実際の業務に携わることで業界の動向や企業文化、事業内容を深く理解できる点もメリットです。現場での経験を通じて「この業界で本当に働きたいか」「企業の価値観に共感できるか」を判断する材料が得られます。納得感を持って入社を決められるため、ミスマッチのリスクを大幅に軽減できるでしょう。
実践的なスキルを習得できる
実際の業務に近いプログラムが中心となるため、実践的なスキルを身につけられる点も魅力です。たとえばビジネスメールの作成や顧客対応、資料作成やマーケティング分析など、即戦力として求められるスキルを在学中に経験できることは、ほかの就活生と差をつけるための大きな強みになります。現場で活躍する社員からフィードバックを受けられることも多く、自分の強みや成長すべき点を客観的に理解する貴重な機会となるでしょう。
採用直結型のインターンシップに参加する2つのデメリット
多くのメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。理解したうえで参加を検討しましょう。
- 業界や企業を幅広く見られなくなるリスクがある
- インターン参加中のプレッシャーが大きい
それぞれ解説します。
業界や企業を幅広く見られなくなるリスクがある
特定の企業に深く関われる一方で、ほかの業界や企業を比較検討する時間や機会が限られてしまう可能性があります。「この業界が本当に合っているのか」を見極める前に、意思決定を迫られてしまう学生も少なくありません。
特に「就職活動を早く終わらせたい」という気持ちが先行すると、視野が狭くなってしまうことも。将来の方向性が定まっていない段階で参加を決める場合は、慎重な検討が必要です。
インターン参加中のプレッシャーが大きい
「採用」を意識するため、参加中のプレッシャーが大きくなりがちです。実際の業務に近い内容や長期間のプログラムでは、常に成果や行動が評価対象となります。そのため「失敗したらどうしよう」「期待に応えられるだろうか」と不安を感じる学生も少なくありません。
学生が実力を出せるよう、学校側でも悩みや不安を相談できる窓口を設けるなどのサポートをするとよいでしょう。
採用直結型のインターンシップに参加する際のポイント

採用直結型のインターンシップを最大限に活用するために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
- 事前に企業研究する
- 内定獲得だけを目的にしない
- 主体性を持って行動する
それぞれ解説します。
事前に企業研究する
参加前には企業の業務内容や理念、ビジョンなど入念なリサーチが欠かせません。企業のWebサイトやIR情報、関連するニュース記事などを参考に理解を深めておきましょう。業界での立ち位置や求める人材像などを事前に把握しておくことで、参加中の行動や発言にも説得力が生まれます。
内定獲得だけを目的にしない
内定獲得のチャンスがある一方で「内定だけを目指して参加する」のはおすすめできません。インターンシップは企業や業界、仕事の実態を知る貴重な機会です。自分の適性や価値観を見つめ直し、将来のキャリアについて深く考える場として活用しましょう。
主体性を持って行動する
期間中は、誰かから指示があるまで待つのではなく、主体的に取り組む姿勢が求められます。企業側は「この学生と一緒に働きたいか」を重視して見ているため、自発的な行動や積極的な質問は好印象を与えられるでしょう。自身の成長を養う機会にもなり、インターンシップをより有意義な時間にできます。
採用直結型のインターンシップを探す3つの方法
採用直結型インターンシップは、主に以下の方法で探せます。効率的に探したいなら、複数の方法を併用するのがおすすめです。
- 専門の就活サイト・インターンサイトを活用する
- 逆求人型サイトを活用する
- キャリアセンターを活用する
順番に解説します。
専門の就活サイト・インターンサイトを活用する
インターンシップの募集に特化したサイトでは、採用直結型インターンの特集ページや検索機能が充実しています。募集企業の条件や過去の参加者の口コミも掲載されているため、比較検討しやすいのが特徴です。インターンシップに関するコラムが充実しているサイトも多く、情報収集にも役立つでしょう。
逆求人型サイトを活用する
逆求人型サイトとは、学生がプロフィールや希望条件を登録することで企業側からスカウトを受けられる仕組みのサービスです。自分では思いもしなかった企業と出会える可能性があるほか、スカウトを受けることで自分の市場価値を把握することもできます。
よりマッチング率の高い企業からオファーをもらうためには、自己PRやスキル、興味のある業界などを具体的に記載することがポイントです。
キャリアセンターを活用する
キャリアセンターは、学生の就職活動や進路選択をサポートする部署です。学校独自のネットワークを通じて、一般には公開されていない限定募集のインターン情報を得られることもあります。
またエントリーシートの添削や面接対策、企業研究のサポートなど、就職活動全般にわたる支援が受けられる点もメリットです。困ったときや迷ったときは、積極的に相談してみましょう。
まとめ
採用直結型インターンシップは、2025年卒から正式に認められた新しい制度です。参加する際は入念に準備し、選ばれるためだけでなく「成長するため」の意識を持って臨むことが大切です。学校側でも、学生が後悔のない選択をできるようサポートしていきましょう。
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佐藤 なおか
移住により新潟で活動するWebライター
趣味は飲み歩き(ビール好き)とドライブ









