実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!

実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!|ウイナレッジ WE KNOWLEDGE

実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!

TOP教養その他高校「情報Ⅰ」教科書全13冊を紹介!シェアは?言語は?

高校「情報Ⅰ」教科書全13冊を紹介!シェアは?言語は?

2022.09.01 (最終更新:2024.03.27) その他 学科特化情報

連載専門学校教職員が知っておきたい高校「情報Ⅰ」

令和4(2022)年4月より高等学校教育に必履修科目として新導入された「情報Ⅰ」。この連載では教科用図書(文部科学省検定済教科書)13冊の分析を通し、「入学生の前提知識がどのくらい変わってくるのか」「各教科書のプログラミング教育のレベル感」など、専門学校の先生方が知っておきたいポイントをご紹介していきます。

令和4(2022)年4月より「情報Ⅰ」が必履修科目として高等学校教育に導入されました。
「情報Ⅰ」を学んだ生徒たちが専門学校に入学してくるのは令和7(2025)年4月。
特に情報処理・IT系の専門学校では、入学生たちが前提として持っている知識がどのくらい変わってくるのか、気になるところではないでしょうか。

この連載では、令和4年に発行された情報Ⅰの教科用図書(文部科学省検定済教科書)13冊を分析し、専門学校の先生方向けに知っておきたいポイントをご紹介します。
第1回となる今回は、科目「情報Ⅰ」の概要、13冊の教科書ラインアップと各教科書が扱うプログラミング言語などを大まかに紹介します。
第2回以降は、各教科書のプログラミング教育のレベル感などを掘り下げていきます。どうぞお役立てください。

こちらも読まれています

高校「情報Ⅰ」の概要

共通教科「情報」が高等学校学習指導要領に設置されたのは、平成11年改訂の旧・高等学校学習指導要領でのこと。この旧・学習指導要領では、共通教科「情報」は「社会と情報」「情報の科学」の2科目の選択必履修でした。

平成30(2018)年改訂の新・高等学校学習指導要領(令和4年より実施)で、共通教科「情報」は必履修科目「情報Ⅰ」と発展的な選択科目「情報Ⅱ」の2科目構成に。そして、大学入学共通テストにも令和7年度試験以降「情報」科目(出題範囲は「情報Ⅰ」)が加わることになりました。

[文部科学省]高等学校学習指導要領 情報科関係資料
[大学入試センター]令和7年度以降の試験に向けた検討について

実際に教科書を見てみると、「情報Ⅰ」は、単にパソコンの使い方を習ったり、プレゼンテーションを練習したりする科目ではないことがわかります。情報に関する広い内容を扱い、問題の発見・解決に向けて事象を情報とその結び付きの視点から捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を育む科目です。全ての生徒が、プログラミング、ネットワーク、情報セキュリティ、データベース、データ活用の基礎等について学習します。

学習指導要領では、「情報Ⅰ」の科目内容として以下の4つの領域が挙げられています。

(1) 情報社会の問題解決
(2) コミュニケーションと情報デザイン
(3) コンピュータとプログラミング
(4) 情報通信ネットワークとデータの活用

各領域の詳しい説明は、文部科学省「【情報編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」第1部第2章第1節をご参照ください。

おもな教科書概要

令和4年に発行された情報Ⅰの教科用図書(文部科学省検定済教科書)は以下の13冊です。

東京書籍

『新編情報Ⅰ』(情Ⅰ701)
『情報Ⅰ Step Forward!』(情Ⅰ702)

実教出版

『高校情報Ⅰ Python』(情Ⅰ703)
『高校情報Ⅰ JavaScript』(情Ⅰ704)
『最新情報Ⅰ』(情Ⅰ705)
『図説情報Ⅰ』(情Ⅰ706)

開隆堂

『実践 情報Ⅰ』(情Ⅰ707)

数研出版

『高等学校 情報Ⅰ』(情Ⅰ708)
『情報Ⅰ Next』(情Ⅰ709)

日本文教出版

『情報Ⅰ』(情Ⅰ710)
『情報Ⅰ図解と実習-図解編』(情Ⅰ711)
『情報Ⅰ図解と実習-実習編』(情Ⅰ712)

第一学習社

『高等学校 情報Ⅰ』(情Ⅰ713)

教科書のシェア

それぞれに特色のある各社13冊の教科書ですが、どの教科書がよく使われているのかは気になるところですよね。ここでは一例として、東京都が公表している都立高校の令和4年度教科書採択結果を見てみましょう。

164校のうち、実教出版『最新情報Ⅰ』(情Ⅰ705)が33校でトップ。
東京書籍『新編情報Ⅰ』(情Ⅰ701)24校、日本文教出版『情報Ⅰ』(情Ⅰ710)18校と続きます。

[東京都教育委員会]令和4年度使用教科書の採択結果(都立高等学校、都立中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部)

また、アシアル情報教育研究所が公表している自社主催セミナー参加者アンケート(回答数488人)の結果でも、実教出版『最新情報Ⅰ』(情Ⅰ705)がトップ。実教出版『高校情報Ⅰ Python』(情Ⅰ703)、東京書籍『新編情報Ⅰ』(情Ⅰ701)が続きます。

[Monaca Education]「情報Ⅰ」の教科書とプログラミング言語に関するアンケート結果

教科書の内容概観

各教科書の内容は次回以降詳しく掘り下げていきますが、ここではざっと章立ての概観をつかむために実教出版『最新情報Ⅰ』(情Ⅰ705)の目次を見てみましょう。

第1章 情報社会と私たち
第2章 メディアとデザイン
第3章 システムとデジタル化
第4章 ネットワークとセキュリティ
第5章 問題解決とその方法
第6章 アルゴリズムとプログラミング

いずれの教科書も章立てはおおむね近いものになっていますが、特に違いが表れるのはアルゴリズムとプログラミングの領域です。

教科書で扱われているおもなプログラミング言語一覧

各教科書で扱われるプログラミング言語をまとめると以下のようになります。

各教科書で扱われるプログラミング言語一覧

東京都立高校で最も多く採用されている実教出版『最新情報Ⅰ』(情Ⅰ705)で扱う主な言語はVBA。実教出版ではPythonやScratch・VBAを扱う副教材が用意されているため、プログラミング言語を扱う実習面を副教材で補うこともできそうです。

また、東京書籍『新編情報Ⅰ』(情Ⅰ701)では小中学校での既習言語であるScratchやPythonがいずれも扱われ、小中高接続が意識されている印象です。Python初学者でも比較的取り組みやすい構成になっています。

東京書籍の2冊は巻末に「ふりがなプログラミング手帳」を収録していたり、Web教材が付属していたりと、独自の学習サポートが充実しています。

各教科書は、扱う言語も様々ですが、プログラミング言語に割くページ数にもかなり差があります。詳細は次回以降お伝えしますが、扱う言語や難易度、ページ数などの違いから、各教科書の想定学習者層や特色が見えてきます。

まとめ

今回は、高等学校の「情報Ⅰ」で扱う内容について簡単にご紹介しました。
次回以降は、「情報Ⅰ」の教科書で取り上げられているプログラミング言語について、扱っている内容やカバーしている範囲などについて詳しくご紹介します。

***

2023.2.17 追記
連載:専門学校教職員が知っておきたい高校「情報Ⅰ」が完結いたしました。
すべての記事(全5話)はこちらでご覧いただけます。

***

こちらも読まれています

この記事は役に立ちましたか?

\ぜひ投票お願いします/
この記事を書いた人
真南風文藝工房 代表

真南風文藝工房 代表

ライター・サイエンスコミュニケーター
工学修士(航空宇宙学)
自動車メーカーでの先行開発エンジニアを経験した後、理系教材編集(小中高理科テスト編集・高校数学・中学校理科教科書編集)職に転向。
近年は環境・航空・宇宙・自動車・理科・数学・サイエンスなどを中心に幅広い分野での執筆活動にも取り組んでいる。

週間アクセスランキング

週間アクセスランキング

お問い合わせ
LINE登録
メルマガ登録
LINE登録
メルマガ登録
トップへ戻る