
「割合になると急に手が止まる」 「電卓ならできるのに、筆算になると解けなくなる」 「専門科目以前に、計算問題でつまずいてしまう」
専門学校の現場では、このような学生対応に悩む先生も多いのではないでしょうか。
特に、医療・IT・ビジネス・製菓などの分野では、割合や分数、単位換算などの基礎計算が理解できないことで、専門授業や資格学習にも影響が出るケースがあります。
「専門学校生なのに、小学校レベルの学習まで戻ってよいのだろうか」と悩む先生も少なくありません。しかし数学嫌いの背景には“どこか一部分の理解不足”が隠れていることも多く、必要に応じてつまずきポイントまでさかのぼる必要があります。
数学は“積み上げ型”の学習であるため、一度つまずくと、その後の学習にも影響が出やすい教科です。特に、四則演算・分数・割合など、小学校〜中学校段階の理解不足が、専門学校での学習や資格取得にも影響するケースがあります。
本記事では、ウイナレッジ連載「学生の『数学嫌い』を克服!つまずき解消ピンポイント解説&演習」の内容をもとに、専門学校生がつまずきやすい数学分野と、その原因・指導ポイントをまとめて解説します。
学生の基礎学力指導やリメディアル教育の参考として、ぜひお役立てください。
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目次
なぜ専門学校生は「数学嫌い」になってしまうのか
専門学校に入学する学生の中には、数学に強い苦手意識を持っている人も少なくありません。
その大きな理由の一つが、数学が「積み上げ型学習」であることです。
数学は、前の単元の理解を前提に、新しい内容を学習していく教科です。そのため、どこか一つでも理解が曖昧なまま進んでしまうと、その後の単元でも連鎖的につまずきやすくなります。
例えば、
- 繰り上がり・繰り下がり
- わり算
- 分数
- 割合
- 面積・体積
などは、それぞれが繋がっています。
わり算が苦手なまま分数を学ぶと約分・通分でつまずき、その先の割合の理解にも影響します。さらに、割合の理解不足は、専門分野の計算や資格試験にも影響することがあります。
だからこそ、「どこでつまずいているのか」を見つけ、基礎まで戻って復習することが重要です。
数学でつまずきやすいポイント一覧
| つまずきやすい単元 | よくある原因 | 指導のポイント |
|---|---|---|
| 繰り上がり・繰り下がり | 数の分解が苦手 | 「10を作る感覚」を反復する |
| わり算 | 九九・位取りが曖昧 | 手順を固定して練習する |
| 分数 | わり算の理解不足 | 図でイメージ化する |
| 割合 | 「もとにする量」がわからない | 身近な例で考える |
| 面積・体積 | 公式暗記だけで理解している | 実物や図形を使う |
専門学校生がつまずきやすい数学分野5選
1. 繰り上がり・繰り下がりの計算
数学の苦手意識は、実は小学校低学年の計算から始まっていることがあります。
特に「繰り上がり」「繰り下がり」は、最初の大きなつまずきポイントです。
よくあるつまずき
- 「10になる組み合わせ」が瞬時に出てこない
- 数字の分解が苦手
- 暗算に時間がかかる
- 計算に自信が持てない
指導のポイント
まずは「10を作る感覚」を身につけることが重要です。
例えば、
- 9+1
- 8+2
- 7+3
などを繰り返し練習し、“合わせて10”を直感的に捉える感覚を作ると、その後の計算理解がスムーズになります。
また、「さくらんぼ計算」のように、数を分解して考える方法も有効です。
基礎計算は“理解”より“反復”が重要な場面も多いため、短時間でも継続的な演習が効果的です。
2. わり算(3ケタ÷2ケタ)
わり算は、たし算・ひき算・かけ算を同時に使うため、一気に難易度が上がります。
特に「3ケタ÷2ケタ」になると、苦手意識を持つ学生が増えやすい傾向があります。
桁数が多いと計算には筆算が必須になり、筆算そのものでつまずく学生もいるでしょう。
よくあるつまずき
- 商を書く位置がわからない
- 九九が曖昧
- 計算途中で位がずれる
- 商の見当がつけられない
指導のポイント
まずは、
「たてる → かける → ひく → おろす」
という筆算の流れを定着させることが重要です。
また、
- 方眼ノートを使う
- 位ごとに線を引く
- 概数で見当をつける
など、視覚的に整理しながら指導すると理解しやすくなります。
九九が曖昧な学生も多いため、わり算だけでなくかけ算の復習も重要です。
3. 分数(約分・通分)
分数は、「整数とは違うルール」が登場するため、一気に苦手意識を持ちやすい単元です。
よくあるつまずき
- 約分ができない
- 通分の意味が理解できない
- 分数の大小比較が苦手
- 最大公約数・最小公倍数がわからない
指導のポイント
まずは、
「分母と分子に同じ数をかけても割っても、大きさは変わらない」
という“分数の本質”を理解することが重要です。
公式だけを暗記させるのではなく、図やイラストを使って視覚的に説明すると理解しやすくなります。
また、分数が苦手な学生は、わり算自体につまずいているケースもあります。
そのため、必要に応じて前の単元まで戻ることも大切です。
4. 割合
割合は、専門学校の先生からも“特につまずいている学生が多い”と言われます。
例えば、
- 医療系:薬剤計算
- 製菓系:配合比率
- ビジネス系:利益率・割引率
- IT系:データ割合・正答率
など、専門分野でも割合計算は頻繁に登場しますが、割合につまずいていることで、専門授業そのものへの苦手意識にも繋がりやすくなります。
よくあるつまずき
- 公式の使い分けができない
- 「もとにする量」がわからない
- パーセントの意味が曖昧
- 単位換算が苦手
指導のポイント
割合では、“数えるための数”から“比べるための数”への考え方の切り替えが必要になります。
そのため、いきなり公式だけを覚えさせるのではなく、
- セールの割引
- 増量キャンペーン
- テストの得点率
など、身近な例を使って説明することが重要です。
また、
- 割合=くらべる量 ÷ もとにする量
- くらべる量=もとにする量 × 割合
- もとにする量=くらべる量 ÷ 割合
という基本式を、「どの数字を比べているのか」を意識しながら確認すると理解しやすくなります。
5. 面積・体積
面積・体積は、公式暗記だけで解こうとするとつまずきやすい単元です。
よくあるつまずき
- 単位換算が苦手
- 公式を使い分けられない
- 図形をイメージできない
- 「なぜその式になるのか」がわからない
指導のポイント
まずは、“形をイメージする”ことが重要です。
例えば、
- 面積=「どれくらい広いか」
- 体積=「どれくらい入るか」
という感覚的な理解を持たせることで、公式への抵抗感を減らせます。
また、実際の箱や立体物を見せながら説明すると、抽象的な概念を理解しやすくなります。
数学嫌いの学生を指導するときのポイント
「できない」ではなく「どこで止まっているか」を見る
数学が苦手な学生は、“全部わからない”のではなく、“どこか一部分”で止まっているケースが多くあります。
そのため、
- どの単元でつまずいているか
- どの計算から苦手になったか
- 何が理解できていないのか
を細かく確認することが大切です。
小学校レベルまで戻ることを恐れない
専門学校生だからといって、高校数学から教える必要はありません。
実際には、小学校算数まで戻ることで理解が進むケースも多くあります。
むしろ、専門学校教育において、必要となる基礎力としては小学校算数・中学校数学で充分なケースがほとんどでしょう。
学生に「今さらこんな内容の勉強なんて…」と感じさせないよう、
- 短時間で取り組める演習
- 成功体験を積める問題
- スモールステップでの指導
を意識すると、モチベーションの維持にも繋がります。
反復で“できる感覚”を作る
数学は、理解だけでなく“慣れ”も重要です。
特に基礎計算は、スポーツの素振りのように反復することで定着します。
- 毎日5分だけ演習
- 同じ形式を繰り返す
- 解けた経験を積ませる
など、小さな成功体験を積み重ねることで、苦手意識の軽減にも繋がります。
数学嫌いの学生へのNG対応・効果的な対応
NG対応
- 「前に習ったよね?」
- 「なんでできないの?」
- 「それくらいはできる前提で進めるよ」
こうした言葉は、学生の“数学への苦手意識”をさらに強めてしまうことがあります。
特に、数学に苦手意識を持つ学生は、「わからないことを隠す」傾向もあります。
そのため、できないことを責めるよりも、“どこで止まっているか”を一緒に確認する姿勢が重要です。
効果的な対応
- 「どこからわからなくなった?」
- 「途中まで一緒に確認しよう」
- 「まず1問だけやってみよう」
数学嫌いの学生には、“できた経験”を積ませることが重要です。
特に、
- 解けた問題を褒める
- 小さな成功体験を積ませる
- 一気に難しくしすぎない
といったスモールステップ型の指導は、自信回復にも繋がります。
基礎学力対策は専門学校でも重要
専門学校では、専門分野の指導や資格対策に目が向きがちです。
しかし、実際には基礎学力不足が原因で授業理解や資格学習につまずいてしまう学生も少なくありません。
だからこそ、
- どこでつまずいているかを把握する
- 基礎まで戻って復習する
- 小さな成功体験を積ませる
といったサポートが重要です。
数学嫌いは、「能力の問題」ではなく、「どこかで理解が止まっている状態」であることも多くあります。
学生が“わかった”を積み重ねられるよう、段階的な指導と継続的なフォローを行っていきましょう。
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