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繰り上がり・繰り下がりの計算

2022.04.01 (最終更新:2023.12.08) 全般 教務情報

連載学生の「数学嫌い」を克服!つまずき解消ピンポイント解説&演習

基礎学力分野の中でも特に苦手意識を持つ学生の多い「数学・算数」。この連載では、小学校算数まで立ち返り「学生がどこでつまずいたのか」「どうすれば克服できるのか」を解説!各回には「学生に配布可能な練習プリント(PDF)」もついています。ぜひ学生の苦手克服にお役立てください。

▼ウイナレッジ編集部より

「専門分野を教える前に、まずは学生の基礎学力不足に対処しなければならない」というお悩みを抱える専門学校の先生は多いのではないでしょうか。
勉強に苦手意識はありながらも夢を叶えるために高い意欲を持って入学してきたという学生さんには、勉強についていけずに挫折してほしくないですよね。

今回、基礎学力分野の中でも特に苦手意識を持つ人の多い「数学・算数」について、小学校算数まで立ち返り、「学生がどこでつまずいたのか」「どうすれば克服できるのか」を解説していく新連載を始めます。
執筆いただくのは数多くの理系教科書の編集や幅広い分野の執筆に携わってこられ、特にサイエンスコミュニケーション領域に強い真南風文藝工房代表のライター・編集者さんです。

この連載では、各回の記事で「学生さんに配布可能な練習プリント(PDF)」をDLいただけます。
「読んで終わり」でなく「すぐに使えて役に立つ」連載を目指します。
ぜひ学生さんの苦手克服にお役立てください!

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「積み上げ型学習」はつまずいたところまで戻って復習するのが大切です

専門学校に入学した学生さんの中には、算数・数学を苦手とする人が少なからずいると実感している先生方が多いのではないでしょうか。

なぜ算数・数学が苦手になってしまうのか。
その原因の一つに、算数・数学が「積み上げ型学習」であることが挙げられます。

積み上げ型学習」は、理科や社会などとは異なり、前の単元の上に新しい単元の知識を積み上げていく学習です。
例えていうと、積み木のブロックをどんどん積み上げていくようなイメージでしょうか。
積み木は、下の段の積み木が少なかったり、または抜けていたりすると、グラグラと安定せず、最終的には崩れてしまうかもしれません。

積み上げ型学習である算数・数学は、学習していて一度わからなくなると、そのあともあちこちでほころびが出てしまいます。
まずはどこでつまずいているのかはっきりとさせ、コツコツとそのほころびを修復し軌道をもとに戻していくことが大切です。

本シリーズでは、数学に苦手意識のある専門学校の学生さんが、小学校~高校までで「つまずいた」であろう単元を簡単にサクッとわかりやすく解説します。
さらに記事に付属の「練習プリント」をお使いいただくことで、学生さんのつまずきをスッキリ解消&苦手意識を克服していただけます。

繰り上がり・繰り下がりの計算

積み上げ型学習である算数・数学の根底にあるのはやはり四則演算です。

連載第1回の今回は、小学校1年生で学習する「繰り上がり・繰り下がりの計算」を取り上げます。
「繰り上がり・繰り下がりの計算」は、小学校算数のつまずきポイントの第1関門です。

「繰り上がりのある計算」、「繰り下がりのある計算」それぞれを順番に見ていきましょう。

繰り上がりのある計算

小学校では、繰り上がりのある足し算は「さくらんぼ計算」で教えています。
先生の中には初めて聞く方もいるかもしれませんので、簡単に解説します。

たとえば、「9+4」の問題があったとき、大きい数字(ここでは9)に足して10になる数字を、小さい数字(ここでは4)を分解して作る計算方法です。

4を分解すると1と3が出ますので、これを9と合わせて10を作り、残った3を足して13になります。

この計算の過程を見てみると、繰り上がりのある計算のつまずきポイントには、以下の2つがあることがわかります。

  1. 「合わせて10」の組み合わせが見つからない
  2. 数の分解ができない

対処法としては、合わせて10になる数字を見つけたり、10を分解したりする練習を積むことです。
実際に書き出してみると、1桁+1桁の計算には次の9通りしかないので、感覚として身につけてしまいましょう。

1+9、2+8、3+7、4+6、5+5、6+4、7+3、8+2、9+1

1桁+1桁の計算ができるようになったら、繰り上がりのある2桁+1桁の計算を繰り返し解いたり、少しずつステップアップをしていくといいでしょう。
ここで焦らず基礎力を積み上げていくのがポイントです。

繰り下がりのある計算

小学校算数で繰り上がりとともにつまずきやすいポイントが「繰り下がりのある計算」です。

繰り下がりのつまずきポイントも、「合わせて10」の組み合わせが見つからないところにある場合が多いようです。
後々高校数学で学習する10進数などの数学的概念にも結び付くものなので、ぜひ数学や数字のセンスとしても身につけておいた方がいいですね。

こういった独特の概念的な理解は、ほかに図形分野などでも求められます。
これらの分野の習得のカギは、どちらかといえば、概念そのものや理屈を勉強するより、スポーツの分野でいう素振りのように、体を動かすことを繰り返して体に覚えさせるというイメージに近いかもしれません。
「お手本をまねてとにかく型(パターン)を覚え、反射的に出てくるようにする」というような訓練が効果的です。

また、このような練習は体系的に行うのもポイントです。

10までの数字の組み合わせを覚えるには、以下のような表を使い、数字を隠しながら練習するといいでしょう。

上の表は、「青色の縦の数字と横の数字を足すと白色や赤色の部分の数字になる」というものです。
赤色の数字を隠して繰り上がりの練習をしたり、青色の数字を隠して繰り下がりの練習をしたりするのに使えます。

練習プリントDL

  • さくらんぼ計算のドリル
  • 計算練習ができる表
  • 表を使った練習問題

を掲載したプリントをご用意しました。

こちらのPDFファイルは、

  • 印刷して学生に配布
  • 学内学習支援ツールへのアップロード・ファイル共有

等の形でご利用いただけます。
不特定多数の方が閲覧可能な形でのアップロード・再配布はご遠慮ください。

学生の皆さんのつまずき解消にぜひお役立てください。

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この記事を書いた人
真南風文藝工房 代表

真南風文藝工房 代表

ライター・サイエンスコミュニケーター
工学修士(航空宇宙学)
自動車メーカーでの先行開発エンジニアを経験した後、理系教材編集(小中高理科テスト編集・高校数学・中学校理科教科書編集)職に転向。
近年は環境・航空・宇宙・自動車・理科・数学・サイエンスなどを中心に幅広い分野での執筆活動にも取り組んでいる。

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