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TOP教養スキルアップ学生が授業に無反応!?学生と双方向のコミュニケーションをとるための基本ポイント

学生が授業に無反応!?学生と双方向のコミュニケーションをとるための基本ポイント

2022.02.15 (最終更新:2024.03.27) スキルアップ 教務情報

連載【伝わる・信頼される】先生になる!教務スキルアップ講座

専門学校の先生にとって、【伝わる】授業・【信頼される】学生対応は、専門分野の知識と並ぶ大切な要素。新任の先生も、スタイルの固まってきた先生も、教務スキルを自己点検してみませんか。航空系・医療系をはじめとする多くの専門学校・大学で教え、学生・卒業生から愛される川口先生とお送りする連載です。

皆さん、こんにちは。
寒さが一層厳しくなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、この度、【伝わる・信頼される】先生になる!教務スキルアップ講座と題して、新しい連載をスタートすることになりました。
どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

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学生とのコミュニケーション、とれていますか?

「最近の学生は、覇気がないし反応もない。わかっているのかいないのかわからず、授業がやりにくい。」

このような声を講師控室でよく聞くようになりました。
教壇にたって17年目を迎えますが、確かにそうだなと感じることがよくあります。
以前は破天荒な学生もクラスには必ずいましたが、今は、真面目で枠におさまった学生が多くなってきたように感じます。
「学生との距離感が難しい」という声も聞こえてきます。

一方、学生側からは「先生には、授業でも授業外でも、もっと関わってほしい」という声を聞きます。
単位を取ることだけでなく、学生は、個人的にもっと先生と言葉を交わしたいと望んでいます。
しかし、高校までと比べると、専門学校や大学の先生に対しては心理的に大きな距離があるように思われます。

それでは、学生とよりよいコミュニケーションができる関係になるには、どうしていくとよいでしょうか?

コミュニケーションをとるコツ

まずは基本的なコツを5つ紹介します。

授業の前に簡単なアンケートをとる

授業の前に、授業や学習に関することに加え、学生個人についても知ることができるようなアンケートをとります。

  • 出身
  • 趣味・特技
  • 志望業種・職種
  • 授業でやってほしいこと
  • 質問  ……等

学生の関心事がわかるので、個人的にも声をかけやすくなります。
また、学生が知りたいことがわかるので、授業の内容に入れることができます。

待っているのではなく、こちらから声をかける

教壇に立って上から目線で学生たちを見るのではなく、教壇を降りて学生たちの間を歩き回ってみてはいかがでしょうか。
そうすると筆箱ひとつとってみても、その学生の個性が垣間見られたりします。

先日、大学での講義が始まる前、健康チェックのための体温カードを一人ずつ見てまわる時間がありました。
ある学生のところへ行くと、靴はピンクのパンプス、机の上の水筒もピンク、持っているスマートフォンもピンク。
「ピンクが好きなんだね。」と声をかけたところ、「はい、そうです。」と笑顔で返事がありました。
こういった何気ない会話でも、声をかけられるのがうれしいと言います。

90分の授業の中に、5分でもいいので雑談を入れる

90分間授業に集中し続けるのは難しいものです。

気分転換の雑談として、私がよくやる手法のひとつですが、先生の失敗談を話すのがおすすめです。
私はグランドスタッフを14年やってまいりましたが、数々の失敗をしてきました。

ミスチェックインで飛行機を10分遅らせてしまったこと、札幌行きのお客さまの荷物のTAGを誤って沖縄行きのお客さまの荷物につけてしまい、お客さまに大変な迷惑をかけてしまったこと……
そのような失敗談を話しているとき、学生たちは目をキラキラ輝かせて聞いています。
先生でも失敗するんだ」と思い、親近感を覚えるため、学生から話しかけられやすくなります。

失敗談でなくとも、90分のうち、授業の内容に沿った話題や、新聞・ニュースで話題になっていることでもいいので、5分ほどでも雑談を入れると、リフレッシュしてまた集中できるようにもなりますし、学生との距離を縮めることもできます。
卒業生に何を覚えているか質問すると、授業内容よりも雑談で話したことを覚えているということもよくあります。

名前を呼ぶ

相手の名前を呼ぶことは、人間関係を築くための基本です。

名前を呼んでもらえると誰でもうれしいものです。
学生を知るという意味でも、名前を呼ぶことからコミュニケーションの第一歩を踏み出しましょう。
大人数のクラスの場合、全員の名前を記憶することは難しいですが、可能な限り学生の顔と名前を一致させたいものです。

笑顔で接する

怒った顔、無表情、怖い先生は近寄りがたいもの。
マスク越しでも笑顔で接することが、学生との距離を縮める大事なポイントです。

学生の本音を聞き出すポイント

続いて、さらに踏み込んで「学生の本音を聞き出すポイント」をご紹介します。

学生の話に耳を傾け、否定しない

学生は先生をよく見ています
「この先生は信頼できるか・できないか」を興味津々で観察しています。
せっかく学生が話してくれたことを簡単に否定しまうと、そこで心のシャッターが閉じ、話してくれなくなりがちです。

まずは、しっかり話を聴いて否定しないでみてください。
そうすると本音をポロっと話すようになります。

学生は自分の興味のあることを聞いてもらうと心を開く

あるとき、クラスの中であまり馴染んでいない学生がいました。
その学生のアンケートを見ると、好きな人物としてあるYouTuberを挙げていました。

そこで「今、活躍してるね。」と声をかけたところ、目を輝かせていろいろ嬉しそうに話をしてくれました。
廊下ですれ違っても、YouTuberの話をしにきてくれます。
その学生の興味のあることを少し聞いただけで、心を開く一歩になると感じました。

おわりに

学生とのコミュニケーションをとるために、まずは意識的に声をかけるところから始めてみましょう。
気にかけてくれる先生がいるだけで、より一層、学生の学校生活が豊かになります。
今一度、学生と同じ目線で寄り添ってみませんか?

通信制高校の3年生と最後の授業で記念撮影。2年生からコミュニケーションを教えてきましたが、皆すばらしい成長ぶりでした。毎回の授業で一人ずつ自分の趣味やはまっていることについて短時間のプレゼンをしてもらったことでお互いに理解を深め、歩み寄ることができました。
コロナ禍、残念なことに修学旅行に行けなかった生徒たち。航空会社の社員を招いて「海外の魅力」を聞いたり、現役パイロットを招いて「コックピットでのコミュニケーションの重要性」を聞いたりしました。

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グランドスタッフ界の「ゴッドマザー」こと川口先生が教える
連載「【伝わる・信頼される】先生になる!教務スキルアップ講座」
すべての記事はこちらでご覧いただけます。

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この記事を書いた人
川口 晴美

川口 晴美

元日本航空グランドスタッフ。在職14年の間、JAL「サービスの達人」社長賞や社内接客大賞「ホスピタリティ賞」受賞。全国各地の空港で指導教官として勤務。退職後、大学、専門学校の非常勤講師として客室乗務員やグランドスタッフを多数輩出。現在は、大学、専門学校(医療系、留学生)高校、NHK文化センターで教える。
オフィス川口(G-mother)を設立し、学生の就活サポート、各種検定、企業研修を手掛ける。サーティファイ認定会場。

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