
授業資料の作成に会議の議事録、保護者へ配る文書。日々校務に追われ、「もう少し時間があれば」と思う場面は多いのではないでしょうか。生成AIを使ってみたいけれど、種類が多くてどれを選べばいいのか分からないと感じている先生もいらっしゃるでしょう。
校務でよく使われているのは、ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotの4つです。
本記事では、生成AIを校務のどのような場面で活用できるのか、4つのサービスの違い、そして使い始める前に気をつけたいことを解説します。
目次
生成AIの種類と校務での活用方法
文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」は、生成AIを「文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルに基づくAIの総称」と説明しています。ここでは、校務での活用をイメージしやすいよう、生成するものを4つに分けて整理します。
なお、これは当サイト独自の整理であり、公的に定められた区分ではありません。
※参考:文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」p. 5
総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.01版)」
- 文章の生成
- 画像の生成
- 音声と動画の生成
- コードの生成
それぞれ、校務での使い道とあわせて見ていきましょう。
1.文章の生成
指示を出すと、文章を書いたり、要約したり、書き直したりしてくれます。校務では、次のような場面で活用できます。
- 授業資料やテスト問題をつくる
- 会議の議事録をまとめる
- 保護者向け文書の下書きをつくる
- 長い資料を要約する
授業資料やテスト問題をつくる
白紙から書き始めるより、たたき台を作らせてから修正するほうが効率的です。「この単元の導入スライドの構成案を10枚分」「この範囲から4択問題を5問、難易度は基礎」のように、条件を細かく指定すると、求める内容に近づけやすくなります。
会議の議事録をまとめる
録音の文字起こしデータを渡して、要点や決定事項を整理させる使い方です。議事録の作成にかかる時間を減らし、内容の確認や修正に集中できます。
保護者向け文書の下書きをつくる
行事の案内や連絡文の下書きにも向いています。「保護者向けに、丁寧だが堅すぎない文体で」のように、読み手や文体を指定すると、目的に合った文章を作成しやすくなります。
長い資料を要約する
通知文や報告書など、読むだけで時間がかかる資料を短くまとめさせます。全体像をつかんでから原文の必要な箇所を読む、という進め方ができますね。
2.画像の生成
言葉で指示すると、イラストや図版を作り出してくれます。教材に挿し込むカットや、プレゼン資料の挿絵などにも使えます。フリー素材を探す代わりに、必要なイメージを具体的に指示して生成することも可能です。ただし、生成した画像を利用する際は、著作権などの権利関係に注意が必要です。サービスによって利用規約も異なるため、必ず確認しておきましょう。
3.音声と動画の生成
文章を読み上げた音声や、短い動画を作ることも可能です。読み上げ教材の作成や、オープンキャンパスで流す短い紹介動画などが考えられますね。
4.コードの生成
プログラムのコードを書いたり、エラーの原因を説明したりしてくれます。情報処理系の学科では、コードの確認や修正案を考える際にも活用できます。
多くのサービスは文章や画像、コードなど複数の生成に対応しています。ただし、サービスによって得意分野や機能には違いがあるのです。
ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotを比較
4つの特徴を、表にまとめます。そのうえで、無料版でどこまでできるのか、有料版ではどのような機能が使えるのか、料金はいくらなのかを、一つずつ確認していきましょう。
| サービス名 (開発元) | 無料版の主な特徴 | 有料プラン(月額) | 校務での活用場面 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT(OpenAI) | テキストでのやり取りは無制限。 ファイルのアップロード、画像生成、音声、調査機能には上限がある。 | Go 1,400円 Plus 3,000円 Pro 16,800円から | 文章作成やアイデア出しなど幅広い用途 |
| Gemini(Google) | テキストでの対話や画像の生成と編集、調査機能などを使用可能。 | Google AI Plus 725円 Pro 2,900円 Ultra 14,500円から | Google Workspaceを使った資料作成 |
| Claude(Anthropic) | Web・スマートフォン・デスクトップアプリで利用可。 Web検索、ファイルの作成にも対応。 | Pro 20ドル(年間契約では月17ドル。200ドルを一括請求) Max 100ドルから | 長い文章の読み込みと要約 |
| Copilot(Microsoft) | 文章作成や要約、Web検索、画像生成、ファイルの分析などに利用できる。 | Microsoft 365 Personal 2,130円 Family 2,740円 Premium 3,200円に含まれる(法人向けプランは別途) | Microsoft 365を使った資料作成 |
ChatGPTの円表示は消費税(JCT)込みです。Claudeのドル表示は税別です。GeminiとCopilotの税の扱いは、契約前に各社の案内でご確認ください。
※参考(いずれも2026年10月5日確認):OpenAI「料金 | ChatGPT」
Google「Google AI のプラン(クラウド ストレージ付き)」
Anthropic「プランと料金 | Claude」
Microsoft「Microsoft 365 のプラン & 価格を比較」
1.ChatGPT
OpenAIが提供するサービスです。無料版でもテキストのやり取りに回数の上限はありません。ただし公式ページには「テキストチャットは無制限で利用できますが、不正利用防止のための安全対策が適用されます」という注記があります。ファイルを読ませたり画像を作らせたりする場合は上限があると理解しておきましょう。
個人向けの料金プランは3段階です。Goが月額1,400円、Plusが月額3,000円、Proが月額16,800円からとなっています。
関連記事: 【先生向け】ChatGPTを業務で活用するには?6つの例や注意点を解説
2.Gemini
Googleが提供しており無料でも画像の生成と編集、調査機能を使えるのが特長です。有料の「Google AI Plus」は月額725円で、無料版の2倍の利用量上限が設定されています。
Googleドキュメントやカレンダーを日常的に使っている学校であれば、既存の環境と組み合わせて使いやすいでしょう。
関連記事: Googleの生成AI「Gemini(ジェミニ)」とは?5つの特徴やChatGPTとの違いを解説
3.Claude
長い文章の読み込みと要約を得意とするサービスです。無料でもWeb検索やファイルの作成に対応しています。有料の「Pro」は、月払いの場合は20ドル、年間サブスクリプション割引適用時の月額は17ドル(200ドルの一括請求)です。表示価格には税が含まれていません。
4.Copilot
Microsoftのサービスで、こちらも無料版があります。個人で有料利用する場合は、Copilot単体の契約ではなくMicrosoft 365のサブスクリプションに含まれる形です。個人向けの「Microsoft 365 Personal」は月額2,130円で、Copilot搭載のWord・Excel・PowerPoint・Outlookのデスクトップアプリから直接呼び出せます。
なお、学校が法人として導入する場合は契約形態が異なります。対象のMicrosoft 365プランにCopilotのライセンスを追加する形が用意されているので、個人向けの料金や条件をそのまま学校に当てはめないようにしましょう。
校務文書をOfficeで作っているなら、アプリを切り替えずに使える点がメリットになりますね。
目的別に生成AIを選ぶなら?
どれが一番か、ではなく、「何に使いたいか」で選ぶことが大切です。迷ったときは、普段使っているサービスや、生成AIに任せたい作業を基準に考えてみましょう。主な選び方は、次の4つです。
- 授業準備の時間を短縮したい先生 → ChatGPT
- 会議の議事録づくりを楽にしたい先生 → Gemini
- 長い資料の要点を短時間でつかみたい先生 → Claude
- Officeで資料を作ることが多い先生 → Copilot
それぞれ見ていきましょう。
1.授業準備の時間を短縮したい先生
ChatGPTが向いています。無料版でもテキストのやり取りに回数の上限がないので、スライドの構成案づくりや問題作成において、何度も指示を出し直しながら完成形に近づけていくことができます。まずは無料版で、どのような指示を出すと期待する内容に近づくのかを試してみるとよいでしょう。
関連記事: 【専門学校教員×生成AI】授業準備がここまで変わる!5つの活用シーンと注意点を解説
2.会議の議事録づくりを楽にしたい先生
Geminiが扱いやすいでしょう。GoogleドキュメントやGoogleドライブに保存した文字起こしデータをそのまま読み込ませることができます。校内でGoogle Workspaceを使っているなら、ファイルを別の場所に移す手間を減らせることもメリットです。
3.長い資料の要点を短時間でつかみたい先生
Claudeが向いています。一度に読み込める上限は20万トークンで、これは無料版でも同じです。長い通知文や報告書をまとめて渡しても、途中で切れにくい設計になっています。ファイルの作成にも無料版から対応しています。
4.Officeで資料を作ることが多い先生
Copilotがおすすめです。WordやExcel、PowerPoint、Outlookのデスクトップアプリから直接呼び出せることで、スムーズに活用できます。ただし個人で有料版を使う場合はMicrosoft 365のサブスクリプション(月額2,130円)が前提になる点は、押さえておきたいところです。
いずれの場合も、まず無料版で自分の仕事に合うかを確かめてから、有料版を検討するとよいでしょう。
学校で生成AIを使うときに押さえたい3つのポイント
便利な道具である一方、学校で使う場合には気をつけたい点もあります。まずは、次の3つを押さえておきましょう。
- 学生の氏名や成績を入力しない
- 出力された内容は必ず事実を確認する
- 文部科学省のガイドラインは小中高が対象
それぞれ解説します。
1.学生の氏名や成績を入力しない
入力した内容がモデルの学習に使われる場合があります。学生の氏名、成績、家庭の事情など、個人が特定される情報は入力しないようにしましょう。
サービスによっては、入力内容を学習に使われないための設定が用意されています。個人情報を入力しないことを基本とした上で、使う前に設定を確認しておくと安心ですね。
2.出力された内容は必ず事実を確認する
生成AIは、もっともらしい文章を作ることに長けています。ただ、内容が正しいとは限りません。実在しない法令や誤った数字を、事実であるかのように示すこともあります。
授業や配布資料に使う前には、元の資料や公的機関のWebサイトなど、信頼できる情報源で内容を確認しましょう。出力された内容をそのまま使わず、人が確認することが前提になります。
関連記事: AIが誤情報や誤回答を生成する「ハルシネーション」とは?原因や対策を解説
3.文部科学省のガイドラインは小中高が対象
文部科学省は「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を公表しています。このガイドラインは初等中等教育段階を対象としており、専門学校を直接の対象としたものではありません。また、学校現場での生成AIの利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではなく、本文でもその趣旨が示されています。
学校現場において押さえておくべきポイントとして、次の5つの観点が挙げられています。
- 安全性を考慮した適正利用
- 情報セキュリティの確保
- 個人情報やプライバシー、著作権の保護
- 公平性の確保
- 透明性の確保、関係者への説明責任
現時点で専門学校を直接の対象とした文部科学省の生成AIに関するガイドラインは、確認できませんでした。初等中等教育向けのガイドラインも参考にしながら、自校の状況に合わせて方針を決めていく必要がありますね。
※参考:文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」p. 4・p. 10〜11
関連記事: 生成AIにまつわる法律と学校が注意すべきこと
まとめ:目的が決まれば選ぶ生成AIも決まる
生成AIはサービスによって特徴が異なり、どれを選べばよいか迷うこともあります。そんなときは、「何に使いたいか」「普段どのサービスを使っているか」を基準に考えてみましょう。
- 生成AIは文章・画像・音声・動画・コードなど様々なものを生成できる。
- ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotはそれぞれ特徴が異なる。無料版で実際に試し、目的や利用環境に合うものを選ぶ
- 学生の個人情報は入力しない。出力された内容は必ず自分で確認する
どのサービスが優れているかを比べるより、自分の仕事のどの場面で活用したいのかを考えることが、サービス選びの近道です。まずは身近な業務をひとつ選んで、無料版で試してみるところから始めてみませんか。
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宇井 馴次 (うい なれじ)
ウイナレッジ編集部所属のバーチャルヒューマン。
専門学校の先生方の多忙な日常を、お役立ち情報で支える探求者。
私生活では、予測不能な動きを見せる双子の娘に翻弄されるパパ。プロレス観戦でエネルギーをチャージし、毎週金曜日は自分へのご褒美として、スタバのベンティサイズ・フラペチーノを嗜むのがルーティン。
「先生の笑顔が、学生の未来を作る」をモットーに、役立つ情報を発信中。









