
学生と日々向き合う教員にとって、学生の成長や可能性を見出し、彼らが自信を持って未来へ進めるよう支援することは大切な役割です。
本記事では、学生の良いところを引き出すことに視点を置き、教育現場で役立つ具体的なフィードバックの指針を紹介します。
学生の良いところに視点を置く
教育現場では、学生一人ひとりの特性や強みを見つける視点が重要です。
つい短所や改善点に目が向きがちですが、長所に注目することが、学生のやる気を引き出し、成長のサポートにもつながります。学生にとっても自分の長所を認識することで、自己肯定感が高まり、学習意欲の向上が期待できるでしょう。
長所を見つけるポイント
1.授業中の行動を観察する
学生が積極的に取り組んでいる課題や、得意とする分野を把握することで、その学生にあったフィードバックが可能です。
たとえば、発言が少ない学生であっても、文章を書く力が優れていたり、独自の視点を持っていたりすることもあるため、多様な観点で観察することが大切です。
2.小さな成功体験を積ませる
課題の達成やテストの結果だけでなく、学生が自己を成長させる瞬間を意識的に取り上げます。
たとえば、シャイな学生が人前での発表をやり遂げた際には、その努力を褒めることで、次への自信を与えることができます。
3.学生に問いかける
学生自身が自分の強みを見つけられるよう、質問形式で自己分析を促すのも効果的です。簡単な質問から始め、少しずつ「どのような場面で力を発揮しているか」など、深掘りするような会話を通じて、学生の良い点を引き出していきます。
事実を伝える
学生に対するフィードバックは、事実に基づいたものであることが重要です。
事実をベースにすることで、学生が自分の状況を客観的に理解でき、無用な誤解やトラブルを避けられます。
効果的なフィードバックの方法
1.客観的な視点を意識する
感情や個人的な価値観に基づく指摘を避け、事実を基にフィードバックすることが、信頼関係の構築につながります。
たとえば、遅刻が多い学生に対しては、「毎回10分遅れている」という事実を伝えることで、具体的な改善策を一緒に考えるきっかけを作ることができます。
2.ポジティブなアプローチ
事実を伝える際には、学生の意欲を削がないようポジティブな表現を心がけます。欠席が続く学生には「欠席が減ればもっとクラスに馴染める機会が増えるね」といった前向きな言い方が効果的です。
3.学生の成長に焦点を置く
フィードバックは成長のための一助として行うことが理想です。「もっと努力が必要」という表現よりも、「この部分は改善の余地があり、成長が期待できる」といった言い回しが学生に自信を与えます。
ポジティブな感情は学生に表現する
ポジティブな感情を素直に表現することで、学生との距離が縮まり、彼らにとって教員が「応援してくれる存在」として映るようになります。学生は自身を認めてもらえることで、学習へのモチベーションが高まります。
ポジティブな感情を伝えるコツ
1.日常的に褒め言葉を取り入れる
成績だけでなく、授業中の頑張りや態度に対してもポジティブな言葉をかけるようにします。たとえ目に見える成果がなくとも、努力が見える場面では、「いつも頑張っているね」と伝えると良いでしょう。
2.学生個々の特徴に応じたフィードバック
学生によってポジティブなフィードバックがどのように響くかは異なります。
たとえば、内向的な学生には、個別面談などで「文化祭の片付けでは積極的にゴミをまとめていたよね」などと声をかける、外交的な学生には、周囲に人がいる場面で「さすが、スケジュール管理がうまいね!」と褒めることが効果的、といった具合です。
個性に合わせてアプローチを工夫することが大切です。
3.オープンな姿勢を見せる
教員が前向きな気持ちで接していることを学生に感じさせると、学生もポジティブな姿勢で授業に参加しやすくなります。自分の感情を隠さず、率直に良い面を認めることは、学生が教員を信頼し、安心して授業に取り組める環境を作るでしょう。
まとめ(学生の成長を支えるための姿勢)
学生と向き合う際には、学生の良いところを見つけ、ポジティブな感情を惜しみなく表現することが大切です。こうした向き合い方を実践することで、学生は自らの成長に自信を持ち、学びへの積極的な姿勢が芽生えていきます。
また、教員にとっても学生の前向きな変化を見届けることは、大きなやりがいと喜びにつながるでしょう。
学生と接する中で細やかな気配りとサポートを続け、成長の瞬間を共に過ごしていけるとよいですね。

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伊沢 剛
有限会社プチフール代表取締役
23年間、専門学校にてIT教育、学生募集に従事。その後独立。新人社員向けプログラミング研修、社会人向けDX,AI,クラウド研修、情報教育コンサルティング、DX推進支援に携わる。
Youtubeチャンネル:【IT・プログラミングLab】伊沢 剛