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TOP教養スキルアップ指導スキル(16)~ICT活用術(前編)~教員の時間を生み出す「授業外ICT活用術」

指導スキル(16)~ICT活用術(前編)~教員の時間を生み出す「授業外ICT活用術」

連載授業アップデートテクニック

変化する学生のニーズ、技術やツールの進歩、多様性の受け入れなど、常に進化が求められる現代の教育現場。授業をアップデートしなくてはいけない時期が到来しています。この連載では、教員向け研修や教員志望者の育成を行う「RTF教育ラボ」の代表で、年間300もの授業観察を行う教育コンサルタントの村上敬一さんから、専門学校の先生に向けた「令和の授業テクニック」を教えてもらいます。

冬の寒さが身にしみる頃となりました。そろそろ、来年度のカリキュラムや授業準備を始めているのではないでしょうか。

前回の記事『指導スキル(15)~ケーススタディーで学ぶ「学生の多様性に応じた指導法」(後編)』では、多様な背景を持つ学生への「伴走型指導」の重要性をお伝えしました。指導における「共有」と「協働」の体制づくりに、新たに取り組まれている先生もいらっしゃることと思います。

さて、先生方の多くは、すでに授業の中でICTを活用されていることでしょう。しかし、「授業外の業務」はどうでしょうか。提出物の回収、成績管理、保護者連絡、教材作成のための情報収集など、授業外で必要となる作業は多岐にわたり、その多くが時間と手間を必要とします。これらの業務こそ、ICTや生成AIを活用することで効率化でき、最も時間をかけたい「学生指導」や「授業の質向上」に力を注ぐ余裕が生まれます。

今回から2回に分けてお届けするテーマは、「授業外のICT活用術」です。前編となる今回は、「授業準備」と「校務の効率化」についてお伝えします。

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授業準備を効率化する「情報収集」と「教材作成方法」

専門分野の最新トレンドを授業に反映させることは、専門学校教員として欠かせないことです。しかし、業界ニュースや事例を毎週集めることは、予想以上に時間がかかります。

そこで役立つのが「自動で記事を集めてくれるツールの活用」と「テンプレート化」、そして「AIの活用」です。

1.無料ツールで最新情報を効率的に収集

GoogleアラートやFeedly(フィードリー)といった無料で利用できるツールを使えば、あらかじめ登録したキーワードに基づき、最新情報が自動で届きます。Googleアラートは、Googleの無料サービスで、キーワード(例:ゲーム業界、デザイン、医療事務など)を登録しておくだけで、その話題に関する最新ニュースを毎日メールで届けてくれます。Feedlyは、Web上の記事やブログをまとめてチェックできる“ニュース専用アプリ”のようなものです。複数サイトを検索する必要がなくなり、授業の導入で使える話題を短時間で見つけられるようになります。

どちらも難しい設定は必要なく、「興味のあるテーマを登録するだけ」で使えます。これらのツールは、指定したジャンルの記事だけを集めてくれる“新聞の切り抜き係”のような役割を果たし、授業の導入で使える時事ネタの収集や、教材のアップデートにかかる時間を大幅に短縮してくれます。

2.デザインツールを活用した見やすい資料作り

教材作成の負担を軽減するために役立つのが、PowerPoint(パワーポイント)やCanva(キャンバ)を用いたテンプレート運用です。Canvaは直感的に操作できるデザインツールで、豊富なテンプレート(プレゼン用、プリント用、図解など)が用意されており、デザイン経験がなくても“見やすい資料”を短時間で作れるのが特徴です。

PowerPointやCanvaを使用し、あらかじめ色やフォント、ページ構成を整えたテンプレートを作っておくことで、急ぎの資料作成でも質を維持しやすくなります。同じ形式を教員同士で共有すれば、一貫した見やすい教材が作れるだけでなく、年度をまたぐ際の引き継ぎや再利用も簡単になります。

3.生成AIを授業準備のサポート役として活用

ChatGPTやGeminiなどの生成AIも授業準備の大きな助けとなります。「AIをたたき台として使う」感覚がポイントで、ケーススタディーの原案や板書案、導入での発問などはAIに草案を作成させ、教員が専門性を加えて仕上げると効率が上がります。

完全な文章を作らせる必要はなく、「アイデア出しの相棒」として活用すると、短時間で質の高い教材を作成する手助けとなるでしょう。無料版でも十分活用できますので、試してみることをおすすめします。

4.授業記録はデジタルで一元管理

また、授業記録の整理にはOneNote(ワンノート)やNotion(ノーション)が便利です。どちらも“電子ノート”のように使えるツールで、授業ノート、反省点、学生の反応などをまとめて保存できます。紙のノートと違い、あとから検索できるため、次年度の準備が楽になります。年度内に作成しておけば、「去年どの説明でつまずいたか」「どの事例で議論が盛り上がったか」などをすぐに確認でき、授業改善に役立ちます。

校務とデータ管理の効率化

出欠管理、小テストの採点、アンケートの集計、成績処理——。多くの先生が「授業以上に時間がかかっている」と感じるのは、これらの業務ではないでしょうか。ICTはこれらの作業を大幅に効率化してくれます。

1.連絡業務と管理作業のデジタル化

例えば、欠席連絡や学生とのやりとりはGoogleフォームや学校指定のアプリ、Teams(チームズ)やSlack(スラック)といったコミュニケーションツールを使えば、紙の管理から解放され、情報の抜け漏れも防止できます。

Googleフォームは“デジタルのアンケート用紙”のようなもので、欠席連絡フォームを作れば自動で一覧化されます。TeamsやSlackは、いわゆる“学校用のチャットアプリ”で、学年や授業ごとに連絡場所を作れるため、情報が散らかりません。メールより手軽に運用でき、学生との連絡も整理しやすくなります。

2.小テストの採点を自動化

また、小テストの採点もGoogleフォームのクイズモードを使えば、選択問題に関しては採点を自動化できるため、教員は採点時間を短縮できます。ただし、記述式の問題は自動採点できません。

得られた結果はスプレッドシートに自動で蓄積され、学生の理解度の推移も確認しやすくなります。

3.資料共有はクラウドストレージで

さらに、教員間のプリントデータなどの共有にはクラウドストレージが有効です。クラウドストレージとは、インターネット上にファイルを保存できるサービスです。自分のパソコンに保存するのとは違い、どの端末からでもアクセスでき、自作のプリントのデータなどを教員間で共有する作業がとてもスムーズになります。非常勤の先生が多い学校ほど、知識や情報の共有は授業の質の維持に直結しますので、うまく活用すると良いでしょう。

日常業務には、会議資料や報告書の作成も含まれます。こうした“型の決まった文書”はChatGPTやGeminiなどの生成AIを使って下書きを作成し、教員が確認と修正を行う流れにすると、作成時間を大幅に短縮できます。「AIに任せる部分」と「教員が判断する部分」を分けることが重要です。

ICT活用で時間創出と教育の質向上を目指す

ICTによる業務効率化は、単に作業時間を減らすだけではありません。削減できた時間を「学生理解」「関係性づくり」「授業改善」といった本質的な教育活動に振り向けられることに意味があります。

現場での感覚を大切にしつつ、ICTを適切に取り入れることで、教員としての専門性をより発揮しやすい環境を整えていきましょう。

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この記事を書いた人
村上 敬一

村上 敬一

RTF教育ラボ代表/教育コンサルタント/東京都杉並区内中学校学校運営協議会委員
全国の公立および私立の小学校・中学校・高等学校、専門学校、塾などで教員研修、講師研修、授業や学級経営を中心とした教育全般に関するアドバイスを行う。また、現在まで18年間に渡り、毎年約150名の教員志望者を育成。年間の授業観察数は300を超え、これまでに約5000の授業を観察している。
RTF教育ラボ(https://goseminarcourse01.wixsite.com/rtfkyouikulab

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