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入試もエンタテインメントに。デジタルハリウッド大学のオープンキャンパス戦略

2022.11.09 (最終更新:2022.11.18) 記事 学校運営

▼ウイナレッジ編集部より
すべてをエンタテインメントにせよ」をアドミッションポリシーとして掲げるデジタルハリウッド大学(DHU)。国内外を問わずデジタルコミュニケーションに強みを持つ人材を輩出してきたこの大学のオープンキャンパスが熱い。

2020年のコロナ禍以来、全国の大学や専門学校ではオンライン型のオープンキャンパスや、予約制などの少人数型リアルオープンキャンパスを、試行錯誤しながら続けてきた。今、Withコロナ社会を迎える中で、オープンキャンパスはどのように変わっていくのか。

来校型かオンライン型かという単純な二項対立ではない、DHU流の学生募集戦略をデジタルハリウッド大学 大学入試広報グループマネージャー 小勝健一氏に取材した。

今月の注目コンテンツ

デジタルハリウッド大学のオープンキャンパス設計

デジタルハリウッド大学のオープンキャンパスは、企画、構成も含めてターゲットに合わせて年間設計しています。
時期としては、春、初夏、夏、秋と設けています。

のオープンキャンパスは、新高校3年生に新年度の入試の概要を伝えることをメインテーマとし、その入り口として学長の講義や在学生によるトークセッションを開催しています。

初夏のオープンキャンパスは、現役プロの教員陣による体験授業を通してDHUでの学びの楽しさを伝えることを主眼に置いています。

のオープンキャンパスは、オンラインと来校のハイブリットにして、学園祭のような楽しさの中で、学校の雰囲気を伝えることを重視しています。
オープンキャンパスのトップシーズンということもありますし、高校の夏休みの宿題でオープンキャンパスの見学レポートが課されることもありますので、遠方の方でも気軽に参加いただけるようハイブリッドで開催しています。

のオープンキャンパスは、DHUの卒業生がゲストとして登場します。
デジタルコンテンツを学んだ先の将来像をイメージしてもらうことをテーマにしています。

2021年度からこの4つに加えて、8月末にはのオープンキャンパスも実施しています。
「台本脚本一切なし」をコンセプトに、オープンキャンパスの企画運営の中核を担う学生チーム「キャンパスPRプロジェクト」が、夏のオープンキャンパスの舞台裏を語る、後夜祭風のイベントです。

▲夏のオープンキャンパス2022の様子。
「サーカス」をテーマに学園祭のような雰囲気でイベント設計を行なった。

オープンキャンパスの中核となる、キャンパスPRプロジェクトとは・・・

オープンキャンパスを実施するにあたり、在校生が参加することは珍しくありません。
在学生の生の声を聞きたいという受験者や保護者もいます。

DHUでも以前から、オープンキャンパスの都度、教員を通じて協力してくれる学生を集めていました。
とはいえ一期一会的な部分は否めず、ノウハウも溜まりませんし、教員の手間や負担も大きいと感じていました。

そこで、2018年に立ち上げたのが「キャンパスPRプロジェクト」です。

単位型インターンシップとして取り組む

キャンパスPRプロジェクトは、オープンキャンパスをはじめとするDHUの広報活動に能動的に参加し、自ら企画・運営を行う在学生チームです。

ボランティア型やサークル的な扱いではなく、DHUを運営する株式会社のインターンシップ生として、半期を基本期間として活動しています。

学内で就労体験ができること、有償であることに加えて、インターンシップという科目として単位取得ができることも学生側にとって大きなメリットになっています。
大学側としてもこれをきっかけに、外部のインターンシップに参加してもらうことを期待しています。

この取り組みを始めて5年が経ちましたが、幸いにして今まで倍率がつかなかったことはありません。
メンバーの選出にあたっては、応募者の中から、書類審査と面接で選考しています。
これまで各期5~6名メンバーを選出しており、今年で5期目、計約30名が活動してくれました。

現在、キャンパスPRプロジェクトメンバーは、オープンキャンパスの企画運営の中核を担い、一般スタッフと呼んでいる企画単位で参加する学生やサークル等の取りまとめも行っています。
さらに学園祭などの他の学内行事や、学外でも活躍の幅を広げています。

高校生がキャンパスPRプロジェクトメンバーと直接話せる場面を設け、憧れてもらう、そしてキャンパスPRプロジェクトのメンバーになることを入学動機のひとつにしてもらう。
実際、出願時に提出いただく志望理由書にもそうしたコメントがここ数年で散見されるようになってきました。

▲キャンパスPRプロジェクト5期生。
1年〜4年の6名を中心に活動している。

活動とPDCAサイクルをセットにする

ただし、学生にオープンキャンパスを任せきっているわけではありません。

キャンパスPRプロジェクトメンバーがここまでできるのは、私たち入試広報グループのメンバーとの意思疎通、課題の共有を普段から大事にしているからです。

具体的には、メンバー専用Slackを立ち上げて案件別や課題別にチャンネルを設けています。
例えば、競合大学のオープンキャンパスの分析・調査を行い、結果と考察の報告書を作成させています。

採用説明会では毎年「ここは、トライアンドエラーの許される環境です」と伝えています。
PDCAサイクルをセットにして、直さなければならない点については入試広報グループのメンバーから指摘やサポートを行っています。

守破離という言葉がありますが、最初は言われたとおり言われたことを行うだけだった学生が、ちょっとずつ創意工夫を加えながら自分のものにしていく。
3ヶ月も経つと別人のように成長してくれる姿を見ることができるのも、学生インターンならではの光景です。

オンラインオープンキャンパスにこだわる

DHUでは、今、オンラインオープンキャンパスを入り口にした募集戦略を組み立てています。
YouTube Liveでの生放送にこだわっており、アーカイブ映像も公式YouTubeチャンネル(@dhwtv)から視聴できるようになっています。

きっかけはもちろん、コロナ禍で大学に高校生が来校できないという状況でした。

私もオンラインで行われている他の学校のイベントを拝見する機会があるのですが、入試広報担当者が登場し、「それでは、画面共有します」から始まって、学校紹介や入試情報のスライドを淡々と見せる――といったイベントが少なくありません。
これでは、目の肥えた高校生を満足させることはできません。

コロナの状況が落ち着きつつある中で、各大学でも来校型のオープンキャンパスに回帰する動きが出てきていますが、来校型のみ開催し、予約制や人数制限を加えることは、高校生の進路選択の幅を狭めることになってしまいます。

感染リスクがないことはもちろん、交通費などのコストを削減できること、人数制限がないこと、いつでもどこからでも見ることができること、自宅で家族といっしょに参加できることなど、オンライン開催の利点は数多くあります。
DHUは今後もオンラインでの情報発信にこだわっていきたいと考えます。

高校生の進路選択に最良なコンテンツを

デジタルネイティブ時代の高校生の入学意欲を刺激するようなコンテンツを生み出すことこそが、Withコロナ時代の入試広報に必要なものなのです。

こういう話をすると、「クリエイター業界に強いデジタルハリウッドさんだからできることですよね」と言われることがあります。
そうではありません。

私たちも最初は手探りでした。
「オンライン配信」などのキーワードでGoogle検索をして、必要な機材やツールを調べながら、ノウハウを蓄積していきました。
専門の教員がいるからできたのではありません。
試行錯誤の上に成り立っています。

キャンパスPRプロジェクトのメンバーも、リハーサル中はセリフを噛みまくったり、段取りを間違えたり、言葉が詰まったりしています。
前日までどうしようかと悩んでいることもあります。
ですが、メンバー同士がダメ出ししたり、アドバイスしたり一生懸命練習して、役割をこなせるようになります。

YouTube Liveのカメラワークやテロップの出し方も、私自身がさまざまなバラエイティ番組やドラマ、YouTuberの動画を観て、マネをしながら、ああしよう、こうしようと毎回考えてやっています。

それはひとえに、私たち自身が提供するコンテンツが、「すべてをエンタテインメントにせよ」という、DHUのアドミッションポリシーを体現しているものでなければならないという想いがあるからです。

▲初夏のオープンキャンパス2022。
YouTube Liveの配信スタッフは在学生・卒業生が中心。
MCやセット設営は入試広報スタッフが務める。

ファンクラブの立ち上げ

DHUでは、オープンキャンパスや説明会への参加回数、アンケートの回答回数などの情報を保持しています。
その情報をもとに、出願の歩留まりを予測しています。

2022年4月入学者ベースになりますが、出願までの累計イベント参加回数が1回の場合、およそ4割5分の受験生が出願しています。
これが4回以上になると、出願率は約9割に跳ね上がります。
4回以上も参加している受験生が一定数いるというのも興味深いところですが、重要なのは「4回参加すればほぼ確実に受験してくれる」という事実です。

では、何度も足を運びたくなる大学になるには、何度も視聴したくなるイベントをつくるには、どうすればいいのか。

その資金石として、2021年度に立ち上げたのが「DHU FANCLUB」というサービスです。

オープンキャンパス参加者のみが加入できるDHU FANCLUBには、会員しか見られない特典映像や、会員しか予約できないイベントの案内、出願時の検定料が1万円減額できる検定料減免制度の申し込み窓口などを設けています。

オープンキャンパス参加者をロイヤルカスタマーに育てていくことで、出願歩留まりを上げる取り組みを行っています。

▲DHU FANCLUB。
会員限定コンテンツとして、過去の体験授業の視聴リンクや一般選抜の対策プリントなどが入手できる。

1回だけでは分からないようにする

上の話と矛盾するようですが、私が特にオンラインのオープンキャンパスを設計するときに意識していることは、1回参加しただけでは分からないようにする、という点です。

例えば、初夏のオープンキャンパスのメインは「実務家教員による体験授業」です。
そのため、カリキュラムや入試制度の説明に割ける時間は5~10分程度。
通常の大学説明会では2時間かけて行う内容をコンパクトにまとめるため、圧倒的に情報量が足りません。

結果として、受験者にモヤっとしたものが残る
だからこそ次回も参加したいとか、来校してみたいという欲求を刺激できるのです。

このように、1回の参加で4割5分の出願率を上げることも考えながら、どうすれば4回参加してくれるかという点も意識しています。

DHUらしい入試のあり方を追求

DHUは、デジタルコンテンツと企画コミュニケーションが学べる、一学部一学科の大学です。
「デザインを学びたい」
「CGアニメーターになりたい」
「広告プランナーを目指したい」
といった夢を持って入学してくれる学生がいます。
データサイエンスやAIの重要性が叫ばれる現代社会を生き抜く上で、必要なスキルを身につけることができる学校です。

他方、デジタルハリウッド=エンタメ業界といったイメージも根強くあります。
「卒業したらアーティストになるの?」
「映画業界やアニメ業界にしか就職できないの?」
といった誤解をされることも少なくありません。

入試もエンタテインメントに

なぜこうした誤解が生まれるのか。
私たちは、大学受験の教科・科目に「デジタルコミュニケーション」がないからではないか?という仮説を立てました。

「情報」や「技術」は科目として存在しますが、デジタルコミュニケーションはない。
当然、入試科目にもならない。
だから、英語や数学のように高校や塾で学ぶ必要性もないし、理解も進まない。
私たちは真面目にそう考えています。

であるならば、入試の科目にデジタルコミュニケーションを持ち込めば、学ぶ人も増えるのではないか?
自分の好きなものが入試科目になれば、もっと大学受験は自由かつ楽しくなるのではないか? 

そんな想いで始めたのが「#DHUEEX2025」というプロジェクトです。

入試すら、自分でつくってしまおう。」をキャッチフレーズに、高校生が望む入試のアイディアを公募して、良いアイデアがあればDHUの入試に実際に取り入れよう、という試みです。
高校の探究学習の題材としても利用いただけるよう、出張講義なども実施しています。

このプロジェクトが日本の入試制度を変える、DHU流に言えば「入試もエンタテインメントにせよ」の第一歩になることを願っています。

▲「#DHUEEX2025」ステートメント

▼ウイナレッジ編集部より
社会がWithコロナにシフトする中で、どの大学、専門学校も来校型オープンキャンパスに戻りつつある。その中で、データと戦略に基づいてオンラインオープンキャンパスを募集の基軸に位置付けているデジタルハリウッド大学の取り組みは、多くの教育機関の注目を集めていくと思います。

今回、お話を伺う中で、小勝氏の考えるオープンキャンパスの組み立ては、マーケティング分野でよく言われるカスタマージャーニーによる<認知→関心・興味喚起→育成>を意識した戦略だと改めて認識しました。株式会社立の大学として持っている認知の高さを強みにしつつ、オンライン型を基軸とすることで、高校生が参加しやすくなり接点(カスタマーエントリーポイント)が増え、関心・興味が喚起される。そして、オープンキャンパスに複数回参加することにより入学意欲が刺激され出願へとつながる。また、ファンクラブに参加することで、プレミアムなコンテンツを受け取りファンになっていくというコンテンツマーケティングの手法も活用して志望度を育成(ナーチャリング)し、出願後の入学辞退も抑止していく。

取材の中で、小勝氏から守破離という言葉が出てきましたが、正にマーケティングの守破離を意識した取り組みであると感じました。小勝氏の柔和な笑顔の中にある冷静な戦略と高校生の進路選択に対する熱い想いが、ひしひしと伝わってくる取材となりました。

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