
日常生活やビジネスシーンで「意思」と「意志」の使い分けに悩んだ経験を持つ先生は多いのではないでしょうか。どちらも読み方は同じですがニュアンスが異なるため、使い分けを誤ると意図が正確に伝わらない可能性も。
そこで本記事では「意思」と「意志」の違いや正しい使い方を、例文を交えながら解説します。言い換え表現もまとめたので、表現の幅を広げたい先生は必読です。学生への指導にもお役立てください。
目次
「意思」「意志」の意味とは?
どちらも「心の働き」を表す言葉ですが、意味には明確な違いがあります。まずは、それぞれの言葉の意味を確認しましょう。
単語 | 意味 |
---|---|
意思 | ある物事をしようとする考えや気持ちを指す |
意志 | 自分の考えや目標を実現しようとする強い心の働き |
「意思」の意味
「意思」とは物事についての考えや判断、伝えたい思いを表す言葉です。主に「思考の内容」や「考え」に重点が置かれており、心の中で考えていることや相手に伝えようとする内容を指します。
たとえば会議で「私は先生の案に賛成する意思があります」という場合、自分の考えや立場を表明していることになります。「患者の意思を尊重する」のような表現であれば、患者が望むことや考えを大切にする気持ちを意味しています。具体的な行動や選択に繋がる前段階の、心の動きを示すことが多いといえるでしょう。
「意志」の意味
「意志」は、目標に向かって「やり抜こうとする強い気持ち」や「信念」を表す言葉です。単なる考えや希望にとどまらず、それを貫こうとする強い決意を伝える際に使われます。内面のエネルギーや、継続的な行動に結びつくことが多い言葉です。
たとえば「彼は意志が強く、困難にも勇敢に立ち向かう」という文章は、困難な状況でも挫けない精神力の強さを表しています。一方で「意志が弱い」という言葉は、決心の弱さや持続力の欠如を意味します。
迷ったときの判断ポイント
どちらを使うべきか見極めるポイントをまとめました。覚えておくと、スムーズに判断できるでしょう。
意思 | 意志 | |
---|---|---|
意味 | 何かをしようとする心の動きや考え | 目標に向かって貫こうとする強い気持ち・決意 |
ニュアンス | 「考え」や「希望」といった比較的柔らかい印象 | 「固い決意」「揺るがない心」という強さがある |
使用場面 | ・日常の小さな選択 ・自分の考えや希望を相手に伝える場面 | ・大きな目標に向かうとき ・長期的な努力が必要な場面 |
「意思」「意志」の正しい使い方と例文

「意思」と「意志」は、使い分けを誤ると本来の意味が伝わりにくくなります。ここでは具体的な使用例を交えながら、それぞれの使い方を見ていきましょう。
「意思」の正しい使い方と例文
「意思」は主に考えや思いを表現する際に使用します。「どう思っているか」「何を望んでいるか」という、内面的な状態を表現するのに適しているといえるでしょう。「実行する前の気持ちや考え」に焦点が当たっていることがポイントです。また、集団としての意向を示す場合にも使われます。意思の使用例は、以下のとおりです。
【例文】
「彼は自分の意思をはっきりと伝えました」
「学生の意思を無視して、先生がすべて決めるのは避けるべきです」
「学校としての意思決定は、慎重に行う必要があります」
「意志」の正しい使い方と例文
「意志」は単なる思いや希望ではなく、やり遂げるという力強さを伴います。困難に立ち向かう姿勢や、何かを成し遂げようとする強い気持ちを表す場面に最適です。目標達成のための精神的な強さや、覚悟を強調したいときに使いましょう。意志の使用例は、以下のとおりです。
【例文】
「彼は医師になるという意志を貫きました」
「彼女は留学する意志を固めています」
「困難に立ち向かう強い意志を持つことが大切です」
「意思」「意志」の言い換え表現と例文
「意思」と「意志」には、似たような意味を持つ言い換え表現があります。知っておくことで、より細かなニュアンスを伝えられるでしょう。
「意思」の言い換え表現と例文
「意思」の言い換え表現には、以下3つがあります。
- 所存
- 意向
- 思考
それぞれの意味を解説します。
所存
改まった場面で、考えを伝えるときに用いられます。ビジネス文書や挨拶文で使われることが多い丁寧な表現です。「弊社は、今後も努力する所存です」「本件につきましては、近日中に対応する所存です」のように使います。特に、目上の人に対して伝える際に使用するとよいでしょう。
意向
ある事柄に対する考えや、希望を表す言葉です。主に第三者の意思決定に関する場面で使われます。感情的なニュアンスは少なく、形式的で中立的な印象を与える表現です。「今回のプロジェクトの進め方について、皆様の意向をお聞かせください」「取引先の意向を踏まえたうえで、提案内容を見直す必要があります」のように使います。
思考
「思考」は「考える」という行為自体を指す言葉で、意思形成の過程や考え方に焦点をあてた表現です。「論理的な思考」や「柔軟な思考」など、思考の性質を表す言葉と組み合わせて使われることが多く、個人の思考パターンや問題解決能力を伝える場面で用いられます。
「意志」の言い換え表現と例文
「意志」の言い換え表現は、次の3つです。
- 意欲
- 決意
- 志
それぞれの意味を解説します。
意欲
前向きな気持ちを表す言葉が「意欲」です。「彼は、新しいプロジェクトに強い意欲を燃やしている」「彼女は営業職への強い意欲を面接でアピールしていた」など、目標に対する積極性ややる気を伝えたいときに使われます。
決意
「決意」は、何かをやると心に決めた強い思いを表します。たとえば「独立を決意した」は「独り立ちすることを固く心に決めた」という意味です。実際の行動と結びつく場面で使われることが多く、自信や覚悟を強調したいときに最適です。
志
人生の目標や社会的な使命感を伴うような、高い心意気や理想を表します。特に教育や社会貢献、長期的な目標に関する文脈で使われることが多い表現です。たとえば「困っている人を助けたいという志を胸に、福祉の道へ進んだ」「彼は高い志を持って政界に入りました」のように使います。
また「志を同じくする仲間」のように、共通の理想や目標を持つ人との関係性を表す際にも使われます。
まとめ
「意思」と「意志」は、読み方は同じでもどちらを使うかによって意味が異なります。「意思」は考えや思いを、「意志」は強い決意や力強さを表す言葉です。使いこなすことで、意図を明確に伝えられるでしょう。状況に応じて言い換え表現も活用すれば、より豊かな表現が可能になりますよ。
\ぜひ投票お願いします/

鶴巻 健太
新潟在住のSEOディレクターで「新潟SEO情報局」というサイトを運営中
ウイナレッジのコンテンツ編集を担当
朝は農業を楽しみ、昼はスタバのコーヒーと共にパソコンに向かうのが日課