
夢と期待を持って入学したにもかかわらず、さまざまな理由から途中で学校を辞めてしまう学生が後を絶ちません。「辞める」という選択をすることは、学生にとってつらいもの。また学校側にとっても影響があるため、早期の対策が求められます。
本記事では、退学防止の取り組みをしている学校の事例を3つ紹介します。具体的な対策ポイントにも触れているので、学生のサポートにお役立てください。
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目次
「中退」と「退学」に違いはあるの?]

途中で学校を辞めることを「中退」や「退学」といいますが、一般的には以下の違いがあります。
- 中退:中途退学を略した言葉で、学生自ら辞める選択をすること
- 退学:学生の意思ではなく、学校側の判断によって辞めさせられること
中退防止という単語は使う機会が少ないので、本記事では「退学防止」で統一しています。
【2024最新】専門学校を中途退学する学生の割合は?
文部科学省が公開している「令和5年度専門学校生の中途退学者・休学者数等の調査結果」によると、専門学生の中途退学者の割合は6.44%でした。なお、前年度は約6%で大きな数値の変化は見られません。
しかし、大学・短期大学の2.10%に比べると高い水準であり、早期の対策が求められる状況です。
主な理由は「学業への意欲低下や自分に合わない」が最多の25.2%で、全体の4分の1を占めています。次いで「起業・就業」が13.1%。ほかにも「学力不振」や「精神的に通うのが難しい」「転学」などさまざまでした。ネガティブな理由だけではありませんが、学生が後悔しないよう学校全体でサポートしていく必要があるでしょう。
学生の退学を防止するための取り組み事例を3つ紹介

学生が辞めないよう、多くの学校が退学防止に取り組んでいます。ここでは、3つの事例を紹介します。
- 担任の制度を改革
- 学習面だけでなく生活面もサポート
- WCV導入で学生のミスマッチをなくす
それぞれ解説します。
担任の制度を改革
さいたまものつくり大学の事例です。クラスを従来の担任制から4学年を縦割りした編成に変え、学年関係なく学生同士が交流できるようにしました。これにより、学校生活に不安を抱える新入生が細かい疑問や悩みを解決できるチャンスが増え、学校生活に馴染みやすくなっています。
またすべての学生を平等に支えていくために、教職員全員が学生指導に関する研修を受講するなどして、学校全体で取り組んでいるようです。ほかにも改善を重ね、一時7%近かった中退率が、2022年には3.3%まで低下しました。
学習面だけでなく生活面もサポート
大阪スクールオブミュージック専門学校では、学生の状況を把握するために定期的に個別面談や保護者会を実施しているようです。またクラス間の交流を図るため、通常の授業に加えてイベントも実施しています。
さらに、学生の出欠状況に応じてスタッフ全員が対応できるように準備し、必要であれば提携病院と連携して健康面のサポートもしています。
WCV導入で学生のミスマッチをなくす
「学びたい内容ではなかった」「思っていた学校生活と違う」など、入学後のミスマッチは学生に中途退学を検討させる原因の一つです。そこで九州産業大学では、高校生を対象に1日大学生体験プログラム「WEEKDAY CAMPUS VISIT®」を導入しました。入学前に授業内容や進め方をリアルに知れるため、ミスマッチによる中途退学を防ぐことができます。
ほかにも学生との面談やLA(ラーニング・アシスタント)制度を開始し、約5%だった中退率が2.85%まで減少しました。
事例から学ぶ!退学防止のために学校ができる3つの対策
学生が自ら辞める選択をしないよう、学校全体で取り組みを進めていくことが大切です。ここでは事例を踏まえ、学校側ができる3つの対策を紹介します。
- 学生の状況を学校全体で把握し対応する
- 入学前にリアルな授業を体験させる
- 学生のモチベーションを可視化するツールを導入する
順番に解説します。
学生の状況を学校全体で把握し対応する
学生の状況を把握できなければ、適切な対応はできません。そこで大切なのが、密なコミュニケーションです。たとえば授業中いつも眠そうにしている学生や、授業を連続で欠席している学生に対し、定期的に連絡をとるのもよいでしょう。
コミュニケーションが薄れるほど、学生は孤独感や悩みを抱えやすくなります。積極的に学校側からアプローチし、いつでも相談できる場を用意して辞めにくい環境を作っていきましょう。
入学前にリアルな授業を体験させる
なかには、学校の良い部分だけを見て進学先を決めてしまう学生もいます。そこで在学生だけでなく、これから進学を考えている高校生を対象にした取り組みも大切です。たとえばオープンキャンパスでリアルな授業を体験できるプログラムを導入し、大変な部分や乗り超える方法を共有する機会を作ってはいかがでしょうか。入学後をリアルにイメージしやすく、ミスマッチによる学習意欲の低下を防げます。
学生のモチベーションを可視化するツールを導入する
普段の生活では、学生の表面的な部分しか見えないケースも多いですよね。そこで、ツールを活用して学生の内面を可視化するのも一つの方法です。たとえば「サカセルラボ」は、退学抑止や学生対応の負担軽減の課題解決をサポートする新しい検査ツール。
「マイタネ」と「マイノビ」の2つの検査で学生の状況を測定し、変化に対して適切な対応ができるよう設計されています。ストレスや悩みを抱えて辞めそうになっている学生を早期に把握でき、解決へと導く手助けとなるでしょう。
参考:サカセルラボ | 退学抑止や学生対応の負担軽減をお手伝いするツール
まとめ
ネガティブな理由による中途退学は、学生にも学校にも良い影響をもたらしません。特に専門学校の中退率は高く、各学校で対応が求められています。本記事で紹介した事例や対策を参考に、学校全体での取り組みを考えてみてはいかがでしょうか。
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