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    【5】仲良しグループ、孤立学生…クラスの人間関係のギクシャク、先生はどうするべき?

    2021.09.07 ブログ 教務情報

    連載侑加先生のお悩み相談室

    先生に特有のお悩みから、ワークライフバランス、キャリアデザインまで。「他の学校はどうなんだろう、他の先生はどう考えているんだろう……」と思ったら、学校の現場にも詳しい侑加先生に相談してみませんか?

    今回は、クラス内の人間関係についてのお悩みです。
    20歳前後の若者が集まると、どうしても人間関係が複雑になることがありますよね。
    学校としては、学生全員に気持ちよく学校生活を送ってほしいもの。
    先生はどのように関わるべきでしょうか?
    侑加先生に聞いてみましょう。

    【今回のお悩み】伊藤先生(仮名)

    20代後半の専門学校教員です。
    今年初めてクラス担任を受け持つことになり、2年制課程の1年生、25人ほどのクラスを担当しています。
    夏休みまでの4か月ほど、特に大きな問題なく進んでひとまずほっとしています。

    ただ、だんだんとクラスの中で学生がグループに分かれ、固定化しているのが気になります。
    同時に、どのグループにも入らず(入れず?)孤立気味の学生も。
    好きで一人でいるのか孤立しているのかは微妙なところで、本人がどう思っているのか直接聞くのもはばかられるのですが……

    医療事務の学科で、クラスは全員女子です(私も女性です)。
    私自身の中学・高校時代を思い出しても、クラスの中にグループができるのはある程度しかたがないかなとは思っています。
    今のところはグループ間で仲が悪いということもないのですが、例えば授業でグループ学習をする際、人数の問題で「いつものグループ」の子たちと一緒になれなかった学生のテンションがガタ落ち、同グループのほかの学生も困ってしまって暗い雰囲気になったり、グループのリーダー格の子に周りが影響されすぎているように見えたり……心配な場面は時々あります。

    卒業すれば社会人になるのですから、そのような人との関わり方から脱却して、せっかくの学生時代を色々な人と関わりながら自由に過ごしてほしい、と思っているのですが、教員の立場からコントロールする難しさを感じています。

    クラスを良い雰囲気に保ち、学生全員が気持ちよく学生生活を送れるようするために、教員はどのように関わるべきでしょうか。

    小グループ形成は自然 孤立学生に2点の配慮をしましょう

    伊藤先生、4ヶ月間のクラス運営、お疲れ様です。
    新年度の立ち上げは、何かと気苦労もあるものですよね。

    実は、私も25歳の時、25名の女性クラスを担当しました。
    1年生入学で担任となり、2年生も持ち上がり、卒業までを共に過ごしました。
    今回のご相談のお陰で、色々なことがあったなぁと思い出しています。
    泣いたり笑ったり、年齢のそう違わない学生たちと、無我夢中で過ごした2年間。
    あの頃の私が知っていたら、もう少し有意義なクラス運営や授業、就職活動への導きができたのではないかと反省も踏まえつつ、お応えしたいと思います。

    女性が多く集まると、人間関係は難しいものになる傾向が高いですよね。
    担任教師として、悩みは尽きないと思います。

    グループ形成の点において、ご心配な点は、2つありますね。
    25名の中に小グループができ、固定化していること。
    そして、孤立気味の学生がいることです。

    まず、25名全員がいつも一緒にランチを食べるというのは、難しいですよね。
    「類は友を呼ぶ」と言いますが、その通りだなと感じます。
    同じ高校出身者、部活や習い事が同じだった仲間、電車やバスで通学する顔見知り、たまたま名簿番号や席が近い人と気心が知れて、休憩時間にお喋りするということがありますよね。
    それが自然な成り行きだと思います。

    急いで問題にすべきは、孤立気味の学生です。
    専門学校は、同じ教室で担任教師が多くの授業を担当し、他の常勤、非常勤の先生方が入れ替わって授業を行うケースが多いですよね。
    つまり、学生は自分の教室で、ほぼ一日を過ごします。
    大学生は、授業毎に教室が変わるケースが多く、「教室=フィールド」という感覚を持っていないため、居場所を選ぶことができます。
    また、遠方から一人で通う学生や一人暮らしも多く、単独行動が珍しくありません。
    18歳、19歳の学生が一人で行動できるのは良いことだと思います。自立の一歩です。

    しかし、専門学校生の場合は、孤立学生も同じ教室にいながら、他のクラスメイトがグループで楽しそうにしている様子を見て過ごすことになります。
    「好きで一人でいるのか孤立しているのかは微妙なところ」なのですね。
    先生はお優しいので、「本人がどう思っているのか直接聞くのもはばかられるのですが…」というお気持ちでいらっしゃいます。
    ここは、思い切って、面談の機会を作るか、一人でいるタイミングを見計らって声を掛けましょう。

    コロナ禍も長く続き、スマホさえあれば一人で寂しくないと感じる学生は増えたようです。
    時代は非接触、黙食を求めていますから、当然の流れだと思われます。
    ですから、孤立気味の学生が「一人でいたい」と考えているのでしたら、様子を見守るということで良いのではないでしょうか。

    とはいえ、先に述べた通り、専門学校では大学に比べて中学・高校時代の延長を過ごす感覚がありますから、担任教師として配慮すべきことが2点あるでしょう。

    1点目は、当該学生の気持ちを知り、尊重する姿勢を示すということです。
    もし、人見知りで話しかけられず困っているのでしたら、授業中のグループワークを工夫するようにします。
    グループ同士の垣根を超えるためにも有効ですから、グループワークの工夫についてはまた後ほど詳しく述べていきますね。

    2点目は、健康状態への配慮です。

    私が担任した学生の中にも、孤立学生がいました。
    彼女は授業中に突っ伏したスタイルで大胆に寝ます。
    たまに遅刻もあり、忘れ物は多々ありました。
    気分の良い時と悪い時のムラが激しく、接し方に悩みました。
    4月に提出された諸情報記載の用紙から、社会的に誤解や偏見を受けやすい慢性の脳疾患を持っていることが判り、対人関係や生活上の困難さに直接的または間接的に影響しているであろうことが推察されました。
    私なりにその疾患について調べ、上司や授業担当の先生方にも協力を仰ぎ、親御さんとも連絡を取り合い、対応策を練りました。
    彼女の性格は、基本は明るくサッパリとしていたので、授業中の居眠りについては適宜注意しました。
    腫れ物に触るような態度は、他の学生の手前、また本人にとっても良くないと思ったのです。
    クラスの中には、何となく察する学生もいますし、それぞれ大人として接してくれたように思います。
    通常授業で概ね問題がなくても、行事があると動きが変わりますので、注意を払いました。
    一番気を遣ったのは、2年時の北海道研修旅行です。
    飛行機での気圧の変化は大丈夫か、現地で発作が出たらどうするか、部屋を私の部屋の近くにするなど、万全の体制で臨みました。
    1年以上同級生と過ごしていますから、気の利く学生や本人と仲良くなっている学生には、親御さん了解のもと、事情を話しておきました。
    無事に2泊3日を終えられたときは、心底ホッとしたのを覚えています。
    メンタル面の健康を含め、他の先生方にも協力を求める姿勢が大切だと思います。

    コミュニケーション教育に「バックキャスティング」の導入を

    バックキャスティング」という言葉をご存知ですか。
    未来の目標を先に決めて、逆算して、現在からの取り組み方を考えるという発想です。
    人間は生まれてから、「フォアキャスティング」で生きています。
    赤ちゃんが成長し、保育園や幼稚園に進み、小学校、中学校、高校と進学します。
    学生は、常に前を見て、フォアキャスティングで積み上げてきています。
    しかし、専門学校が最終学校となり、卒業後は社会に巣立っていくことから、専門学校では社会人として通用することを一つの着地点と考え、入学当初から「バックキャスティング」の視点を与えたいのです。

    グループができているため、「『いつものグループ』の子たちと一緒になれなかった学生のテンションがガタ落ち」する状況があるのですね。
    暗い雰囲気では、楽しく学べませんよね。
    「卒業すれば社会人になるのですから、そのような人との関わり方から脱却して」と先生はおっしゃっています。
    まさにその通りです。
    専門学校のカリキュラムは、卒業時を見据え、1年目にこの検定を、2年夏までに必要な資格はと、十分検討されています。
    これは、「バックキャスティング」の発想ですね。
    のんびりした大学生に比べれば、準備十分な専門学校生も大勢います。
    それは、学校側が用意したカリキュラムと指導体制のお陰と言えます。

    コミュニケーション教育については、いかがでしょうか。
    バックキャスティングが導入されているでしょうか。

    企業研修に伺っていると、大変厳しい現実に愕然とすることがあります。
    一般企業や銀行でのAIの導入は、もの凄いスピードで進んでいます。
    派遣スタッフを増員し、とにかく過去のデータを入力していた時期がありました。
    最近は、アップデートで済むことも多く、大勢の正社員は必要ない現場が増えました。
    「AIは、人間よりミスが無い」とよく聞きます。
    ソフトバンク株式会社では、就活用のエントリーシートをAIが一次審査しています。

    美容院でも、自動シャンプーの機械が髪を洗います。
    プラス料金を支払うことで、美容師さんに洗ってもらうことも選べます。
    経営者は「若いスタッフはすぐに腰が痛くなる、スタイリストになる前に辞める、機械はケンカしないしね」と笑っていました。
    人の採用活動には、コストが掛かり、更に教育し、一人前になるために年月を要します。
    人件費も十分掛かっているのです。
    健康維持に努め、長く努力でき、表立ってケンカしない人が欲しいのは、経営者として当然の気持ちでしょう。

    検定や資格は大切です。
    しかし、時代が進み、素人でも簡単な会計ソフトを使って、確定申告ができるようになりました。
    機械がシャンプーをします。
    信用金庫のATMは、随分優しい口調で出迎えてくれます。
    私達が必要とする「人」は、「親身になってくれるプロ」なのです。
    困った時に「親身になれる」マインドやスキルを持ち、「お役に立ちたい」とコミュニケーションの中で伝えてくれる人を求めているのです。

    コミュニケーション能力」は、企業が学生を採用する際に、重視するスキルです。
    かつては、「人柄」「育ち」の表出のように扱われていましたが、それでは、人事社員の「合う・合わない、好き・嫌い」という主観になってしまいます。
    そこで、コミュニケーションを「読む・書く・聞く・話す」という4技能に分け、それらの能力を測ることで、客観性を持たせる試みが定着しました。

    グループディスカッションは、受験生にとって、評価基準が分かりづらいですが、多くの企業が採用しています。
    コロナ禍にあっても、zoomでブレイクアウトセッションを行うなどして、積極的に導入されています。
    初対面の、それも複数の人と話し合う難しさに直面します。

    医療事務科の卒業生が就職する先は、病院、医院、施設などですね。
    医療事務に必要な知識は、検定対策で習得していきますが、ホスピタリティマインドの醸成コミュニケーション能力の育成はいかがでしょうか。
    冷たいロボットの受付では、病気のある人は元気になれません。
    心からの寄り添い、温かい声がけがあって初めて、「あ~、来て良かった。安心した」と患者さんは感じ、元気が湧いてくるのです。

    コミュニケーション教育は、言語・非言語両面から行いましょう。
    マスクをしたまま、笑顔が相手に伝わるように、是非トレーニングをしてください。
    机に鏡を置いて、目の動きに注意を払います。
    前髪を短くして、できるだけ眉の動きを見せるようにしましょう。
    状況が許せば、教室を出て、学校のエントランスで立ち居振る舞いを実習します。
    他の教員の目、お客様の目がある方が、適度な緊張感が生まれて姿勢も良くなるものです。
    コロナ禍の今、できるだけ多くの外部の目を意識することで、精神的な成長も促せます。

    「お客様と学生」「オープンキャンパスに訪れる高校生や保護者と学生」「患者や患者家族と病院スタッフ」など、ロールプレイングでは多様な設定でコミュニケーションの練習ができます。
    リアリティのある動きや会話を準備して、実践してみましょう。
    事前準備が8割、当日の雰囲気作りや指導が2割と意識して、25名の組み合わせ、グループの垣根を越えられるようメンバー構成を練ります。
    柔和な笑顔、立つ、歩く、お辞儀する、座る、物の受け渡しなど、基本の所作を徹底的に鍛えます。
    録画して、生き生きと取り組む学生の様子をオープンキャンパスで流してみましょう。

    学生にも「バックキャスティング」の言葉を伝え、共有します。
    1年の夏からオープンキャンパスで高校生や保護者と接するので、「いつものグループ」を超えて、実習することを当然のことと受け止められるよう啓発するのも大切ですね。
    病院や施設に実習へ行けば、自分の思い通りに優しくしてくれる方ばかりではありません。
    就職活動では、厳しい現実もあることでしょう。

    プロとして、男女問わず、年齢問わず、感じ良く接することができる人を求められていることを繰り返し伝え、担任教師も学生一人一人を尊重する姿勢を見せていきましょう。

    「心・技・体」は横綱 私たちは「体・技・心」の順で

    相撲の世界で、横綱は品格を求められるといわれています。
    心・技・体」という言葉を聞きますよね。
    私たちは、「体・技・心」の順で整えていく方が、上手くいくような気がします。
    まずは健康な体です。
    女性の健康にとって、お手洗いがキレイなこと、使いやすいことは重要です。
    孤立学生がいてもいなくても、常に清潔に保ちましょう。
    個室で一息つき、洗面台で手をきれいに洗うと、鏡に映る自分の姿も心も美しくありたいと願うものです。
    学生が掃除をする学校が多いですが、学期の切り替わり目では、専門業者に依頼し、徹底的に磨いてもらいましょう。
    男性上司の理解を得るのは難しいかもしれませんが、このコストは惜しくないです。
    個室に個人の生理用品を置きっ放しにしないなど、ルールも作り、徹底したいものです。

    そして、日常の立ち居振る舞いや、相手の話を「イエス・バット法」で受け止めることなどを習慣化します。
    一つの技として習得を目指し、繰り返し練習するのです。
    すると、心も伴ってくるという順です。
    仕事に行くのが嫌だなと思っても、服装を整えているうちに、「さぁ、今日も頑張るか」となりますよね。
    プロとして必要なコミュニケーションの型を育てる中で、お互いへの信頼や愛情も少しずつ育まれていくと期待します。

    今の伊藤先生のお気持ちを軽くしてくれる2冊、『友だち幻想』『教育幻想』を是非ご一読くださいね。

    菅野仁『友だち幻想 ─人と人の〈つながり〉を考える(ちくまプリマー新書)』筑摩書房(2008)
    [筑摩書房 商品ページ]https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480687807/
    菅野仁『教育幻想 ─クールティーチャー宣言(ちくまプリマー新書)』筑摩書房(2010)
    [筑摩書房 商品ページ]https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480688354/

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    この記事を書いた人
    侑加先生

    侑加先生

    一般企業を経て、専門学校に正教員として勤務。
    現在は、企業・大学講師、小中学生の塾経営。
    趣味は、お笑いと高校野球、旅行。一児の母。

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