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TOP教養学校運営初めて録画して見た自分の授業に愕然…一念発起「伝える力」を磨きに磨いて見えてきた「新しい先生」像

初めて録画して見た自分の授業に愕然…一念発起「伝える力」を磨きに磨いて見えてきた「新しい先生」像

2022.04.20 (最終更新:2024.03.27) 学校運営 教務情報

連載麻生塾に聞く!教育ICT活用

九州最大級の総合専門学校グループ「学校法人 麻生塾」の教育ICT活用について、牽引役である若山先生・藤澤先生にお聞きする注目の連載。「コロナ禍の緊急対応」に留まらない中長期的な取り組みの展望から、大きな組織での情報共有とプロジェクト推進の秘訣、すぐに真似したいテクニックまで、貴重な知見を惜しみなくお伝えします。

▼ウイナレッジ編集部より

麻生塾グループの教育ICT活用のキーパーソンお二人をお迎えしてお届けする連載「麻生塾に聞く!教育ICT活用」。

藤澤先生の第1回は、コロナ禍に見舞われ、初めて録画して見たご自身の授業に衝撃を受けてから、「伝える力」の重要性を感じ、先生のあり方が変わる「ゲーム・チェンジ」を悟るまでの経緯について。
今や驚くべきプレゼンテーション力で惹きこまれるような授業を展開する藤澤先生ですが、その能力はコロナ禍以降に猛特訓をして身に着けたとのこと。
非常時だからこそ原点に立ち返り、短期間に急激に教務スキルを進化させた藤澤先生の歩みは刺激的です。
どうぞお楽しみください!

▲藤澤先生の動画のクオリティはまるで人気YouTuber
内容がスルスル頭に入ってきます

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2020年、突如やってきた「オンライン授業」

「ちょっと待って!こんなはずない!!」

2020年4月、私は毎日こう叫びながら苦悩する日々を過ごしていました。
今までの教員人生最大の挫折といえる出来事でした。

2020年春新型コロナウイルス感染拡大に伴い、私が所属している麻生塾でも「オンライン授業」が始まろうとしていました。
突如として迫られた授業方式の転換
私だけでなく日本中の教師が困惑していた時期でした。

しかし、当初私は楽観視していました。
今までも「学生に興味を持って学んでもらうにはどうしたらいいのか」を常に考えてきた自負があったのです。

「オンライン授業になってもきっとうまくいく」
そう考えていました。

初めての録画に衝撃

オンライン授業の開始が迫る中、まず授業の方式をテストしてみることにしました。
学生がいない教室でパワポの資料に合わせて話す様子を録画して、受講者からどう見えるのかを確認することに。
撮り終えた時には「まぁ、いつもどおり結構話せたじゃん!」と、少し恥ずかしいながらなんとか話ができたと思いました。

ところが、いざ動画を確認してみると、まさに膝から崩れ落ちるような衝撃を受けました。
「ちょっと待って!こんなはずない!」
ついそんな言葉が出ていました。

自分が思い描いていたよりもはるかに聞き苦しい、つまらない、興味を持たせるには程遠い出来だったのです。
自分が見ても恥ずかしいような動画では、学生が満足に学べるわけもありません。
今まで感じたことがないほどの不安と焦りの気持ちがあふれてきました。
それから2週間ほど食事も喉を通らないくらい落ち込み、続きの録画に手をつけることができませんでした。

教師の「立ち位置」が変わる時代の到来

「今までは問題なく授業ができていたのに、なぜ自分の授業動画を見ると落ち込んでしまうんだろう。」
最初の録画以降、それを考え続けていました。

そんなある日、テレビを見ていると、通販番組が流れていました。
みなさんもよくご存知の、軽快なトークで商品の良さをPRしている番組です。
「いいよな、こんなにしゃべれて……」
ふとそんな気持ちがよぎりました。

それと同時にある事にも気づきました。
「なんでこのMCと自分を比べてるんだろう。」

今までは比較したこともなかったテレビMCと自分。
これまで、教師としての私のフィールドは教壇、学生の目の前でした。
しかし、その授業が「動画」となり、画面を通した瞬間に、比較される対象が「先生」ではなく、タレントやアナウンサーのような「話のプロ達」に変わってしまうのだと気づきました。

コロナ禍、教師は「学生の目の前」だけでなく、「画面」という新たな場に立たされることになったのです。
画面内では、作法もテクニックも何もかもが変わってしまいます。
まさに競技が代わり(ゲーム・チェンジ)、今までと違う「筋肉」が必要になったということです。

本来やるべきだった「伝える力」を磨くきっかけに

2020年以降の教師が立つこととなった「画面」という新たなフィールドでは、より「洗練された話術」と「惹きこむ力」が必要になります。
一見、教師という仕事とは無関係な能力のように感じます。
以前、他の先生とお話をする中で「営業マンやタレントじゃないんだから、教師に話術はいらない」と言われたことがあります。
本当にそうでしょうか?

教師の仕事とは本来、
「興味が持てない分野への興味を駆り立て、学びに誘うこと」
今まで分からなかったことを理解させること」
であるはずです。
そんな場面で「話術」は必須スキルだと私は考えます。

タレントやアナウンサーにとって「話術を磨くこと」や「見せ方を研究すること」は重要で、その能力を磨き続けた方々が活躍をしています。
教師も本来はその能力を磨き続ける必要があるはずですが、伝え方よりも情報重視で、さらに忙殺されて手が回っていなかったのが現状ではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症拡大による「オンライン授業」の実施は、本来教師が磨くべきであった「伝える力」に気づく、「原点回帰」の契機だったのではないかと今は感じています。

教師の「個」の磨き方

教師が磨くべき「伝える力」。
どうすれば磨くことができるでしょうか。
私は初めての録画の挫折からずっとそのことを考えてきました。

そんな中でたどり着いたのが「師匠」を探すことです。

みなさんは、「話術のプロ」である落語家さんがどうやってその話術を磨くかご存知でしょうか?
「師匠」に弟子入りし、その師匠の話を間近で毎日聞きながら「真似る」ことで習得していくそうです。

では、私達教師が同じように話術を磨こうとするとき、私たちの「師匠」とは誰でしょうか?
まず思い浮かぶのは先輩教師や上司かもしれません。
しかし、その師匠の授業を毎日見て分析するというのはなかなか難しいものです。
1回や2回見たところで、その伝え方の神髄を見抜くことは難しいでしょう。
しかも、「映像教育」に適した伝え方ができる教師となると、日本に一体どれくらいいるでしょうか?
正直、まだそんな教師は少ないのが現状だと思います。

では、私たちは「師匠」を見つけることができず、それぞれが暗中模索しなければならないのか。
そんなことはありません。
今の時代にはYouTubeやテレビ番組があります。
伝え方のプロである師匠は「画面の中」にいるのです。
教師の立ち位置が「画面の中」に変われば必要とされる能力も変わり、「画面内での作法」を知る必要があります。
それを熟知しているのは教師ではなく、タレントさんやアナウンサーさん、YouTuberのみなさんです。

ニュース番組を見ると、図解のフリップやアニメーションで難解なニュースがわかりやすく解説されています。
YouTubeやテレビ番組を見ると、どんな難しい話も聞き入らせてしまう話術を持った人々に出会います。
見せ方や伝え方のプロはそこら中にいるのです。

今こそ、「教師は教師らしく」という幻想は捨て、教師も「エンターテイナー」としての側面を持つ時代がやってきたと感じています。
見ていて楽しいリッチコンテンツがあふれるこの時代、教師も「惹きこむ力」が必要です。
その師匠は「画面の中」にいます

私と同じように、自身の授業の映像を見てがっかりした先生は多いのではないでしょうか。
なんとかしたいと感じているなら、まずはあなたの「師匠」を探してみませんか。

▼ウイナレッジ編集部より

藤澤先生の第1回は、2020年春に初めてご自身の授業を動画で見て落胆されたところから、先生の立ち位置・役割の変化を悟るまでの経緯と考えについて執筆いただきました。
教壇から画面の中へとフィールドが移れば、今まで通りの授業ではいけないということは、コロナ禍で現場の先生の多くが痛感されたのではないでしょうか。

藤澤先生が見つけた解決の糸口は「画面の中」の師匠を持つこと。
次回からは、藤澤先生が猛勉強・猛特訓する中で得た知見を惜しみなくお届けします。

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この記事を書いた人
藤澤 昌聡

藤澤 昌聡

麻生情報ビジネス専門学校 教務部 システム開発分野 常任講師
麻生塾における映像コンテンツ授業の伝道師。
専門は、プログラミング、情報処理、ITビジネス。
2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大により突如やることになった初の遠隔授業で「(おもしろいと思っていた)自分の授業が、動画で見るに堪えない」ことにショックを受ける。同時に、教師の立ち位置が変わっていく「ゲームチェンジ」を予想。急遽、自身の教育力の見直しと研鑽に取り組み始め、かねてから関心のあった「教育をエンターテイメントに」を追求している。そのロールモデルは、オリエンタルラジオの中田敦彦氏。
さらに同塾内の教師陣に向けた学内動画チャンネル「おたがいさまチャンネル」を立ち上げ、映像コンテンツ教育について、情報発信と啓発活動を続けている。

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