学生を成長させる近道は、学生が主体的に学び、自ら考えを深める環境を作ることです。私は、先生は「教える人」ではなく、「学生の成長を支援する人」であるべきと考えています。この役割に徹することで、みるみる学生が主体的に学ぶようになり、私自身の教育活動においても高い成果を出すことができています。
この記事では、効果的な授業の進め方と、それを支える具体的な工夫についてお伝えします。
授業の進行方法を明確に提示する
授業そのものの進行方法を最初に明確に提示することで、学生が授業の流れを理解し、安心して学べる環境が整います。
たとえば、授業の目的や内容、進行のペース、そして成績評価基準をあらかじめ伝えるようにしましょう。また、座学中心なのか、実習やグループワークを含むのかといった授業形態も大切な情報です。
そうすることで、学生はどのようなことが求められるのか、どこに重点を置いて学ぶべきかを理解しやすくなり、授業への意欲が高まります。
新人の先生にとって、進行方法を提示することは難しいことかもしれません。最初は授業の目的や内容、成績評価基準を伝えることから始め、経験を積む中で自分の授業スタイルを確立し、より詳細な進行方法を提示できるようになるといでしょう。
学生が自発的に学び出す仕組みづくり
学生が自ら進んで学ぶ「主体的な学び」を促すためには、授業の内容を伝えるだけでなく、自発的な学習ができる仕組みを作ることが重要です。私は具体的には、次のような工夫をしています。
・興味を引く導入
ここが授業のカギを握る重要なところです。授業の冒頭で、目的や意義、身近な例や実際の業界での実用例を用いることで、学生の興味を引き出し、自分ごととして学ぶ姿勢を促します。
・成功を積み上げられる授業内容
まずは簡単なアウトプットを積み上げていき、できること、わかることを増やし、学びへの主体性を引き出します。
・他の学生のアウトプットに触れられる授業
授業の中で自分の考えをアウトプットすることはもちろん、他の学生の考えや答えを共有することで思考の幅を広げます。
簡単な質問にたくさん答えるワーク
授業において、学生が楽しいと思えるのは、わかること、できるようになることです。
授業の中で、簡単な質問のワークを行うことはとても効果的です。授業中の小さな成功体験が積み重なり、学生のモチベーション向上にもつながります。
例えばAIの授業で使うワークを挙げると以下のようなものがあります。
・AIを利用するとどのようなことができると思いますか。
・学校にはどのようなデータがありますか。
・AIを学校でどのように活用できますか。
・生成AIを日々の学習でどのように活用できますか。
これらの質問について、自由記述で書き出してもらいます。
質問には明確な答えがあるわけではありません。学生が自由に回答してよい質問です。
ワークのタイミングは様々で、授業の冒頭で動機づけの目的で使うこともありますし、理解を定着させるために授業の終了間際に行うこともあります。
このワークを埋められたこと=「できた」につながり、自信がつきます。このワークを積み上げていくと学生が自発的に学習をするようになっていきます。知らないことや、今できないことを、知りたい、できるようになりたいと思えるようになる仕掛けがこのワークです。
すでに学生が知っている知識についてワークで問いかけるのも有効です。その知識について授業の中で更に掘り下げていく時、学生は高い興味を持ち、学習に取り組むようになります。
ワークづくりのコツは「シンプルな質問」です。学生が気軽に答えられるため、自信を持って取り組んでもらえるでしょう。
学生の考えをアウトプットするグループワーク
専門学校に入学してくる学生はすでに、小、中、高校とグループワークを取り入れた授業を受けてきています。
学生が授業でインプットを行うスタイルも重要ですが、学生たちが主体となって学習を進めるグループワークも積極的に取り入れることで学生の主体的な学びを促進することができます。
ポイントは、アウトプットと共感です。
自身の考えを言葉にして共有することで学生自身の発信力を高めることができます。また、他の学生の意見を聞くことで、自分にはない考えを知ることができ、思考の幅が広がります。
フィードバックの重要性
グループワークや個人でのワークにおいて、先生の役割はフィードバックをすることです。
学生のアウトプットに対して良い点を具体的に示しながら「次はこの部分をもう少し工夫してみよう」といった形でフィードバックをすることで、学生は成長への実感を得られ、やる気が高まります。
また、大きく内容がズレている場合は軌道修正を促すのも先生の役割です。なお、先生からのフィードバックと同じくらい、学生同士のフィードバックも重要です。
まとめ
専門学校で効果的な授業を行うためには、授業の進め方を明確にするだけでなく、学生が主体的に学ぶ仕組みを整えることが重要です。
簡単な質問に答えるワークや、グループワークを取り入れ、学びのアウトプットを積極的に行うことで、学生は自信を持って学習を進められるようになります。
また、先生がフィードバックを提供することで、学生自身の学びが深まり、授業内容がより定着しやすくなるといえます。学生が主体的に学ぶ環境づくりを心がけていきましょう。
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伊沢 剛
有限会社プチフール代表取締役
23年間、専門学校にてIT教育、学生募集に従事。その後独立。新人社員向けプログラミング研修、社会人向けDX,AI,クラウド研修、情報教育コンサルティング、DX推進支援に携わる。
Youtubeチャンネル:【IT・プログラミングLab】伊沢 剛