連載専門学校の先生のお仕事ライフハック
全国の専門学校の先生にインタビュー!先生の「お仕事ライフハック」=働くうえでの仕事術やアイデアを共有してもらいます。同じ職業だからこそ分かるお悩みやテクニックを参考に、明日からのお仕事ライフをアップデートしちゃいましょう!
忙しい日々を送る専門学校の先生。特に子育て中の先生は、時間管理に難しさを感じることが多いかと思います。限られた時間の中でも高いパフォーマンスを発揮して仕事を進めることは、子育て中の先生でなくとも共通の理想ですよね。
第7回は、中学生と高校生のお子さんを持ち、子育てと仕事の両立に励む専門学校山形V.カレッジの太田香代先生にお話を伺いました。
専門学校山形V.カレッジ
太田香代 先生
大学の教育学部を卒業後、中学校の常勤講師を経て「専門学校山形V.カレッジ」へ。公務員科の教科授業、公務員対策、学生指導全般に加え、教務・広報も担当する。高校生と中学生の息子2人を持つ母としても奮闘中。
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目次
経歴 ・先生になった理由
教員を目指していた就職氷河期時代に巡り合った貴重な縁
中学生の頃、憧れの先生がいたことをきっかけに小学校の教員になりたいと思うようになりました。高校でもその夢は変わらず、大学は教育学部に進学しました。ただ、その頃はちょうど就職氷河期の真っただ中で…。教員採用試験もとても倍率が高い時代だったんです。そこで、大学卒業後はいったん中学校で常勤講師として教壇に立ちました。そういった中で、たまたまハローワークで本校の求人を紹介してもらいまして。それまで専門学校教員という選択肢は考えたことがなく、翌年も教員採用試験を受験しようと思っていたのですが、「専門学校でも教員として働くことはできるな」と思い応募しました。その求人もすごく高い倍率だったのですが採用していただき、「これは貴重な縁だな」とそのまま専門学校教員の道に進みました。
学生時代から小学校の教員を目指していたこともあり、最初の頃は専門学生との関わりにとまどいもありました。ただ、学生が社会に出ていくタイミングに携わることができ、社会に出た後も卒業生とのつながりが濃いという、小・中学校の教員とはまた違う魅力が専門学校教員にはあると感じています。
現在の業務
授業、学生指導、教務、広報全般を担当し公務員科を支える
一般知能、数学、化学、生物、面接対策など公務員科の教科授業、公務員対策、学生指導全般を担当しています。また、現在は、公務員科の教務担当として、シラバス、カリキュラム、検定、成績、教科書・教材、入学卒業式などもとりまとめています。 あわせて、広報担当として、ガイダンスへの参加や高校訪問、SNS発信も行っています。
やりがい・おもしろさ
創意工夫できる環境と多様な出会い
本校では、カリキュラム作成や授業運営を教員が自由に工夫できるため、学生や時代に合わせて新しいことを取り入れたり変更したりできることにおもしろさを感じています。提携している出版社や他校との公務員関連の情報交換会へ毎年参加しているのですが、そこで伺ったアイデアは、積極的に次年度の授業へ取り入れていますね。
また、高校生だけでなく大学や社会人を経て入学する学生もいて、さまざまな世代やキャリアのある学生と一緒に悩んだり楽しんだりできるところもおもしろいです。社会人経験のある学生はクラスのまとめ役として頼りになることもあります。なかでも一番印象に残っているのは、私が教員になりたての頃に、小・中学校の同級生が入学してきたことですね。大学卒業後に警察官を目指すために専門学校へ入学したとのことで、「こんなこともあるんだ!」とすごく驚きました。
達成感を得た経験
公務員一次試験の合格率100%!感謝の言葉に報われる
「せっかく本校を選んでくれたのだから絶対に合格させたい」という思いから、8年前から入学が決まった高校3年生に対して、「入学前フォロー講習」を行っています。4月から授業で使用するテキストを事前に配布して、1月頃から週1回ペースで公務員試験対策の授業を始めます。8年間で試行錯誤を重ね、現在は高校生が参加しやすいようにオンラインをベースにしています。入学前からのフォローと少人数クラスでの授業という手厚い指導の成果か、毎年一次試験の合格率100%を達成しています。
二次試験に向けた面接対策では、私も学生と一緒に考えたり悩んだりしながら指導するため、最終合格や内定をもらったという報告は喜びもひとしおですね。合格した際や卒業式で「この学校に入ってよかったです」「合格できたのは先生のおかげです」といった言葉を学生からもらえると、本当にうれしいです。
以前、消防を希望していた学生に、「別の得意分野が活かせる職種も受験してみよう」とアドバイスしたことがありました。残念ながら第一希望だった消防には合格できず悔し涙を流しながらも、得意分野が活かせる職種へ進みました。その数年後にリクルーターとして学校へ来てくれた際に「ここで働けて良かったです」という言葉が聞けたときは、胸がいっぱいになりました。最終的に決めるのはもちろん学生本人ですが、希望と適性のバランスを見て、アドバイスや情報提供することの大切さを実感した経験でした。
お仕事ライフハック
新しいツールや情報を柔軟に取り入れることがプラスに
私は新しいもの好きで(笑)、いろいろと気軽に取り入れてみることですかね。せっかく便利なツールがあるなら使ってみよう!と常々思っています。例えば今はスマートフォンでGoogle Classroom を使い、学生との連絡や資料のやりとりをしています。帰宅後に連絡が来ることもありますが、学生の質問や困りごとにすぐ対応できるので役立っています。また、オンラインでフォロー講習を行う際は、ペンタブレットを利用しています。問題を解く過程や式の作り方も共有できるため、学生も分かりやすいようです。便利なツールを使うことで、私もラクになりますし、学生にとってもメリットがありますね。
それから、意識して、ドラマやバラエティー番組、マンガを見るようにもしています。最近の学生はいろいろなコンテンツに詳しくて、話についていけないことが多々ありまして…(笑)。公務員試験の勉強でも、テレビ番組やアニメで得た知識が活きることがあるんですよね。メディアに触れることの良さは、学生たちから学びました。
自宅でも、ロボット掃除機や食洗器などの家電を取り入れて家事は時短しています。
ワークライフバランス
周囲のサポートで子育てにも注力できる日々
中学生と高校生の息子がおり、今はやや「ライフ」に比重が傾いています。勤め始めて最初の10年ほどは仕事中心で残業が多かったのですが、子どもが産まれてからは定時で帰宅するようになりました。若い頃はとにかく仕事第一で頑張っていたのですが、今は家庭も大切なので、程よく肩の力を抜いて仕事と向き合えるようになったと思います。子どもが小さい頃のことは大変すぎでほぼ記憶がないのですが(笑)、今は今で大人へと成長する大切な時期なので、できるだけ子どもと関わりたいという思いが強いです。職場のみなさんにも「子育ては今しかできないことだよ」と理解していただいており、上司や同僚の助けがあって働き続けられていると感謝しています。
学校の自慢
特徴的な取り組みや受賞歴の数々
本校は地元での就職を希望する学生が多く、企業とのつながりも深いことから、地元就職に力を入れています。「職業実践専門課程設置校」として「教育課程編成委員会」を実施しており、地元企業と連携してカリキュラム作成をしています。今年は学生にも「教育課程編成委員会」の会議に出席してもらい、感想や要望を発表する時間を設けました。企業の皆さんからも「学生の声が聞けるのはありがたい」と好評でした。また、就職における取り組みの一環として、インターンシップ、アルバイト、ボランティアの3分野を組み合わせて学外活動を行うことで履修を認める「キャリア実習」を全学科対象に実施しています。何をどこで何時間したか書類提出が必要になるのですが、そういった事務手続きも社会に出てから必要なスキルと考えていますし、自分の向き不向きに気づくきっかけにもなり、社会経験を積む良い機会になっています。今後も地元企業に求められる人材育成に努めたいと思います。
また、ファッション・プロモート科の学生は「技能五輪全国大会」連続出場、全員が専門職へ就職しています。ICTクリエイト科の学生は「専門学生対象 Tシャツデザインコンテスト」に連続ノミネートしており、2024年は4位に入賞しました。本校は小さな学校ですが、特徴のある取り組みや全国入賞などの成果を出していることは自慢ですね。
一日のスケジュール
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8:40出勤
メールチェックなど。
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8:50朝会連絡 SHR
学生の出欠確認や連絡事項を伝えます。
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9:10午前授業
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12:50お昼休憩
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13:40午後授業
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15:30放課後
会議、事務業務、学生指導などにあたります。
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17:00退勤
子どものクラブ活動の送迎、夕飯作り、犬の散歩など。
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21:30家事
子どもたちが帰宅、家族と夕飯、洗濯、片付けなど。
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23:30就寝
必須アイテム
教務手帳とスマートフォン
25年間同じ教務手帳を使っています。使い勝手が良く、学生とのやりとりをすぐメモするためにいつも持ち歩いています。スマートフォンは、Google ClassroomやSlackを通して学生と連絡をとるので必須です。
\ぜひ投票お願いします/
株式会社ウイネット
ウイナレッジを運営している出版社。
全国の専門学校、大学、職業訓練校、PCスクール等教育機関向けに教材を制作・販売しています。