連載専門学校の先生のお仕事ライフハック
全国の専門学校の先生にインタビュー!先生の「お仕事ライフハック」=働くうえでの仕事術やアイデアを共有してもらいます。同じ職業だからこそ分かるお悩みやテクニックを参考に、明日からのお仕事ライフをアップデートしちゃいましょう!
授業の進め方について日々工夫されている先生が多いかと思います。ほかの先生がどういった授業をしているのか気になっても、なかなか見学する機会って少ないですよね。
関連記事:学生を惹きつける授業とは?わかりやすい授業づくりのコツを解説
第6回は、専門学校教員歴1年目ながら、学んできた教授法を活かした効率的な授業づくりに力を入れているYIC公務員専門学校の藤井満里奈先生にお話を伺いました。
YIC公務員専門学校
藤井満里奈 先生
子どもの頃から教員に憧れ、広島大学教育学部にて教育学や教授法を専門的に学ぶ。2024年1月より「YIC公務員専門学校」へ。公務員学科の副担任を担当しながら、「数的推理」「判断推理」の指導にあたる。
目次
経歴 ・先生になった理由
先生は子どもの頃からの夢!学生の目標をサポートできる専門学校へ
小学生の頃からずっと先生になりたいという夢がありました。学校という場所が好きで、勉強することも教えることも大好きだったんです。大学では教育学部に入り、教育学や教授法について専門的に学びました。
福島県で専門学校の教員をしていた方との出会いがあり、話を聞くうちに、自分のやりたいことに合っているなと思い、専門学校教員という仕事に興味を持ちました。その方に「山口だったらYIC公務員専門学校がおすすめだよ」と教えてもらい、学校の雰囲気が知りたくて、ホームページからオープンキャンパスの申し込みをしてしまいました(笑)。そうしたらお電話をいただいて…。実際にオープンキャンパスに参加させてもらいました。公務員試験合格という共通の目標を持ち、高いモチベーションを持った学生が集まっている環境がとても魅力的で、学生をサポートしたいという思いが強くなり、2024年1月にYIC公務員専門学校へ入職しました。
現在の業務
入職1年目!副担任業務や授業を楽しく担当
現在は、公務員学科の副担任をしています。授業は「数的推理」と「判断推理」の2科目を受け持っています。2科目とも公務員試験ならではの特徴があり、数学とは異なる点が多いので、どのように教えようかと難しさを感じることもあります。ただ、教え方を考えたり授業計画を考えたりすること自体がすごく好きなので、楽しく取り組めています。
そのほかには、春期・夏期・冬期セミナーでの講義、オープンキャンパスでの学校説明などを行っています。担任の先生と協力して、ホームルーム、学生との進路面談、公務員試験に向けた面接対策をすることもあります。
やりがい・おもしろさ
学生のひたむきさに触れ自分も成長できること
公務員になるという夢を叶えるために一生懸命頑張る姿を間近で見ることで、学生を尊敬すると共に、自分ももっと頑張ろうという気持ちになります。公務員は人のために頑張る仕事なので、「人の役に立ちたい」という思いを持った学生たちは、とてもまぶしく見えますね。
また、公務員専門学校ならではの魅力だと思うのが、県庁や市役所、消防署や警察署、税関、海上保安庁などの官公庁訪問や、現役で働く公務員の方にガイダンスへ来ていただく機会が多いことです。学生と共に現場を見学したり、職員の方から業務内容ややりがいを聞いたりすることで、公務員について理解を深めることができ、面白いなと感じています。
達成感を得た経験
学生が夢を叶える瞬間を見守れること
やはり学生が希望する自治体の採用試験に合格したときに喜びを感じますね。日々、公務員になるという夢に向かって一生懸命頑張っているところを見ているので、その夢を叶えた学生の姿を見ると、とてもうれしい気持ちになります。ちょうど先週も一緒に面接練習を頑張ってきた学生が合格し、喜びもひとしおでした。
お仕事ライフハック
学んできた教育学を活かした授業づくり
大学時代に教え方について専門的に学んできたので、それを活かした指導ができればと常に考えています。また、教育関連の本を読むことも好きなので、効率的な勉強方法が書かれた本を多く読み、授業のヒントにしています。
現在授業で意識していることを3つ挙げると、「授業目標の提示」「アクティブ・ラーニング」「授業アンケートの実施」です。
まず、「その授業を通して何ができるようになれば良いのか」という「授業目標」を毎回授業の初めに黒板の端に書いて学生に提示し、授業中いつでも学生が確認できるようにしています。そうすると、常に「今日はこれをできるようになればいいんだな」という意識づけができるので。授業の終わりには、「評価」の時間を設け、最初に書いた授業目標を達成できたか学生と一緒に振り返っています。
2つ目は、「アクティブ・ラーニング」を大切にしていることです。教員主体ではなく、学生主体になるような授業を考えています。私の授業では、「学生が解法を教えられるようになること」を目標にしています。例えば、問題を解いて終わりではなく、その後ペアで教え合う時間を設けるんです。具体的には、じゃんけんをしてもらい、勝った学生が負けた学生に対して難しい問題を教えるといったことをしています。誰かに「教える」ことによって、学力は定着すると考えているので、学生自身が教える機会を多く設け、本番の公務員試験でしっかりと点が取れるように工夫しています。また、解説する際には、最後まで一気に行うのではなく、「ヒント」という形で途中まで解き方の方向性を示し、その後は隣の人と話し合いをさせ、学生が自分の力で答えにたどり着けるよう工夫しています。
3つ目は独自の授業アンケートです。1〜2カ月に1回、学生に答えてもらっています。学生の授業の理解度、授業スピード、アクティブ・ラーニングについてどのように感じているか、負担になっていないかなどを4段階評価で確かめています。授業では一人ひとりを当てて答えてもらうこともあるため、それが負担になっていないか心配だったのですが、意外とみんな当てられることを嫌がっていないというのは驚きましたね。ほかにも授業をしているだけでは気が付けないことを知ることができています。学生の理解度や感じていることに寄り添えるように、日々授業改善に努めています。
学生とのコミュニケーション
悩むことがあっても日々改善!学生を尊重する関わり方を意識
年齢が近いこともあり、入職してすぐの頃は学生との関わり方に難しさを感じることがありました。また、入職当初は公務員に関する知識が追い付いていないと感じることも多く、学生に対して引け目を感じてしまうこともありました。そこで、今年の夏に3日間の「キャリア・サポーター養成講座」を受講しました。学生との会話において、「受容と共感、繰り返し、要約・感情の明確化、質問と明確化」が大切ということを改めて学ぶことができました。学生との関わりの中で活かせるように日々心がけ、学生を尊重し、学生の話にしっかりと耳を傾けるようにしています。
また、教師の役割は、学生を社会で生き抜いていくことができる人間に鍛え上げることだと考えているので、答えを全て教えるのでなく、学生自身に考えさせるような姿勢を大切にしています。
ワークライフバランス
授業準備は趣味の一つ!バランスを取りながらリフレッシュ
ワークライフバランスはとれていると思います。入職1年目で全てが初めての仕事のため、予習復習をする時間が必要なんですが、夜は早寝を優先し、朝早めに起きて予習復習や授業準備をして出勤することが多いです。仕事が終わらず残業することもあるんですが、そういったときはほかの先生が「大丈夫?」と声をかけてくださるので、とてもありがたいです。先生方が皆さん優しくておもしろいので、会話することでもリフレッシュできていますね。
また、「数的推理」と「判断推理」は初めて教える科目なので、休日にも授業準備をすることがありますが、「この問題はどのように教えようかな」と考えながら指導案や板書計画を作成する時間が好きなので、苦ではないです。そういう時間は、私にとっては趣味の一つになっていますね(笑)。また、休日には趣味のピアノを弾いたり、ダンスをしたりしてリフレッシュしています。
悩みの解決方法
定期面談や教員仲間に悩みを聞いてもらえることが支えに
本校では、入職1年目の先生を対象に、総合支援室の先生が定期面談をしてくださるんです。業務の中で抱いた悩みや不安を親身に聞いてくださるので、安心して働けています。
また、今年3月に「全国専門学校教育研究会」主催の「新任教員基礎研修」に参加した際、教育に対して情熱的な新任の先生方とたくさん出会いました。年齢層はバラバラだったんですが、みんな専門学校教員になったばかりということもあり悩みも似ており、とても心強かったです。今でもメールやLINEで近況を報告することがあり、支えになっています。
学校の自慢
ミスマッチを防ぐ職業理解と学生が楽しめるスマホ学習
職業理解に力を入れているところです。官公庁訪問やインターンシップ、職員の方によるガイダンス、ボランティアなど、学生が現場を理解する機会を多く用意しています。公務員として働いている未来の自分の姿を想像でき、モチベーションの維持にも役立っていると思います。また、職業理解を深めた上で希望する自治体を受験することで、入職後に「自分のやりたい仕事と違った」と感じてしまうミスマッチを防げています。
また、株式会社ウイネットのWeb教材「公務員試験Webトレーニング」を導入していることも自慢です。スマートフォンで気軽に公務員試験の勉強ができるので、学生も楽しく取り組んでいます。本校は新山口駅の目の前に立地しているため電車通学の学生が多く、電車の待ち時間や電車の中など隙間時間で試験対策をすることができ、とても役立っています。
一日のスケジュール
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9:00職員朝礼
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9:30ホームルーム、午前の授業
授業がないときは、授業準備や事務作業を行います。
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12:30お昼休憩
近くにあるおいしいお弁当屋さんで買うことが多いです。冬はスープジャーに温かいスープを入れて持参することも。
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13:30午後の授業
公務員試験前は、面接練習も行います。
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16:50ホームルーム、掃除
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18:30帰宅、夕食作り
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19:30夕食、入浴
読書をしながらゆっくり湯船に浸かってリラックスする時間が好きです。
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22:00ストレッチをして就寝
フィットネス系の動画を見ながら、一緒にやっています!
必須アイテム
テキスト&授業ノート、業務日誌、記録ノート&書籍「教えるということ」
まず、テキストに沿って授業を進めているので、絶対にないと困るのがテキストです。また、ノートにまとめておくことが好きなので、授業ごとの指導案を書いた「授業ノート」、その日に行った仕事内容や、先輩方の仕事から得た学びを記録する「業務日誌」、授業以外の業務についてまとめている「記録ノート」を作っています。大村はまさん著「教えるということ」という本は、大学時代に出会い、「こんな教師になりたい」「こんなクラス作りがしたい」と教育に対する情熱を一層強くしてくれた一冊です。今もお守りのように大切にしています。
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株式会社ウイネット
ウイナレッジを運営している出版社。
全国の専門学校、大学、職業訓練校、PCスクール等教育機関向けに教材を制作・販売しています。