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TOP特集インタビュー卒業生は4600名以上!日本電子専門学校が留学生に選ばれ続ける理由とは?

卒業生は4600名以上!日本電子専門学校が留学生に選ばれ続ける理由とは?

「日本学生支援機構」が実施している「外国人留学生在籍状況調査結果」によると、2023年5月1日時点の外国人留学生の数は279,274人と、前年度から48,128人増となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が残り、大学・専修学校では前年に続き減少していますが、それ以外の学種では増加しています。また、日本語教育機関では、調査を開始した2011年度以降で過去最多の在学数となりました。

※参考:2023(令和5)年度 外国人留学生在籍状況調査結果

コロナ禍が落ち着き、今後ますます日本の外国人留学生は増えていくことが予想されます。留学生に対して、専門学校としてはどのような取り組みが求められるでしょうか。

1978年から留学生専門部署を立ち上げ、これまで4600名以上の留学生を受け入れてきた日本電子専門学校で、留学生のキャリアサポートを担当する塚本さんにお話を伺いました。

日本電子専門学校 キャリアセンター 留学生キャリアサポート 課長

塚本隆之さん

大学卒業後、日本電子専門学校で体育教師に。その後、学生への指導力を活かし留学生担当部署に異動。留学生の文化や考え方、行動の特徴を学ぶ。広報部を経て、現在はキャリアセンターで勤務。留学生の入学条件の確認から進路支援、卒業生対応まで幅広く担当している。

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1978年から専門部署を設置、留学生約600名が在学

―――留学生受け入れに関する、これまでの歩みと現在のご状況を教えてください。

これまでに、4600名以上の留学生が本校を卒業しました。現在は579名の留学生が在学しています。出身国は、約半数が中国、4分の1が台湾と韓国、残りがミャンマー、ベトナム、ネパールなど全部で25の国と地域の学生が本校で学んでいます。今は1年生が一番多くて400名弱、2・3年生が合わせて200名弱です。コロナ禍前は全体で700名弱ほどいたため、以前と比べるとまだ少ない状況ですが、ちょうど今年から入学者数が戻ってきたところです。

1951年創立。新宿・大久保周辺に立つ13のキャンパスで約3000名の学生が学んでいる。

本校では、1978年に留学生専属部署を正式に立ち上げました。おそらくそういった部署を設立したというのは、専門学校の中ではかなり早い取り組みだったのではないでしょうか。2001年ごろから本格的に留学生の受け入れを始め、留学生専属部署が形を変えて、現在はキャリアセンターが主な相談窓口として留学生のサポートを担当しています。

留学生対応を担当するキャリアセンターの皆さん。

日本語学校の教職員が留学生に勧めたい進学先を選ぶ「日本留学AWARDS」において5年連続大賞を受賞し、2024年には永久殿堂入りを果たすことができました。長い歴史の中で培われてきた、区別も差別もせず留学生を受け入れる風土を評価していただけたのかなと思っております。

※参考:2024年「日本留学アワーズ」結果発表

長年に渡る日本語学校との密な連携

―――長年に渡り多くの留学生が入学されているんですね。留学生募集における広報活動はどのように行っているのでしょうか。

日本人も留学生も、基本的な広報活動は変わりません。本校の留学生は9割が日本語学校の卒業生ですので、日本人の場合は高校へ説明に行くように、留学生の場合は日本語学校への訪問が中心となります。本校に入学してくれた留学生の近況報告を含めた情報交換を、先生方と小まめに行うようにしています。また、日本語学校の先生を招いた校内説明会を毎年9月に実施し、オンライン参加を含む50名ほどの先生に参加いただいています。説明会だけでなく校舎を見て回っていただき、最後は日本語学校の卒業生である留学生と懇親会をします。教え子たちの様子を直接見て話を聞くことで、先生方に安心していただけるのではないかと思います。

留学生のうち、残りの1割は自国から直接入学する学生です。韓国と台湾に事務所がありまして、そのほかの国でも協力会社と提携し、現地で説明会や独自の企画などをしています。

一番大切なのは「入学の目的」

―――日本語学校との密な連携により、信頼関係を築いていらっしゃるんですね。留学生の入学選抜については、どういった点を重視されていますか。

書類選考、日本語力、作文、面接、経費支弁能力に問題がない学生を選抜しています。日本語力においては、「日本語能力試験N2以上」、「日本留学試験200点以上」、「BJTビジネス日本語能力テスト400点以上」の学生は免除としています。ただ、一番重視しているのは「入学の目的」です。これがないと、どんなに日本語ができてもうまくいきませんので。おかげ様で優秀な学生が多く入学してくれています。

教員、広報部、キャリアセンターを経験し、募集・学生対応・進路と全ての流れを見てきた塚本さん。

また、本校に入学する留学生のほとんどが日本での就職を目指していますが、最近は学ぶことが趣味の一つというか、「興味のあるジャンルを学びたい」という理由で入学してくる留学生も増えてきていますね。

日本語講座や細やかな個別対応で学生生活をフォロー

―――日本語が完璧でない学生もいらっしゃるかと思います。学習フォローはどのようにされていますか。

日本語については、就職先の企業で求められることが多い「日本語能力試験N1」の取得を目指すため、会話を上達させる講座と読み書きを学ぶ講座の2種類を放課後に実施しています。あとは各学科に合わせたフォローですね。例えば放課後自習室を開放して、教員が常時滞在することで自習を進めやすくしています。そういった場の方が、教員への質問や友達同士でのコミュニケーションもしやすいようです。また、本校では演習の際、担任のほかにサブ教員が付くことになっています。留学生に特化したフォローというわけではないのですが、教員が二人体制だからこそ目が行き届くというのが特長です。

学生が自由に過ごせる「コミュニケーションスペース」には、留学生も含めた多くの学生が集まる。

キャリアセンターも留学生の相談窓口となり、学習面の相談を受けた際には学科と連携して対応に当たります。不合格の科目がある際も、フォローに入っています。

―――文化や言葉の違いについてはいかがでしょうか。

ある程度日本の文化を学んできた学生が多いので、大きな壁にぶつかるケースは多くありませんが、なじめない学生に対しては個別対応を徹底しています。キャリアセンターには中国と韓国出身の職員がそれぞれいるため、母国語で相談できるというのも特長かと思います。

キャリアセンターでは、中国と韓国出身の職員が母国語で説明に当たるため、留学生も安心して相談が可能。

また、入学直後には留学生向けガイダンスとして、学校生活やルールに関する説明会をしています。それから、学生の自治会が主催する留学生だけの新入生歓迎会も行っています。学生自治会は日本人と留学生の両方で構成されており、学生目線でいろいろな企画をしてくれるため、留学生も打ち解けやすいようです。

日本人も留学生も垣根なく入学時から意識づけ

―――高い就職実績を誇っていらっしゃいますが、留学生に対してはどのような取り組みをされているのでしょうか?

本校では全体を通して、「日本人も留学生も全て一緒」という考え方があります。というのも、留学生は基本的に日本の企業への就職を目指しています。社会に出たら日本人と一緒に働くのですから、学生のうちからそれが当たり前の環境で過ごすことが大切だと思っています。

WEBデザイン学科1年生は、全40名のうち15名が留学生。日本を含め全7カ国の出身者がいるグローバルな環境。

就職活動に関しても、日本人・留学生関係なく、入学当初から就職に向けた意識づけをしています。例えば、入学当初から卒業までキャリアセンターの職員が「キャリアサポーター」として各クラスに配置されます。隔週でクラスのホームルームに出て、学生に対して就職に関するさまざまな仕掛けをしていきます。「副担任」というほどではないのですが、職員の顔を覚えてもらい、学生が相談しやすい環境づくりを心がけていますね。以前は毎日ホームルームに出ていたのですが、そうすると学生にとっては担任と同じような立場に見えて、逆に個別相談がしにくくなってしまったようなんです。隔週にしたことで、相談件数が増えました。

本格的な就職活動に関しては、秋に行う秋期講演会からスタートします。1月には学科単位で業界別に企業をお招きし、お話をしてもらいます。その後、年4回本校単独の合同説明会を実施し、毎回100社以上の企業に参加いただいています。そのほかにも、「放課後就職クラブ」といって放課後10社ほどの企業にお越しいただき説明会を開いてもらっています。年14~15回実施していますね。今後は留学生に特化したバージョンも実施しようかと考えています。

ゴールデンウイーク明けからは、毎日1社企業を招き、校内説明会とそのまま一次選考まで実施していただくケースもあります。

そこにプラスして、留学生に特化した就職ガイダンスを3回実施します。どうしても文化や考え方の違いが出てくる部分がありますので。ガイダンスでは、エンジニア就職、クリエイター就職と大きく2つに分けて、企業の方を招いて日本での就職に向けた講話をしていただきます。例えば、留学生は我をしっかり出すタイプが多いのですが、日本の企業ではそれをプラスに受け取る場合と一歩引いてしまう場合がある…といった内容です。業界のプロの方からリアルなお話をしていただいています。

また、本校の新設学科を除く全学科において、専門学校に通う外国人留学生のキャリア形成促進を目的とした「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定を受けることができました。全国の専門学校のうち、認定を受けたのは約7%という貴重な認定ですので、今後留学生の就職の幅がさらに広がればと思っています。

※参考:専門学校(専修学校専門課程)における「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」認定(令和5年度)について

卒業後でも仕事をやめたい、転職を考えているといった卒業生の相談も受けています。合同説明会には卒業生が企業側として参加することもあり、学生へのいい刺激になっていますね。

これからもいろいろな企業や人からの意見を参考に、留学生を含めた学生のためになることを柔軟に取り入れていきたいと思っています。

熱意ある先生と多くの友人に恵まれた日々に感謝

現在、日本電子専門学校に通う留学生にもお話を伺いました。

資格取得、希望する職への内定、友人との交流と充実した日々を過ごせたという3人。

―――みなさんが日本電子専門学校に入学した理由を教えてください。

ジョナサン プディマンさん:まず、日本語学校から専門学校へ進学した理由は、質の高い専門教育を受けられるからです。特にエンジニアリング分野において高いスキルを習得したいと思い、進学を決めました。日本電子専門学校を選んだのは、モバイルアプリケーションの開発において企画から設計、実装、公開までの一連のプロセスと、ネットワーク、サーバ、データベースなどの周辺技術をバランスよく教育してくれるからです。また、オープンキャンパスに参加した際、学校の雰囲気がとても良く、留学生サポートも充実していると感じました。モバイルエンジニアになりたいという思いもあり、この学校に即決しました。

モバイルアプリケーション開発科2年 ジョナサン プディマンさん インドネシア出身

羅 寿合さん:日本語学校に在籍中、専門学校へ進みたいと先生に相談したところ、日本電子専門学校を勧めてもらいました。70年を超える歴史がある大きなIT専門学校で、先端技術を勉強できるということで入学を決めました。

蔡 ダウムさん:私は日本語学校には通っておらず、韓国から直接入学しました。初めて日本を旅行した際、友人のお姉さんが日本電子専門学校に通っており、オープンキャンパスに誘われました。そのときは留学を考えていたわけではないのですが、授業を体験したところ、先生の話や在校生の熱意に感動し、ここで勉強したいと思いました。

高度電気工学科3年 蔡 ダウムさん 韓国出身

―――入学してみて、実際にいかがでしたか?

ジョナサン プディマンさん:授業は全体的に楽しかったです。先生の説明がとても分かりやすく、先生と話すことで日本語能力が向上しました。ただ課題をこなすだけでなく、専門的なスキルを高めることができました。学校が主催するイベントも多く、留学生や日本人の友人ができたのもよかったです。キャリアセンターによる就職活動支援のおかげもあり、モバイルエンジニアとして就職が決まりました。

情報処理科2年生 羅 寿合さん 中国出身

羅 寿合さん:先生の教え方が分かりやすく、すぐに先生に質問できる環境です。先生たちのおかげで「基本情報処理技術者試験」「Oracle Certified Java Programmer, Silver SE 11」などの資格を取得でき、希望していたインフラエンジニアとして内定をもらえました。また、学生自治会でいろんなイベントに参加して、たくさんの友人もできました。

日本人、留学生ともに親交が深まるイベントを多く開催。

蔡 ダウムさん:最初は不安がありましたが、基礎から丁寧に教えてもらえたおかげで、楽しく勉強でき、多くの資格を取得できました。放課後も資格試験の対策講座を受けるなど有意義に過ごした結果、クラスでトップの成績を取ることができました。また、私は学生自治会や学園祭実行委員会、学校の広報スタッフなどでリーダーを務めていて、学科を越えてたくさんの仲間がいます。授業以外にも多くの経験をできる場があり、いろいろな価値観を持った友人と交流できます。熱意ある先生や同じ目標を持った友人に出会い、一緒に悩み、喜んだことは忘れられない大事な思い出です。希望する仕事にも就くことができました。

最後に……

長年に渡り留学生を受け入れ、優秀な人材を輩出してきた日本電子専門学校。日本語学校との信頼関係、質の高い教育とフォロー体制、高い就職実績などさまざまな理由から留学生に選ばれていることが分かりました。

その中でも、先生や職員の方々の熱意、国籍に関係なく同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる環境、何よりも留学生をありのままに受け入れる風土が根付いていることが、一番の魅力のように映りました。

今後留学生の受け入れを増やす予定がある学校や、現在留学生へのフォローや対応に悩まれている先生方の参考になれば幸いです。

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