お話を伺ったのは▼
専門学校は自分の学びたい分野を中心に深く学べることが大きな魅力です。やる気に満ちて入学してきた学生の中には、途中でやる気や目標を失ってしまったり、授業についてこられなくなったりする学生がいるのも現実です。
今回は、もともと興味のあったパソコン関連の専門学校に進み、そこで初めて経験した「分からないことが分かるようになると授業って面白い!」という経験をもとに、パソコン教室を立ち上げた金子晃之さんにお話を伺いました。
現在チャンネル登録者数135万人、総再生回数は1億2500万回以上と大人気パソコン解説系YouTuberとしても活躍されている金子さんが「専門学校の先生に求めること」とは?
さらに、パソコン教室では知識ゼロの初心者を次々にMOS資格に合格させてきた金子さんが教える試験対策のコツとは?
ぜひチェックしてみてください!
目次
興味があることは続けられる!「授業が楽しい」という初めての感覚
―――パソコンやExcel・Wordは学生時代から詳しかったのでしょうか?
金子さん:子供のころからゲームが好きだったので、中学生のときに親に頼み込んでゲーム用のパソコンを購入してもらいました。
ですが、最初はパソコンを立ち上げることもできないくらい全く知識がなかったんです。
丁寧に使い方が書かれた本を読んで少しずつ使えるようになって。そこから学生時代はずっとパソコンゲームに熱中していました。それがパソコンに興味を持ったきっかけです。
Excel・Wordも学生時代ほとんど使ったことがなくて、少しメモをとるときに使うくらいでした。機能についても大人になるまでは最低限しか知りませんでした。
―――金子さんは高校卒業後に専門学校に進学されたそうですが、専門学校進学を選んだ理由を教えてください。
金子さん:高校が大学付属校だったのでそのまま大学に進学することもできたんですが、そもそも子供の頃から算数や国語などの勉強に興味が持てなかったんです。大学に行ったらまた同じように興味のない勉強をしなくてはいけないと思い、進学を躊躇していました。
ゲームでパソコンを使う中でプログラムやネットワークにも興味がわいていたので、好きなことの方が力を伸ばせるんじゃないかと思い、専門学校への進学を選びました。
本当はゲーム関連の仕事がしたいと思っていたのですが、狭き門だということも自覚していて。2番目3番目に好きなことでも、とにかく興味があることなら続けられるんじゃないかとネットワーク学科を選びました。
―――専門学校はいかがでしたか?
金子さん:一番よかったのは、やはり共通の趣味や目標を持つ友人に出会えたことです。同じものが好きなのでみんな話しやすかったです。
また、そもそも興味のある分野の学科に進学しているので、嫌いな分野の授業が少ないこともよかったですね。日々の授業がどれも楽しかったです。専門学校時代にいやな思い出ってほぼないんですよね。したくない勉強をしなくていいというのは本当に大きかったです。
子どものころから勉強に興味が持てなくて、ずっと学校の授業が苦手だったんですが、専門学校に入学したことで初めて「分からなかったことが分かるようになると授業って楽しいんだな」という経験ができました。
できなかったことができるようになる喜びを知ってほしい
―――専門学校卒業後は、プログラマーの道に進まれたんですよね。
金子さん:プログラムを書くことは楽しかったんですが、労働時間が長かったことと、決められたことしかできなくてあまり成長できない職場だと感じてしまい1年半で退職をしました。
退職後は、しばらくフラフラしていたんですが、母の知り合いにパソコンを教えて喜ばれたことをきっかけに、自分でパソコン教室を立ち上げました。
自分も専門学校時代に経験した「分からなかったことが分かるようになる喜び」を、たくさんの人に知ってもらいたいと思ったんです。
―――そのパソコン教室が、現在のYouTube登録者数135万人という活躍につながるんですね。立ち上げ当初は苦労されたとお伺いしましたが、どのタイミングでこの仕事が向いていると気づきましたか?
金子さん:最初は受講者が全くいなかったんです。数年経ってからクチコミで受講者が増えていきました。ずっとマンツーマンで教えていたのですが、「もっと多くの人の参考になれば」とYouTubeを始めたところ、登録者数が増えていきました。
向いているかな…と思えたのは、YouTubeを始めて少し経って、コメント欄で「説明が分かりやすい」と書いてもらえたことでした。
パソコン教室でも面と向かって言ってもらえることはあったのですが、「お世辞かも」と思ってしまって(笑)。
YouTubeは匿名なので、お世辞ではなく本音で書いてくれている気がして素直にうれしかったです。
実は、今でもこの仕事が自分に向いているとはっきり思っているわけではないんです。パソコンは好きなんですが、教えること自体は特別好きというわけではなくて。
ただ、できなかったことができるようになって喜んでくれる人、パソコンを好きになってくれる人を見ることにやりがいを感じています。
繰り返しの回数を多くすることで合格率が格段にアップ!
――知識がまったくない初心者の受講者を、たった2日間の講義だけでMOSに合格させてきた金子さんですが、資格試験を受ける際のアドバイスをお願いします!
金子さん:自分自身は、社会人になってから必要に応じてExcel・Wordを勉強しました。パソコン教室を立ち上げてからは独学で徹底的に知識を深めました。
Excel・Wordは社会人になると「使えて当たり前」と思われてしまいます。学生のうちに資格を取っておくと必ず有利になる、メリットが大きいということを念頭に置いて勉強するのがいいと思います。仕事においては確実に必要になるスキルなので、早いうちから勉強しないともったいないです。
勉強方法としては、資格の勉強と実際の仕事で使う機能ってどうしても違ってくるので、資格に出てくる機能が何のためのものなのかはざっくり理解して、あとは英単語と同じように繰り返して暗記するというのが覚えやすいと思います。
社会に出てみないと、実際にどういった場面でどんな機能を使うのかってイメージしにくいと思うんです。それであれば機能自体を覚えてしまって、仕事で使うときになったら思い出して使っていくのが一番いいかなと思います。
学校の授業では時間に制限がある中で教えなくてはいけないので、どんどん機能の説明をしていく教え方が多いかと思うんですが、10割じっくり教えるよりも、5割ざっくり教えて残りの5割をとことん復習に当てて、1、2回しか繰り返せなかったところを5、6回繰り返した方が実力がつくと思います。
先生としては細かく説明したくなると思うんですが、正直半分くらいは忘れてしまうので(笑)。ざっくり「この機能はこういうときに使うんだ」と教えて、あとはひたすら繰り返し手を動かして覚えさせることです。
説明されてもよく分からなくって、結果的に授業についていけなくなる子っていると思うんです。自分で復習ができる子はいいですが、そうではない子にとっては繰り返しの回数を多くとってあげることがおすすめです。私のパソコン教室でも、その方法で明らかに合格率が上がりましたよ。
知識だけならYouTubeでも。対面だからこそ「聴いて」あげてほしい
――中学校時代から好きだったパソコンが仕事になり、現在もご活躍されている金子さん。好きなことを伸ばすためには何が大切だと思いますか?
金子さん:学生には「やりたい」と思ったことを、とにかくやり続けてほしいです。そしてできるだけ没頭すること。「これって将来、意味あるのかな」と思ってしまうことって誰にでもあると思うんですが、そう考えすぎると手が止まってしまったり嫌いになってしまったりするんですよね。
先生には学生のその「やりたい」という気持ちを支えてあげてほしいです。学校ってせっかく対面で会える場所なので、先生は学生のやりたいことや夢を聴いてあげること、話をすることが一番大切だと思います。
「ただ授業をする」「ただ知識を与える」というのは、今の時代だとそれこそYouTubeやオンラインでもできることなんですよね。
だからこそ、個別に話をするというのが大切になってくると思います。
私自身は、専門学校時代に先生との交流が少なくて。専門分野の本を執筆しているような先生に直接教えてもらえたというのは価値ある経験でしたが、先生に声を掛けづらい、質問しづらいというのがあったんです。
先生の専門性や知識はもちろん大切ですが、それよりも話を聴いてくれる先生がいいですよね。
好きなことを伸ばしていくのは本人しだいですが、それにはまず、先生に話を聴いてもらって、先生の経験を踏まえたアドバイスをもらえることが学生にとって一番だと思います。
最後に……
好きなことをずっとやり続けるって、意外と難しいことですよね。
好きだからこそ、授業についていけなくなったり理解できなくなったりしてしまったら一気にモチベーションが下がる、苦手意識が強くなるということがあると思います。
金子さん自身も、就職後にプログラマーを退職したりパソコン教室になかなか人が集まらなかったりと、うまくいかないことを経験されています。
それでもひたすらに「好きなこと」を続けてきたことが、今の活躍につながっているんですね。
学生が「好きなこと」を続けられるように、しっかりと話を聴いてサポートしてあげたいですね!
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