基本情報技術者試験は2023年より新制度での試験が実施され、出題傾向・時間・問題数などが大幅な変更を受けました。
以前の午前試験にあたる科目A試験でも、制限時間は150分→90分、問題数は80問→60問へと大きく変わっています。出題される内容についてはほぼ変更はなく、これまでと同様の試験対策が通用するようです。
しかし、令和2年度以降の基本情報技術者試験の出題内容は非公表となってしまったため、最新の問題傾向を知ることができなくなりました。
そこで今回は、4月16日に実施されました令和5年春期の応用情報技術者試験の午前試験に出題された問題から、今後基本情報技術者試験で出題の可能性があるキーワードをピックアップします。
問題文出典:IPA「令和5年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問題」
目次
【科目A】令和5年春期 応用情報技術者試験の新出単語
1.テクノロジ分野
問24 NFC(Near Field Communication)の説明として,適切なものはどれか。
ア 静電容量式のタッチセンサーで,位置情報を検出するために用いられる。
イ 接触式ICカードの通信方法として利用される。
ウ 通信距離は最大10m程度である。
エ ピアツーピアで通信する機能を備えている。
NFCとは、非接触型ICカードやICタグの通信技術に使用されている通信距離が10cm程度の近距離無線通信技術です。
スマートフォン同士で通信を行う場合、ピアツーピア(P2P)で通信を行います。
問48 スクラムでは,一定の期間で区切ったスプリントを繰り返して開発を進める。各スプリントで実施するスクラムイベントの順序のうち,適切なものはどれか。
〔スクラムイベント〕
1:スプリントプランニング
2:スプリントレトロスペクティブ
3:スプリントレビュー
4:デイリースクラム
ア 1→4→2→3
イ 1→4→3→2
ウ 4→1→2→3
エ 4→1→3→2
正しい順番は以下になります。
1:スプリントプランニング(スプリントの作業計画を立てる)
→4:デイリースクラム(毎日の作業進捗)
→3:スプリントレビュー(ステークホルダから成果物のフィードバックを受ける)
→2:スプリントレトロスペクティブ(チーム内のプロセス改善)
アジャイル開発に関する問題は基本情報でも頻出傾向にあります。1回の試験で必ず1問以上は出題され、場合によっては2問出題されることも。
基本情報では応用情報のようなスクラムイベントの順番を問う問題までは出題されないとは思いますが、それぞれのイベントの名称と行うタイミング、内容については必ず押さえておきましょう。
2.ストラテジ分野
問63 ビッグデータの利活用を促す取組の一つである情報銀行の説明はどれか。
ア 金融機関が,自らが有する顧客の決済データを分析して,金融商品の提案や販売など,自らの営業活動に活用できる取組
イ 国や自治体が,公共データに匿名加工を施した上で,二次利用を促進するために共通プラットフォームを介してデータを民間に提供できるようにする取組
ウ 事業者が,個人との契約などに基づき個人情報を預託され,当該個人の指示又は指定した条件に基づき,データを他の事業者に提供できるようにする取組
エ 事業者が,自社工場におけるIoT機器から収集された産業用データを,インターネット上の取引市場を介して,他の事業者に提供できるようにする取組
総務省HPに情報銀行について公開されている資料があります。
情報銀行の定義など、内容について把握しておきましょう。
情報銀行は、国の定めた基準を満たす信頼できる主体として、個人の委任を受け、その個人に関するパーソナルデータを管理するとともに、個人が同意した一定の範囲において第三者提供する。
出典:情報銀行の取組 4ページ 情報銀行とは より
問70 企業と大学の共同研究に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 企業のニーズを受け入れて共同研究を実施するための機関として,各大学にTLO(Technology Licensing Organization)が設置されている。
イ 共同研究で得られた成果を特許出願する場合,研究に参加した企業,大学などの法人を発明者とする。
ウ 共同研究に必要な経費を企業が全て負担した場合でも,実際の研究は大学の教職員と企業の研究者が対等の立場で行う。
エ 国立大学法人が共同研究を行う場合,その研究に必要な費用は全て国が負担しなければならない。
共同研究とは
大学の自主性及び主体性のもと、民間機関等から研究経費を大学に受け入れて、教員と民間機関等の研究者とが対等の立場で共通の課題について共同して行う研究制度です。
出典:名古屋市立大学 共同研究について より
共同研究は、企業と大学が「対等の立場」「対等の関係」であることがキーとなります。
特許法に基づいて決定される事柄や、当事者間での合意で決定されるべきことについては、「共同研究だから」が理由ではないことに留意してください。
最後に
科目Aは従来どおり、過去問題中心の対策が通用するとはいえ、各分野での新しい単語については、単語と内容を正しく把握しておく必要があります。特に共同研究などのように、「この内容としてどれが正しいか」といった出題をされたとき、ぱっと見では混同してしまう文章が並び、もっともらしい選択肢が用意されています。そこから正しい解答を選択するためには、単語と内容を正しく把握することが重要です。
特にストラテジ分野は、新しい言葉が比較的出題されやすい傾向にあります。応用情報技術者試験の過去問題だけではなく、ITパスポートや、上位資格の午前Iのストラテジ分野の問題から、単語をチェックしておくと、合格点の積み上げになるでしょう。
こういった、新しい単語を意識した学習をできるかが、合格の鍵となるでしょう。
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