連載作文添削者はここを見ている!作文指導のポイント
初級公務員試験の多くで課される「作文試験」。作文試験に苦手意識をもつ学生が多いため、指導に苦労されている先生もいらっしゃるのでは。 この連載では、作文添削のプロフェッショナルである作子先生に、作文添削者が見ているポイントを伝えていただきます。ぜひ学生の作文指導にお役立てください。
皆さん、こんにちは。
これまでの連載で、添削者が見ているポイントをご紹介しました。
最終回となる第4回では、添削者から先生方へのアドバイスをお伝えいたします。
目次
添削結果を参考にリライトする
作文のレベルアップのためには、自分の弱点を把握することが大切です 。
添削結果を眺めているだけでは上達はしないでしょう。
赤ペンで書き込まれた添削を確認して、自分の弱点を意識しなくてはいけません。
そのうえで、弱点を改善しながら、同じ課題でリライト(書き直し)をさせましょう。
添削では、誤字脱字には正しい語句を赤入れしますが、内容や展開に関わるアドバイスについて具体的な書き直し例は示しません。
「このように考えてみましょう」「このように展開しましょう」といったアドバイスをすることがほとんどです。
つまり、赤入れのとおりに書き直すだけでは、作文は完成しないのです。
学生に同じ課題でリライトさせるときは、「リライト=清書ではない」ことをきちんと伝えましょう。
「リライト=課題への再チャレンジ」です。
同じ課題で書くことを面倒くさがる学生がいるかもしれません。
新しい課題の方がやる気が起きる、という学生もいるでしょう。
確かに、異なる課題でどんどん書いてみることは効果的ですが、基本ができていない段階でそれを行っても、作文力の向上にはつながりにくいと思います。
作文が苦手な学生こそ、「この課題だったら時間内に書ききれる」「この話題ならうまく展開できる」といった、自信の持てる課題(話題)を増やすことを目指すとよいでしょう。
そのためには、リライトが重要です。
作文対策は早めにスタートする
教養試験対策を優先するため、作文対策は後回しになりがちです。
しかしながら、
作文を書く → 添削してもらう → 添削結果を確認する → リライトする
このサイクルには、時間がかかります。
だからこそ、作文練習には計画的に取り組ませましょう。
本試験直前の6~8月に教養試験対策に集中するためには、春のうちに作文練習を重ねておくことをおすすめします。
本試験の指定字数で練習する
作文が苦手で、長い文章が書けない学生も多くいます。
その場合、短文から始めて、徐々に長文を書く練習するという方法もあります。
けれども、本試験の指定字数を時間内に書けなければ、いくら練習をしても結果につながりません。
そのため、初めから本試験の字数(800字程度)で練習をすることをおすすめします。
字数を稼ぐために、同じことを繰り返したり、長い前置きや無駄なことを書いたりする学生もいます。
そのような学生には、指定字数をクリアするだけでは不十分であることを、早めに自覚させましょう。
なんとなく書けている気になっていてはダメなのです。
先生の負担を減らす
学生に作文を書かせたら、先生は必ず目を通す必要があります。
書きっぱなしでは、作文力は向上しないからです。
とはいえ、クラス人数分の作文の確認には何時間もかかります。
作文を丁寧に読んでアドバイスを書いていたら、1枚あたり30分~1時間くらいはかかるのではないでしょうか。
また、担任の先生が作文指導が得意だとは限りません。
改善の余地があることは分かっても、どこをどのようにアドバイスしたらよいのか、迷うことも多いでしょう。
専門学校の中には、非常勤講師を招いて作文指導をしている学校もあると聞きます。
担任以外の人から、担任とは別の観点での添削指導を受けることは、学生にとって良い刺激となることでしょう。
また、外部の作文試験を受験するなど、継続的に添削を受けることも効果的です 。
面接試験対策と一緒に進める
個性のある作文を書くためには、面接シートの内容を準備しておくとよいでしょう。
自己PR、学生時代に力を入れたこと、志望職種の理解、仕事への意欲などをまとめておくと、いろいろな課題に活用できます。
また、公務員試験では、面接試験の際に面接シートや作文が参照される場合もあるようです。
面接試験、面接シート、作文を通して、やる気や自分の良さを伝えることができるのが理想的です。
学生の作文の成長記録を残す
学校ではたくさんのプリントや資料が配布されます。
それらを綺麗に取り出しやすく保管している学生もいれば、そうでない学生もいます。
整理整頓が苦手な学生の中には、せっかくの作文添削結果を無くしてしまう人も多いのではないでしょうか。
リライトするまでは取っておいても、その後はどこかへいってしまった、という場合があるかもしれません。
そこで、先生方には、学生に添削結果を返却する前に、作文用紙をスキャンしてデータを残しておくことをおすすめします。
学生の作文力がアップしているのか、そうでないのかを、感覚ではなく時系列で確認できると、先生方がアドバイスをされる際にも、とても役に立つと思います。
まとめ
作文添削をしていると、直接会ったことがなくても、人となりが見えたような気がする瞬間がよくあります。
丁寧な字で書かれた作文からは、仕事を丁寧に着実にこなす姿が想像できます。
よくある部活動の体験談であっても、場面が目に浮かぶような体験談が述べられていると、頑張ってきた様子が想像できて、内面の成長に期待がもてます。
公務員の仕事を理解して、抱負を述べている作文に対しては、公務員としてぜひ活躍してほしいと思います。
800字程度の文章から、受験者の人柄や文章力を判断するのが作文試験の目的です。
読みやすい文章で、自分の考えや良いところを相手に伝えることができるように、ぜひ練習を重ねていただきたいです。
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作子先生
公務員系専門学校において学生指導を経験し、現在はウイネットで作文添削を担当。これまでに5000枚以上の作文に目を通してきた。