ビジネスシーンにおいて、文章は欠かせないもの。たとえば上司や取引先、保護者へメールを送る際は言葉に気を使いますよね。しかし、丁寧な言い回しを意識しすぎて「二重敬語」になっている先生もいます。結果的に「正しい日本語が使えない先生」という印象を与えてしまう恐れも。
そこで本記事では、二重敬語の意味や避けたほうがよい理由、正しい使い方を解説します。指摘される前に、正しい敬語をマスターしましょう。
目次
そもそも二重敬語とは?
そもそも二重敬語とは、どのような場合を指すのでしょうか。ここでは、二重敬語の意味や避けたほうがよい理由を解説します。
- 敬語表現が重複していること
- 本来は天皇や皇族に対するときのみ使われる表現だった
- 二重敬語を避けたほうがよい理由
それぞれ解説します。
敬語表現が重複していること
1つの語に対して、同じ種類の敬語を2つ使用することを二重敬語といいます。敬語の使い方に不慣れな場合や、丁寧さを意識しすぎる際に使いがちですが、かえって不自然な印象を与えてしまう言葉遣いです。
本来は天皇や皇族に対するときのみ使われる表現だった
一般的に誤りとされる二重敬語ですが、実は「最高敬語」と呼ばれ、本来は天皇陛下や皇族に対してのみ使われていました。つまり、一般的には使われない特別な表現だったのです。そのため、神様や天皇陛下に対して用いれば正しい表現となります。日常シーンの場合、相手が目上の存在でも使うのは誤りになるので注意しましょう。
二重敬語を避けたほうがよい理由
「丁寧な表現であれば問題ないのでは?」と、感じるかもしれません。しかし、過剰に丁寧で不自然な表現は「見下されている」「マナーがない」といった印象を与え、かえって失礼に聞こえることもあります。
また本来の意図が伝わらず、誤解を招く恐れも。ビジネスシーンで恥をかかないためにも、正しい表現を覚えましょう。
使っていないかチェック!二重敬語の主なパターン4つ
二重敬語の主なパターンは、以下の4つです。使っていないかチェックしてみましょう。
- 役職+敬称
- 各位+様
- お(ご)+られる
- 謙譲語+させていただく
それぞれ詳しく解説します。
1.役職+敬称
「社長様」「部長殿」のように、役職に「様」や「殿」などの敬称をつけるのは二重敬語です。役職自体が敬意を込めた言葉のため、重ねて敬称をつける必要はありません。「社長」「部長」と呼ぶだけで充分に敬意を示すことができます。
誤り: 田中課長様にお願いしたいことがございます。
正解: 田中課長にお願いしたいことがございます。
なお、ビジネスメールで相手の名前を記載する際は「課長 田中様」のような表現でもOKです。
2.各位+様
ビジネス文書やメールの冒頭で頻繁に見られる「各位様」も、二重敬語の一つ。「各位」は「皆様」と同じ意味で複数の人に対して敬意を表す言葉のため、改めて「様」をつける必要はありません。「各位」または「皆様」と表記しましょう。
誤り:各位様にお知らせいたします。
正解:各位にお知らせいたします。
3.お(ご)+られる
「おっしゃられる」「ご覧になられる」のように、「お」や「ご」をつけて尊敬語にしたあと、さらに「られる」をつけるのも二重敬語です。「見る」や「言う」という動詞を「ご覧になる」「おっしゃる」と尊敬語にすることで、すでに相手に対して敬意を示しています。さらに「られる」をつけると、二重に尊敬語を重ねていることになるので注意しましょう。
誤り:先生が資料をご覧になられました。
正解:先生が資料をご覧になりました。
4.謙譲語+させていただく
「拝見させていただきます」「伺わせていただきます」なども、よく見られる二重敬語です。「拝見する」「伺う」はどちらも謙譲語であり、自分の行為を謙遜して相手に伝える言葉です。さらに「させていただく」という謙譲語を重ねると、不自然な表現になります。謙譲語を一つだけ使用するか、丁寧語に「させていただく」をつけるようにしましょう。
誤り:ありがたく頂戴させていただきます。
正解:ありがたく頂戴します。
使いがちな二重敬語の代表例と正しい使い方
ここでは、ビジネスシーンで使いがちな二重敬語の代表例と正しい表現をまとめました。丁寧さを意識しすぎて無意識に使っているかも?過去に送ったメール文章を見直して、誤った使い方をしていないかチェックしてみましょう。
二重敬語の例 | 正しい敬語 |
---|---|
ご覧になられました | ご覧になりました、見られました |
おっしゃられました | おっしゃいました |
お帰りになられました | お帰りになりました |
お話しになられました | お話しになりました |
お聞きになられました | お聞きになりました |
お呼びになられました | お呼びになりました |
お承りました | 承りました、お受けしました |
頂戴させていただきます | 頂戴します |
拝見させていただきます | 拝見します |
文章のクセは意識しないと直りにくいもの。対面でのコミュニケーション時も正しい言葉遣いができるよう、日頃から意識しましょう。
使用しても問題ない二重敬語もある
基本的に二重敬語は避けるべきですが、広く普及したために問題ないとされる表現もあります。文化庁の資料でも「一般に適切ではないとされているが、語によっては習慣として定着しているものもある」と記載されています。代表的な例は、以下の3つです。
- お伺いする
- お見えになる
- ご担当者様
それぞれ解説します。
お伺いする
「お伺いする」は、厳密には「お〜する(謙譲語)」と「伺う(謙譲語)」の組み合わせで二重敬語になりますが、一般的に広く使われている表現です。「伺う」だけでも謙譲の意味を持ちますが「お伺いする」とすることで、より丁寧な印象を与えられます。ビジネスシーンで使用しても、相手に違和感を与えないでしょう。
例:明日の13時に学校へお伺いします。
お見えになる
「お見えになる」も「お〜なる(尊敬語)」と「見える(尊敬語)」の組み合わせで二重敬語ですが、使用しても問題ありません。特に、接客業や対人サービスのシーンでは頻繁に使われています。ただし「お見えになられる」のように「お〜なる(尊敬語)」+「見える(尊敬語)」+「られる(尊敬語)」は3つの敬語が重なった三重敬語になるため、避けましょう。
例:校長がお見えになりました。
ご担当者様
「ご担当者様」は、具体的な個人名がわからない場合に使っている先生も多いのではないでしょうか。厳密には二重敬語に該当しますが、ビジネスシーンでは広く使われており、失礼にあたらない表現とされています。
例:ABC株式会社 ご担当者様
ただし、相手が1人の場合にのみ使ってOKな表現です。相手が複数の場合に「ご担当者様各位」と敬称を重ねて使わないようにしましょう。複数の担当者に向ける場合は「担当者各位」が正解となります。
まとめ
二重敬語は、丁寧さを意識しすぎて使いがちな表現です。すべての二重敬語が間違いというわけではありませんが、失礼な印象を与える恐れもあります。マナー違反にならないためにも、敬語の種類とそれぞれの役割を理解して正しい言葉遣いを心がけましょう。
\ぜひ投票お願いします/
鶴巻 健太
新潟在住のSEOディレクターで「新潟SEO情報局」というサイトを運営中
ウイナレッジのコンテンツ編集を担当
朝は農業を楽しみ、昼はスタバのコーヒーと共にパソコンに向かうのが日課