「よい授業」とはどのような授業を指すのでしょうか。
学生を惹きつける授業、おもしろい授業、学生がよく反応する授業など、切り口はたくさんあると思います。
特に、授業は「理解させるためのもの」ですので、「わかりやすい授業」はよい授業の王道ということができるでしょう。
本記事では、わかりやすい授業づくりに役立つ情報をご紹介していきます。
目次
わかりやすい授業を構成するコツ
わかりやすい授業をする先生は、ちょっとしたコツを心得て実践しています。
ここでは、その「ちょっとしたコツ」を見ていきましょう。
授業目標を明確にする
長距離を走るとき、ゴールを知らないとそこに辿り着くことは困難でしょう。
授業も同じです。
最初に「この授業でこれを理解してほしい」というゴールを学生に示しておくと、学生は目標を明確にして授業に参加できます。
そのためには、先生が準備の段階で授業目標を定めておくことが大切です。
具体的には「◯◯について理解する」「△△力を身につける」などが挙げられるでしょう。
興味を引く導入にする
「授業は受けるべき。だけどいまいち気が乗らない」という学生もいます。
そんな学生にとって、テキストの内容を説明するだけの授業はおもしろみに欠けるものでしょう。
導入の段階で学生の興味を引き、授業に引き込む工夫が必要です。
具体的には、次のような導入が考えられます。
- 世間話から始め、自然な流れで授業内容に繋げる
- 意外性のあるおもしろい話をして、学生に耳を傾ける姿勢を作らせる
- タイムリーな話題を取り入れ、学生の意見を聞き出す
目標を達成するのに最適な授業構成を考える
学習内容に加え、難易度や資格試験での出題頻度、人数など、複数の要因を考慮して構成すると学生に合った授業になります。
さらに、講義型の授業か、各自が作業する授業か、などについては都度最適な形式を選ぶとよいでしょう。
たとえば、次のように目的によって授業形式は変わってきます。
【理解させる】:テキストと動画を使った講義形式の授業
【定着させる】:グループワークやロールプレイングなど実践形成期の授業
授業で学生の心をつかむポイント
学生に人気のある先生には、授業力があります。
ここでは、学生の心をとらえる授業のポイントを見てみましょう。
声の大きさ
先生の声が小さいと、授業内容やわかりやすさ以前に学生が聞き取れず困ってしまいます。
先生の言葉を聞き逃さないために、学生が聞くことに力を使うようでは授業の内容に集中できません。
また、声が大きすぎて支障があることも。
男性と女性が同じ音を聞いた場合、一般的に女性の方がより大きな音に感じるという研究があるそうです。
性差だけでなく個人差もあるので、全員にとって適度な大きさというのは難しいですが、声の大きさを意識しておくことが大切です。
授業の雰囲気
学生が、授業に参加しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。
雰囲気づくりの具体的な工夫として、次のようなことを試してみてはいかがでしょうか。
- アイスブレイクを取り入れる
- ペアやグループディスカッションを取り入れる
- 先生自身が授業を楽しむ
特に「先生が楽しそう」という印象は、学生の記憶によく残るようです。
先生が楽しそうに話すと、授業はおのずと明るい雰囲気になりますよ。
話すスピード
話すスピードが早すぎると聞き取りにくく、遅すぎると眠くなります。
話し方には先生の個性があり変えるのは難しいものですが、聞き取りやすい適度なスピードで話す工夫が必要です。
授業準備の中で一度教壇に立ったつもりで録音して聞いてみるのもよいかもしれません。
さらに、学生の授業に対する理解度を向上させるには話すスピードに緩急をつけるとよいでしょう。
重要な部分は繰り返しゆっくり話すと、学生の注意を引くことができます。
学生とのコミュニケーション
授業は、先生が学生に教えるだけの一方通行のものではありません。
学生の反応や発言なども授業を構成する大切な要素です。
先生と学生の間に信頼関係ができていると、反応や発言がよく出ます。
授業中も学生とコミュニケーションを取るとよいでしょう。
具体的には、次のようなことに気をつけます。
- 学生の発言を最大限尊重し、否定しないで褒めるところを見つける
- 学生の表情を見る
- 自分の感情を学生にぶつけない
板書のわかりやすさ
学生にとってノートは「未来の自分への手紙」です。
後日、読み返したときにはすでに忘れている内容も多いでしょう。
そのため、ノートを読んだだけで、授業の内容を思い出せるような板書が望ましいです。
先生が、授業中に口頭で説明した重要な点をすべてノートに書き込んでいる学生は多くありません。
従って、授業のポイントを重点的に説明する板書になるよう意識しましょう。
授業前に板書計画を作っておくことが役に立ちます。
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つまらない授業の特徴
つまらないと思われてしまう授業には、共通する特徴があるようです。
ここでは、その特徴を見ていきましょう。
抽象的でわかりにくい
授業で使うテキストには抽象的な言葉が多く、わかりづらいことがあります。
その内容をそのまま説明したのでは、理解できない学生が出てくるでしょう。
わかりにくい話ばかりの授業では、つまらなく感じてしまいますよね。
つまらない授業にしないよう、具体例を交えたわかりやすい説明を心がけましょう。
さらに、アニメや映画、流行しているものなど、学生に身近なものを具体例として使うと、学生とコミュニケーションが取れるというおまけも付いてきます。
メリハリがない
先生が授業中ずっと同じ話し方・テンポで説明していると、学生に「ここが重要」というポイントが伝わりません。
特に覚えてほしいところや検定などの頻出問題は繰り返しゆっくり説明するなど、先生が話し方やテンポを意識するとよいでしょう。
また、授業の1区切りが長いと学生は退屈に感じます。
学生の集中力をなるべく切らさないようにするコツは、短い時間で区切ることです。
話し方やテンポ、時間の配分を工夫すると授業にメリハリが出て、つまらない授業になることを避けられます。
工夫が少ない
テキストをなぞるだけの授業では、学生に「読めばわかるのに」と思われます。
また、毎回同じパターンで授業をすると学生はマンネリを感じてしまうかもしれません。
動画を使ったり、グループワークを取り入れたりと、学生を退屈させない方法はたくさんあります。
授業方法を大きく変えなくても、雑談を入れるなど先生がいつもと違うことをするだけで学生は「おや?」と興味を示すでしょう。
学生の様子や先生の個性に合わせて教える方法を工夫すれば、その先生オリジナルの楽しい授業になります。
わかりやすい授業を行うために模擬授業をやってみよう
自分ではわかりやすいと思っている授業でも、受ける立場からしたらそうではないかもしれません。
自分の授業に対する客観的な感想をもらうには、模擬授業がおすすめです。
模擬授業を同僚に見てもらおう
模擬授業を見てもらうのは、勇気がいります。
しかし、わかりやすい授業をする力を付けるには、客観的なフィードバックをもらうのが近道です。
勇気を出して「模擬授業を見てください」と、同僚に頼んでみましょう。
自分では思いつかなかったような指摘を受けるかもしれませんし、よいところを再発見できる場合もあります。
自分で撮影してみよう
「えー」「あのー」といった口癖は、聞いている人にとっては気になるものです。
また「間の取り方」「声の強弱」「表情」など、気をつけているつもりでも改善の余地がある場合も。
自分の授業をよりよくするためには、客観的に見る必要があります。
おすすめの方法は、授業の様子を動画撮影することです。
気恥ずかしいかもしれませんが、録画した映像を見て改善点を客観的に考察すれば次に活かすことができます。
まとめ
専門学校にはベテランから若手までさまざまな年代の先生がいます。
テキストとノートで行う昔ながらの授業が上手な先生もいれば、ICTを導入している先生もいるでしょう。
今は、それぞれの得意分野を活かし、先生同士も教え合って授業力を高めていく時代です。
学生たちにしっかりと理解してもらうために、授業を工夫したり模擬授業で改善点を見つけたりして、わかりやすい授業ができる先生をめざしましょう。
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