
連載知っておきたいインターンシップのこと
在学中の学生が企業内で就業体験を行う「インターンシップ」。インターンシップは、学生が自己の適正を把握したり仕事の内容を理解するための重要なイベントです。この連載ではそんなインターンシップについて様々な情報をお伝えします。
就職活動の一環として、多くの学生が参加しているインターンシップ。参加率は年々高まっており、進みたい業界の知識を深めたり、適性があるか見極めたりするのに有効です。最近ではオンラインで開催する企業も増えていますが、通常のインターンシップと違いはあるのでしょうか。
本記事では、オンラインインターンシップの開催内容や、参加するメリットを詳しく解説します。注意点にも触れているので、学生への進路指導にお役立てください。
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目次
オンラインインターンシップとは?

オンラインインターンシップとは、その名のとおりオンライン上で開催されるインターンシップのことです。参加する学生は、企業から提供されるプログラムにオンラインで取り組み、フィードバックを受けます。
通常のインターンシップと同様にグループワークを実施するケースも多く、リモートワークやWeb会議の練習にもなるでしょう。
オンラインインターンは意味がないのか?
オンラインインターンシップに関してSNSやWebでリサーチすると「訪問しないから企業の雰囲気をつかみにくいのでは?」「対面型でないと社員の人柄がわかりにくそう」などの声もあり、参加する意味がないと感じる学生もいるようです。
しかしオンラインならではのメリットも多く、参加率は増加傾向にあります。興味ある企業のオンラインインターンシップには、積極的に参加するのがおすすめです。
オンラインインターンシップの主な内容
対面型と同様に、オンラインインターンシップにも短期と長期の2種類があります。ここでは、それぞれどのような体験ができるのか詳しく解説します。
短期の場合
短期インターンシップの場合は、主に以下の4つを組み合わせて開催されるケースが多いです。
- 講義・セミナー
- グループワーク
- 社員との交流会
- 職場見学
それぞれ解説します。
1.講義・セミナー
業界や企業の特徴、他社との違いを理解してもらうことを狙いとしたプログラムです。担当者からの説明時間が長く、コミュニケーションの機会は比較的少なめですが、ホームページだけではわからないような話や、業界の最新動向を聞くことができます。就職活動の一歩として、業界・企業研究をしたい学生に最適です。
2.グループワーク
講義やセミナーとセットでグループワークを取り入れるケースもあります。企業が課題を出し、5名程度のチームになって進めていくのが一般的です。内容は、新規事業のアイデアを考えるワークや、企業の課題解決策を提案するプレゼンテーション形式のものがあります。
ほかのメンバーと意見を交換しあうことで、新しい視点や価値観に触れるきっかけにもなるでしょう。自身の強みや改善点を発見する機会としても有効です。
3.社員との交流会
実際に企業で働く人との会話を通じて、企業理解を深めていくプログラムです。職場のリアルな雰囲気や業務のやりがい・つらさを知ることができ、キャリアに関する具体的なアドバイスが得られる場合もあります。また、先輩社会人の考え方に触れることで、ビジネス社会で大切なことを知る機会にもなるでしょう。
単独で開催されるケースは少なく、講義やグループワークと組み合わせて実施されるのが一般的です。
4.職場見学
実際に社員が働いているオフィスや工場を、Web上で見学するプログラムです。企業のリアルな雰囲気を知るきっかけになります。働く環境や実際の業務風景を目にすることで、働き方をイメージしやすくなるでしょう。また対面では立ち入りが難しいエリアも、カメラを通じて見せてもらえるケースがあります。
長期の場合
長期の場合は、業務体験や実務となるケースが多い傾向にあります。進みたい業界が明確な学生は、長期のオンラインインターンシップでスキルを磨くのがおすすめです。
業務体験・実務
普段社員が従事している仕事を体験できるため、実践的な学びの場といえます。担当する業務は企業や部署によって異なりますが、たとえばマーケティングならデータ分析や企画立案、エンジニアなら実際にプログラムを組む業務などを体験できるケースが多いです。
仕事に対する責任感ややりがいをリアルに体験でき、職場で必要なスキルや知識を学べます。適性やキャリアプランを見直す機会にもなるでしょう。
学生がオンラインインターンシップに参加する3つのメリット

「対面型でないと参加する意味がない」と考えるのはもったいないこと。オンラインインターンシップならではの参加メリットは、次の3つです。
- 場所を問わず全国の企業を選択できる
- 効率良く企業理解を進められる
- オンライン面接の経験になる
それぞれ解説します。
場所を問わず全国の企業を選択できる
住んでいる場所の制約を受けず、興味ある企業のインターンシップへ参加できる点は、オンラインならではといえるでしょう。たとえば北海道在住の学生が、自宅にいながら東京や大阪に拠点を置く企業のプログラムに参加できるため、選択肢が格段に広がります。また交通費や宿泊費用も抑えられるため、金銭面の負担なく参加できるのもメリットです。
効率良く企業理解を進められる
従来に比べて効率良く情報収集できるのも、オンライン型ならではのメリットです。企業へ訪問する交通費や移動時間がないため、少しでも興味を持った企業のインターンシップにも気軽に参加できるでしょう。開催時間が被らなければ、1日で複数社のインターンシップに参加することも可能です。
オンライン面接の経験になる
テレワークの普及に伴い、採用活動にWebを活用する企業も増えています。対面型の面接にはない注意点も多く、オンラインでのコミュニケーションに慣れていないと本来の力を発揮できずに終わってしまうことも。
オンラインインターンシップで事前に慣れておけば、本番の面接にも落ち着いて臨めるでしょう。
学生がオンラインインターンシップに参加する際の注意点7つ
メリットの多いオンラインインターンシップですが、対面型とは異なるポイントもあります。注意したいのは次の7つです。
- 自宅やレンタルルームなど周囲が静かな環境で参加する
- 通信環境を整えたうえで参加する
- 使用ツールを確認する
- 表示名や背景を確認しておく
- 服装や身だしなみを整える
- いつもより明るい表情でハキハキ話す
- 自己紹介の内容を考えておく
それぞれ詳しく解説します。
1.自宅やレンタルルームなど周囲が静かな環境で参加する
周囲が騒がしいと、重要な部分が聞き取れないことや自分の声が伝わらないケースがあります。担当者や参加メンバーに不快な思いをさせてしまうこともあるため、静かな場所を選びましょう。自宅が難しければ、レンタルルームの個室を利用するのも一つの方法です。
なお、カフェやファミリーレストランから参加しようと考える学生もいますが、話し声から個人や企業情報が漏れるリスクがあるため、避けるよう指導しましょう。
2.通信環境を整えたうえで参加する
オンラインインターンシップでは、安定したインターネット接続が不可欠です。途中で接続が途切れてしまうと、プログラムの進行に支障をきたすだけでなく重要な情報を聞き逃す可能性があります。担当者からの印象が悪くなるケースもあるでしょう。
特にポケットWi-Fiやテザリングを使用している場合は、接続が不安定になりやすいので注意が必要です。事前に安定した通信ができるかテストしておきましょう。
3.使用ツールを確認する
オンラインインターンシップでは、基本的にWeb会議ツールを使います。ZoomやMicrosoft Teamsなど企業によって異なりますが、使った経験がないツールが指定されるかもしれません。インストール手順や使い方を事前に把握し、必要であれば練習しておくことで当日もトラブルなく参加できるでしょう。
4.表示名や背景を確認しておく
多くのWeb会議ツールでは、自分の名前や背景を自在に変更できます。基本的に表示名は、本名に設定しておくのがマナーです。また背景は、企業がチェックしているポイントの一つ。散らかった部屋からの参加では、良い印象を与えられません。事前に映る箇所を確認し、生活感の出やすい家具や乱雑な様子が映り込まないようにしましょう。壁の色は、清潔感のある白がおすすめ。
なお、バーチャル背景はマナー違反ではありませんが「部屋が散らかっているのでは?」「見られたら困るものがあるのかも」などの疑いを持たれる可能性もあるため、使わないほうが無難です。
5.服装や身だしなみを整える
オンラインインターンシップでも、服装や身だしなみを整えての参加が基本です。対面型と同様に、企業から指定された服装で参加しましょう。指定がない場合でも、部屋着や普段着での参加はNGです。また担当者に好印象を与えられるよう、髪型やメイクも清潔感を意識しましょう。
6.いつもより明るい表情でハキハキ話す
オンラインインターンでは、対面型よりも感情や熱意が伝わりにくいことがあります。そのため、意識的に明るい表情を心がけて少し大きめの声で話すのがポイント。「緊張して声が小さくなりそう」と不安な場合は、事前に鏡やカメラを見ながら練習しておくのがおすすめです。
7.自己紹介の内容を考えておく
オンライン型の場合でも、最初に自己紹介するケースが多いです。自己紹介を求められて慌てないためにも、事前に用意しておくのがおすすめ。以下の構成を基本に考えておくとよいでしょう。
- 「はじめまして」などの簡単な挨拶
- 名前、学校名、学部、学年
- 趣味や特技など自分らしさが伝わる一言
- 参加理由と意気込み
- 「よろしくお願いします」など締めの言葉
自己紹介で好印象を与えられれば、その後のコミュニーションもスムーズになります。1分程度を目安に、簡潔に伝えられるようにしておきましょう。また自分の自己紹介が終わると気を抜きがちですが、円滑なコミュニケーションのためには、ほかの学生の自己紹介を真剣に聞くことも大切なポイントです。
まとめ
対面型と同じようにさまざまなプログラムを体験できるオンラインインターンシップですが、オンライン型ならではのメリットや注意点があります。事前に理解しておくことで、より有意義な時間を過ごせるでしょう。学生が迷ったり機会を逃したりすることのないよう、学校側でもサポートしていくことが大切です。
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