これまで「団塊世代」や「ゆとり世代」など、特定の世代に様々な名称が付けられてきました。最近では「Z世代」というキーワードを耳にする機会が多くなりましたよね。
「若い世代を指す言葉なのはわかるけど、具体的に何歳からなの?」と、疑問に思う先生も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、Z世代が該当する年齢や注目される背景について解説します。他の世代との違い、教育のポイントにも触れているので参考にしてください。
目次
Z世代は何歳から?注目される背景も解説
Z世代は、最近の若者を指す言葉です。今後の社会や、経済において重要な存在といわれています。ここでは具体的な年齢層と、注目される背景を解説します。
1990年代後半に生まれた若者を指す
明確な定義はありませんが、1990年代後半〜2010年に生まれた層を指します。つまり、2022年現在で10代前半〜25歳くらいまでの若者がZ世代です。ちょうど専門学校の学生の年齢とも被りますよね。
由来は、アメリカの世代論から生まれた「ジェネレーションZ」という単語のようです。さらに上の世代は「ジェネレーションX」「ジェネレーションY」と呼ばれます。アルファベット順に名付けられた結果、Zになりました。
ちなみにジェネレーションYと被っていますが、西暦2000年以降に成人を迎えた、あるいは社会人になった世代は「ミレニアル世代」と呼ばれます。
Z世代が注目される背景
Z世代が注目される背景は、主に2つあります。1つは「情報発信力が高いから」、もう1つは「消費のメイン層になるから」です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
情報発信力が高いから
Z世代は、生まれたときからインターネットが身近にある生活が当たり前。SNSを目的別に活用して、自分の思いや考えを発信しています。そのため、情報発信力が高いといわれています。
コムドットやくれいじーまぐねっとなど、SNS上で多くの人に影響を及ぼす「インフルエンサー」もZ世代から多く誕生しました。
また発信だけでなく、情報収集の手段としてもインターネットを活用しています。Z世代は膨大な情報から自分に必要な情報を選び、慎重に精査する傾向があります。
たとえば参考書を買う場合、以前は本屋に行って店員のおすすめや、店にある限られた情報から判断して購入するのが一般的でした。しかし、Z世代の場合は複数のSNSやサイトから、口コミや購入のメリットを調べて比較した上での購入が当たり前なのです。
他の世代に比べると決断に時間がかかりやすい反面、気に入ればSNSやブログで紹介してくれます。つまり、企業や店舗はZ世代を味方につけることで、大きな成果を得られるのではと期待しているのです。
消費のメイン層となるから
Z世代は、これから社会に出ていく世代です。今後は消費の中心となる存在のため、社会や経済に与える影響が大きいと予想されています。
高齢化社会といわれる日本ではこれまで、若者の車離れやお酒離れなど「若者の〇〇離れ」が多く取り上げられてきました。そのため、若い世代ではなく消費活動が活発なシニア層をターゲットにする企業も多かったのです。
しかしIT技術の発達によって、消費活動の在り方が大きく変わろうとしています。今では勉強も仕事もリモートでこなせる時代です。買い物もスマホから簡単にできるようになりました。生活に必要な活動のほとんどがオンラインで完結するなんて、以前は考えられなかったですよね。
これらのデジタル技術を使いこなすZ世代が消費の中心となるため、シニア層をメインターゲットとしていた企業も、従来のマーケティング手法では通用しなくなるのではと考えられています。
Z世代の主な特徴5つ
社会の流れが変われば、育った世代の価値観や考え方は変わります。ここではZ世代の主な特徴を5つ解説します。
- 自分らしさや多様性を大切にする
- 効率性を重視する
- 情報収集はインターネットがメイン
- 社会問題への関心が強い
- 認められたい気持ちが強い
それぞれ詳しく解説します。Z世代を理解する材料としてお役立てください。
自分らしさや多様性を大切にする
少し前の時代まで「男らしくあるべき」「女性だから子育てや家事は当たり前」「若いから苦労するべき」など、年齢や性別で区別する風習が残っていました。小さい頃の時代背景によって、そのような思い込みが刷り込まれていた先生も多かったのではないでしょうか。
しかし、Z世代は小さい頃から「ジェンダーレス」「LGBTQ」など、多様性に関する知識や考え方を学校教育やインターネットの情報を通して学んでいる世代です。そのため、周りと同じではなく「自分らしさ」を大切にする傾向が強くあります。
また他者に対しても「男だから」「若いから」と一括りにして判断するのではなく、一個人として受け入れるのが特徴です。
タイパ(効率性)を重視する
スマホやSNSなどデジタルツールを当たり前に使っていたZ世代は、非効率的でアナログなシステムや仕組みを嫌い、タイパ(効率性)を重視する傾向にあります。
こちらもおすすめ
参考事例が次の通りです。
いかに時間を無駄にしないかを考えているため、家で映画鑑賞する場合は2倍速にして観る。美味しいカフェを探したい場合は、InstagramなどのSNSで事前に調べてから現地に行く。
仕事に関しても「どのような仕組みなら時短になるか」「ツールを使って業務を効率化できないか」など、常に効率化を意識している傾向にあります。企業にとっては、コスト面や事業拡大に良い影響を与える可能性が高いといえるのではないでしょうか。
情報収集はインターネットがメイン
Z世代は、情報収集の方法もインターネットがメインです。従来は、テレビや新聞などのマスメディアが中心でした。しかしZ世代の場合はSNSや口コミサイト、YouTubeなどの動画サイトがメインのようです。
多くの情報から取捨選択しなければならないため、前章で解説したように消費活動もインターネットで情報収集してから慎重に判断する傾向があります。
社会問題への関心が強い
インターネットで多くの情報を得られるようになった現代。そのため身近な問題だけではなく、貧困や環境などの社会問題への関心が強いのも特徴です。
リーマンショックや東日本大震災など不況や大災害を経験している世代のため、他人事と感じないのも要因といえるでしょう。マイナビ転職とZ総研の共同プロジェクト「はたらきかたラボ」の調査によると、持続可能な開発目標のSDGsに関心があると回答したZ世代は8割以上になることがわかりました。*1
認められたい気持ちが強い
自分らしさを大切にする一方、他者から認められたい気持ちが強いのも特徴です。SNSなどオンライン上のコミュニケーションが常であるZ世代にとって、自分の発信した情報にどのような反応があるのか、どのように見られているのかが気になるようです。
InstagramやTwitterの「いいね」がもらえないと落ち込んでしまうこともあり、承認欲求が強いといえるでしょう。仕事においては評価を気にするために、保守的になってしまうこともあるようです。
X世代・Y世代・ミレニアル世代の特徴とZ世代との違い
Z世代よりも上には「X世代」「Y世代」「ミレニアル世代」があります。ここではそれぞれの特徴と、Z世代との違いを解説します。自分が生まれた年代の特徴を改めて知ると、面白い発見があるかもしれませんよ。
X世代の特徴
1960年〜1974年に生まれたのがX世代です。「バブル世代」や「団塊ジュニア世代」「就職氷河期世代の一部」が含まれています。幼少期にインターネットはなく、情報収集のメインはテレビや雑誌でした。
インターネットやスマートフォンの登場が大人になってからのため、近年のIT環境に慣れていない人も多く、Z世代と比べるとネットリテラシーが低いといわれています。
仕事においては接待や飲み会、長時間労働が当たり前とされる時代で、働くことに積極的なのも特徴です。ワークライフバランスの推進や、職場の飲み会への強制参加が疑問視される現代とは、考え方が大きく異なるといえます。
Y世代の特徴
1975年〜1990年代前半に生まれたのがY世代です。バブル崩壊後の「失われた20年」といわれる期間を過ごし、「就職氷河期世代」のメイン世代にあたります。
困難な出来事に直面した時代のため、保守的な人が多いのも特徴といえるでしょう。X世代に比べると、出世欲などの願望も少ない世代です。
すでにインターネットが普及している時代を生きているため、デジタルネイティブともいわれています。幼少期は、携帯電話はなかったもののポケベルがありました。一般電話からメッセージを送信するため、今では考えられないほど公衆電話に行列ができたことも。
また、インターネット環境が身近にあったことから、Z世代と同様に自分らしさを大切にする傾向があります。
ミレニアル世代の特徴
1980年代半ば〜1990年代半ばに生まれたのがミレニアル世代です。Y世代と年代が被っているため、同じとされるケースもあります。特徴もほぼ同じといってよいでしょう。
日本では「ゆとり世代」と重なる年代です。ITの発達とともに成長したためデジタルのパイオニアともいえるでしょう。Z世代同様に自分らしさを大切にする傾向がありますが、消費においては違いがみられます。
ミレニアル世代が10代だった頃、ファッションを中心に多くのブランドがブームとなりました。そのため、高いブランド品を持つことで自分らしさを表現していたのです。
一方で、Z世代はブランドの価値よりも「自分に合うか」を重視しています。考え方は似ていても、消費面で見ると異なる特徴を持っているのです。
Z世代を教育する2つのポイント
現在の専門学校の学生は、ちょうどZ世代に該当します。先生が学生だった頃と考え方が異なることから、関わり方に悩みを持つ先生もいるのではないでしょうか。
ここではZ世代を教育するポイントを2つ解説します。学生と関わる際の参考にしてください。
学生と同じ目線に立つ
Z世代は、個性や多様性を大切にする傾向が強くあります。そのため「学生だから勉強に力を入れるべきだ」「他の人と同じようにしっかりとコミュニケーションをとれ」など、先生の意見を押し付ければ学生との心の距離が離れてしまうでしょう。
そうならないために、同じ目線でコミュニケーションをとることが大切です。学生から勉強に関係ない話題を振られたからといって「そんなこと言っている時間があるなら、テスト勉強しろ」などと無下にしていませんか。
まずは学生の話に興味を持って聞いてみましょう。授業をこなすことは前提ですが、ときには一緒に脱線してみることも大切です。自分と同じ目線で接してくれていると感じれば、自然と心を開いてくれるでしょう。先生にとっても新しい世界が見えてくるかもしれませんよ。
マイナス部分を指摘するだけでなく褒める
他者に認めてほしい気持ちが強いZ世代は、マイナス部分ばかりを指摘すると保守的になる可能性があります。「点数が良くなかったから、もっと努力しないと」など、できていない部分ばかりを指摘していては、学生のモチベーションが下がってしまうでしょう。
できている部分を当たり前だと思わず、褒めることが大切です。ただし、結果ばかりを褒めるのは逆効果になるケースもあるので注意してください。「がんばってもテストで良い点が取れないからあきらめよう」と落ち込んでしまうかもしれません。結果だけでなく、変化や過程も褒めることを意識しましょう。
「積極的に質問してくれるようになったね。がんばろうとする姿勢が伝わったよ」「いつもクラスを引っ張ってくれてありがとう」など、過程や普段の生活のなかにあるプラス部分を褒めることで学生は認められたと感じ、先生への信頼も向上するでしょう。
まとめ
Z世代をはじめとした各世代の特徴と違いを解説しました。生まれた時代によって、考え方や価値観は大きく異なります。先生世代から見れば、Z世代の価値観や考え方に違和感を持つこともあるでしょう。
逆にZ世代にとって、他の世代の価値観を考えられないと感じている部分もあるはずです。もちろん正解や間違いはありません。今後も社会背景の変化と共に、新しい価値観や考えが生まれるでしょう。
多様性を大切にする風潮がある現在、学生と関わる際は同じ目線に立つことを意識してみてくださいね。
\ぜひ投票お願いします/
鶴巻 健太
新潟在住のSEOディレクターで「新潟SEO情報局」というサイトを運営中
ウイナレッジのコンテンツ編集を担当
朝は農業を楽しみ、昼はスタバのコーヒーと共にパソコンに向かうのが日課