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TOP特集インタビュー教員も学生も満足できる革新を!「ひと手間加えるだけで変わります」

教員も学生も満足できる革新を!「ひと手間加えるだけで変わります」

連載専門学校の先生のお仕事ライフハック

全国の専門学校の先生にインタビュー!先生の「お仕事ライフハック」=働くうえでの仕事術やアイデアを共有してもらいます。同じ職業だからこそ分かるお悩みやテクニックを参考に、明日からのお仕事ライフをアップデートしちゃいましょう!

今や学校のICT活用は必須であり、必要不可欠なものとなっていますが、うまく活用しきれているか不安に思う先生もいらっしゃるのではないでしょうか。また、新しい取り組みを始めようと思っても、周りの賛同を得られず進められなかったという経験のある方も多いかと思います。

第2回目の今回は、学校DX、ICT化の革新を進め、学生の満足度アップだけでなく教員の業務効率化にも貢献している、埼玉コンピュータ&医療事務専門学校の深野敦史先生にお話を伺いました。

埼玉コンピュータ&医療事務専門学校 教務部長

深野敦史 先生

IT系企業に9年間勤めたのち、専門学校教員の道へ。授業では主に情報処理技術者試験対策を担当。教務部長を務めながら、学校内のネットワークやサーバー管理、グループウェアの保守をはじめ、学校DX、ICT化の推進にも取り組んでいる。

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経歴 ・先生になった理由

新入社員教育で実感した「人に教える面白さ」

大学ではマーケティングを専攻していました。マーケティングの研究にメインフレーム(大型汎用機)を利用していたこともあり、新卒でIT系企業に就職しました。最初は大型汎用機のプログラマーとして働き、その後ネットワークやサーバーの構築・運用を行うインフラ部門に配属されました。そこで身に付けた知識が現在の業務のベースになっています。

前職で、試験対策の新入社員教育に関わったことが教員を目指すきっかけとなりました。新入社員の「分かった!」という反応を見て、「人に教えるのって楽しいな」と実感したんです。高校時代の部活の恩師に憧れて大学で教職課程を受けていたこともあり、教育への興味が一層強くなりました。ITの知識も活かせるようそのまま専門学校教員の道へ進み、現在で22年目になります。また、前職の時代から資格試験にチャレンジすることが多く、その経験も活かせるのではという思いがありました。

現在の業務

授業や管理業務に加えインフラ整備やDX、ICT化の推進も

現在は管理職業務が中心ですが、授業は情報処理技術者試験対策を週6コマに加え、AWSの機械学習サービスを利用した人工知能の授業を受け持っています。

また、学生用パソコンのメンテナンス、ネットワーク、校務サーバーの管理、グループウェアの保守も担当しています。もともと前職でもインフラを担当していたため、得意分野なので。特に多いのは学生がパスワードを忘れてしまい、リセットする作業でして…。「メモしておきなさい!」って感じですが、月に数回はありますね(笑)。

また、昨年より校長から、「他校に負けない特色のある教育をしよう」ということで改革を進めるよう任命されました。そこで、今年度から「学校DX・教育ICT化」をテーマに、さまざまな改革に取り組んでいます。例えば、AI教育ツールを導入し、学生の学習方法や宿題の提出方法を大きく変えました。また、もともと導入していたMicrosoft 365をより活用できるよう教員研修を行い、非常勤の先生にも使ってもらえるようにしました。研修後はブラウザー上で試験が行えるようになったり、ファイル共有サービスに授業の資料をアップできたりと、教員も学生も満足度が上がっています。

本校はベテランが多く、自分のやり方に強いこだわりを持っている教職員が多いです。先輩である教員に新しい取り組みを理解してもらうのは苦労もありますが、校長に協力をしていただきながら、「他校に負けない特色のある教育」を目指して革新を進めています。

やりがい・おもしろさ

自分の言葉が学生を変えるきっかけになる

やりがいは、教員の道へ進んだきっかけと同じで、学生が「分かった!」という反応をしてくれたときに感じます。ただ、前職で教えていた新入社員は給料をもらいながら勉強をしているわけですが、学生はお金を払って勉強をしているわけで、こちらから見るとある意味「お客様」ですよね。「学校にお金を払ってくれているお客様に、知識や技術といった価値をお返しする」というのがこの仕事の目標で、それを達成できるとうれしいですね。

また、卒業式で「先生のあの話がすごくよかったです!」「役に立ちました!」なんて言われたりすると、もう号泣ですよね。授業で話をしているときは、学生がうなずきもしてくれなくて「本当に聞いているのか?」なんて思うこともあるんですが(笑)。以前、基本情報技術者試験が年2回しかチャンスがなかったとき、「今やらないでいつやるの?」とよく伝えていたました。その言葉を覚えてくれていた学生が多くて。「先生の言葉をきっかけに、試験1カ月前にラストスパートをかけて無事に合格できました」と言ってくれた学生もいました。人の人生に影響を与えられるというのは、本当に素晴らしいことですよね。

そもそも専門学校の目的は「資格を取って技術の証明をして就職をすること」であって、それは合格率と就職率に表れますよね。ただ、そういった数字だけではなく、自分が関わった学生が「頑張って資格試験に合格した」「思い通りの会社に入れた」という瞬間は教員冥利(みょうり)に尽きます。

お仕事ライフハック

「ひと手間」を惜しまず、「対面」を大切に

どんなことでも「ひと手間加える」ことです。教員同士でも、机の上に書類をただ置くだけでは目を通してもらえないこともあるんですが、一言メッセージを添えておくとスムーズに見てもらえます。「教員は個人プレイだ」と思っている先生もいるかもしれませんが、私は一般企業出身なので組織を重視していまして。自分の考え方をしっかり持っている反面、他人の価値観を受け入れるのが苦手な先生もいると思うんですが、先生同士のコミュニケーションを潤滑にすることも私の仕事だと思っています。せっかく同じ学校で働いているので、一人ひとりを大切にしていきたいんです。

授業も同様で、「もうひと手間かければ学生に覚えてもらいやすくなるのでは」と常に工夫を凝らしています。例えば、授業後はその日の授業内容をまとめた授業ノートやプリントをPDFに変換して、SharePoint(ファイル共有サービス)に掲載しています。欠席した学生が「これまで先生に言いにくかったけど、簡単に資料を手に入れられるようになった」と喜んでくれていますし、板書に近い形で授業ノートを掲載しているので、「聞き逃してしまった部分を見直せるようになった」とも言ってもらえます。少し手間をかけるだけで、授業の満足度が上がるんだと実感しています。

それから、教員にとって「教材力」が重要であると考えていまして。私は自分で教材を作ったり、独自のプリントを用意したりするのが好きなんです。いつも「あの子だったら解ける問題かな」「あの子には難しいかな」と、学生一人ひとりの顔を思い浮かべてワクワクしながら作成しています。学生を成長させるために、今のレベルよりも少しだけ高い問題を用意することが多いですね。

また、授業では「ライブ感」を大切にしています。本来は、授業計画通りに進めるのが理想かもしれません。ですが、学生の反応を見ながら「ここは早めに進めよう」とか「ここはじっくり時間をかけて繰り返し教えよう」と調整しています。これは対面でないとできないことなので。本校はコロナ禍でも対面で授業を行っていたんです。授業時間を短縮したり、学生に半分ずつ登校してもらって2回同じ授業を行ったりと工夫しました。それくらい「対面」への思いが強いんです。

授業の方法では、指名されるのが苦手な学生が多いので、誰も指さず、でも一人ひとりが指されているような感覚になる雰囲気作りを心がけています。「問題を出します。指さないから心の中で大きな声で答えてください」と言ったり、「頭の中で考えてください」と伝えたり。学生に参加意識を持ってもらいつつ、苦手意識を取り除けるように工夫しています。実際に声を出して答えてもらわなくても、表情を見れば理解したか察することはできますから。

ワークライフバランス

自分なりの発散方法を見つけて上手くリフレッシュ

土日にオープンキャンパスや検定監督などで出勤することも多いので、なかなかワークライフバランスを保つのが難しいというのが実情です。ただ、休日に仕事のことをある程度考えておくと、月曜からすぐにエンジンがかかって仕事に取り組めるんです。休日に完全にオフにならないことが、いい影響をもたらしているのかなと思います。

一方で、大学野球の観戦や好きなアーティストのライブへ行き、大きな声を出してストレスを発散することも多いです。先週も平日の夜にヘヴィメタルバンドのライブへ行き、頭を振ったり大声を出したりしてストレス発散してきました。「見かけによらないね」とよく言われます(笑)。

学校の新しい取り組み

AI教育アプリを導入、教員も学生もモチベーションアップ

今年度から、記憶の定着に特化したAI教育アプリを導入しています。AIを使って一人ひとりのレベルや記憶の定着度合いに合わせた問題を出すことができるんです。その下準備として、まずは単語と説明を1カ月半ほどかけてアプリに登録しました。それこそ、入学前の学生たちのことを想像して「できるかな~」なんて思いながらの作業だったので楽しかったですよ。

将来的には全学年全学科を対象にする予定ですが、現在は情報テクノロジー科、ビジネス科、医療事務科の1年生が資格試験対策として利用しています。今はテキストが一節終わったタイミングで、このアプリを使用してもらっています。学生同士がゲーム感覚で競い合って楽しみながら活用しています。教員からも、学生の記憶の定着具合をアプリ上で数値として見ることができるので、達成感につながると言われています。

実は、初めのうちは導入に反対する先生もいたんです。新しいものを取り入れるって大変ですからね。ただ、これからも学生にプラスになることはどんどん取り入れていきたいと思っています。

一日のスケジュール

  • 9:00
    教職員朝礼

    私が司会進行を務め、その日の学校行事や連絡事項を確認します。

  • 9:10
    管理職会議

    学校の運営方針などを話し合います。

  • 10:00
    授業準備・事務作業

    教材研究やプリント作成、学校行事に関する企画立案や書類作成をする時間です。

  • 12:00
    お昼休み

    昼食は主にコンビニ弁当。先生方の席にお邪魔して雑談や情報交換をすることもあります。

    万座毛
  • 13:20
    午後の授業

    担当科目の授業。学生と触れ合うことが何よりも楽しみです。

  • 16:30
    事務作業

    さまざまな事務作業を行います。

  • 19:30
    帰宅

    夕食後はダラダラします。オフレコですが、持ち帰りの仕事をすることも…。

  • 24:00
    就寝

    明日も頑張ります!

必須アイテム

iPad Air

これがないと困ってしまうくらいフル活用している相棒です。パソコンやスマホも使いますが、老眼でスマホが見えにくいというのもありまして…(笑)。スケジュール管理、調べもの、メモ取りなど、業務管理は主にこれでしています。ちなみに、壁紙は好きなアーティストです(笑)。

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全国の専門学校、大学、職業訓練校、PCスクール等教育機関向けに教材を制作・販売しています。

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