実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!

実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!|ウイナレッジ WE KNOWLEDGE

実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!

TOP特集インタビューMOS世界学生大会で12年連続日本一輩出!「学習の好転サイクルで学生が変わります」

MOS世界学生大会で12年連続日本一輩出!「学習の好転サイクルで学生が変わります」

2024.09.02 (最終更新:2024.09.06) インタビュー 教務情報

連載専門学校の先生のお仕事ライフハック

全国の専門学校の先生にインタビュー!先生の「お仕事ライフハック」=働くうえでの仕事術やアイデアを共有してもらいます。同じ職業だからこそ分かるお悩みやテクニックを参考に、明日からのお仕事ライフをアップデートしちゃいましょう!

専門学校において、学生の資格取得や検定合格はとても重要な目標です。ただ、近年は勉強が好きでない・苦手という学生や、基礎学力や学習習慣が身に付いていない学生が増えており、指導にお困りの先生方も多いかと思います。

第3回目の今回は、「MOS世界学生大会 日本代表選考会」において、2013年から12年連続で日本一を輩出している新潟ビジネス専門学校の窪田浩先生にお話を伺いました。

※「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」を通して、Excel、Word、PowerPointのスキルを競う高校生以上の学生を対象とした大会。22回目を迎える2024年は、日本代表選考会に1万3千人を超える学生がエントリー。
参考:https://mos.odyssey-com.co.jp/competition/

新潟ビジネス専門学校

窪田浩 先生

専門学校教員歴は34年。Excel、Word、PowerPoint、AI、情報処理系など幅広い科目を担当している。「MOS世界学生大会 日本代表選考会」に挑戦を始めた当初から現在に至るまで指導を担当し、これまでに19名の日本一を輩出している(2024年5月時点)。

こちらも読まれています

経歴 ・先生になった理由

「これからはコンピュータの時代」と独学で知識を習得

教員としてはコンピュータ関連の授業を受け持つことが多いですが、大学は全く畑違いで、法学部で経営法学を学びました。大学卒業後は、法律の知識が生かせればと、警備保障会社へ就職しました。当時としては珍しく、コンピュータを多用している会社だったので、周りの社員がコンピュータを使っている様子を見て、「これからこういう時代が来るんだろうな」と感じていました。私自身は営業担当だったので、コンピュータに触れる機会がないまま働いていましたが、あるとき情報処理系専門学校の事務局員の募集が目に入り、「コンピュータの時代が来る。将来のエンジニアを育てるって面白そう」と転職を決意しました。

その学校で事務局員として2年間働いたあと、教員をやってみないかと誘われました。その時点でもまだコンピュータを触ったことがほぼなかったので、「素人なので教えられる科目がないです」と校長に伝えたところ、数学を教えてほしいと言われました。そこで、コンピュータ数学の教員として教壇に立ったのが教員生活の始まりです。

学校で数学を教えながら、並行して簿記やコンピュータ関連の勉強を独学で進めました。学校には本がたくさんありますから、それを借りて読み漁りましたね。数学、簿記、情報処理の検定指導と、徐々に教えられる科目を増やしていき、3年目にはクラス担任を持つようになりました。そのまま9年間教員として勤めたのち、現在の新潟ビジネス専門学校へ転職して25年がたちます。教員歴は合わせて34年になりました。

現在の業務

嘱託職員として働きながら多くの授業を受け持つ

2年前に定年を迎え、今は嘱託職員として働いています。現在はAIリテラシー、ITビジネス、ICT実習、Excel実習、Word実習、PowerPoint実習などの科目指導、AI検定、MOS、情報処理系の各種検定の指導といった授業を担当しています。また、オープンキャンパス、面接練習や履歴書のチェックといった就職指導にも携わっています。

嘱託職員になってから担当科目はピーク時の半分ほどになったのですが、検定試験前などは今でも週5日6コマ、ほぼフルに近い形で授業に入ることがあります。本校で教えている医療系以外の科目は、ほぼ担当してきましたね。

やりがい・おもしろさ

大勢の教え子たちの活躍と、まだまだ続く工夫の日々

学生の成長を間近で見守ることができるのが一番のやりがいですね。教え子たちが地元のさまざまな場所で活躍し、それが地域の発展につながり、社会貢献ができていることに喜びを感じます。

34年間の教員生活を送っているので、これまで数えきれないくらいの学生を見守ってきました。今でも交流のある学生もたくさんいます。私が新人だった頃の教え子ともいまだに交流があります。まあ、教え子といってももう50歳くらいなんですが、たまに飲みに行きますよ。人事部長をやっている教え子には就職活動のことを聞いたりします。皆さん、えらくなっていってね(笑)。

かと思えば、つい最近卒業した学生が学校に遊びに来てくれることもあります。なんせ今の学校には25年いますので、「知っているのが窪田先生しかいません~!」なんて言って来てくれる子もいます。

また、専門学校教員の仕事は毎日が工夫の連続で正解がありません。そこがおもしろいところでしょうか。私自身、全く知識のない状態から自分で教科書を読んで独学で知識を増やしていった経験があり、その経験が学生に教えるときのヒントになっています。例えば、簿記の教科書を初めて見たとき、私もさっぱり分からなくて(笑)。大人の私が分からないのだから、学生はもっと分からないだろうと思いました。そこで、「教科書はどうしてこういう風に書いてあるのだろう?」と思う部分を調べて、難しい表現から自分が分かる表現に置き換えていきました。それを板書のネタにし、イラストや図を使って学生にイメージを持ってもらえるように工夫してきました。私自身がゼロの状態から学んだからこそ、学生が分からないポイントが見え、学生の立場に立った教え方の工夫ができるのだと思います。

達成感を感じること

学生が表彰される姿に感動!日本一が入学理由にも

やはり、「MOS世界学生大会 日本代表選考会」で12年連続日本一の学生を輩出できたことですね。そもそものきっかけは、14年前に学科の先生たちの間で「せっかくだから何かに挑戦したいよね」という話になったことです。そこで、「MOS世界学生大会はどうだろう」という意見が出て。「でも規模が大きすぎるよね~…。日本代表って…」なんて意見もあったんですが(笑)、一回くらいは出てみようということになって。

立候補してくれる学生が何名かいたので、放課後や春休みにパソコン室を開放して練習することになりました。私はパソコン室で仕事をするようにして、基本的には学生が自習する形です。学生が分からないことがあれば、私にいつでも聞けるように環境を整えてスタートしました。
初めて挑戦した年に第6位、翌年になんと1位になったのですが、3年目では入賞のみに。試行錯誤しながら4年目で再び1位を取ることができ、それからは毎年本校から日本一を輩出し、2024年で12年連続となりました。
また、2018年、2019年と2年連続でExcel、Word、PowerPointの3部門すべてで日本一を獲得したこともあります。

今では「この大会に出たいから」という理由で本校に入学してくれる学生もいます。友達に誘われて、「え~」なんて言いながら始めた学生が日本一になったこともありましたね(笑)。

学生が自信にあふれた表情で表彰される姿を見ると、今年も頑張ったなと実感します。

お仕事ライフハック

環境を整えて「学習の好転サイクル」を作る

専門学生は、学力もさまざまで、授業についていけない学生や勉強が嫌いな学生もいます。それでも全員で検定合格を目指すために、「知識を身に付けることが楽しい」と実感してもらい、自ら進んで学習に取り組むように仕向ける指導が大切だと考えています。

「興味・関心を引き出す」→「分かるまで丁寧に教える」→「問題が解けるようになる」→「分かるとうれしい・楽しい」→「もっとやりたくなる」というサイクルを作れば、自ら進んで勉強に取り組むようになっていくんです。私はこれを「学習の好転サイクル」と呼んでいて、これを作り出すことを何よりも大切にしています。

分からないことって、誰でもやりたくないですよね。最初はみんなやりたがらないんです、だって分からないから。でも、教えてもらってやってみたらできた、次もできた。そうやって「できた」を重ねていくと自信がついてきて、もっとやりたくなってくる。モチベーションが上がっていくんですよね。これが「学習の好転サイクル」です。

例えば、「MOS世界学生大会」は満点を取らなくては入賞できないので、全問正解が必須です。私が指導している学生は、自分で問題をやって、分からなければ学生同士で教え合ったり、競い合ったりしています。何度やってもうまくいかない操作は、私が分かりやすく教えます。あとは何度も何度も練習問題を繰り返すだけ。そうすると、だんだんできるようになってくるんです。

日本一の学生を多く輩出するようになって、他校の先生から「どういう教え方をしているんですか?」と聞かれることも多いのですが、実は私はたいしたことはしていないんですよ(笑)。教員が必死に手をかけてあげなくても、「学習の好転サイクル」さえできてしまえば、結果はついてくるんです。

また、いい結果を残した先輩たちについてもよく話します。「専門学校に入学するまで、パソコンを触ったことがない学生だったんだよ」「最初はパソコンの電源の場所を知らない学生もいたんだよ」という話をするんです。「最初からできる学生だったわけではなくて、みんなと同じスタートラインだったんだよ。無理なことじゃないんだよ」と言うと、最初は「絶対無理!」と言っていた学生でも、「自分にもできそうかも…」と思ってくれるんですよね。

あと、私が「興味・関心」を引き出すために必ず言うのは、「中学生のときに数学をやっていて、これって何のために勉強するの?って思ったことはない?」という話です。「就職活動、転職、部署異動など、人生には必ず何度か転機が訪れる。勉強しておけば、そのタイミングで知識を生かせることがある。勉強しなければ、そのときできることしかできず、チャンスに恵まれず、道が開けない。今いろいろと勉強しておけば、将来選択肢が増えるんだよ。今だけを見るんじゃなくて、長い人生を見よう」ということです。これを、私の転職や教員になったきっかけと一緒に話すようにしています。

また、目標を教室に貼ったりもします。学生は検定試験が終わると気が抜けてしまって、次の検定のことを意識できなくなってしまうことがあるので、「〇月はこの検定、〇月はこの検定」といった風に貼っておく。すると学生が自分で意識して、学生同士で教え合ってくれます。これも「学習の好転サイクル」における環境づくりですね。私が1から10まで言わなくてもいいように、環境を整えるんです。

今後は授業も動画で進めるのが主流になっていく可能性がありますよね。でも、クラス運営や学生のフォローができるのは教員だけです。一人ひとりに合わせたフォローと環境づくりが、今後ますます教員にとって重要になっていくと思います。

ワークライフバランス

働き方改革で全員の意識が変化

以前は残業も多かったのですが、この5年ほどで働き方改革が進み、教員全体の意識が変わりました。今はほぼ全員が定時で帰宅しています。
プライベートの時間もしっかり取ることができていますので、休日は愛車のバイクでキャンプツーリングを楽しんでいます。バイクでゆっくり走行しながらキャンプ場へ行き、大自然の中でスローな時間を過ごすことを楽しんでいます。

AIなど新しい分野についての教材研究は自宅で行うことが多いですが、それは自分の成長のためでもあるので、やりがいを感じられます。

学校の自慢

資格・検定で高い実績をキープ

「MOS世界学生大会」では12年連続、累計19名の日本一を輩出しています。これは、出場権が与えられる全国の高校、専門学校、大学の中で最多です(2024年5月時点、本校調べ)。また2024年は、Excel部門の日本第1位、第3位に加え、Word部門で第2位、PowerPoint部門で第2位と、合計6名の学生が入賞しました。これは、2024年の入賞者占有率において、全国No.1(入賞者60名中6名が本校の学生)の人数です。

また、難易度の高い「医療秘書技能検定1級」において、本校は28年連続合格者占有率が日本一です。そのほかの資格や検定でも、毎年高い実績をキープしています。

一日のスケジュール

  • 9:00
    出社

    メールチェック、当日のスケジュール確認、担当科目の準備、学生対応。

  • 9:30
    午前の授業

    担当科目の授業。合間に学生対応、担当校務の実施、課題のチェックなどをします。

  • 12:05
    お昼休憩
  • 13:05
    午後の授業

    午前と同様に担当科目の授業、合間に学生対応などを行います。

  • 16:00
    授業終了後

    学生対応(就職指導、面接練習など)、会議、担当校務の実施、授業準備。

  • 18:30
    帰宅

    趣味のバイクメンテナンスをします。

    万座毛
  • 19:30
    夕食・片付け・入浴
  • 21:00
    自由時間

    インターネットで今日のニュースチェック、YouTubeなどの動画鑑賞、授業用教材の研究をします。

  • 24:00
    就寝

必須アイテム

ノートパソコン&大学ノート

以前は板書していたのですが、今はPowerPointやPDFをスクリーンに映して授業を行うため、ノートパソコンは欠かせません。学生が手元の教科書ではなくスクリーンを見ることで、クラスに一体感が出ます。また、大学ノートにあらゆることをメモするので、常に持ち歩いています。1年で5~6冊使い切り、後から振り返るために保管しています。

こちらも読まれています

この記事は役に立ちましたか?

\ぜひ投票お願いします/
この記事を書いた人
株式会社ウイネット

株式会社ウイネット

ウイナレッジを運営している出版社。
全国の専門学校、大学、職業訓練校、PCスクール等教育機関向けに教材を制作・販売しています。

週間アクセスランキング

週間アクセスランキング

お問い合わせ
LINE登録
メルマガ登録
LINE登録
メルマガ登録
トップへ戻る